「察せよ!!」
「お湯加減、力加減はいかがですか、ゴージャス様?」
ギルガメッシュ専用の大浴場。一糸纏わぬ姿で背中を流してくれているのはマリア・・・マリー、アントワネットだ
「うむ、悪くない。よい力加減だ」
「うふふ、でしょう?私、お風呂が大好きなの!お風呂の振る舞い、お世話ならどんな英雄の皆にも負けないわ!うふふっ」
「王妃たるものの嗜み、か。よい、共に肌を潤す資格を持つのは貴様のみよ」
「光栄ですわ、ゴージャス様。前もお洗いになりまして?」
「よい。背中を出せ。次は我が流してやろう」
「まぁ・・・嬉しい!私、英雄王さまに背中を流してもらえますのね!」
「ふはは、光栄に思うのだな」
――キメ細やかなマリーの背中を、丁寧に器が擦り、洗い流していく
「ン・・・優しい力加減です。気持ちいいわ、ゴージャス様・・・」
「であろう?他愛もない。王の甲斐性と言うものだ」
――今日は何をするでもなく、マリーに身の回りの世話を任せ、余暇を過ごしている
戦闘、召喚、改装、改築。よく考えなくても、王の身を休める時間があまりにも少ない
このままでは、いくら強靭な英雄王でも、土壇場で眩暈の一つも襲いかねない。ここは何を置いても、王の休息を優先するべき場面だ
幸い、器もマリーの嘆願、進言を無為にすることはなく、お互い抵抗も無く共に入浴を果たしているのだ
「フッ。あの夜伽はよいものであった。我がこうまで身を預けるは貴様のみよ」
「私こそ。・・・光の船に乗って、私に手を差し伸べてくださったゴージャス様の輝かしいお姿、決して忘れていませんわ」
――どうやら、お互いの間同士に、魂に残る出来事が、二人の絆となっているらしい
――自分も、一生懸命になって手を伸ばした甲斐があったというものだ
サーヴァントは根無し草だとしても。残るものは、確かに在ったのだ
「あまり長湯も良くはあるまい。一時間程度浸かったら上がるとするか」
「はい!アヒルのおもちゃを浮かべましょう?ぐわぐわしていてとっても可愛らしいの!」
「フワワの玩具も見せてやろう。正気を律する優れものだぞ?」
「まぁ!是非見たいわゴージャス様!」
――王と王妃の、細やかな入浴の時間は過ぎていった
「しかし余暇と言っても、何をしておればいいのやら」
マリーの髪をドライヤーにて乾かしながら、ポツリと器が漏らす
「暇を持て余した王など、いてもいなくとも同じではないか?」
「そんな事はありませんわ、ゴージャス様。太陽だって必ず沈んで、お月様に任せて眠りましてよ?」
ふるふる、と頭を振るうマリー
「ぬ、不躾だぞ、マリア」
「うふふ、ごめんなさい。ゴージャス様にだけ、だらしないマリアをお見せすることを許してくださいな」
「・・・我は休息中だ、無粋は言うまい。」
「はい!さぁ、ブリオッシュを食べましょう?アップルパイがいいかしら?」
「どれでもよい。フランスのワインもたまには悪くはあるまい」
――ワインをおいしくする要素は全て揃っている。早速・・・
瞬間、通信機が鳴り響く
「あら」
「む?」
――嫌な予感がする
「何事か」
『英雄王、ちょっと相談に乗ってもらえないかしら?』
声の主はメディアだ。・・・重大性や緊急性は感じない。趣味嗜好の話だろう
「よい。手短に申せ」
『実はね・・・』
――彼女が言うには、弟子やリッカの着せかえをするのはいいが、どうしてもイメージやコンセプトが似通ってしまうという話だった
『いくら原石が輝かしいからって、同じものばかりを着せていては飽きが来てしまうでしょう?だからといって、仕立てたものを試着もせずに渡すのは気が引けるし・・・』
「要するに、奴等に渡す前に試着させる要員が必要というわけか」
『そう。なんとかあなたのカリスマでなんとかならないかしら?あらゆる服を完璧に着こなす、至高の美のような女性が』
――・・・至高の美、完璧・・・
「――・・・ふん!心当たりが無いことはない!喜べメディア!貴様に最高の人員を用意してやろう!」
キラリと真紅の瞳を輝かせる器
『本当!?大分無茶なお願いだと思っていたけど、流石ね英雄王!』
「であろう!我には心当たりがある!毎日身近にて目の当たりにしているからな!」
『・・・えっ?どういうこと?』
「少し待て!直ぐに参じてやろう!フハハハハハハ!!所詮余暇、羽目を外すも悪くはなかろう!」
『ちょっと、どういう――』
答えを聞かずに通信を切る
「マリア!」
「えぇ!なにか素敵なことをするつもりなのね、ゴージャス様!」
――大体やりたいことは察しました
「然り!お前には鎧の改良に付き合ってもらうぞ!何、直ぐに終わる!最近の我の蔵は、かつてないほど整頓されているからな!」
