リッカ「じゃんぬ!」
カーマ『私もいますよ、リッカさん!私達は現代社会に溶け込む、マグニフィセント・セイヴァーズのエージェントですので』
じゃんぬ『地上の活動拠点として、いつでも使っちゃいなさい。待ってるから』
リッカ「うん!二人共、後で絶対会おうね!」
なのは「あ、じゃんぬさんたちと連絡ですか?寂しがっていたので、きちんとあってあげてくださいね」
リッカ「はい、なのはさ…ん!?」
なのはちゃん「?何か?」
「縮んでるーーーー!?」
休憩時間が終わるまで、なのは(それでも教官)の身体的変化にツッコミ続けるリッカであった──。
「話は理解し、そして把握したわ。この問題は、あの日の純情を抱え物分りの良くなった大人になってしまった者達による善意の雁字搦め。これを打開するには理屈を越えたパワー、作戦、そして尊さを備えたオペレーションが必要で…」
「「「…?」」」
「…要するに、正面突破の小細工抜き。あなた達の得意な真正面からの理不尽粉砕よ」
あぁ!!3人は合点が行き頷く。密かに世界を救う組織ながらも絶望的に暗躍が似合わない二人、一人は舞に殉じているため暗躍の自覚無しな一人。それらを納得させるために言葉を選んだオルガマリーの苦労を一人偲ぶリッカ。ここにいる仲間達は大抵悩ませず突き進める事で真価を発揮するタイプだ。偽善者!変人!正義は狭量!等と言われなければ独走できるエンジン持ちなのである。
「そして我々、マグニフィセント・セイヴァーズは今回の目的を達成するための作戦プランを練り、問題の対処に当たる事を決定したわ」
「最短最速真っ直ぐ一直線ですか!?」
「常識に囚われない自由でフリーな心構えを!?」
「つまり…可愛らしさで世界に平和を…?」
(なんだろう、旨味を活かしてるだけなのに絶妙に頭を使っていない様に聞こえるのは…ッ!)
シンプル・イズ・ベストが最適解な作戦遂行担当達の頼もしさと驀進軌道ぶりに頼もしさと同じくらい思慮が混ざるリッカ。しかし、それは絶対に彼女らならやってくれるという確信があってのものであることを、リッカは確信している。
「それは作戦要項を配るから、各自しっかり目を通しておくように。あなた達には脅威の排除やエキストラ、或いはガード、フォロー、カバーといった全般の職務についてもらうわ。地味な役回りだけど、倒すべき相手はいないのだもの。割り切ってもらう他ないわ。…窮屈をさせてすまないわね。でも…」
「大丈夫!皆の事、頼りにしてるし、信じてるし、当てにしてる!よろしくね!」
リッカは即答し、信頼を示す。自分だけでは決して導けなかった答えを、皆となら必ず掴める。その確信を、決して欺く事はなくまたできない。一蓮托生として、彼女達を信じる覚悟をとうに決めているのだ。
「えへへ、信頼に背くは神の名折れ!リッちゃんのお悩み、私達が晴らして見せましょう!突き抜ける晴天の様に!」
「一直線に突き進ませたら私達は無敵だよッ!そう、その為の──ガングニール…!(ドヤッ)」
「脳筋気味な二人はともかく、とてもクールで可愛らしい私とオルガマリーさんは存分に頼ってくださいね。私達は最前線突貫チーム。言うなれば精鋭なのです。特に私は…不足しがちな可愛さを担っている中核でもありますから。可愛らしい振る舞いの相談は、是非私に」
(可愛いに対するこだわりが強い…!)
とりあえず頭はやってから使う早苗、直線的な進歩で歌と共にかっ飛ぶ響。自分をクールでカッコいい常識人と思い込む変人雪泉。そんな彼女らがバックアップしてくれる事実に、改めて心強さが湧き上がる。
「絆と友情があればあるほど強くなるのがあなたたち、とことんまで信頼し背中を預け合いなさい。──では、ざっくりと問題と対策を話し合いましょうか」
認めながらも全くペースを乱されないオルガマリーがパチリと指を鳴らすと、モニターに当事者たちが映し出される。藤丸、マシュ、ランスロット、獅子王、そしてギャラハッドだ。
「関係を整理するわ。藤丸リツカ。マシュの心を奪った彼女の大本命ね。彼自身もマシュの事が大好き。相思相愛ね。けれど下流家庭で普通よりやや下の水準の生活に甘んじ、マシュの生活の安泰を願いギャラハッドに彼女を託す決意を固めている──」
「はいっ!オルガマリー先生!好きな人といるのを諦めて誰かに託す心境がさっぱり解りませんッ!好きな相手は!自分が幸せにしてこそでしょうッ!」
「はい、リッカポイントを進呈するわ。一定量貯まるともれなくおっぱいのついたイケメンになれるわよ」
(私の思考形態がポイント化されてるー!?)
