カドック「…?なんだ…?」
平伏す鬼達「「「………」」」
カドック「お前達、急にどうした…?」
〜
蘭陵王「ヒナコ殿、これは!」
虞美人「応龍様に近い輩が来る…そういうものね、この悪寒は」
〜
アイリ「地が震えている。これは…」
平伏す鬼達「「「……」」」
セイバーライオン「がぉん!」
〜
マスターアルトリア「一体、何が…」
ガレス「マスター!あれを!」
「!」
〜
【……………………】
キリシュタリア「…私の中の、ゼウスが囁く!」
イニス「キリシュタリア!?」
キリシュタリア「ロマニ!!君の力が必要だ!来るぞ──!!」
ロマン『勿論だとも!』
『オムニフォース!!!』
「ほぉれ、ぐりぐり〜」
「うぐぅうぉおぉおぉあぁあぁ!!許せ、許してくれ酒吞!吾が、吾が愚かであったぁあぁ!!」
最期の要、朱雀門前。晴明の合理的な采配にて生き残りし源氏郎党、検非違使、そしてキャスター達を後方に置き、前線は四天王、棟梁、そして鬼を先頭に配置した決戦の陣を敷く者たちが来訪を待ち構える。最大にして最強の敵の到来を。
「おぉ、古き良きぐりぐり。こめかみに中指の腹を込めて」
「軽くやってるように見えるがそりゃ気の所為だからな。あれがリッカやマシュの嬢ちゃんなら、落ちた柘榴もかくやの砕け散りっぷり晒してらぁ」
「知ってる…。鬼のパワーはものすっごいからね…」
『余程殿を請け負ったのが腹に据え兼ねたか。鬼は同族には甘いものだからな』
「二度とやったらあかんよ。楽しい事はうちもまぜる。ええね?」
「す、済まなかった…許せ、許してくれ…」
「………」
鬼の戯れを、複雑げに見やる源頼光。抱き寄せられし事、リッカはそっと受け入れる。
『残るサーヴァント、八幡神の手駒も少なくなってきた。四方に配置したサブマスター諸君は要として、残る相手は大魔縁、並びにリンボの首だ。そろそろ佳境、皆、もう少しばかりの奮起を──』
……その、時。そう。その時だった。瞬間。刹那の一瞬。
【────神剣・草那芸之大刀】
その声が、響き渡り。その声が、皆の耳に届くが否や。或いはそれは、全ての者に告げられしものであるのや否や。
「「「「「うぉおぉおぉおぉおぉお!?」」」」」
検非違使達が、源氏郎党が吼えた。辺りを覆い尽くす、翡翠。または深緑の神威。人ならざる、絶対の具現。超常的、絶対的力の発露。
『ぐっ!──これは…』
「晴明様!?」
香子の声と同時に、メイが膝を付く。そして、信じがたい事に──
「…なんてことだ。結界を…私の細工をただの一撃で…」
砕いた。砕かれたのだ。その一撃は、京に張られし結界、即ち晴明の大結界をただの一撃で。妖怪、はたまた邪神、鬼すらも破壊は困難に相違なきそれを、ただの一撃の抜刀にて。
「この気配──!」
「皆様!上です!」
マシュ、桃子が見上げ指差す其処。──恐るべき事に、リンボの仕掛けた血染めの空も月も晴れ、いつもの正常な京の都の夜空に、ソレは浮いていた。
「──アレは、なんだ…?」
「…しゅ、酒吞…?」
「……」
──顕現。人によく似たカタチ、されど人ならざるもの。
鬼によく似て超常的な存在。なれど鬼ならざるもの。
自然。概念。数多の命とは異なる、生み、育み、奪う、世界の具現。
「──伊吹、さん?」
リッカには、そして桃子には大いに見覚えがあった。それは、かの存在はカルデアに在りし姿なれば。鬼神の盟友にして、知己なれば。大妖怪、大明鬼神に並ぶ絶対的なるモノなれば。
【ふふ、ふふふ。よくぞ育ち、よくぞ実り、よくぞ栄えた。うらの言う通り、神秘は失せ、人は知恵と、想いにてここまで世に満ちた】
それは、愛おしげに下界を見やり。唯一無二に自身に並ぶ者に想いを馳せ、そして心からの称賛を以て──
【我が名を聞け。現世にあるいのち。我が姿を見よ、常世に眠りしいのち。我が名は伊吹。伊吹の童子──山にして、水。地にして、嵐。火にして、争いなるもの。災いの竜、即ち──八岐大蛇。かの大明鬼神の朋友なる、この世に渦巻く災いの具現なる】
名乗る。大明鬼神、即ち異世界のアルテミット・ワンたる者の朋友を名乗りしもの。幻想郷の神威、伊吹大社にて君臨せしもの。伊吹大明神、または大化生なる、大蛇神、天然自然がそのものが神の一柱。絶対的な存在と呼ぶに相応しきもの。
【ふふ、ふふふ。薙いだぞ。どうだ、うら。お前と共に見た世に満ちる邪悪、化生ら。一薙ぎに。ふふ、ふふふ。よくぞここまでゆかいなモノらを育てた。よくぞここまで。ふふふ…】
「何を言って──」
【うら。うらや。出てこい。おまえと、ふたたび共に酒を呑むか。そら、無粋な輩はこうしよう】
そしてふたたび、手にせし神剣を振るう伊吹大明神が化身。その一刀は、まさに万物平伏す神威そのもの。
その一刀は、京に蔓延る怪異目掛けて──。
【神威抜刀。神剣・草那芸之大刀】
振るわれし、絶刀。万物叩き斬らん神威が一太刀。翡翠の魔力が天地を、地平線を走る。京に蔓延る怪異、残らず斬り倒す超絶技巧の一撃なれば。しかしそれは、人の世に生きる者にすら例外なく──。
『悪い、リッカ!出しゃばる真似だが、緊急にて推して参る!』
「姐さん!?」
瞬間、紅蓮と黄金、怪力乱神が顕現しリッカ達の前に立つ。その威風、その気炎、まさにかの大明神に勝るとも劣らず!