パチリ、と波紋からとある瓶を取り出す
「お任せになって、ゴージャス様!」
「うむ!さぁ、至高の美の顕現と行こうではないか――!」
――ただ一つ言えることは
休息と愉悦は、この王にとっては同じであるということだった・・・
「メディアの部屋に全員集合って、どうしたのかな?ギル」
メディアの部屋に集合する、マシュ、リッカ、オルガマリー
「またギルの新しい改装かしら?」
「英雄王なら、何をしてもおかしくありません。心肺停止しないよう、気を付けましょう」
「そんなに?」
「・・・最高に嫌な予感がするのだけど・・・」
――思い思いの所感が、扉の向こうより聞こえてくる
「フッ、判断は正しいぞマシュ。魅了をされぬよう、気を張って挑むがいい」
英雄王――いや
もはや王として呼ぶのは相応しくない。・・・英雄姫?英雄王姫・・・まぁ。ともかく
「よい仕事をしたなマリー!では、我が玉体の披露目と行こう!」
バァン!と扉を蹴破る器
「待たせたな!我が財達よ!!」
響き渡る――『透き通った』美声。魂を揺るがし蕩けさせる魔性と王気を孕んだ声が響き渡る
「あ、ギ――」
「えいゆ――」
「・・・その、格好・・・なん、どしたの?」
「――」
一様に動揺し、口を開けたまま絶句する
「フッ、よい反応だ。開いた口から魂が抜け出ているではないか」
そこにいるのは紛れもなくギルガメッシュ。溢れる王気、威厳、間違いない
だが――そこにいたのは『王』ではない
逆立つ金髪は、腰より下に届きうる絹のような長髪に
神々すら魅了する整った顔立ち、端正な面構えは麗しく、また蠱惑的、そしてゾッとするような色香りを宿している。真紅の瞳、それを彩る美しく伸びた睫毛が悩ましい
唇はしっとりと濡れ、生き物のように艶かしく動き見るもの全てを狂わせる。万物を見下ろす絶対者の風格が美貌、いや『魔貌』として人にはけして到達出来ぬ魅力をを湛えている。黒子などという肌の老廃物など一つもない
黒いインナーにて真ん中から上を隠された以外は、腰の付け根、子宮の位置まで大胆に肌を露出した攻め攻めなデザイン
胸の大きさは劣情を催す下品な大きさは無く、しかし王の威光を表すかのように確かに膨らみ、インナーに窮屈さを主張する。貧相とはけして詰られぬ、しかして女性の理想とする黄金の比率
腰の括れは艶かしく、腰とヒップのラインを際立たせる。脂肪や贅肉など言うに及ばず。初めから理想を体現したかのような、総ての女性、いや、生き物が生唾を飲み込む『黄金率』を体現している
ヒップもまろやかに突き出、かつ浅ましく異性を誘惑せず、かといって衆目をけして離さない。『魔性』を詰め込み、柔らかに、そしてまろやかに丘を描く、生き物が自然と到達する『美』を顕現させた臀部
白くキメ細やかな肌に、真紅の紋様が荘厳に、かつ淫らに、艶かしくまた美しい至高の芸術を際立たせる
そして、声。聞くもの全ての魂を揺さぶり、畏怖させ、また――本能を刺激する、魔性、劣情、雄々しさ、凛々しさを感じさせる確信と自我に満ちた声音
「だがよい!愉快かつ痛快な反応だ!貴様らの進言通り、確かに英雄王『は』休息に入った。ならば、ここにいるは王にあらず!」
子宮の位置に手を置き、ゆっくりと身体を這わせ艶かしく身体をくねらせ、雄々しくも全てを惑わす『蛇』のようになぞりあげる
「そう!我はゴージャス!ギルガメッシュ!貴様らを率いる王にして、あらゆる生物を惑わし狂わせる至高の美を体現した『英雄姫』!」
髪をかきあげ、高らかに告げる
「そう――今の我は!!『姫ギル』と呼ぶがよい!!フハハハハハハ!許す!至高の美の君臨を讃え、賛美せよ!賛美せよ!ハーッハハハハハハハハ!!」
――一同が絶句を続けている
無理もない。見慣れた王が性別を変換して現れたら誰だってそうなる。自分もそうなる
・・・まさか、躊躇いなく性転換の薬を飲むとは・・・豪胆さと大胆さに頭が下がるばかりだ
・・・器の所感としては、大変動きやすい
元々、女性の肉体の方が生物学的に無理のない形状と聞く。生物的に無理のないフォルムを採った影響か、何時もの王の肉体より楽な感じがする
代償として・・・王の財宝の展開数は、限りなく落ちている
男性の精神、女性の肉体、そして、無銘の魂というチグハグぶりがそうさせてしまっているのだ。ステータスもかなり落ちている。
残念だが・・・この姿での戦闘は『戦闘にならない』と思う
何故か?決まっている
この玉体を守護するために――『エア』『天の鎖』『終末剣エンキ』しか自分は手に取らないからだ
傷ひとつつけさせないどころか、戦闘にすら持ち込ませはしない
このか弱き王・・・いや、『姫』の身体は自分が護る・・・!!