「やったー!スタンプカード3枚目ー!」
(あぁうん、ビッキーは元祖おっぱいのついたイケメンだから貯まるよねそりゃあ…)
「彼への対処は簡単、諦めさせない事よ。次、マシュ・キリエライト。育ててもらった父と家柄に報いる為に自由な時間と初恋に区切りを付け、鳥籠の中に入ろうとする真面目極まる令嬢ね」
「何ですってマシュさん!?家柄のせいで自由に恋愛もままならない!?それはマシュさん、大人になっても家柄を頼っているからですよ。逆に考えるんです!『出家してしまえばいいのです』と!」
(出家!?)
「雪泉、早苗にバツマークマスクを」
「言葉は吟味なさるのですよ、早苗さん」
「むぐぅ」
「ランスロット卿。良かれと思った事が大体裏目に出てしまう不憫な最強騎士。まぁ出典からして不和と崩壊を担わされた嫌なフラグ持ちの騎士なので当然というか、必然というか。彼の過ちはまともに話し合わず良かれと思って迅速に外堀を埋めすぎてしまったこと。話をさせるわ、徹底的に」
「成程…得心があります。それは俗に言う、裸の付き合い。親子水入らずで腹を割り、納得いくまで話し合う…」
「見た目と絵面で確実にランスロット卿の人生は終了してしまうから、もう少しマイルドな場にはするつもりだけど…雪泉、あなたには改めて舞台の下見をしてもらうわよ」
テキパキと報告し、質問にツッコミと返答を返し、そして対策の片鱗を見せていくオルガマリー。スタンプを押し、発言権を一回休みにし、指示を託す。間違い無く、それはアニムスフィア当主の才覚が完全開花した我等が所長の姿であった。
「次は…ギャラハッド、獅子王ね。獅子王は世界に対する騎士道の体現、悪への抑止力として事業を立ち上げた至極のCEO。ギャラハッドはそんな彼女に拾われ育てられた円卓に名を連ねる親子として知られているわ。ギャラハッドは想い人がいる女性を娶るなど論外、獅子王は息子に盤石な人生の幸福、立場を与えるため婚姻を断行。…部下の婚儀に親が、会長が口を出す。オセロの如き白黒だけど…」
「──これは、グドーシから聞いたことなんだけどね」
リッカに意見を求めようとしたオルガマリーに先んじ、彼女は応える。グドーシは既にギャラハッドに、獅子王に出会っていたのだ。
「獅子王は…『親だった』って言うのがグドーシの見解。そしてギャラハッドは清廉そのもので、マシュや藤丸の関係を尊重していたって」
「──なら、今回の作戦の出来栄え次第で関係の修復か発展、或いは破局か破滅かのルートが定まるわね。いいかしら、彼女らに足りないものは、こちらで用意する。あなたは皆と気楽な旅行とでも思っておきなさい」
それだけを聞き、作戦の成功の確信を得たオルガマリーは周天モニターに、各自の表情を浮かび上がらせる。
「今回の件で振るう拳はなく、倒すべき敵はなく、あるのは善意の労りと幸福の願いだけ。──しかし、この者達の表情に心からの笑顔は浮かんでいない。誰かの幸せを祈りながら、誰も幸せになっていない。方程式として成り立っておらず、──数学教授専攻の身としては非常に不愉快よ」
(──モリアーティとの関係、健在なんだね)
「今のこの式は納得できない。だから変えることにしたわ。誰もが願った結末に、法則に変えてやりましょう。力を貸して、皆。そしてリッカと協力してこの袋小路を脱出しましょう。一流のバッドエンドより?」
「「「「超一流のトゥルーハッピーエンド!」」」」
「そういう事。では──作戦開始よ」
素早く話を纏めしオルガマリーと仲間達を心から誇りに思うリッカ。賽は今、投げられたのだ。
(マシュ…必ずあなたが望む幸せを掴ませてみせる!)
リッカもまた、決して本人の前で口にすることのない親愛を滾らせるのであった。
──作戦は、即座に実行に移される。
商店街
立香「はぁ、はぁ…ようやく昼休みだ…ラーメンでも食べよう…」
早苗っぽい店員「そこの一般人さん!幸薄そうな一般人さん!」
「お、俺?」
早苗「おめでとうございます!あなたは総勢千人目の私がなんとなく気になった方になりました!」
「どういう事!?」
ビッキーっぽい人「はい、商品どうぞ!」
「あ、商品どうも…」
『ペアで行こう!プレシャス温泉旅館宿泊!』
「これは…」
〜
ランスロット卿「マシュ、これを」
マシュ「?チケット…?」
「届けられたものだ。…心身整理の為にも、行ってきなさい」
マシュ「は、はい!…温泉旅館…」
〜
獅子王『ギャラハッド、休暇を与える』
ギャラハッド「王…?」
『ネット懸賞で当選した。私には不要なものだ』
「温泉旅館…。──王、御願いがあります!」
仕込みは着々と、整えられる──
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