人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

1433 / 2547
ナイアのイメージイラストがやってきました!聖書の表紙とイメージオーダーした、彼女の神々しくも闇の中に在るシスターぶりをイメージを再現したイラストになっております!

じつはこのイラストの何処かに…我等がニャルパパもいます!何処にいるか探してみてくださいね!こちらになります!


【挿絵表示】


次はリッカを注文しようと考えています!我等が主人公(ギルとエアは主役)がどうなるか、期待しましょう!

ギル「フン、夢とはいえ噂のピクト人もこの程度か。所詮は夢のお遊びよな。しかし、自戦力をナーフせぬはよい調整よ。敵陣は踏み潰してこそだ」

グドーシ「もうすぐ黒幕と対面ですな。…その仕上げの為に、王にはどうか足労願いたい事があります」

「ほう?他ならぬ覚者の願いだ、聞いてやろうではないか」

「ありがとうございます。実は──」


獅子か、人か〜挿絵あり〜

「敵対勢力は沈黙したか。まぁ、あれ程の精鋭を前に木偶人形なぞ物の数ではない事は解りきっていた。しがない番頭ではあるが、先見の明はあったということよな。ふふはははははは!」

 

夜明け頃。朝焼けが見え始める清らかな時間に、戦闘の音が遠ざかって行く事を一行は把握し緊張を解く。ランスロット、ギャラハッドは獅子王、マシュ、藤丸の護衛に付いていたが、味方側の殲滅力が圧倒的に過ぎたためただの一人とも接敵することなく敵対勢力は壊滅の憂き目にあった。…モニターに映る、脊髄付きの首を引き摺る黒き人龍の姿を見たマシュと立香は本気で震え上がっていたが、それは味方の最大戦力であるので全く問題ない。強いて言えば、全く味方に見えないということくらいか。

 

「良かった…なんとかなった…」

「はい。皆さんがいてくださり本当に頼もしく、心強かったです。…ずっと手を握ってくださり、本当にありがとうございました。立香さん」

 

二人は安堵と共に笑い合い、生きる喜びを噛みしめる。決して慌てることも、取り乱す事もなく。弱くとも互いを強く想った絆。その様子を、獅子王は見つめている。

 

(…ピクトに立ち向かった、騎士ならざる者達。彼女らは私が掲げた騎士道にも、秩序にも当てはまらない者達だ。しかし彼女らは確かに、弱きを守り悪を討ち果たす正義を成し遂げた。それは、私以外の正義が…秩序が力を成している事にほかならない)

 

世界は、正義や秩序を求めていると信じていた。疲弊したブリテンのように、自らを照らし、導く王道を求めていると自負していた。故にこそ人を捨て、感慨を封印し、面を纏った。混迷と停滞を打ち破るための、獅子であるのだと。──しかし、目の前に在る者達は誇らしく、力強く困難を討ち果たした。

 

(己の力は弱き者たち。しかし互いを信じ、身を寄せ合い、けして困難に挫けぬ気概を見せた。私の庇護など介在する余地のない、強固な繋がり)

 

本来なら、獅子の威光にて民草たる彼等を護らねばならなかった。自らの秩序こそを貫き、如何な世にも護るべき、護られるべき秩序はあるのだと。しかし、この弱き者たちは助けを求めず、ただ寄り添った。それは、希望を揺らがす信じた強き想い。

 

『…何故だ。私のしてきた事は…私の描いてきた理想は…無意味なものだったのか…?』

 

王の決心は揺らぎ、傾く。自身がいなければ、誰かが擁立しなければ、人は正義を貫けないと断じていた。しかしそれが、間違いであったならば。それは自らの理想を民に押し付ける暴君と何が違うというのか。

 

『私は…わたしは…なんの為に…』

 

苦悩と、悲嘆に満ちた声音。紡いできた道が、理想が、崩れていく感覚に、膝から崩れ落ちる感覚すら覚えた獅子王。だが──

 

「無意味ではない。無駄ではないのだ、獅子の王よ。貴様が人を捨て、誰にも到達できぬ秩序を求めた事には意味がある」

 

『…えっ…?』

 

しかし、その絶望と苦悩に否を唱えたのは…彼女と対等の視座を持つ万象の王、ギルガメッシュだ。彼は告げる。その道に、その行進には意味がある。何故なら。

 

「『この世界に、意味や価値のないものなど無い』これは我の、座右の銘でな。貴様にも裾分けしてやろう。意味や美徳は、見つけるものだぞ?獅子王よ」

 

『何を…言うのです。私の理想は、秩序は無意味だった。災厄を呼び、弱き者の希望にすらなれなかった。そんな私が…』

 

「たわけ。貴様の王道を貴様が見誤ってどうするのだ。貴様の王道は、貴様一人が掲げていくものではない。その輝きを、その尊さを、その眩きユメを目の当たりにした『騎士と民』と共に紡いでいくものであろう。その細身で、世界の善を打ち立てると嘯くから迷うのだ」

 

王は朝日を指差す。そこには、獅子王の目指した理想があるのだと。それは、獅子王の護るべき輝きがあるのだと。

 

「完璧な正義、秩序などありはせぬ。根本的に人は醜く愚かなのだ。正しき者が正しき事をするのは当然。そう刻まれた反射に過ぎん。まず民を治めるならば、賢人などおらず愚民が世界に犇めく醜き現実を認めなければならぬ。何故ならば醜き者が人を、他者を思いやる奇跡を定義できぬからだ。その奇跡を起こすエラー…『心』を理解できぬからだ」