「・・・むー。いつまで固まっているのだ、我がわざわざ余興の極みでチェンジセクシャルしてやったというのに。気の利いた言葉は言えぬのか?」
むすっ、と不機嫌そうに口を尖らせ、腕を組む
――その所作すら、あまりにも刺激が強かった。強すぎた
「はうっ――!」
「ああっ――!」
「かふっ――!」
三人が纏めて倒れ、気絶する
「なっ――ど、どういうことだ!こ、この我の美貌に何も所感を持たさず逝くな!無礼だぞ!起きぬか!こらっ!」
ぺちぺちと三人を起こすが、反応がない
「チィ――、どういうことだこれは。我の予定では涙を流し崇拝する所であろう!どうしてこうなった!我の何がいけなかった!」
――精神も引っ張られているのか、言動の端々から動揺と困惑が見れる。言うなれば『隙が多い』気がする
「――メディア」
「ひっ!?」
ゆらりと、英雄姫が向き直る
「気の利いた賛辞くらいは用意していようなっ!我が恥を忍んで来てやったのだ!さぁ、賛美せよ!賛美せよっ!礼儀だぞ!さぁ!賛美せよ――!」
「――ま」
――?
「ま?」
「――眩しいのよ!!眩しすぎるのよ!何よその女性の理想みたいな身体――!!!イヤミなの――!!?」
「メ――」
止める間もなく、メディアは走り去っていき
残されたのは・・・孤高なる英雄姫、ギルガメッシュだけであった
「・・・・・・・・・・・・」
――じわり、と涙が滲む
「わざわざ、薬まで飲んでこの始末か・・・やはり、下らぬ事など・・・やるべきではなかったわ・・・」
――そうか
精神も女性らしさに、寄られているので・・・
・・・ショックだったんですね・・・英雄姫・・・
・・・気絶した三人をそれぞれの部屋に送り
とぼとぼと、姫ギルは部屋に帰っていった・・・
「おかえりなさい!ゴージャス様!」
「・・・」
「どうでして?新しい自分は!きっと皆が褒め称えた筈よ、そうですわよね?」
それには応えず、ベッドにうつ伏せになり、枕に顔を押し付ける
「ゴージャス様・・・?」
「・・・やらぬ」
「え?」
「性転換なぞ、・・・もう二度とやるものか・・・っ!おのれ、おのれ、おのれ・・・っ」
パタパタと脚を振る英雄姫
――おいたわしや・・・英雄姫・・・
・・・正直な話
・・・とっても、可愛かったです・・・
そのあと、
マリアに宥め、すかされ、慰められ
一晩経って、元の英雄王に戻りましたとさ
姫ギル(大人)
身長 171㎝ 体重 61㎏ 属性 秩序・善
スリーサイズ 86 55 84(マリアからの申告)
性別 女性
ステータス 筋力C 魔力 A 耐久C 幸運A 敏捷 C 宝具 EX
CV 坂本真綾(社長いわく)
ゴージャス、ギルガメッシュが姓転換の薬を飲み、女性に転じた姿
英雄王、ならぬ英雄姫、姫ギルと呼称される
我様トランスチェンジ!生まれてしまったスーパーヒーローならぬスーパーヒロイン。悪ふざけ、余興の極致。『美』と『芸術』と『魔貌』を極限まで特化させたギルガメッシュのスーパーヒロインモード。つまり我
メディアの『なんでも似合うモデルがほしい』という要請に答え生まれたウルク民の高貴なる幻想。肉体の圧倒的黄金律と自信と確信に満ちた立ち振舞いで男女問わず篭落し、自らの臣下とする歩く魅了とカリスマの化身
カリスマをA+に引き上げ、黄金律(富&体)をA+、魅惑の美声をA+、魅了の魔眼をA+、扇動をA+で習得する。誘惑や浅ましい性欲ではなく、畏怖と風格であらゆる生物を虜にする神々の造り上げし芸術品。ターゲットの落とし方は壁ドン、顎クイ、耳に囁く「お前の総ては我のもの」
ステータスは下降、まともに王の財宝も放てなくなるのだが・・・無銘の用心と警戒が最大限まで高まり、使う宝具が『エア』『天の鎖』『終末剣エンキ』に固定されるため勝負にすらならない
・・・特徴として、無銘の魂、肉体が女性、精神が男性という不安定さにより、価値観は揺らがないまでも、情緒が不安定である
具体的には、感情がよく前に出る。怒ったり、拗ねたり、涙目になったり
極めつけには・・・『押しに弱く』なっている。壁ドンなんてされた日には、照れ隠しに『天地乖離す開闢の星』を放っちゃう誘い受けヒロインである
『もう二度とやるものか』とは器の弁
どのキャラのイラストを見たい?
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コンラ
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桃太郎(髀)
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温羅(異聞帯)
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坂上田村麻呂
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オーディン
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アマノザコ
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ビリィ・ヘリント
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ルゥ・アンセス
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アイリーン・アドラー
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崇徳上皇(和御魂)
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平将門公
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シモ・ヘイヘ
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ロジェロ
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パパポポ
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リリス(汎人類史)