「うふふ、貴方への温情として残していたのが小指の先です。そこまで言うのなら、心を鬼にして解放させていただきますね?」
やだよぅ・・・こんなのひどい・・・あんまりだ・・・すてないで、みすてないで・・・きあらさま・・・
「とか」
「令呪を以て命ずる!我が存在をその魂に刻み付けよッ!!」
「ダァアァアァアニック貴様ァアァアァアァアァア!!!」
『カエセ、返せ!私の聖杯を返してくれぇ!!』
「とかね」
「ふははは!ゴージャスたる我の威光に平伏すがよいわ!」
――財の選別は終わっている。王と共に、敵対者を蹴散らすのみ!!
「キミはどの憑依ものが好きだい?(フォウ)」
カルデア・ギルガメッシュ自室にて
休眠、休息状態に入っている状態の器の代わりに、英雄姫の状態で自分が身体を動かしていた
「ら~ら~♪ら~♪ら~♪」
コズミックなエアの旋律を口ずさみながら、黄金の波紋に手を突っ込む
(何やってるんだい?キミ)
キーボードの上で跳ね回り何やら作業をしているのは、無銘たる自分を認識している友達、フォウだ
(ずいぶん上機嫌だけど)
「ん?あぁ、蔵の整理整頓だよ」
(整頓?)
「そ。蔵の中身を選別するときとか抜き取るとかに、スムーズにいくようにね」
器の千里眼と見識を使い、黄金の蔵のどこに、何があるのか、どこに繋がっているかを確認し、整理し、整頓しているのだ
英雄姫の姿を賜ったとはいえ、戦闘にて武器を振るい、戦うのは器、英雄王だ
選別からの武器の射出をよりスマートに、より確実な精度にするために。自分の出来ることがこの整理整頓、蔵の整理なのだ
認識、把握すら困難な総数の財宝たち。それらの管理、選別、使用にいたるまでの準備の担当がこちらの役割だから、自分が動かせる肉体を賜った以上、やらない手はない
(新しい肉体を手にいれてやることが整理整頓かぁ・・・トランスセクシャルのお約束として、おっぱいやおまたに注目してもいいんじゃない?)
「そう言われてもね。自分はまだまだ無銘だし、肉体は女性だけど、性別はまだ決まってないようなものだからさ」
そう。自分はまだ男性か女性かは確定していないのだ
男性の裸に慌てふためきもしないし、女性の身体を見ても劣情を抱いたりはしない
・・・まぁ、鏡に映った英雄姫に目を奪われて、十分ほど硬直はしたけど・・・とにかく、肉体の性別は女性だけど、魂的にはまだ無性なのだと思う
(じゃあキミはどっちがいい?)
「え?」
聞き返され、キョトンとする
(女子と男子、どっちになりたい?)
「どっち、って」
(決まってるじゃないか。組敷くか組敷かれるか、どっちがいいかという話だよ)
「――?」
どっち、かあ・・・あんまり意識したことはない
男性の身体も、女性の身体も、どちらも大切でどちらにも魅力はある
なにより・・・
「・・・そうだね。魂が美しければ、どっちも好きだよ、自分は」
趣味嗜好はともかく・・・自分が思うのは、魂の美しさだと思う
信念、決意、信仰、生きざま。人々のそういった美点に、自分は価値を見いだしたいと思う
肉体的な差異は千差万別だから・・・皆違って、皆いいんじゃないかな
(そっかぁ・・・ううん。少しも色欲が浮かないって凄いや)
「男性も女性も、頂点を知ってるからね。器を越えるような美しさの方は中々いないんじゃないかな?」
(よし、ならばボクはその自信の牙城を崩す!ボクの編纂したカルデア大冒険日記で!)
「あ、出来た?」
同時に整理整頓を切り上げ、フォウを抱き抱える
(やわらかぁい・・・)
「そういえば第七部まであるんだよね?見たいみたい。第三者からの英雄王の活躍を見たいな。自分は財の選定ばかりで中々気が散らせないからさ」
(ふふふ、そんなキミのニーズにお答えして、なんと!今回は三点セットなのさ!あ、そのままボクをエビフ山の霊峰で包みながら操作して)
「?こう?」
(むぎゅー)
再生ボタンを押すと、三冊の本が目の前に現れる
一冊は、表紙のないピンクの冊子
もう一冊は
「あ、これ『
黄金の縁取りに彩られた、大きな冊子を手に取る
(御目が高いね。そう。この冊子は『燃え』に特化した男の子の魂をたぎらせる『バトルブック』さ!ヘラクレス、アキレウス、アステリオス・・・薄汚い髭野郎、やる気なさげおじさんの活躍を纏めたものさ)
「・・・あれっ?アキレウスの時、フォウは一緒にいなかったよね?」
(心配ない。部員ネットの同士からさ)
「先輩たちってすごい!」
(のけ者はいないからね)
――凄いですね、部員の皆さん・・・どこで撮っていたんだろう?
