人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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立香「ここがゴージャス旅館…山奥にこんなレジャーホテルクラスの設備があったなんて…!」

ギャラハッド「私達も驚いている。よくぞ秘匿できたものだ…」

獅子王『温泉か…各自、粗相のないようにするがいい』

ランスロット「はっ!」

なのは「皆様!いらっしゃいませ!遠路はるばるようこそ!」

リッカ「なのはちゃん!?」

オルガマリー「皆様に素敵な時間をお送りしていただけるよう、尽力して参ります。どうぞよろしく御願い致します」

リッカ(組織尾大掛かりってことがメンバーで解る…!)

オルガマリー「皆様をご案内します。…それと皆様は、こちらへどうぞ」

早苗「私達ですか?」

オルガマリー「えぇ。紹介したい人がいるの。彼は──」

『やってきたな愉快な女どもよ!さぁ、疾くこちらに参ずるがいい!』

リッカ「この声…!」

グドーシ「参りましょう、リッカ殿」

リッカ「うん!」

ビッキー「なのは教官!お疲れ様ですッ!!」

雪泉「とてもお似合いです…!」

なのは「こ、ここでは看板娘!看板娘だからー!」

早苗(ヒエラルキーは、なのはさんがやはり上なのですね!部署が違うので私はよくわかりませんが!)



遊ぶも休むも己次第!

「では、改めて紹介するわね。こちら、マグニフィセント・セイヴァーズの総大将にしてスポンサー…世界を思うままに愉しむ人生エンジョイ勢、コードネーム『ゴージャス』…英雄王ギルガメッシュよ」

 

山奥の秘境、曰く彼の避暑地とされる特上温泉旅館。セイヴァーズの保有する土地であるという衝撃の立地たる温泉旅館に彼はいた。そう、現実においても夢においても極めて重要な意味を持つキーマン、我等の英雄王である。

 

「きっかけは下らぬ恋慕となったが、それなりに劇的な様相とは平和の中では逢えぬものよ。故にこうして我の別荘、避暑施設を開放するに至った訳だ。改めてよくぞ至った、酔狂者共よ!我はエンジョイ王ギルガメッシュ、我が愉しみの為なら接客の一つや二つ余裕でこなす男よ!よく覚えておくがいい!」

 

その圧倒的な存在感は流石の一言だ。満を持して現れた彼が味方であるならば、どんな困難や難関でも乗り越える事ができるという確信が湧いてくる。リッカとグドーシの見てきた、歩んできた旅路にはいつも彼が、彼等がいた。それが夢の存在であろうとも関係ない。湧き出す勇気は、流石のカリスマと形容する他なかった。

 

「おぉー!エンジョイ王!ちなみに私達は何をすればいいのでしょうか!秘湯湯けむり殺人事件等を解決に導くとかでしょうか!」

 

「温泉旅館即ち殺人事件などミステリ小説の読みすぎだたわけ!何をするでもなし、自由気ままに遊ぶがいい。人手が必要となればこちらが呼ぶ。これは貴様らの慰安でもあるのだからな」

 

王的には、特に劇的にやるべきことは無いという。それは即ち、この問題は力尽くで解決するものですらない。場を用意すればさっさと解決に運ばれるものだということだ。

 

「我等はスタッフ、一応客人である者共に粗相は出来ぬのでな。あとは、そうさな…報告を受けた関係の解れにまつわる誘いはこちらで示す。それに乗るよう貴様らは貴様らで誘導、先導するがいい。間男と婚約者を男湯に招き入れる場合は男湯に誘う、といった形にな」

 

「つまり…あなた方の用意したイベントにスムーズに彼等を乗せられるようサポートする。それが団体側にいる私達の役目にして使命…という事ですね?」

 

雪泉の指摘に頷くオルガマリー。そう、場を用意された以上、必要なものは対話のみ。そしてそれは当人達の意識改革に繋がらなければならないものだ。そのチャンスをもたらすタイミングを逃さずアシストする…それが、四人が行うべきミッションであるとの説明を受ける。

 

「望むと言うならば雑用も任せてやろう。薪割り、配膳、清掃、裏山の猛獣退治や珍味探しだ。無論タダ働きとは言わん。行った業務、副職の数だけボーナス扱いの手当をくれてやる。現金か小切手のどちらかでな」

 

「凄い太っ腹だー!遊んでもいいしのんびりしてもいいし、働いてもいいって事ですねッ!」

 

「うむ、そういう事よ。自由とはそういうものだからな。しかし一つ釘は刺しておこう。此度の奴等は大小問わずそれなりに思い詰めているであろう、故に貴様らが奴等の時間を使ってしまえば、自己と向き合う時間が足りずに改善が間に合わぬやもしれん。そうならぬ為にも、奴等を自身の行動に誘うのは禁止とする」

