人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リンボ【ンンンンンン!愉快愉快!楽しくなって参りましたなぁ!大魔縁殿は最早立ち上がられた!日の本共々おしまいにございましょうなぁ!ンンンンンンンンン楽園の旅路もこれ、これにて!】

道長「ふん。まともに魂も集めておらぬ貴様が吠えるは負け犬の遠吠えか?空想樹が養育、まともに捗ってすらおるまい」

リンボ【えぇ、確かに楽園の皆様の活躍著しく。数えた魂二つに満たず。しかし、良いのです。最初から集める必要も無し】

道長「何…?」

【我が半身、イツパパロトル。並びにチェルノボーグ。二柱の神、既に空想樹に呑み込ませていますれば。魂の量、神の二柱もあれば不足なく。えぇ。ただ、楽園の皆様の徒労を眺めていたのみなれば】

道長「…外道め。貴様は攫った娘を早急に縊り殺しておきながら、父母に『我が意を聞けば娘は無事ぞ』と宣う類の畜生よ」

リンボ【お褒めに預かり恐悦!かの大魔縁殿の降臨果たした今、最早空想樹には『彼女』を招くのみ!拙僧のみの神の器、藤丸リッカを!】

道長「………」

『──みちなが』

「!」

『託さねばならぬものがある。導け』

「──承知」



イザナミ「あなやややや、怖がられずに食べてもらうには如何すれば!えーと、えーとえーと…!」

タケル「料理をしてもらえ」

イザナミ「名案!!しかし誰ぞに!?」

タケル「招いてある」

ヘスティア「こんばんはぁ〜」

イザナミ「妙案!!!」



田村麻呂「うめぇ!うめぇ!!」

鈴鹿「よ、よく食べれるじゃん…」

「美人の料理を食わねぇ男は男じゃねぇ!!心配すんな、有名なヨモツなんちゃらだとしても大魔王タムーラになるだけだろが!なんも変わらん!」

「あんたねぇ…」

「ガタガタ言ってんな!ダチが待ってんだろが!」

鈴鹿「──うん!いただきます!!」

ヘスティア&イザナミ「「召し上がれ〜!」」




怨恨成就・四霊奮闘・大明君臨・全知全能

──それは。天に在りて地の獄を支配せし邪気を纏うものであった。地に有りながら、天を落とす者であった。

 

【来たれ 来たれや落陽 来たれや落日 旭 斜陽の日は此処に有りや】

 

その言の葉こそは呪詛。その言の葉こそは日の本に生きる全てを呪い殺す呪言。それは生きとし生ける全てを呪う飛沫する病が如くに一同の下へ届く。

 

「ぐ、おぉおぉおぉおぉお!」

「あぁあぁあぁあぁあ!」

 

その言の葉を聞き及んだ武者──あろうことか、古今無類の武者である源氏郎党、残らず狂を発する。刀を滅茶苦茶に振り回すもの、金切り声を上げるもの。茫然自失として空を見上げるもの。

 

『なんて強い呪詛なの…!サーヴァント、並びに四天王や棟梁レベルの魂の強度でなければ堪えられないなんて…!』

 

「あれは…なんだ?あれも、リンボのもたらしたモノ。八幡神が一柱か?」

 

綱の問いに、リッカは首を振る。彼の、彼の事は聞き及んでいた。将門公と同格たる者。ざんばらの髪に、怨恨憤怒の形相。それは、信ずる全てに否定されし者。日本にて最も尊き血を引き、日本に仇なす大魔縁となりしもの。

 

「あの方は──」

『ならぬ、龍華。真名口にすれば、呪詛を受けん』

 

かの暗雲に乗り、雷、風を撒き散らす大魔縁。将門公の静止と同時に──

 

【絶えや 子々孫々】

 

「ぐぅ───っ!?」

「うぉお、っ…!!」

 

瞬間。大魔縁が自らの視線、息吹、全てを超高密度の魔力にして散布し放った。辺りを圧壊する程の、超絶密度と呼ぶ他ない絶対呪殺領域。その威力、威風、まさに魔界或いは人界を治めし尊き血と魔力を持てし者に他ならぬならば。それは勅令を以て『日の本全て』を平伏させる威令となり降り注ぐ。

 

「う、ごけぬ…っ!」

「なんという、重圧…っ!」

 

「茨木!」

「母上!?」

 

存在としての格が違う鬼神温羅、並びに呪詛を力とするリッカ以外の日の本の民、余さず頭を垂れ平伏す。それ程までの恐ろしき威容。尊き怨霊。その領域、抗う位に非ず。日本の全て、呪い殺す祟りの具現なれば。

 

【おぉお おぉおぉおぉ 皇国を以て皇とし 民を以て民と為さんや おぉおぉおぉおぉおぉ】

 