(そしてそして!こっちはギルガメッシュ、要するにキミとアイツの活躍を認めた別冊子!名付けて『ゴージャス蹂躙記』!『天地引き裂けし黄金の巨神』『天地波濤す終局の刻』そして殺したかっただけで死んでほしくなかった魔神柱蹂躙を仔細に描き記した大作だよ。編纂に気合い入れすぎてストレスで毛が抜けたけどね)
「お疲れさま、フォウ」
――一瞬の記録を残してくれたフォウに感謝し、頭をなで、顎をかきかきしてみる
(あぁ~・・・慈愛とやさしみで召されそう・・・い、いやいや。まだ死なない。いや至高のおっぱいに包まれて死ぬなら本望だけどね?)
「あ、エヌマ放ったときも写真にしたんだ!」
(有能だろう?)
――映像の解像度、鮮明さも素晴らしい。まさに職人、匠の業だ・・・
「凄い・・・流石はフォウ。ただ者じゃないね」
(だろ?ほめてー。あたまなでてー)
「よしよし」
(あぁ~・・・)
・・・英雄姫を駆動させているときは、自分の思考と、肉体に乗せた自分の意思を両立させているイメージだ
肉体の発言や行動を決めながら、思考を巡らせるスタンスの方がやりやすい。英雄王とのスタンスの据え置きだ
(どうだい?読んでみるかい?)
てしてしと手を叩くフォウ
「そうだね。では失敬して」
手に取り、本を開く
「――・・・」
本のページを捲ってから一気に終わりまで読み進める
「・・・うん。落丁も誤字脱字もない。立派に出荷できるよ、フォウ」
(はやいね!?もう読み終わったのかい!)
「ふふっ、凄いでしょ」
ムフッ、と誇らしげに胸を張る
「財の選別を毎日数千数万からやってるからね。数百数千ページならあっという間にこの通りさ」
――お陰様で、オケアノスでの軍勢の皆様の武器を見定めるくらいはかなうようになった。眼力と選定なら、少しは自信がある
勿論、器に備わる能力ありきだけどね
(むむむ、やるじゃないか。じゃあ次は・・・)
「ふむ、これ?」
何故か裏返してある本を手に取り
(あ、ちょっとまっ――)
ひっくり返すと・・・
「――――」
・・・おもわず、完全硬直してしまった
片や、股間の王律鍵(意味深)を輝かせる器、ギルガメッシュ
片や、雷の輝きで股間のナインライブズ(意味深)をいきり勃たせるヘラクレス
黄金の輝きと青き雷に彩られた、至高の芸術の饗宴がそこに顕れていた
「・・・・・・」
(それはマッスルカーニバルのオケアノス編だよ。まぁ、その、ギルガメッシュとかヘラクレスとかアステリオスとかエイリークダビデの肉体美を表した、マーリンに叩きつけてやろうかとして作ったやつでさ)
「・・・・・・」
(・・・だ、大丈夫?)
「フォウ」
(はいっ)
――そのままだと、あまりに刺激が強いので
「モザイクは、しっかりね」
(・・・はい)
英雄姫の微笑みに、ケモノは素直にうなずいた
(まぁそれはさておき!聞いて驚け英雄姫!これこそが本命、本気だしたボクの編纂!)
てしっと手を器の胸に押し付ける
(カルデア大冒険日記『女性編』!オケアノスで出会った女性たちの総てを網羅した決定版!ドレイクやアン、アルテミスのようなたわわっ!からメアリーやエウリュアレ、アタランテ、メリィのようなニッちっぱいまで差別なく揃えた渾身の一冊だ!)
「・・・あ、入浴シーンまで入ってるんだこれ」
(そうとも。ボクは常々思っているんだ。女体は確かに美しいが、それだけじゃ足りない、致命的に足りないんだ!ガンプラを作って組み立ててトン、じゃあまりにも味気ない!ジオラマ汚し、塗装にスプレーしてデコりたいと思うのは普通だろう?それと同じさ。鼻歌で御機嫌入浴ドレイク、森林浴で身を清めるアルテミス、エウリュアレ、信仰と現実で煩悶しながら滝に打たれるアタランテなどなど、その一瞬に総てを懸けた写真をボクは掲載した!)
