人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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その頃 光の国

ゼット「うぇへぇえぇえ!!あはへぇえぇえ!!」

ゼロ「うるさっ。何だお前」

ゼット「ししょぉ!見てくださいよこれぇ!」

ツブラヤッター

フィリア『楽園で皆で改築!部材搬入頑張るぞー!』


ゼット「もう少し滞在してたら俺もお部屋作って貰えたのにぃ〜!!ウルトラ下手こいた〜!!」

ゼロ「へ〜。残念だったな〜」

ゼット「なんでそんなに他人事なんですかぁ〜!!」

「俺リッカの兄貴だから部屋一緒だからな」

ゼット「犯罪じゃないですかぁー!!」

ゼロ「お前そろそろグーで行くぞ、グーで。…」

『次の改築でいいから、ゼットの部屋頼めるか?』

フィリア『いいですよー!』

ゼット「うえっへぇえぇえ!あえぇえぇ…!!」

ゼロ「手間のかかるやつだぜ、全くよ…」


騎士王、改築の果てに

ディオスクロイ〜双子の神殿〜

 

騎士王「二柱を祀る神殿をご用意しました。ディオスクロイ…本来は双子の神であるとマテリアルにございましたので。もちろん、カストロの神性を祀るためのものでもあります。是非、二柱だけの居住になさってもらえれば」

 

ポルクス「なんと敬虔、信仰に満ちた手厚い対応…本当にありがとうございます。我等は旅路を見守り祈る神でもあります。皆様の道行きを、更にまばゆく照らす事でしょう。ね、兄様」

 

カストロ「ほう…ふむ、成程…そうかそうか、成程な…ここはこう来たか…」

 

ポルクス「兄様?」

 

カストロ「うむ、気に入ったぞ!特に我等の彫像の出来栄えが非常にいい。人間に零落してからというもの憤懣憎悪が募るばかりであったが、久しぶりに痛快な心持ちになったと言っておこう!」

 

騎士王「それは何より。では、変わらぬお力添えをよろしくお願いしても?」

 

カストロ「任せておけ!我等ディオスクロイ、渾身の輝きを以て道筋を照らし、歩みを支え、力を貸してやろう!それが、双子の神たるものの責務であるからな!ははははははは!」

 

ポルクス「ほっ…重ね重ね、ありがとうございます。こうして敬われるのは、嬉しいものですね」

 

騎士王「そのお礼は、私だけが受け取っていいものではありませんが…感謝の気持ちは暖かい。送る方ももらう方も、心が豊かになります」

 

ポルクス「ふふ、それもまた、得難き輝きなのでしょう。きっと…」

 

カストロ「この場なら真に叶うであろう。神代に回帰し、そしてあの空に瞬く時が…ふふ、ははははは!はははははははははは!」

 

ポルクス「兄様、うるさいです」

 

騎士王「…ガウェインとガレスの様ですね。とても仲良しな様子で安心しました。どうかいつまでも仲睦まじく」

 

カストロ「当然だろう!わかりきった事を聞く必要はない!」

 

ポルクス「兄様!」

 

「ぶっ!?」

 

(なんと。強烈な右…)

 

 

超人オリオン トライスター・ハウス(オリオン屋敷)

 

オリオン「おぉ!噂通りバッチリ仕上げてくれるのな!感謝感激って奴だ!それに今日に限って金髪ロング、碧眼美人のナイスバディにやってもらえるとかついてるよなぁ俺!どう?お疲れだったらお茶していかない?」

 

騎士王「ありがたいお申し出ですが、まだ仕事は残っています。お気持ちだけ」

 

オリオン「そっかぁ、そりゃ残念。引き下がるときは引き下がるのがオリオンスタイル!と言うわけでこの備え付けのスマホのサーヴァントマッチングアプリってのやってみたんだけど…」

 

騎士王「はい。何か不具合でもありましたか?」

 

オリオン「いやね?何回やってもアルテミスが出てくるんだけど。もう凄いの。アキネイなんちゃらみたいにあなたの好みはアルテミスですか?って突き刺してくるの。はいかイエスしか無いの。大丈夫?これ監視アプリの側面持ってない?」

 

騎士王「ご馳走様でした」

 