そして大魔縁は吸い上げる。京都に生きる魂を、民草の全てを自らの支配下に置かんが為に。京のあちこちから人魂が、大魔縁の下へと引きずり込まれていく。

 

「リッカ君…!温羅殿…!アレを、止めねばならない…!アレは、押しも押されぬ、日本の頂点が祟神だ…!」

 

晴明の言葉には、切迫が滲む。なんと彼すらも動けない。機械でありながら、本来ならば、日本に纏わる全てはかの大魔縁に抗う術を持たぬのだ。

 

【開けや、開けや 地獄門 第六天 第四天 等活 習合 叫喚 餓鬼 畜生 修羅 地獄】

 

『時空間歪曲!同時刻に大量発生した敵性エネミーを京にもたらすつもりか!』

『て、敵性エネミー…千、万、十万…!今尚増大!海から、陸から、空から、四方八方から京に一直線に向かってきています!』

 

スタッフの言うとおりに、もはや単純な圧殺という他ない規模の敵性エネミー、魑魅魍魎集団を展開させる大魔縁。日本の転覆を計る者達が、地獄の底より迷い出たのだ。皇国、日本に仇なす為に

 

「かの存在、リンボが使役できるかもどうかも怪しい…が、現実として、彼はそこに…ぐっ…!」

 

「晴明、様…!」

 

「クソッ──ここまで来て、動けもしないなんぞ情けねえ…ッ!!」

 

「──!!」

 

リッカが素早く太刀を構え、雷位を開帳し、温羅もまた金棒を構え臨戦態勢を取る。動けぬ皆を庇い立つ。そして、大魔縁はそれを見やり──。

 

【日の本 その淵に 至らんや 贄を 贄を 欲し給う 】

 

瞬間──極大な、とてつもなく極大な呪詛の光球、塊、或いはその凝縮された怨念を生成する。その巨大さは、空に浮かぶ月が如くに。

 

『超極大エネルギー反応!宝具か!?』

『熱量超増大…!核兵器レベルのエネルギー観測!』

『地表に到達すれば、京の全てが蒸発します!』

 

カルデアスタッフの報告が響き渡る。リッカが頼みにする者等は温羅を抜いてまともに動けず、四方八方には魑魅魍魎の百鬼夜行、大魔縁は特異点を滅ぼしかねない程の神威を顕さんとしている。

 

【絶えや 絶えや 子々孫々 絶えや 絶えや 民や子や 絶えや 絶えや 旭が国や】

 

「───!」

 

その時──リッカは大魔縁の口ずさむ言葉に耳を寄せる。それは紛れもなく呪詛であり、それは紛れもなく呪言ではあったが──

 

(歌っ…てる?)

 

その韻、まるで歌が如く。魂を手中に収め、日本に仇なす大怨霊、滅ぼすのみの大魔縁が口にするもの、無感動であるかのと思われど──

 

【滅び 滅びや 旭が国や 消えや 消えや──】

 

だが、その思惑に至る前に──

 

『いかんリッカ君!!それを落とさせてはならん!!』

 

副所長の切迫の咆哮に我を取り戻し、特急にて温羅に指示を出すリッカ。やるしかない。滅亡はすぐそこに迫っている──!

 

「温羅ネキ!!」

 

「おぉよ!!やらせるかよぉっ!!!」

 

放たれし、常闇ノ落陽。日の本に落ちれば魔界に変じさせる呪詛の塊を、温羅は真っ向から──

 

「だらぁあぁあぁあぁあっ!!!」

 

金棒にて、渾身の一振りにて打ち返す。当たれば日の本覆る一撃でありながら、当たれば魔界成就する一撃でありながら。大魔縁の呪詛すらも、大明鬼神は捻じ伏せた──が。

 

「!金棒が…!温羅ネキの金棒が!!」

 

温羅の金棒、腐食と腐敗にて崩れ去る。それは本来の金棒の写しなれど、彼女が放浪の最中に常に共にあった半身が如き金棒。あらゆるものを砕いた金棒が今、果てる。慟哭するリッカの頭をポンと叩き、庇い立つ。

 

「気にするな、お前様らの命ほど取り返しがきかんものじゃねぇ!──イブキ!!」

 

【うん。させぬよ】

 

そして素早く、伊吹童子が呼応し草那芸之大刀にて呪詛を祓う。そしてその斬撃は大魔縁諸共、日本に連なる魑魅魍魎を一刀両断し──

 

【果てる 果てるは 八百万 高天原に 呪詛ありや  】

 

否。大魔縁への草那芸之大刀の一撃は掻き消え、京周囲の魑魅魍魎を叩き斬るに収まる。大魔縁はただそこにある。あるのみになれど──

 

【うん、あれは祓えん。一縷の隅も呪いの具現か】

 

