ぐっちゃん「なんでダメなのかしら。まぁ私と同じくらいの磐石な関係は無理だろうけどあいつに限って仲良くなれないなんて考えられないわよね」
「・・・(笑うところかしら・・・)」
デイビッド「主従には二種類ある。互いを埋め合うか、相互に高め合うかだ。俺が見るに・・・二人は前者だろう」
ぐっちゃん「解るの、あんた?」
デイビッド「ミョウレンジが怒っているところを見たことがあるか?」
ぐっちゃん「・・・無いわね」
「怒らないのではなく、怒れないのだとしたら・・・アシュヴァッターマンを招いたことには、きっと意味がある」
「「(彼氏・・・)」」
「ミョウレンジが、それに気付ければいいのだが・・・」
霊夢「あんた、カルシウム足りてないんじゃない?煮干し食いなさいよ煮干し」
アシュヴァッターマン「お、おう」
霊夢「怒んないの?」
アシュヴァッターマン「親切にされて怒るやつがいるか!ありがとよ!!!」
霊夢「怒ってるじゃない!?」
「それでは、始めましょうか。実際のところ、あなたと私が出会う予感は既にあったのです。具体的には・・・一万四千年くらいから」
「具体的に、でもくらいなのね・・・やだこの子アバウト・・・」
悩むペペロンチーノと出会った、命と名乗る少女。共に茶をしばいた彼女は流離いの占い師だと言う。茶屋を出た後、彼女はペペロンチーノを占うとして小さな机を出した。其処に大きな大きな水晶珠を用意し、じろりと彼を覗き込む。
「御安心ください。私の占いは大願成就、子孫繁栄、順風満帆、無病息災あらゆるものに効く占いです。きっとそのうちガン細胞にも効くこととなるでしょう。それくらい私の占いは当たるのです。やりましたねペペロンチーノさん」
「なにそれ邪馬台国もビックリじゃない!?実質万病特効薬かしらそれ!?すごいわね占い・・・いえそれ占いって言うのかしら・・・?」
自信ありげに胸を張る命。彼女が言うには、向かい合った相手の事はそれはもう手に取るように解るらしい。ズバズバ当てすぎてリピーターが全く来ない事が悩みの種であるほどにその占いは百発百中・・・解らないことは無いと断言しているのだ。
「今日は良縁成就と言うことにしておきましょうか。それではペペロンチーノさん。あなたが仲良くなりたいお方を心に強く思い浮かべてください」
そう言われ、ペペロンチーノは考える。それは勿論デイビッ・・・
「違います」
「違う!?」
即座にダメ出しを受けるペペロンチーノ。横道に逸れるのよくない、いけないことであると命は釘を刺す。
「そちらのセンスが地獄の女神的な方ではなく。いるでしょう・・・憤怒を懐いた方がいるでしょう・・・最近招いた方がいるでしょう。そちらを思い浮かべましょう・・・」
すごく誘導してくるわこの子・・・そう思っても口にしないのが良い大人。無論よい大人であるペペロンチーノは思い浮かべる。憤怒に満ちた、自身のサーヴァント・・・アシュヴァッターマンを。
「見えます・・・見えます。あなたの運命の従者、その名はドドドード・ドードド・・・」
「誰!?」
「ではなく。インドの英雄、アシュヴァッターマンですね?あなたに招かれてからというもの彼は怒りっぱなし。あなたはそんな彼との切っ掛けを掴めずにいる・・・そんなところでしょうか」
先の一言は戯れであっても、その本質は見事的中させる命。彼が直面している問題を、彼女はピタリと、真名も付けて占ってみせた。
「・・・正解よ。押してもプンスカ、引いてもプンスカ。困ってしまって泣きたい気分よ。彼、何に怒っているのかしら。・・・私の不甲斐なさとか?」
おどけて言うペペロンチーノに、命は首を振る。彼は彼を、認めている。マスターとの関係と怒りは別の話だと告げる。
「彼が怒るのは、情熱の発露。彼は常に世の理不尽に異を唱える存在でありたいと願っているのです。誰もが口をつぐむ理不尽に、誰もが諦めてしまう不条理に『それは違う』『それはおかしい』と告げ、見るものを奮い立たせる。そんな存在だからこそ、誰よりも怒る。子供の癇癪とはまるで違う・・・そう。彼は『義憤』の化身なのです」
「義憤・・・なるほどね・・・」
誰かの為に、自身の為に。腐るな、曲がるな、諦めるな。怒れ。間違いを正解と呑み込むな。彼は憤怒こそを力とする。あらゆる理不尽を認めないエネルギーの化身である。命の評価に、しきりに感心するペペロンチーノ。
「ところが、あなたに対してはそれが不完全燃焼になってしまうのです。ペペロンチーノ・・・あなたは笑顔の奥底に『諦念』を懐いている」
「!」
「あなたは神通力に精通していますね。そしてそれの一つ・・・『漏尽通』。それは運命に対する悟り。自らの死期を感じとるもの。あなたは知ってしまった。己は『生きていても何も遺せない』という自らの運命に」
ペペロンチーノはただ、静かに。目の前の少女が『本物』であることを確信していた。彼が神通力を扱い、その未来を見たその事実は、まだキリシュタリアにしか告げた事のないものだったからだ。そう。彼は今・・・全てを『諦めている』