オリオン「ノロケとかじゃないの!切実な問題なの!これだと俺迂闊に女の子に声とかかけられないじゃん!?カルデア恐怖体験とかになっちゃうの請け合いだよねこれ!?」

 

騎士王「身を固めましょう」

 

オリオン「メチャクチャ正論でぶった切ってくるー!?え!?何これスマホから手が伸びて来るんだけど!?怖い!どういう仕組み!?」

 

『ダーリン…二人っきりで歓迎パーティーしようね…!!』

 

「ぬわぁあ吸い込まれる!吸い込まれるぅう!!タスケテーーーー!?」

 

騎士王「そうです、アルテミス殿からルームシェアのお話が来ていたのですが…オリオン殿?」

 

(…いませんね。アルテミス殿に会いに行ったのでしょうか。おじゃま虫は退散しましょう)

 

騎士王「お幸せに」

 

『タ ス ケ テ』

 

 

カリギュラ ネログッズ皇室

 

カリギュラ「オオオオオオ…ネロ…愛しきアグリッピナ…ローマ、の、情熱…ヌウウウ…!」

 

騎士王(皇帝ネロのグッズをとにかく、との事でしたが…狂気の淵にあっても消えぬ情愛、流石は皇帝)

 

カリギュラ「幸せ、であれ…怒りと罪は、全て、余が持っていく…どうか、幸せであれ…我が、ネロ…」

 

騎士王「皇帝カリギュラ…」

 

カリギュラ「おお、オ、オオオオオオオオオオオオ!!!」

 

騎士王「!」

 

ベディヴィエール「我が王!お下がりを!」

 

「ベディヴィエール…!」

 

「救護班!ローマ版!」

 

ナイチンゲール「精神的恐慌を感知。鎮圧します。鎮静!!(右ストレート)」

 

カリギュラ「ガアアアアア!?」

 

ロムルス「静まれ、我が子よ!我が愛にて静まるがよい!お前には大樹の下の安らぎを与えよう、鎮まるのだローマよ!」

 

嫁ネロ「叔父上!がんばれ!がんばれ!余はここにいるぞー!」

 

カリギュラ「ヌウウ、オ…おぉ…」

 

ナイチンゲール「鎮静完了。救護室にて経過観察を行います。騎士王、よろしいですね」

 

騎士王「は、はい。…ベディヴィエール」

 

ベディヴィエール「はっ。出過ぎた真似をしました、王よ」

 

騎士王「いえ、助かりました。流石は円卓の中で随一の、優しき騎士です」

 

ベディヴィエール「…も、もったいなき、お言葉です…我が王…」

 

 

ネロ 執務室

 

ネロ「膨大なタスクを処理しきるのは大変であろう。すこーし真面目に、執務方面の真面目なネロとして振る舞ってやろうではないか!」

 

騎士王「あなたは極めて優秀な執務官であり、公正な裁判を行っていた実績があると聞いています。頼もしいですね。てっきりリサイタル会場、等と仰られるのかと」

 

ネロ「それは確かに悩んだ。すごーく悩んだが…この場にも月にもはっちゃけた余がいると聞く。となれば空気を読んで真面目路線の余も必要であろう?何せ、運営側になれば特権使い放題だからなっ!余は賢い!」

 

騎士王「私の前で不正の画策とはいい度胸です。お互い、目が離せない戦いを繰り広げてしまいそうですね」

 

ネロ「負けぬぞ?青い王の最終形態よ。余も本気を出せばヴィナスにも迫る最強にして最美な姿をお披露目する日もある筈だ!その日を心待ちにするがよい!」

 

騎士王「そういえば、赤や青と争っていた時期もありましたね…」

 

ネロ「な、なんだその目は?そのノスタルジーは!?」

 

騎士王「赤い王。もう私達は古参です。弁えた立ち回りをしませんか?」

 

ネロ「大人ァー!この騎士王すごく大人だぞー!!」

 

(ちなみに私は白い私と魔術師の推しです。可憐で…いいですね)

 

 

リリィ「くしゅん!」

 

キャストリア「わーい勝ちー!大丈夫?風邪?」

 

リリィ「そ、そんな筈は…もう一回!もう一回お願いします!」

 

 

ロムルス・クィリヌス〜 ローマ 〜

 

クィリヌス「人に寄り添いし騎士の王よ。その手に応えは感じているか?」

 

