(修行か!特訓か!でもどうやったらいいんだろうなぁ・・・)
「ん?なんだこのキラキラしたのは?」
(す、凄い力を感じる!きのせいかもしれない!そうかもしれない!)
「願い?願い・・・?・・・うん!」
「あたいは、寒さや冬を好きになってもらいたい!そのために力が欲しいぞーっ!」
~
チルノ「どうだ大ちゃん!リグル!ルーミア!あたいは、あたいはやったぞ!これからもっと・・・!あれ?」
「・・・皆、どこに行ったんだ?」
「時に、参考として聞いておきたいのだが。幻想郷・・・お前達の言う『弾幕ごっこ』とはどういった催しなんだ?弾幕を、ごっこで展開するとは中々な試みだと思うのだが」
「あぁ、スペルカードルールのこと?これは幻想郷で人も妖怪も保護、同時に力加減を抑えて遊べるように考案した、文字通りのごっこ遊びよ。まかり間違っても死人の出ない、正真正銘のスポーツ・・・みたいなものかしら」
デイビッドの問いに霊夢は頷く。聖杯戦争を訪ねた次は、幻想郷の特色について訪ねるのが礼儀・・・とでも把握したのだろうか。
「そもそも幻想郷って、妖怪も人間も少数で有限なワケ。その上で妖怪や神様は人間に畏怖・・・要するに恐れられなくちゃいけないの。でも、妖怪や神様が本気で人間を襲ったりなんてしたらどうなると思う?」
「まぁ、死ぬだろうな。魔術師でもない限りまず死ぬだろう。神秘側の存在に、現代の存在が勝てる理由も道理も無いからな」
まぁ、人類は多様性が売りの人種だから例外などいくらでもある、とカドックは思案する。だが、例外を全員に求めているのも酷と言うものだろう。
「そう。だから人間を妖怪達は襲えなかったわけ。その結果、著しく妖怪達は弱体化していった。本来の役割と責務を果たせない妖怪達は力を失い、外から来た吸血鬼連中にすら遅れを取るようになる・・・で、パワーバランスすらも変わりかけた時に私が考案したのが、これ!」
そうして懐から出されたのが絵柄と、名前が書かれた一枚の紙。それ以外に力は感じない、本当の意味でのただの紙。
「自分の程度の能力でできる事を書いて、切り取って、相手に一枚見せてから思い切り放つ。当てるつもりで、出来るだけ綺麗に美しく凝った弾幕をね。相手がそれを自分より美しいと思うか、直撃して満身創痍になったら負け。命をやり取りせずに勝ち負けを定めるお遊び、それがスペルカードルール・・・大体こんな感じよね?紫」
霊夢の言葉に、紫は頷く。それこそが幻想郷に根付いた美しく無駄であるごっこ遊び。スペルカードルールであるのだ。妖怪は楽しく人間を襲い、人間は美しさと言う観点が優れていれば妖怪を打倒できる、この地に根付いている決闘方式である。
「閃いたぞ!聖杯戦争の代わりにこのルールを実装すれば誰も死なないのではないだろうか!」
「いやいや、ごっこ遊びだから誰も乗っからなくなるだろ多分。それに別に死人が全くでないわけじゃあ無いぞ。当たると痛いし、とんでもない弾幕だったら押し潰されて満身創痍の病院送り!なーんてことにもなったりするしな。人によるけど」
多種多様な弾幕を競うものではあるものの、それはやはり力に準拠するものであり、殺す気で放てば間違いなく人は死ぬ。要するに決闘とは互いの暗黙の了解にて成り立つものであり、幻想郷にのみ通用する文化であると言えるだろう。
「そうかぁ・・・いい案だと思ったんだが・・・あ、それは私達にも出来るものなのかな?」
「えぇ。ルールを学び、相手を理解し、思いきり遊びを楽しむ心意気さえあればきっと」
「なんなら私が手解きしてやるよ。弾幕って言うのはパワーだって事、たっぷり教えてやるからな!」
一同の魔術を、そんな風にぶつけ合うのも趣としては上等やも知れない。故にこそ、今のチルノの状態は非常に危ないのだと紫は告げる。
「今の彼女は大いなる力を突如得て、ルールを気にせず思うがままに振る舞っている。しかしその力も、幻想郷の上位存在からしてみれば戯れのようなもの。なぜ、ルールは護らなくてはならないと思うかしら」
「秩序の維持と、正しい世の運行・・・だろうか」