伊吹童子すらも匙を投げるほどの怨の集合体。温羅と伊吹、揃いて漸く防戦叶う程の規格外。これこそリンボの最大の手駒にして具現、【崇徳大魔縁】。日本の全ての淵となるもの。

 

だが───

 

『リッカ!聞こえるか!こちらカドック!今から君らを援護する!!』

 

「カドック!」

 

リッカの仲間は、過去の英傑や英霊のみに非ず。大魔縁のもたらす呪詛に負けぬ良縁は、確かに此処に集っている

 

【おぉ おぉおぉ おぉおぉおぉ 】

 

大魔縁目掛け───応龍、麒麟、霊亀、鳳凰が各方面の方角より喰らいつく。サブマスターにして、四霊に認められしマスター達の願いに答え、分霊が顕現したのだ。

 

『今のうちに仕切り直すんだ!面食らっただけで、まだ負けちゃいないだろう!』

 

『その通りだリッカ君!君の口から諦めの言葉が出ない限り、我々は負けてはいないのだからね!』

 

瞬間、天空にて描かれる超巨大魔法陣より飛来する隕石の群れ。それがゼウスの力を得たキリシュタリアの秘技であることの子細は伏せながらも、全霊にてリッカを護らんがため、魑魅魍魎を一掃する。

 

『──多分、その御方は力押しじゃ無理!一旦作戦会議が必要じゃん!』

 

「鈴鹿!?」

 

響き渡る、鈴鹿の声。そして顔を上げた瞬間──真紅のごとくに輝く光が煌めく。

 

『元気百倍!!夫婦大明神タムーラ推参ァん!!』

 

鈴鹿と共に空を駆け、超大刀にて一直線に大魔縁と鍔迫り合うその威風。天衣無縫なる装いに袖を通す、我等が大明神。

 

『よう鈴鹿のマスター!オレは田村麻呂!坂上の田村麻呂だ!よろしくな!んでもってここは退け!!』

 

「田村麻呂さん…!えっと確か、晴明さんの!?」

 

『そんなトコだ!この恨み節マンは引き受けたァ!!』

 

【おぁあぁあぁあぁ ぉおおおぁあぁあぁあぁ】

 

リッカらが動けずとも、リッカらが苦難に見舞われようとも。彼女は一人ではない。そしてそれを支える者は──

 

「大丈夫かい、リッカちゃん!?」

「ロ、ロマン!?」

 

決して彼女を見捨てない。楽園は決して、リッカ頼りの組織では無いのだから。手に珍妙不可思議な時計を持ちしロマンが現れ…

 

「オーマジオウさん、上手くできるかどうか解らないけど使わせてもらいますね…!」

 

【全知全能の書の力で戦乱を齎す、破滅を導く神を名乗りし悪の剣士ライダーは…ソロモンだ!!】

 

先のテストにて起動を果たしたウォッチを、起動する──!




ロマン「わっ!時計が本になった!?」

起動した瞬間、黄金の大剣と本が現れロマンにベルトが巻かれる。

『オムニフォース!伝説の聖剣と、選ばれし本が交わる時、偉大な力を解き放つ!』

「え、えっと…これを、こうかな?」

本を閉じ、セットし、ボタンを押す辿々しい動作にて、ロマンがそれを解き放つ。

『OPEN THE OMNIBUS!FORCE OF THE GOD!
KAMEN RIDER SOLOMON!』

「え!?変身っていいそびれちゃったんだけど!?」

その動作と共に現れし、黄金の鎧に禍々しき風貌、大剣を持ちし十の指輪を嵌め込みし英霊。

リッカ「それが、ロマンの仮面ライダー!?」

『そ、ソロモンって言うんだって!と、とにかく説明は後!』

仮面ライダーソロモンと化したロマンが、左手の掌を握りしめ、ベルト部分のブックユニットを一度閉じ、ボタンを三度叩く。すると──

『オムニバスローディング!!ソロモンゾーン!!』

メディア「!?これは、結界が!?」
バベッジ『修復、いや再構成か…?』

先に断ち切られし晴明の結界、その何倍も強力かつ強固な結界が、一瞬にて形成される。それはロマンの力と、全知全能の書の力、指輪の力を合わせた事によるキャスターの窮極技能。

リッカ「凄い…!」

ロマン『ひとまず田村さんや伊吹さんに任せて、ここは退こう!退避するよ!』

更に指輪の力を使い、全員を転移させる事を計る。その刹那──

道長『聞こえるか、未来の棟梁』

リッカ「!?道長様!?」

道長『今からそちらに『帝』を託す。貴様らに話したいことがあるようだ。丁重に接するのだぞ』

リッカ「えぇえぇえ!?」

リッカの驚愕と、ロマンの転移は全く同時に果たされるのであった──。

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