人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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霊夢「招待状が届いていたわ」

カドック「招待状だって・・・!?」

霊夢「読んでみれば解るわ。もっと言えば見れば解るわ。これよ」

『真紅の招待状』

カドック「・・・」

『来るのよ! レミリア』

「・・・シンプルイズベストだ・・・」

霊夢「呼ばれた以上、行かなきゃでしょ?機嫌を損ねたらめんどくさいヤツ筆頭だし。よりによってめんどくさいヤツに見つかったわね」

キリシュタリア「私の上着はどこかな?」

霊夢「ほら支度する!さっさと行くわよ!準備準備!あとあんたの上着は洗濯したわ」

キリシュタリア「あれしか無いのに!?」

デイビッド「あったぞ、俺の革ジャン」

「でかした!ちょっと借りるよ!」

ぺぺ「あらやだ!素肌革ジャンとかワイルドぉ!」

カドック「・・・とりあえず、解った。支度するよ」

(・・・試されているのか?これは。ストレステスト的な・・・)

~守矢神社

マシュ『皆さん、紅魔館に行くようです!先輩も充分お気をつけて!』

リッカ「ほいほーい!皆レミリアちゃんと仲良くなれるかなぁ?」

早苗「大丈夫ですよ!レミリアさんは機嫌さえ良ければ可愛らしいです!」

文「不機嫌だとサイレンみたいになりますからねぇ。さぁさぁ、天狗の次は河童ですよ河童!」

リッカ「うん!よーし!皆に負けずに頑張るぞ~!」


~地底

声『皆に負けずに頑張るぞ~!』

?「・・・温泉で売り込もうかしら・・・」




カリスマ力たったの5か・・・おぜうめ・・・

「はい、到着!ここが外来の吸血鬼が治める、趣味の悪い真紅の館。紅魔館の正門前!割と危険な場所でもあるから、心の準備はしておくことね。ま、流石に取って食われる心配はない・・・筈よ、多分」

 

招待状に導かれるままにやって来たグランドマスターズの一同は、噂に名高き紅魔館の前、その巨大な門へと到達する。背丈を優に越える巨大な仕切りを以て外界を遮断するかのような固く閉ざされた門は、一行を大いに威圧、威嚇する事となる。

 

「紅い。とにかく赤い。真っ赤っか」

 

「あ、アインツベルンとは真反対の景観ね・・・こんなに毒々しい紅色なのに、景色と調和しているように思えるのは流石と言ったところかしら」

 

アイリスフィールは雪に吹雪く白い城にて造られたホムンクルスであり、その景観には二重の意味で圧倒されるに充分であった。とにかく赤く、差し色もない真紅。余りにも自己主張の強い紅い城に、ある意味で吸血鬼の恐ろしさや雄大さを何よりも雄弁に語っている様な印象を感じ取っている様子である。

 

「かなり大きい館だ・・・ここに住んでいる吸血鬼とは一体どのような姿なのだろう」

 

「霊夢が言うには、永遠に幼い紅い月なる吸血鬼がいる様だが・・・仰々しいのか可愛らしいのか判断に困るな」

 

「まぁ、そうだな。招待状を出すくらいだから礼節を弁えた自信を持っているんだろうが・・・」

 

男性陣が顔を見合せ、それぞれの主観を漏らしながら門を見上げていた──その時。

 

「気になるかしら?とても気になるのねこの紅魔の主!その頂点たるカリスマ溢れる存在が誰なのか!いいのよ・・・当然よ!それは仕方のない事よ!」

 

響く、幼く自信満々の声音。誰だ、というまでもなく謳う様に声音は自己主張を紡いでいく。

 

「知りたくなるのは人の性、そして私の名を讃えるのは当然の運命。ならば私は逃げも隠れもせずに応えるわ!要するに、今私が此処にやってきてあげたのよ!歓迎すると嬉しいわ!」

 

「あ、来たわ。皆見なさい。あの馬鹿っぽい偉そうな声が件の」

 