「ふむふむ」
(勿論コラムにだって気を抜かないぞ!ドレイク船長のきたえぬかれた筋肉おっぱい、アルテミスのそんなだらしねぇ身体で純潔とかふざけてんの的なおっぱい、アンの隠す気のない男装(笑)についての触感、柔らかさ、弾力に張り、総てを網羅した!総てを!!)
「うんうん」
(小さいからって差別はしない!アタランテの純潔とはこういうものよ!狩人しなやかスレンダーボディ!エウリュアレの永遠の少女ボディ!メアリーの未来に至る羽化前のボディ!メディアリリィのイアソンにヤリ捨てられる前の綺麗な身体!総て、総て『美しさ』に通じるものを総て記した!)
「ほうほう」
(ボクはあくまで『比較』するのみだ!優劣なんて無意味!ただそこにあるだけで美しいものは美しい!!そう!皆違って!皆いい!!おっぱいもちっぱいも、等しく価値を認めるべきなんだっ!!)
「うん、うん。そうだね」
(はぁ、はぁ、はぁ・・・)
「・・・終わった?」
(・・・うん)
――フォウの魂の叫びを、身体と魂で受け止めた
「じゃ、休憩しよう。なにか作ろっか?」
(え?作れるのかい?)
――実は、昨日徹夜で簡単な料理を独学で身に付けたのだ
女性の肉体なんだ、料理の一つや二つ修めずして何が英雄姫か
「ベーコンエッグとかフレンチトーストとかだけど、いい?」
(・・・勿論だよ。いただきます)
――ならば、腕を振るうとしよう
「じゃ、待っててね」
フォウを下ろし、ささっと厨房に引っ込んでいく
(美味しい!)
ガツガツと料理にくらいつくフォウ
「良かった。魂は薄味だけど料理の味は薄くない。なんちゃって」
自慢げに言ってみる
・・・こういった穏やかな時間もまた、自分の『愉悦』なのだ。誰かが幸せそうな顔をしているのを見ると、自分も楽しくなる
(ありがとう。キミを見込んだボクの目に狂いは無かったよ)
――ありがとう、か
「・・・それはこっちの台詞だよ、フォウ」
(?)
「本当なら、自分は魂だけで、誰とも会話なんて望めなかった身分。それが今こうして、キミと気軽に話せている」
・・・その細やかな対話は、無銘にとってかけがえのない事象だ
「こうやって、目の当たりにできる記録まで作ってくれて・・・気軽に話し相手になってくれる」
(・・・無銘・・・)
――だから
胸に手を当てて、まっすぐに見つめる
「お礼を言うのはこっちだよ、フォウ。こうして残る記録を残してくれて、ありがとう」
自分を見つけてくれた、大事な友達に精一杯の感謝を込めて
「――無銘の自分の友達になってくれて、ありがとう・・・――」
にっこりと、素直な笑顔を彼に贈った
(・・・――――)
「――?フォウ?」
・・・フォウが止まっている。どうしたんだろう?
「おーい。どうしたの?」
(・・・と)
「と?」
(と う と い)
黄金の粒子に還元されるフォウ
「なっ!まって!どうしたの!?どうしたの急に!」
(むり、しんどい・・・しぬ。ピュアすぎてしぬ・・・さっきの一連のしぐさ、大冒険日記の表紙にさせて・・・)
「しっかり!表紙にしていいからしっかり!」
(思い残すことはない・・・確信したよ)
「なにを!?」
(無銘の魂と、至高の芸術・・・この二つは、ビーストなんかが太刀打ちできるものじゃないって・・・)
「フォウ!フォウ!しっかり!フォウ!」
――なんで英雄姫と対話した人は一定確率で召されてしまうんだ!?
(アルス・ノヴァ・・・あらゆる穢れに、訣別を・・・おめでとう、無銘の英雄姫・・・美しき比較の獣は、キミにソロで倒された・・・)
「フォウ――――――っ!!」
――英雄姫の悲痛な声が、カルデアの部屋に響き渡った・・・
「かゆいとこ、ない?」
(もっと地肌に触れてほしいな♪)
一緒にお風呂に入ったら復活した
「値段は奮発して1500マナプリだよ。注文配達受け付けてまーす(フォウ)」
「Aaaaa(いつもご贔屓に)」
「えぇ、お望みでしたらカウンセリングもサービスいたしますわ」
「ビースト通販、宜しくねー(フォウフォーウ)」
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