福山
「将棋における生徒、ライバルがいなくては張り合いが無いということだ。将棋で俺に冷や汗をかかせられるのは、大会出場者を含めて彼女だけだったからな。彼女はいい。昨日までの自分であったなら即座に首に食らい付いてくる。全力を出さねばやられる、あのひりついた戦いが出来るのはリッカだけだ・・・!」
ゆかな「毎日のように追い回していたしな。やはり盤面をひっくり返す運動はイヤか?」
縷々「・・・そちらは朱雀に任せている。そもそも俺は肉体ではなく戦術の大切さをリッカに説いていると言うのにアイツと来たら『君が盤面をひっくり返せばいい』だなどと!がさつになったらどうしてくれる!俺の好敵手をあのイレギュラー櫻井・・・!」
ゆかな「・・・新作ピザ、溜まっているんだぞ。リッカ」
「そもそもスペルカードの来歴ってどんなのでしたっけ?なんとなくやってはいましたが、よく考えたらそこら辺の発祥や取り決めは全く考えていませんでした!文さん、びしっと説明お願いいたします!」
アリス、文、教える側。早苗、リッカ、聞く側。そんな二人に分かれつつ供述されるは幻想郷の花形、スペルカードルール。あらゆる困難がスペルカードルールで解決するこの幻想郷の空間、珍妙不可思議にして豪華絢爛なお遊びの全容を、今紐解く。
「お任せください!スペルカードルールは自身の得意技の申告書のようなもので『私はこんな技を持っていて何回使いますよ』というものを公正可視化させた紙の媒体の事を言いますね。勘違いされがちですが、持ち主の技を明文化させているだけなので紙自体に効力はございません。例えば早苗さんのスペルカードをリッカさんが持って使ったとしてもなにも起こりません!」
「にとりちゃんがその内霊力を媒体とする札をもとに、力を封じ誰でも扱えるスペルカードの開発に着手しているとは聞きました!期待しましょう!」
「補足すると、大まかな取り決めは・・・『美しさに意味をもたせる事』。それは見るものが息を呑むようなもの。『意味のない攻撃はダメ』。やぶれかぶれやなんとなく、は御法度。『このルールで負けたなら、どんな力の格差や余力が残っていようとも負けを認め従うこと』。それが大前提のお遊びよ。やってみたら楽しいし達成感もあるから、ごねる輩は稀だけれどね」
ふむふむ、とリッカは頷きメモを取る。幻想郷では次元をまたいで全く違う取り決めが成されている場合もあったりする為、その世界の取り決めを聞いておかなくてはルール違反で退治される恐れがある・・・出る前に、紫から教わった事を実践しているのだ。
「理念も存在しています。一つ、妖怪が異変を起こしやすくする。一つ、人間が異変を解決しやすくする。一つ、種族間や個体差からくる実力主義を否定する。美しさと思念に勝るものはなし!」
「しねん?(*`・∀・´*)(学力平均以下)」
「弾幕はパワーだぜ!ってやつかな?」
「それそれ!私としては弾幕はブレイン・・・と言いたいところなんだけどね・・・」
「かつては「命名決闘法案」・・・つまり、巫女にスペルカードの案を出した妖怪がいると予想されていますが正体は謎なのです。知らないけど楽しいから使う!胸に栄養と知能を吸われた早苗さんと思考は似たり寄ったりですねぇ」
それほどでも!と全く気にしていない早苗を横に、リッカは真面目にメモを取り続ける。ごり押しパワーファイターだけではマスターはやっていけない。リッカはそもそもの話、暗記と把握、知識の吸収は昔の事情から高校生の域を逸脱しているのである。
「スペルカード導入のきっかけは『吸血鬼異変』を説明しなくてはね。幻想郷が隔離されたしばらくの頃、紫は妖怪のバランスを崩さない為に妖怪は無闇に人を襲う事を禁じ、食料を提供していたわ。それを食べるままに食べていた妖怪は・・・」
「はいはい!紙芝居を奇跡で作りました!私にもリッちゃんのティーチャーをやらせてください!」
「用意がいいですね!?」
「解ったわ。じゃあ早苗ちゃん、お願いね」
~
はい!与えられた食事に満足し、妖怪の使命を忘れた妖怪達は弱体化しました!与えられたものに満足し進歩を止める、家畜のブタですね!
妖怪「働いたら負けかなって」
妖怪「だって人なんか襲わなくても飯あるしな」
そんな畜生以下のぶったるんだ幻想郷にヤバい級の御客様!そう、吸血鬼です!あ、レミリアちゃんやフランちゃんとは別種ですよ!
吸血鬼「取るに足らぬ幻想郷よ!支配してやるぞ!この吸血鬼の力の前にひれ伏すがいいぞッ!」
吸血鬼「私の言うことは絶対であり、私は決して間違えない」
幻想郷に侵攻した吸血鬼の圧倒的パワーに妖怪達はなす術なく蹂躙されました!あるものは屈服し、あるものは寝返り・・・!