「そう!この私・・・レミリア・スカーレット!永遠に幼き紅い月たるこの私があなたたちをウェルカムするわ!よくぞ来たわね、外のものたち!逃げも隠れぬ、私は此処よ!」

 

霊夢が指差し、飛び立ち降り立つ吸血鬼。サーモンピンクのスモック衣装めいたドレスを着用した、水色の髪に真紅の眼、そして雄々しき形の翼。傍らに日傘を差した銀髪のメイドを従え、現れし吸血鬼の主。

 

「はい、こいつがレミリア・スカーレット。天狗より遅く鬼より非力などっち付かずの種族よ。朝から出てくるなんて随分と張り切ってるじゃない。皆、これから世話になる顔を忘れないように。脇にいるのは此処の館のメイド長・・・」

 

「咲夜。十六夜咲夜(いざよいさくや)と申します。主たるお嬢様は、皆様の来訪を楽しみにしておりました。朝しか眠れぬとばかりにそわそわしていたお嬢様は辛抱たまらず、皆様になんと直筆の招待状を」

 

「や、止めるのよ咲夜!私の心情は伝えずとも善いのよ!そして霊夢!なんだか紹介に悪意を感じるわ!天狗と鬼を引き合いに出すところ!意地悪よ!いけないことよ!」

 

「なーにがいけないことよ!アンタ只でさえ普段は傍迷惑な幼女吸血鬼な癖にやる気だけは満ち溢れちゃって!ボスがわざわざこっそり招待状持ってくるとか様式があんでしょ様式が!」

 

「うー!ひゃ、ひゃめ、ひゃめるのよ~!」

 

霊夢に成す術なく頬をつねられる自称カリスマ吸血鬼。本来ならばもっと尊大かつ雄大な存在なのだが、ここのレミリアは好奇心が強く精神年齢が幼いレミリアな様だ。その微笑ましい様子に、女性陣からは感嘆が漏れる。

 

「かりすま☆ぶれいく☆れみぃ」

 

「可愛いですね・・・ヴラドおじさまやカーミラさんとは違うタイプです」

 

「えぇ、とても!一気に親近感湧いちゃった!」

 

(カドック!君と同じ色の髪だ!もしかして君達は・・・生き別れの姉弟だったのかい!?)

 

(そんな訳あるか!髪が同じで姉弟とか判定ががばがば過ぎるだろ!)

 

「ふふふ。ようやく会えたわね・・・私の愛しい弟くん?」

 

(本当だったのか・・・)

 

(騙されるなデイビッド!?戯れ言だよ戯れ言!ノリ良くのってくれただけだって!というか聞こえてたのか・・・なんて聴力だ・・・!)

 

「で?招待状出したって事は、最初はここでいいって事ね?(むに~)」

 

「(ばちん!)うー!?そ、そうよ・・・そうなのよ!」

 

ほっぺが紅いのよ・・・そうぼやきながらレミリアは威厳を出すようにえへんと胸を張り、びしりと指を指す。カルデア一行を威嚇、或いは挑発する形だ。

 

「あなたたちのレクリエーション、協力してあげるのもヤブサカでは無いのよ!今からあなたたちは紅魔のゲストメイドとして紅魔館に仕えつつ課題をこなしていくといいわ!そうすれば、あなたたちの願いを聞き届け・・・カリスマが思うままにお願いを聞いてあげるのよ!そう!これこそが・・・えっと・・・」

 

「ギブアンドテイクです、お嬢様」

 

「それよ!さぁ咲夜?メイド服を配ってあげなさい。きっと似合うのよ!」

 

あ、傘は借りるのよ。日傘を受け取り、咲夜を通じてメイド服を渡すレミリア。どうやら紅魔館勢力はカルデアに協力的らしい。

 

(危険な存在と言っていたが割と・・・いや、油断は禁物だ。幼いということはつまり気紛れで残酷ということ・・・)

 

「はい、淑女の皆様。こちらが紅魔のメイド服でございます」

 