騎士王「えぇ。相手の要望を叶え、声と笑顔を聞き受け取る。玉座では解らぬ、得難い喜びがあります。御機嫌王にプリンセスが、投げ出すことなく奮闘できる理由が此処にあるのですね」

 

クィリヌス「然り。人の心は不変であり暖かい。牙を剥く行為に暖かき意味を持たせしもまた、人の心。ローマたる世界に人の心は不可欠のもの」

 

騎士王「…はい。獅子王が失ってしまった、人の機微への感傷。私はそれをかけがえのないものと感じることが出来ています。その事実が今、誇らしい」

 

クィリヌス「そうだ。人は胸にローマを宿し、神たる無機質の者にもローマを芽吹かせる。ローマとは人の心。心の中に生まれ出る全てがローマであるのだから」

 

騎士王「えぇ、忘れはしません。人の心…ローマは皆と共に在ることを」

 

クィリヌス「うむ。気高き騎士達の王よ。お前の王道もまた、秩序のローマとして人の生に根付いているぞ」

 

「はい。ギルガメッシュにも言われました。今の世を生きる、騎士道として。皆と共に生きていると。私の王道は遅咲きなだけで、大輪の華であることに変わりは無かったと」

 

(ありがとう、クィリヌス、ギルガメッシュ。今度の問答の際には胸を張って伝えましょう。私の王道は、普遍の秩序と理性を掲げるものだと──)

 

 

 

 




騎士王「なんとか…終わらせられましたね…」

(やりがいと、壮絶な労力…楽園の盤石さの秘訣に触れた事は喜ばしいですが…)

「終わった後にも笑顔を浮かべられる…あの二人の偉大さが良くわかりました。まだ終わってはいません、まだ皆さんへの…」

ギル「疲労困憊、といったところか?恥じる事はない、我等も終わりはそのようなものだ。むしろその疲労は全霊で挑んだ証、誇るがいいぞ騎士王」

騎士王「!」

──お疲れさまでした!本当に…本当にお疲れ様でした!

「二人共…」

ギル「存分に休息を取れた。礼を云うぞ騎士王。ゴージャス完全復活よ!ではその礼として、為すべきことをしてやるとしよう。付いてこい!」

騎士王「為すべきこと…?」

ギル「然り。労働の後には──」


楽園設備紹介〜天空大宴会場〜

魔術王の結婚の際に作られた天空の式場。装いを変えれば、宴会場に早変わり。雲海を下に臨む光景は、まさに天空の神々の領域を手にした人の極地。量子ワープで、数km離れた第十宴会場をカバーできる。


ギル「無論宴だ!!此度に奮いし王共よ、大儀であった!代金と物資は我が持つ、好きに振る舞い疲れを癒やせ!此度は寝かさぬぞ!乾杯!!」


「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」

シャルル「出遅れちまったー!!」

ノッブ「次に期待じゃな!」

イスカンダル「御機嫌王よ、そなたこんな愉快な仕事を独り占めしていたとは!」

ギル「ふはは!やらんぞ!」

アレキサンダー「僕らもやってみたりする?」

子ギル(映像)『ふふ、いいですね!』


騎士王「…誰も彼も、頑強な方々ですね」

──騎士王、本当にありがとうございました!

「プリンセス、もう大丈夫ですか?」

──はい!そして、この楽園も。ワタシやギルが過労を重ねる必要がない事も示してくださり…ありがとうございました。

騎士王「良かった…あなたたちの力になれて。どうか御自愛ください。御機嫌王も、あなたも。不可欠な…」

──それは皆様もです!この楽園に、不要な方などいませんから!

騎士王「…えぇ、その通り。私も、たくさん学ばせてもらいました」

こうして、最大の長丁場であった改築は王達の奮闘により幕を閉じる。

一仕事終えた開放感を堪能する王達の、宴による喧騒が、天空にいつまでも響き続けた…──


おまけ

マリーオルタ「あなたのお部屋なんて必要無いでしょう?私の処刑人なのだから」

サンソン「あぁ、マリー!!」

マリー「職場と私の部屋を行き来しなさい。それぐらいできるでしょう?」

「あぁ、マリー!!」

医務室(寝泊まり)→マリーオルタの部屋(仕事)

アマデウス「君はそれでいいのかい、サンソン…」

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