人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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明日からは夜勤で時間がある為、返信は朝に行います!新たな一週間、共に乗り越えて参りましょう!


昇陽学園

ルル『作戦を説明する。リッカ、ロマニさん、うたうちゃん、天空海先輩、じゃんぬさんにマシュちゃんは夏草ウラヌスタワーの魔術術式中心にて免罪の手筈を行ってくれ。そして俺達夏草組は、街に点在する霊脈、龍穴を確保する。これはウラヌスタワーを中心に結ばれており、タワーから流れた魔力を夏草各地に送っている。つまり』

榊原「贖罪の終わりが、この霊脈を通り術式を止める。これはクロケルが残した停止術式でもあるの。タワーの浄化が、魔神の全てを罪から解き放つ為の」

大和「要するにブレーカーだね」
アスカ「あの、夢が無いです…」

グドーシ「我々はこの霊脈を確保し、維持しなくてはなりませぬ。苦しい戦いですが、我等サーヴァントも協力致します」

カーマ「…ちょっぴり不本意ですが、リッカさんの護りはじゃんぬさんとマシュさんで完璧です。私はグドーシさんやリッカさんの友達のサポートに回ります。お願いしますね、ふたりとも」

マシュ「お任せください!カーマさん…先輩を想いながらも最善のためあえて離れる。その真なる愛に感謝を!私には出来ません!」
じゃんぬ「自分の一番を託す意味、解ってるつもり。…信じて、待ってなさい」

カーマ「…別に、疑ってません。頼みましたよ、メインサーヴァントの方々」

グドーシ「良きかな良きかな。…おや?」

ニャル【どれどれ…アレクシスは、と】

「ニャル殿…?」

エル「大変です!ブリーフィングにアカネさんがいません!!」

ルル『何ッ!?』

ニャル【(さて、どう出るかな…?)】






君を倦怠から、助けに来たよ

「皆…イキイキしてる。そうだよね、高校生なら一度くらい考える絶好のシチュエーションだもんね。世界や、皆を守る為に戦う。正義の力を振るうスーパーヒーロー…リッカ先輩や皆、あっという間に受け入れて…凄いなぁ…」

 

決戦、お疲れ様でした作戦の決行前…。一同が闘志に燃える中、一人人知れず無力感や不安を抱える少女が一人。それは上田アカネ。ロボット好きなエルと同年代の怪獣マニア。ベリアル融合獣が推しになった怪獣大好きっ娘である。彼女はこの土壇場において、悩んでいた。

 

「エル君とかノリノリで軍用アンドロイド改良してるし…うたうちゃんは使命と闘志で燃えてて火傷しそうだし、皆はそれぞれ力を手に入れてるし…私、金魚のフンすぎないかなぁ…」

 

それは彼女自身が、自身がここにいる事を疑問視しているが故の言葉。崇高な意志を持つ先輩、先生…それらの輝きに、果たして自分は負けないくらい出来るのか、頑張れるかという悩みを懐き、いい感じの部屋で天井を見ている。

 

「怪獣は大好きだし、負けない自信もある。立花のいる世界を護りたいって気持ちもある…つもり。でも…」

 

見てしまった。数多の力を受け入れる先輩達。優しく強く導いてくれる先生達。真っ直ぐで、強くて、カッコよくて…そして。

 

「…スゴくて、ズルいよ。リッカ先輩…カッコ良すぎるよ…」

 

虹色と白色の鎧を纏い、アンドロイド達を一瞬で無力化した彼女を見た。彼女の頑張りを、彼女の活躍を目の当たりにした。それはまさにヒーローだった。怪獣をいつも鮮やかにやっつける、スーパーヒーロー。世界を救った、ドラゴンそのもの。彼女は護る相手も、アンドロイドも無傷で護ってみせた。護ってくれた。

 

「私に…そんな風にできる筈ないよ…」

 