「笑いの中でも『どうせ』となり、悲しみの中でも『やっぱり』となる。楽しみの中にも『でも』となるその諦めは・・・寛容で大人であるあなたの心と人格に根付いている。だからあなたは怒らない。怒れない。『それはそう』『なるようになった』と受け入れてしまえるから。あなたは決して、理不尽に異を唱える事はないでしょう。諦めたがため、あなたは全てを受け入れられる。そんな人間なのですね、あなた」
「・・・一字一句当てられてしまって、ぐうの音も出ないわ。アシュヴァッターマンが私のところに来たのも、そんな私を怒る為かしら?」
すっかり反論の気を抜かれ、素直に顧客として尋ねたペペロンチーノ。その問いに、命は首を振る。
「いいえ。彼があなたの召喚に応えたのは『あなたの代わりに怒るため』だと思われます」
「私の代わりに?」
「えぇ。先に言った通り、彼は理不尽に怒る者。あなたが諦めてしまった運命にこそ、怒りたいのでしょう。『ふざけるな』『認めない』と。だからこそ、あなたはアシュヴァッターマンと巡りあった。あなたが諦め、忘れてしまった『怒り』を担うものとして」
命は告げる。それこそ、パートナー同士として出会った運命に従い、理不尽をもたらす運命に怒る。彼はそんなサーヴァントとして在りたいと自身を定めているのだと。
「同時に、あなたはこうも思っている。カルデア・・・今は楽園と言われる場所は、望んでいた本当の居場所であると。そして、自身の運命は今、揺らいでいる。諦念に満ちた未来が変わるかもしれないと心が揺れている。その揺らぎにあなたは今、戸惑ってもいますね」
「んふふ!次から次までドンピシャ過ぎて立つ瀬がないわ!そーよ、今アタシスッゴく楽しいの!皆一緒でわいわい出来てるものねー!夢みたいってやつ!」
楽園で、一名を除いた全員が集う今はとても好ましいとしているペペロンチーノ。無論、アシュヴァッターマンとの出逢いも素晴らしいと彼は思っている。その日々は、諦め冷えきった彼の心を揺さぶるほどに鮮烈てあると答える。
「えぇ。それを彼に・・・アシュヴァッターマンに伝えてあげてください。怒りを抱けない貴方の代わりに、彼はすべての不条理に、理不尽に、運命に怒るでしょう。あなたの為に怒るでしょう。実際のところ、あなたたちはとても相性のいいパートナー。後は切っ掛けだけなのです」
真摯に占いを行ってくれた命に、投げキッスを贈るペペロンチーノ。命は自身の悩み、どうするべきか、自身の心がとう在るべきかを全てつまびらかにしてくれた。
「ありがと、可愛らしい占い師さん。お陰さまでアシュヴァッターマンが欲求不満という事、解っちゃったわ!コミュニケーションに次ぐコミュニケーションで、解決しなきゃ!」
解ったなら、後は腹を割るのみである。互いの足りないところを、しっかりと伝え補う事をするのみだ。
「応援していますよ。お役に立てたなら何よりです。・・・では、もう一つお節介として、こちらを
」
そうして渡したものは二人一組ペアのチケット。赤と青の眼球めいたマスコットの描かれた可愛らしいデザインである。
「あら?これは・・・」
「この幻想郷には、地下都市も存在します。そこに最近できたとある施設・・・其処でなら、親睦も深められるでしょう。是非、足を踏み入れてみてください」
待っていますよ──その言葉を最後に掻き消える、命と名乗った少女。
「・・・あら・・・せっかちね。お礼も言ってないのに」
消えてしまった少女がいた証は、二枚のチケットだけ。ペペロンチーノは勿論、迷いない決断を選択する。
「いいわ。あなたのお誘い・・・慎んでお受けするわ!」
井戸周辺
アシュヴァッターマン「一人でフラフラしたかと思ったら井戸の前だぁ?テメェ、やる気あんのかよ」
ペペロンチーノ「大アリよ、大アリ!地底でアタシ達、絆を深める必要があるわ!丁度欠片の反応もあるしね!いいと思わない?」
アシュヴァッターマン「・・・無駄足でないことは認めてやる。いいか、くれぐれも途中で泣き入れんじゃねぇぞ」
ペペロンチーノ「あら、平気よ?あなたがどんな時でも、怒ってくれるでしょう?」
アシュヴァッターマン「・・・へっ。おうよ!」
ペペロンチーノ「チケットを持って井戸の前に・・・おかしいわね。間違ってないわよね?」
アシュヴァッターマン「穴に投げ込むとかじゃねぇのか?どれどれ・・・」
二人が身を乗り出し、井戸を覗いた瞬間・・・
?「はーい、二人ともごあんなーい♪」
『意識の外』から何者かの声が響き・・・
「うぉおぉお!?なんじゃこりゃあぁあぁあぁ!?」
「不意討ち食らっちゃった~!食らうのは囁きにしてほしいわねー!?」
二人して、一緒に井戸へと落下する。その浮遊感の中で、二人が見たものは──
ペペロンチーノ「あ、アシュヴァッターマン!あれ、あれ!」
「いてて・・・なんだコラァ!!・・・ぁ?な、なんじゃこりゃあぁあぁ!!?」
そこに広がっていたのは──巨大なレジャー温泉旅館。ネオン光輝く、温泉宿の偉容。
『ようこそ。大温泉ランド『ちれーでん』へ。心から歓迎するわよ。二人とも』
その声は、二人の来客を歓迎し、地下の温泉旅館へと彼等を招く──
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