 

『心…』

 

「貴様の王道は清廉潔白だ。恐らくどの様な王も比較にならぬ程にな。だが、その理想を誰が、何処に懐くかを貴様は見失った。──よいか。世界とは不定義の揺らぎにして魂の発露、即ち『心』が作るのだ。それを忘れ、貴様自身の独善に走った。それが貴様の秩序の綻びなのだ。貴様の王道とは、貴様一人には背負いきれぬものだ」

 

それは、彼のみが理解している観点だ。対等の王として、誰よりも騎士王を見定めていたからこその裁定であった。かの王の理想は、人であろうと、獅子であろうと背負いきれぬものであると。だからこそ、その王道はどう紡がれていったのか。其処に答えがあると王は告げる。

 

「貴様の正しさは──大輪の華だ。雄々しく、清廉に咲き、人の心を魅入らせる。しかし花とは枯れるもの。必ず散るものだ。だが…花は必ず種子を残す。花の手を離れ、力強く風に吹かれ飛び立っていく。大輪の花に恥じぬ花弁を付けようと、独りでにだ」

 

『私の、秩序は…華…』

 

「それと同じよ。貴様の治世、貴様の統制は必ず破綻する。しかしその姿は、その理想は。貴様に憧れたものが、貴様に魅せられた者達全ての胸で生き続ける。貴様の強すぎる輝きを共に分かちあい、次代に紡いでいく。正しき願いを、理想を絶やさぬよう連綿と続いていく。それこそが貴様の王道だ。覇道を謳い導くのではなく、孤高を貫く王道でもなく。貴様の道とは、貴様の意志を信じる者達全てで掲げるものなのだ。獅子王よ」

 

それこそが、かの王の懐いた道。唯一無二、手に入らぬ地上の星として煌めき続ける理想の星。届かぬ、地上の星。

 

「その道が、意志が在ると信じる事で人は正義の、秩序の普遍を知る。人の規範、人の理性、人の秩序を守護する道。獣である者達を人とする。それを──『騎士道』というのであろう。アルトリアよ」

 

『……あなたは…』

 

皮肉か、幸か不幸か。その輝きから最も遠くにいるからこそ、決して届かぬ輝きであるからこそ。──無二の輝きが、傍らに在るからこそ。かつての酒の席の戯言とは比べ物にならぬ視点にて、その道を定める。人が人たる道を示すもの。『騎士道』の在り方を王は問う。

 

「故にこそだ。下らぬ虚飾を捨て、肩肘を張らずすべき事を為すが良い。その面は弱さを隠すであろうが、視野の狭さもまた深刻だ。見えぬもの、聞こえぬものもあるであろうよ。貴様の理想、『獅子』如きが扱える程くすんだ輝きではあるまい」

 

『……』

 

「解らぬことは聴くがいい。疑問に思うなら尋ねるがいい。意見がほしくば問うがいい。貴様の王道は、其処から始まるものであろう。『騎士王』」

 

それだけを告げ、黄金の番頭はあくびを噛み殺し引き上げていく。告げたいことは告げた。そう言うかのように。

 

『…心。私の道は…私だけのものではない…』

 

そして…その言葉にて思い出す。社会や、家族。ラウンドナイツ・コンツェルンは決して、自分だけのものではないと。

 

『…私には、数多の隣人が…騎士が、仲間がいる。私がすべき事は…』

 

…そうして、彼女は決断を下す。

 

『…そうか。私がいた世は、人の世だ』

 

人の世界にいる者は、人だ。獅子では食い殺す事は出来ても、人を鼓舞し、護ることは叶わない。

 

「──私が護るべきものは…己の弱さではないのだから」

 

獅子の面を取り、空を見上げる。其処には絶対の秩序を掲げる獅子王ではなく──

 

「…ありがとう。私を見捨てずに支えてくれた、すべての者達」

 

晴れやかに笑う──『騎士王』の姿が在った。




ランスロット「王よ!…とぅはっ!?」

ギャラハッド「は、母上!?面を…!?」

獅子王「そのままでいい。もう、牙の如き秩序を突き立てる必要はない」

ギャラハッド「え…」

「…すまない、ギャラハッド。私は…母として、あなたに幸せになってほしかった。養子である出生の負い目を消せる家柄との縁談、良妻の用意こそが幸せであると信じていた。…だが、そこにある者達の『心』を蔑ろにしていた」

ギャラハッド「母上…」

「皆で、話し合いましょう。何が幸せなのか、誰の願いが、どう報われるべきなのか。…人の世は、心があって初めて成り立つのだから」

ギャラハッド「…はい、母上。ですが、これだけは」

「?」

「…僕はもう、幸せです。母上が私の母上であるという、それだけで。僕はもう…幸せなのです」

「…ありがとう、我が息子。ギャラハッド」

獅子王…否、騎士の道を敷く王は、獅子の面にて見えずにいた幸福を見つけ微笑んだ──。

ギル「…これで良かったのか?」
グドーシ「誠にありがとうございます。王の道を説くは、貴方様以外にあらせられませぬが故」

「フッ…よもや我が、騎士王めの背中を押すとはな」

愉快かつ、滑稽にも程がある。──夢とは言え、獣の鳴き声も姫の気配もせぬ物寂しさに目を細め、王は独り鼻を鳴らすのだった──。

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。