その有り様が眩しくて、尊くて。立花と頑張って前を向いた自分を、打ちのめすくらいに輝かしくて。自分なんかが隣にいていいのかと思うくらいに。誰もが認める…ヒーロー過ぎて。自分が、まるでちっぽけな存在に思えるくらいに凄くて。

 

「私のせいで、みんなの頑張りを無駄にしたりしたら…そんなの、耐えられないよ…」

 

みんなの事は大好きだ。夏草の事も大好きだ。根暗で陰気な自分を、こんなに受け入れてくれる場所は立花がくれた以来の陽だまりだ。だからこそ壊したくない。自分の失敗で台無しにするのが怖いのだ。でも…

 

「護りたい。護りたいよ…。でも、怪獣って護る為に戦っていいのかな…?」

 

怪獣が暴れ、街を壊す。それが怪獣のお約束だ。それが自分に目覚める力なら…それが万が一にでも、夏草を傷つけてしまったなら。自分はその罪悪感に堪えられるのか?

 

──無理だ。堪えられる訳がない。夏草の皆に、見捨てられることはとてもとても恐ろしい。自分は、きっと皆みたいに上手くできない。できるはずが無い。

 

「皆を護りたいけど、自分だけじゃきっと出来ない…!どうしよう、私、どうしたらいい…?」

 

迷っている暇はない。解っているけれど、自分に出来る訳ないと卑屈さが顔を出す。勇気を出せるようになっても、自分は臆病者なんだ。縋るように、声を上げたその時…。

 

【何を解りきった事を。君にしか出来ない事は必ずあるさ、アカネくん】

 

「うっぎゃあっ!!?」

 

突如聞こえた、ダンディな男の人の声。悲劇のヒロインモードだったアカネが女の子が出しちゃいけないめの声を上げ飛び退く。

 

【うーん、そんなオバケや台所のゴキブリ見たみたいな反応は傷つくねぇ】

 

「あ、あれ、アレクシスが!しゃべっ、喋ったぁ!?」

 

【あぁ、こんにちは。私は君が作ってくれたオリジナルダークヒーロー、アレクシス。こうして話せて嬉しいよ、アカネくん】

 

立花と共に作った、世界で唯一のヒーロー…アレクシスのスケールフィギュアが規則正しく動き話している事実を受け入れるのに、アカネは数刻を有した。

 

【話戻すよ?君は親友と誓ったろう?勇気を出して頑張るって。嘘じゃないのは私のこのイケてるフォルムを見て分かるよ、わかってるよ?ね?】

 

「え、それとなく腹立つアレクシス…。アレクシスはそんな事言わない!」

 

【秒で解釈違い起こされても困るなぁ…。まぁいいやアカネくん。君の悪いクセが出ているよ。他人と比べて、自分を卑下しちゃいけないよ。だって人は皆違って皆良いんだよ?君にだっていいトコはちゃんとある筈さ】

 

「例えば?」

 

【君は誰より怪獣を愛してくれているし、君は誰より怠けるために努力を惜しまない娘じゃないか。もっとそのオタクさと卑屈さに自信を持とう。その面倒臭さは夏草の輝く人達の中でスッポンのように異彩を放ってるよ】

 

褒めてるのは解るが腹の立つ言い方のアレクシスにぐぬぬするアカネ。だが彼は間違いなく、アカネを称賛している。

 

【君は幸運だ。人間に自分の運命を変えるタイミングなんて大抵は掴めない。それを君は今、高校生なんてフレッシュな時期に迎えたんだよ?チャンスと思おうよ】

 

「チャンス…」

 

【自分は何もできない?何もしてない癖に何故そんな事がわかるんだい?】

 

アレクシスの声に顔を上げるアカネ。そうだ。自分はまだ…何もしていないのではないかと気付かされた。勝手に敗北感を感じ、勝手に拗ねていただけだ。

 

【やってみようよ、アカネくん。人生に取り返しのつかないミスなんて割と無いんだ。高校生なら尚更さ。君の人生は、立花君と約束した頑張りはここからだろう?】

 