「伊吹ィィィィ!!!」
烈吼の気合を持ち、振るうは金棒。特異点粉砕せし黄金の金棒のレプリカ、模写なれど。それの威風に翳りは無く。
「温羅はん!」
「やはりいたのか、温羅!?」
翡翠の斬撃、紅蓮の打撃、時空を歪めひしゃげ、砕かんばかりの密量で以て全てを呑み込む魔力の嵐となり柱を屹立させる。それこそは、二人の力量に僅かながらの差異しか在らぬ証。
【ふふ、ふはは!あははははは!】
そして、その様を。黄金の頭髪、白き肌。天に穿つ4本角に金と緋の眼を見定め、伊吹は笑う。ただのハリボテ、ただの劣化の品の金棒にて神威の剣、受け止めて見せる離れ業を見せる唯一無二のいのち。
「────。お前に刻まれた、クソみてぇな名前はなんだい。イブキよ」
【大歳神、であったかなぁ。知らぬし、要らぬよ。ふふふ、我は既に神なれば。なぁ、うら】
金棒背負いし大明鬼神。神剣構えし八岐大蛇。向かい合う。自然の具現が伊吹大明神。──知己朋友の間柄。
【ふふ、ふふっ。ふふふふ…あぁ、うら、うら。おまえと出逢えると知り、山より降りた。おまえと見据えると知り、山より降りた。待ちわびた、待ちわびたぞ。うらや】
「そりゃあ嬉しい限りだが、この娘らは眼中に無い、ってぇのは改めた方がいいぜ。現代を護るはアタシじゃねぇ。ここにいる者等だからな」
【ふふっ、そうか、そうか。それでいい。それがいい。──ならば、我も。そうしよう】
「……は?」
一同の疑問を代弁する温羅。…事もあろうに。リンボに招かれし八幡神でありながら。災厄もたらす業を持ちながら。
【おまえと共に在るもの、すべて。おまえが見たもの、すべて。おまえそのもの、すべて。かの輩よりゆかいなれば。ふふふ、共にあろうぞ。我が朋友】
「………要するに、鞍替えする気、ってことか?」
【うん】
「お、おう。じゃあ…よろしく頼むわ?」
【うん。ふふ、あの酒がほしいぞ。桃源の湧き水、至高の美酒がな】
…意外や意外。大いなるどんでん返し。温羅の朋友たる伊吹童子、温羅を垣間見、リンボよりの離反を決意。
「うらはん、何してはるん?帰ってきたならうちに挨拶が筋なんちゃうのん?」
「温羅!貴様ァ!来るなら来る、在るなら在るともっと早くに言えんのか!これだから、これだから絶対者と言うものは!」
「…これ、丸く収まった…で、いいの?桃子」
「多分。ただ、単純に。温羅いるかなー?くらいのノリだったみたい」
「カルデア…だったか?どれくらいの縁結びを重ねてきたか見当もつかんが…」
「良縁成就、で…よろしいのでしょうか」
八岐大蛇、大江山の鬼達にじゃれつかれもみくちゃにされる温羅を見て、源氏武者達が面食らう。そう、一つ間違えば、宿業埋め込まれし温羅と伊吹童子が来たやも知れぬ局面にて。宿業越えし『意志の力』がこの結末を招き──
「…ついでで私の結界を吹き飛ばすのは、流石と言う他ないけれどね」
「おいたわしや、晴明様…」
そしてこの特異点一雑な扱いを受け、凹む晴明を励ます香子であった──。
伊吹【ふふふ、だが、だがまだ終わっておらぬ】
温羅「ん?そりゃあ──」
伊吹【大魔が。来たるぞ】
……そう。リンボにとっては。
大魔縁【………………。……………】
全て、全ての企みが潰えようとも構わなかったのだ。例え、7騎の魂集まらずとも。例え、全てが無に帰そうとも。
この、大魔縁さえ在るならば。この大魔縁さえ在るならば。全て全て、同じこと。
【…………………開けや、開けや。地獄門。阿鼻や、紅蓮や、叫喚や。集合、等活、畜生や】
その怨嗟、サーヴァントゆうに7騎分。その威容、ロストベルトの王にすら届かん。
【開けや、開けや、六道輪廻。地獄、餓鬼、修羅、畜生以て、人界、天界呑み込まん。開けや、開けや…──】
現れし、大魔縁。その有様──
【そして──閉じるや、日の本が全て──】
──人界滅ぼす魔王が如く。地獄の門を開き、京都は愚か日の本が地平線全て埋め尽くしたる魔軍を以て、かの大魔縁が京に来る──
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