にとりラボ
にとり「組み合わせの候補、なんとか絞りに絞ったけれど・・・」
【???メダル】【???メダル】『???メダル』
ヒカリ『うむ・・・理屈と理論ばかりを見すぎた結果、負担が誰が見ても恐ろしいものが生まれてしまった。いくら彼女が頑強でも、扱うにはあまりにも危険だ』
「こ、この組み合わせは保留にしよう!現実的で考えると、相性も含めてこっちだよね!」
『紫メダル』『温羅メダル』
『なのはメダル』『響メダル』
『こちらはこちらで、解放する三つ目のメダルの候補が無い。リッカ君への相性を考えた候補を、引き続き探そう』
「おー!急げ急げ!期待に応えるんだー!」
「私はかつて項羽様と出会い、テンションが上がりまくり燃え上がる心を抑えきれず剣の舞を踊り明かした事が過去にあったわ」
「竹片手になんかのろけだしたぞこの人(困惑)」
こころと一緒に、子供の目線を飽きさせないダンスレパートリーを開拓することを決意した我等がぐっちゃん。それの極意を今、こころに伝授している最中である。ノロケなのは間違ってはいないがこれはれっきとした講義である。爆発しろとは言ってはいけない。本気で爆発してくるからだ。
「黙って聞きなさい。本来私は人間なんて嫌いだし、文化とかも基本どうでもよかった。でもそれが愛する人に捧げる舞、求愛であるというのなら話は別よ。流石に剣は危なっかしいから、解りやすく槍・・・長い棒に見立てたダンスにしてあげる。見て、しっかり覚えるのよ。コツを知りなさい!コツをね!ちなみにコツはまんま骨と本来書いて物事の要訣を現す言葉だったのよね!」
その言葉をきっかけに、竹を掲げ床に叩き付け舞を踊り始めるぐっちゃん。竹を倒さず振り回さず、それの周りを飛び回る精霊がごとき動きのダンスを見せつけていく。
「おぉお・・・!周りをくねっとしたり行ったりきたりしてる・・・なんだか凄くダンスっぽいぞ!(驚嘆)」
「ダンスっぽい、じゃなくてまさしくダンスなのよ!本来は槍でやる舞踊なんだけど、長ければ割となんとかなるのよね!ここをこうやって、こう!」
竹を蹴りあげ、振り回し、やがて全身を使って突き立てくるくると回る舞は苛烈で、情熱的で、どこか儚げな表現を実現している。やるときめたら妥協はなく、今ぐっちゃんはランサー・・・否、ダンサーへとチェンジを遂げている、のかもしれない。
(項羽様・・・)
誰かからの評価などどうでもよく、何を思われようと関係ない。ただ一途に、愛する項羽にのみ捧げた舞が見せるはかつての項羽との恋慕。自身の舞を彼はどう評価し、何を語り、ぐっちゃんに何を告げたのか。それはぐっちゃんの胸だけに大切にしまわれている。その思い出が、そのダンスを何倍も美しく儚いものへと変えているのだった。
「これで、終わり!・・・どう?存分に見惚れたかしら?特別よ、特別」
自慢気にフィニッシュポーズにより〆を行い、どや顔で竹を返し感想を尋ねる。見られるのは気にくわないが、見たなら感想が気になるぐっちゃんクオリティ
「凄いぞ!あーと、えーとなんだっけ?みゅーじかる?そんなん見てるつもりになってた!有名な踊り子かなんかだったのか、あなたは?」
「そうね。・・・踊り子、だったのかもしれない。ただ一人、たった一人に捧げし舞を極めた踊り子・・・それが私と言うランサー、いえ・・・ダンサーの始まり・・・!」
拍手と共に誉めちぎられ、気分上々となったぐっちゃん。竹を手渡し、次はこころへと促す。
「いい?まずは形にするのよ形に!この竹はもう一人のおまえと思いなさい。華麗に情熱的に舞踊る陽炎のごときおまえ!それを形あるものとして、生意気な子供の感性をぶん殴ってやるのよ!」
「おぉおぉ・・・!とびきり熱い教え!遣り甲斐があるなぁ!早速やってみせるぞ、ぐっちゃん!」
そうして始まった、特殊ダンス訓練。彼女の存亡、文化の興廃を懸けた乾坤一擲のダンスファイトを磨きあげるこころ。顔はもちろん無表情。
「無駄な動きがたくさんよ!それじゃあ油ささってないロボットみたいになってるわ!動きは繋ぎを意識なさい繋ぎ!一から十を流れでこなすの、流れで!」
「はい!ぐっちゃん!」
はじめはポンコツロボットめいた舞踊っぽい何かであったがそこはこころのセンスが発揮され、確実にダンスの動きは洗練されていく。心得と心構えは常に胸にあり、それらを応用すれば出来ないものでは決してない。