「それも勿論あるわ。けれどそれ以上に・・・『ルールを護るもの』自身を護り、守護する意味合いがあるのよ。どんな強い輩も、弱い輩も、ルールさえ護っていれば護っていない存在から、私や霊夢がお守りするわ」
「違反したなら、私達も問答無用でしばきたおせるもの。分かりやすくていいでしょう?・・・ルールを護らないヤツは、要するに完全自己責任。『何をやってもいいですよ』は、『何をされてもいいですよ』って事でもあるのよ。そういう奴等に、私達は譲歩も加減もしてやれないわ。ただ、はみ出しものとして処理するしかない。・・・問答無用でね。だから今のまま、チルノの悪ふざけを止められなかったなら・・・」
その場合は『本物の脅威』として無慈悲に処理される結末が待っているだろう。無秩序、自由とはそういったものなのだ。自分を縛る盟約は何一つ存在しない代わりに、自分を護るものは何一つ存在しない。究極の個人主義に今、チルノ・・・或いは聖杯を所持したもの達は陥ろうとしているのだ。
「まぁ、妖精一匹失ってもそんなに痛手ではないけれど、例外と言うものは後続が真似をしたがるものだしね。人間が力を得れば報復を考えるかもしれない、妖怪が力を得れば体制の転覆を図るかもしれない。私と・・・考えたくないけれど、温羅が対処しきれない巨悪に育つ可能性も考えなくてはならないの。為政者は常に最悪を想定するものでしょう?これもまた、政策の一貫なのよ」
「わかりみが深い。月の統治もやることやらなきゃいけないことめっちゃたくさんある。ネロがいなかったらとっくにパンクしていた。上の責務めっちゃ大変」
「えっ?アンタ本当に王様だったわけ?」
「覇気とかスタイルとか、色々無いのは承知しています。所詮私はビジュアル三番目。つらい」
「・・・ふむ。そうか」
それら一連の言葉を聞き、デイビッドは何度か頷く。そして彼は決断を一つ下す。
「ならば今回は、それほど強力なサーヴァントでなくていいだろう。作家系・・・できれば画家、デザイナーのサーヴァントが欲しい」
「おや、その心は?」
「せっかく迷い込んだ神秘の秘境だ。排除に心血を注ぐよりも、弾幕勝負の『美しさ』を形に残せるような立ち回りがしたくなった。殺し合いが当然の人間社会では消えていった、他者を思いやるルールに興味が湧いた、とでも言おうか。戦力にはなれんが、お前達がいるならば問題はないだろう」
デイビッドならではの奇特な判断にて、召喚の方針は定められた。彼の願いは、仲間に信を置いたものであり好奇心が介在したものではあるが・・・
「・・・あぁ、任せておいてくれ。ここにいない別行動しているリッカにも、土産話として有用だろうしな。それ」
「そういう事だ。では──早速、始めるとしようか」
そうして、此度の区切りとなる召喚に挑む一行。招かれる英霊は、果たして如何なる存在となるのか──
「出来れば、近しいセンスの者が来て欲しいが・・・さて」
「それはちょっと難しいんじゃないか・・・?センスはその、芸術家は・・・」
「?」
「・・・意外と、大丈夫かもしれないな。君なら」
意外と、納得しかないかもしれない。そう思う、カドックであった──
そして・・・招かれし英霊が此処に来る。
デイビッド「君は・・・」
間違いなく、彼が望んだものに近しい存在であろう、しかし・・・それでいて、決定的に違うもの。
ゴッホ「ウフ、ウフフ・・・こんにちは、ゴッホです・・・よくわからないサーヴァントですけど、よろしくお願いします。い、一緒に・・・世界を塗り替えましょうね・・・ウフフ・・・」
カドック「ゴッホ!?・・・女の子じゃないか?」
デイビッド「あぁ、キリシュタリア。いつものだな」
キリシュタリア「あぁ!いつもの──例外というやつだね!」
ヒマワリを持つ、奇怪なゴッホを名乗る女性・・・デイビッドのサーヴァントとなる者は、挙動不審気味のゴッホを名乗る少女──
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