悪の魔王、黒ずくめの姿から示される、優しい肯定。彼女の誓いを、アレクシスは知っていたのだ。

 

【私は君が作ってくれたものだ。こんなにカッコよく作ってくれた君が、何もできないなんて弱音を認める訳にはいかないなぁ。だから私は、君が調子こいてしまうレベルに肯定させてもらうよ】

 

「アレクシス…」

 

【頑張ってみようよ、アカネくん。後悔なんてどうせ先には立てないんだ。置き去りにするくらい飛び立ってやろうじゃないか。粉々にしてやろうじゃないか。君は閉じた楽園の神様じゃない。君だけの人生を生きているんだ。私はね、余計なお節介かもしれないけど…】

 

アレクシスは手を伸ばす。手のひらサイズのフィギュアながら、親愛を示して。

 

【君を退屈から助けに、無力感をやっつけに来たヒーローなんだよ。アカネくん。私と君で、皆の頑張りを助けてあげようじゃないか】

 

「………。……………うん」

 

少なくとも、彼は…あの日の誓いと生まれた、立花への感謝を込めて作った…はじめてのヒーローだから。

 

「…信じるから、裏切らないでね?」

 

だから…ちょっとだけ、信じてみようと思うのだ。あの日、頑張ろうと決めた自分の事を。

 

【よろしい。ではよろしく頼むよアカネくん。一緒に一蓮托生、一生懸命頑張ろうね】

 

「……」

 

【?どうしたんだい?】

 

「…否定はもちろんいやなんだけど、褒めて褒めて持ち上げられっぱなしっていうのも凄くムズムズする…」

 

【ひねくれ者だなぁ…】

 

あの日からやって来てくれた…どうにも胡散臭い悪役ヅラのヒーローと。私なりに、大好きなものの為に頑張ろうとやってきた、世界で一人だけのヒーローだから。

 

【まぁいいや。それじゃあ、君に大分未来のシステムを渡してあげよう。感動するよ?】

 

「えっ?ど、どういう事?」

 

【こういう事だよ。──インスタンス・アクセスグランテッド!】

 

アレクシスが声を発した瞬間、彼からまばゆい輝きが発せられ──

 

【はい、これ持ってね。使い方は作戦始まってから教えるからね】

 

「え、ええ?何これ…カードと…メダル?」

 

アカネの手には…【ダークゼットライザー】と、アカネとアレクシスが書かれた【アクセスカード】。そして【ゴルザ】【メルバ】【超コッヴ】のメダルが備えられていた──。

 

【身体絞ってる?タイツ着てもらうから】

 

「どういう事!?」




昇陽学園

リッカ「アカネちゃん、遅いな…もしかして、私には無理ってなってるのかな…」

ルル『卑屈さと面倒くささと優しさと勇気がカフェオレな後輩だ、無理もない。しかし彼女は間違いなく防衛戦、攻城戦の切り札だ。信じて待ちたい』

ゆかな「お優しい事だ。戦えないやつは切り捨てるくらい言えんのか?」

ルル『そんな屑に、なるつもりはない』

黒神「うむ。彼女は来るさ。何故なら──」

アカネ「お、おま、おまたせしましたーっ!!」

エル「アカネさん!!」

アカネ「上田アカネ…!程々に!頑張ります!!」
アレクシス【ギリギリまで頑張ってみようね】

黒神「彼女もまた、夏草の民だからだ!」

榊原「うん。じゃあ──始めるよ」

オルガマリー『サーヴァント達、マスター達も配置するわ。ロマニ、頼むわね』

ロマニ「はい!」
『オムニフォース!!』

アカネ「先輩方…エル君…!私、私は…やります!!」

リッカ「うん!」
エル「ロボットに怪獣!見せてやりましょうよ!!」

ニャル【フフ…】
うたうちゃん「マスター?」

【いいや、なんでもない】

──いよいよ、夏草の長い夜が始まる。

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