「おぉお・・・!スッゴく踊ってるって感じが今しているぞ!そうか、これが槍のダンス!ぶっつけ本番でやっても大丈夫なくらいに磨かれた技術!」
「スジがいいわね、その調子よ!はい、其処で槍を跨ぐ!腰を振ってぐるんと一回転!」
こころがやる気を見せればぐっちゃんもテンションを上げ、またぐっちゃんが課題を出せばこころがそれに応える。心が伴う上昇志向は、とてつもないパワーを産み出す。
「さらにぐるりと回ってそう!くるくる回ってこう!畳み掛けるように舞踊り観客に息つく暇を与えないのが極意よ極意!」
やっていく内に、素人芸とは思えぬ程に技術が洗練されていく。やはり其処は人間とは要領の良さが違うのか、習得スピードは尋常ではない。
「そこはそうじゃないわ!あぁもう、こうよ!こう!いい、見て覚えるだけじゃなく盗みなさい!きちんとやるのよ!見ている人をイメージして、項羽様をイメージして!」
「はい、師匠!でも項羽様ってイメージが出来ないんですがどういう人なんですか!」
「素晴らしい方よ。それを説明するにはこの世界の成り立ちを説明する必要があるわ。今はそんな時間はないからまたの機会よ!さぁ一気に決着よ、観客越しに貫くように!一気に行くわよ!せーの!!」
「「ハイヤーッ!!」」
びしり、と決めポーズにてフィニッシュ。そのキレキレな舞踊は、見るものを圧倒する程の偉容と流麗さ、そしてとある要素を含んだスペシャルなものへと成り立っていた。紛れもなく、幻想郷へと吹き抜ける新たなるセンセーショナルな概念となりうるだろう。
「これが・・・これが槍舞踊・・・!鮮烈で、激烈で、圧倒的な勢いの技!」
「少しは形に出来たようね。これで退屈とは無縁の一時になる筈よ。というか寝ているヤツはこれで突き刺してやりなさい!グサッと!」
「えぇ・・・(困惑)それはともかく手応えはバリバリ感じた!これなら新たな催しとしてうまくやれるはずだ!早速行こう師匠!」
「え?ど、どこによ?」
「決まっている!人里での講演許可だ!これは絶対受ける筈だからな、いても立ってもいられない!よーし、行くぞー!!」
ぐっちゃんを引きずる勢いで駆け出すこころ。どうやら感情の処理は緩い方であり、無表情ながらも鼻息荒く駆け抜けていく。ぐっちゃんを連れて。
「お、おい!解った、解ったから引っ張らないでくれる!?歩きにくい、歩きにくいから!」
「行くぞー!!」
「話を聞けって言ってるでしょうがー!?」
二人は駆けていく。新たな文化を確立せしものとして。果たしてその究極の付け焼き刃の成果とは──
寺子屋
こころ「どうですか!(ビシッ!)」
ぐっちゃん「人間に見せるにはもったいないくらいの素敵な舞よ、感動していいわ?」
殴り込み、いきなり目の前で踊りを見せられる先生。怒らないのは人のよさである。
慧音「あ、あぁ。その・・・素晴らしい踊りだと私は思う。思うが・・・すまない、子供たちには見せられない・・・」
「「何で!?」」
「その、だな・・・えぇと・・・」
こころ「鍛練が・・・鍛練が足りないのか!?」
ぐっちゃん「目が肥えすぎなのよ人間子供のくせして!文句があるというの!?項羽様への求愛が!?」
「・・・すぎる」
「「は?」」
「破廉恥すぎるんだ!美女が棒にまたがりくるくると回り腰を振る踊り!それはポールダンスと呼ばれるものだ!腕前は素晴らしくあなたたちも見目麗しい!だからこそダメなんだ!子供達の道徳を破壊させるつもりか!?」
「「(゜ロ゜)」」
「他のダンスなら喜んで採用する!だから教育者としてそれだけは、それだけは否とさせてほしい!自身の美しさを自覚したダンスをお願いしたい!は、話は以上だ!よろしくお願いする!」
「「ピンポイントでNG喰らったー!!?」」
そう、それはどう見てもアダルティなバーでやるポールダンス。寺子屋の純情な子供達に見せる踊りとしては余りに扇情的かつ刺激的。
それらを失念していたぐっちゃんとこころ。情熱は、論理と道徳の高い壁に阻まれてしまうのであった──
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