妖怪「悪には悪の救世主が必要なんだよ・・・」
妖怪「逃げるしかない!」
「血を!血をくださればより順応し、働きます!」
吸血鬼「甚だ図々しい」
「「ぎゃーーー!!」」
もうにっちもさっちもいかない大ピンチ!そんな際に立ち上がったのがお尻が重く大きい紫さんと・・・いつかこんな日が来ることを予見しスカウトしていらっしゃった大鬼神!その名も温羅さま!リッちゃんとも馴染みある正義の鬼神だったのです!
温羅「だから言ったろ。お前さんの楽園は『平穏すぎる』ってな」
紫「返す言葉も無いわ・・・お願い、力を貸してちょうだい・・・!」
吸血鬼「うぐおぉおぁあぁあぁ!!なぁあぁあぁあぁあぁあにィイィイィイィイ!?(パワー負けによる完全敗北)」
吸血鬼(ポップコーンの様に弾けた後、欠片一つ残さず紫に暗黒空間にバラ撒かれた)
温羅さまと紫さんの力で辛うじて討伐に成功されましたが、幻想郷そのものの欠陥を突き付けられた紫さんは、常日頃の生き方にこそ真価があると温羅さま、霊夢さんと一緒に「遊び感覚に近い決闘」を編み出したのです!
~
「それがスペルカードルール!人間も妖怪も危機を忘れないための訓練めいた催しというわけですね!どうですか私の紙芝居のクオリティ!」
「サナちゃんは私よりずっと器用で可愛いなぁ!分かりやすかったよ、ありがとね!」
「えへへぇ~。引き締まったボディのリッちゃんに誉められちゃいました~」
三人の説明により、大体の成り立ちを理解したリッカは心中で驚いていた。なんとこの時空、温羅がスペルカードの発足に関わっていたのだから。
(私達が知らない場所でもずっと人助け、妖怪助けしてくれてたんだね・・・!桃子にも教えてあげよっと!)
「そうして発足されたルールに従い、私達はこういう紙を持っているわ。これを相手に見せたり、発動を予感させたりしてから弾幕を放つ。絶対避けられない弾幕、というのも本気を出せば皆撃てるけど、相手とやる遊びだからそんなものほとんど撃つ奴はいないわね」
アリスに手渡されたスペルカードのデッキには、七色の便箋にデコレーションが加えられた乙女度が高いものであり、カスタマイズと拘りが感じられる。同時に変哲のないただの紙であり、あくまで宣言用、という域を出ないのである。
「大まかな説明はこんなところかしら。私が相手になるから、早苗ちゃんと天狗はリッカちゃんのサポートをお願い。もちろん本気で倒したりはしないから安心してね」
「よろしくお願いします!私のスペルカードかぁ・・・拘っちゃうぞぉー!!」
「そういうと思いましたよ!はい、紙と筆を!まずは出来ること、書き出してみましょうか!」
「私の見立てではリッちゃんは5面ボス・・・いえ、エクストラ道中は堅いですよ!早速技を拝見です!ゴーゴー!」
三人騒がしく、スペルカードを編み出す様子をアリスは微笑ましく見守る。襲撃や泥棒でない、真っ当な来客であるからだ。
「魔理沙も見習ってくれればいいのに・・・まぁともかく、新しい人形のインスピレーションを手にしなくてはね」
彼女にもまた目的がある。それを成すために、リッカ達との決闘を心待ちにするのであった・・・──
数分後
文「あ、あの~、アリスさん?」
アリス「あら、どうしたの?スペルカードは作れたかしら」
「それなんですが、その~・・・私達の思っている以上に、あの子はとんでもなかった様でして・・・」
アリス「?」
「こちらが、暫定スペルカード候補なんですが・・・」
「・・・へ?」
刀
雷位開帳~龍吼一閃・雲曜神雷~
四天王抜刀術『頼』
剛断術『金』
両断術『綱』
伐採術『碓』
射刀術『卜』
弓
ディアナ・セレーネ・ノヴァ
アルテミシオン・アルテミット・レイ
アルテミス・アグノス
シューティングスター・オルテギュアー
素手
『射殺す百頭・龍華』
一 大雪山落とし
二と三 スピン・ダブルアーム・ソルト
四と五 ダブルニークラッシャー
六 兜割り
七ストマック・クラッシュ
八 握手
九 獣の断頭台
全力
デモンベイン・ゼロビヨンド・ナイアー
バルキー・インパクト
天照神楽・画竜点睛
恐慌励起す殲滅の咆哮
運命の戦争を告げる邪龍
ワールドエンド・ブレイカー
アリス「・・・・・・これ、全部あの子が・・・?」
文「まだ、あるらしいですよ・・・?」
早苗「是非是非みたいです!アリスさんには頑張ってもらわなくちゃですね!」
リッカ「必殺技ばっかりだから美しくって難しいかも・・・そこはアリスさんを信じよう!」
アリス「・・・ちょ、ちょっと二人とも!話が、話があるのだけど!」
リッカさんを幻想郷の戦力として加えたらバランスが偉いことになると思いました By文
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