 

そう、即ち対象の行動を1ターン消費させるのは御法度と言うことだ。彼等はいつまでも滞在する訳でなく、この旅館にいる間に答えを見つけねばならない。それこそが、肝要の案件であるのだ。だからこそ、全体的な視点から見てイベント管理は重要なのである。

 

 

「あくまで奴等が頼ってきた場合か、我等の誘いに便乗する形でのみシリアス案件の進行を許可する。貴様ら風に言うならばオリチャー、フラグ設立禁止と言うやつだ。大本の進行はこちらが担う、故に末端の立場であるからこそ指令は万全に遂行せよ、よいな?」

 

「即ち指示が来たら全力ッ!後は待機!たまに向こうから来たら即対応ッ!ですね!解りました!」

 

「こちらも異論はありませぬ。やはり誰かに言われたではなく、悩み、考え、苦しんだ末に出した結論に意味が宿るものですからな」

 

だからこそ、ギルが味方側にいるのは必然かつ極めて重要なピースである。全体を見据え、正着が常に見えている彼であるからこそ、今回の案件の解決の道筋を的確に示すことが出来る。そんな揺るぎない確信が既に、リッカの胸には生まれている。

 

「作戦概要は以上だ。倒すべき相手もいない中、霞と霧の幻影と戦うが如き問題によくぞ喰らいついた。後はこの場で煩悶とすれ違いを駆逐するのみよ。泰然と、しかし慢心することなく遊楽に励むがいい!よいな者ども!ついでに善意も過ぎれば首を締め上げる真綿となることを理解し、これより先の人生への教訓とせよ!これからの数日、思うがままに過ごすがいい!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

その言葉をもって解散し、思い思いの部屋へと戻っていく。全員分の個室が一つ、作戦会議用の大広間が一つといった様相の充実した部屋でもてなされる。

 

「それでは、まずは個室に行って参りまする。拙者の部屋の鍵は預けておきますので、いつでもいらっしゃって下さいませ、リッカ殿」

 

リッカの事を慮り、そっと離れるグドーシ。リッカが確かめたいことを今彼女自身に託したのだ。そう、オルガマリーとギルは、一体どちらであるのか。

 

「ん、うん!…あの、王様?オルガマリーもだけど…」

 

もし、彼等も再現体であるのならば話せる事、頼りすぎる事は控えなければならない。だが、それよりも精神的な支えとしての安定感が違う故に、リッカは尋ねる。

 

「──フッ、今更我等の庇護が無ければ立ち行かぬほど貴様は弱くは無かろう?夢であろうが現実であろうが、我等は変わらず此処にいる」

 

「!」

 

「少なくとも、貴様等の奮闘は愉快であり痛快だ。ならば肩入れするに十分な理由であろう?──貴様の疑問への答えはこれだ。納得したか?」

 

「──うん!ありがとう!王様!」

 

全てを語らずとも、その立ち振る舞いだけで彼がどういった立場であり、存在であるのかは十分に読み取る事が出来た。今は見えないお姫様も、きっと何処かでのんびりしているのだろう。

 

「適性が合わない問題で、よく頑張ったわね。これからは一緒に、問題に取り組んでいきましょう」

 

そう肩を優しく肩を叩くオルガマリーの、微かなウィンクもまた、リッカの背中を強く押す後押しとなる。その頼もしさを信じ、リッカは歩き出すのであった──。




集合大広間

ビッキー「おぉー!ひろーい!クリスちゃんの借りてたアパートよりひろーい!」

早苗「山が見えます!川も!やっぱり日本の雄大なけしきはいいですね…いいですねぇ〜」

雪泉「良き鍛錬にも使えそうです。組織が素晴らしいと、働き甲斐がありますね」

リッカ「うん!皆、今回はマシュや皆の幸せがかかってる。倒せる相手はいないけど、すっごく大事な局面だよ!油断せず、皆で頑張っていこう!」

「「「おーっ!!」」」

グドーシ「山の中で魚や熊を要するのも良いかもしれませんなぁ…」

オルガマリー「毒茸には注意してくださいね、グドーシさん」

グドーシ「ははは、全くでござるよ。仏陀的にいい思い出はないでござるからなぁ」

一同は気合を入れ直し、決意を固める。そして同時に──

なのは「みなさん!この時間は男湯です!女性の皆様は気をつけてください!」

グドーシ「おや、それでは参りますかな」

初めてのイベントの開始を告げる合図に、グドーシが腰を上げ、それとなくアシストを図るために部屋を出る。

リッカ「お風呂はいるの?」

グドーシ「ええ、3人でひとまずは」

その言葉を信じ、リッカは彼を見送るのであった──

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