「わぁ!お洒落なデザインじゃないかしら!」

「おぉ・・・マスターではなくメイドアルトリア。・・・オルタな方と被っていませんか?」

「月の新王、17才。メイドのバイトやってます」

「ちょ、ちょっと・・・!なんで項羽様以外に仕えなきゃいけないのよ!?」

 

(気分を損ねたらあっさり殺される可能性すらあるだろう。誰とでも仲良くなれるリッカが別行動なのは非常に痛いかもしれない・・・)

 

「はい、紳士の皆様。こちらが皆様のメイド服でございます」

 

「あらヤダアタシ達メイドになっちゃう!?なっちゃうのね!?」

「カチューシャもついているな。・・・ネコミミではないんだな」

「おぉ・・・!これで私達も、アキバに根付くメイド文化の仲間入りかぁ!似合うだろうか・・・!」

 

(子供だからと侮っちゃダメだ。危険な相手という認識を捨てることなく油断せずに・・・)

 

「もし、銀髪の君?こちらがあなたのメイド服よ」

 

「はっ・・・。あ、ありがとうございます・・・メイド服?メイド服!?」

 

渡されたのはメイド服。男性陣の・・・メイド服である。男性が着られる、メイド服だ。カドックは一瞬呆然とし、我に返り声をあげる。

 

「いやちょっと待ってくれ!?なんで男もメイド服なんだ!?執事服とか無かったのか!?」

 

「男性は仕えて無いのよ・・・ゴブリンは身長が合わないし・・・」

 

「心配ありません。こんな事もあろうかと男性尺のメイド服を仕立てておきました。皆様には安心して、メイクアップし紅魔のメイドとして活動いただけるかと」

 

「言ってて色々おかしいとは思わないのか・・・!?真面目そうでどこかズレてるのか貴女は・・・!」

 

「受け取ったわね?更衣室を用意したわ!そこで着替えるのよ!大丈夫、見たところ美男美女。きっと似合うわ。似合うのよ!さぁ早く!早く!着替えるのよ!」

 

紅魔の主に指差され、更衣室に導かれる一行。未だに呆然とするカドックを、状況は待たない。

 

「ま、まぁ何事も経験って言うじゃない?頑張りなさぶふっ・・・」

 

「他人事だな巫女!?」

 

「心配するなカドック。かのヘラクレスもメイドとして過ごした伝承がある。オレ達もそれに倣うのみだ」

「私の中のゼウスが、もっと可愛くなれと囁いている・・・!」

 

「なんでこんな時にも適応力高いんだ!?これだから天才は!えぇい、くそっ!やってやる!」

 

やってやればいいんだろ!やけくそ気味に、カドックは皆と共にメイド服へと挑戦する──。

 

 

 

 




アイリスフィール「どうかしら?副所長のメイド達を見て、着たいと思っていたの!」

アルトリア「スースーしますね・・・」

ぐっちゃん「何故、何故このような辱しめを・・・くそぅ、吸血鬼の自覚はあるの!?」

はくのん「オールフォーワン、17才です」

レミリア「バッチリよ!」

キリシュタリア(ツインテール)「お嬢様、紅茶は如何かな?」

ぺぺ(普段通り)「似合うかしら?割と自信アリよ!アリ!」

デイビッド(ネコミミ)「にゃん」

カドック(ミニスカ)「なんだこれ・・・なんだこれ・・・!」

咲夜「とてもよくお似合いですわ、皆様」

カドック「あ、ありがとう・・・複雑極まるが・・・」

霊夢「あはははははははははは!!」

「笑うなぁ!!」

レミリア「うー!素晴らしいのよ・・・!では早速!皆で!やるわよ!」

カドック「何をだ!?」

「記念写真よ!!」



オルガマリー『はい、チーズ』

「「「「「「チーズ!!」」」」」」



『紅魔の主と写真を撮れ クリア!』

レミリア「う?課題だったの?」

ぺぺ「やったじゃないカドック!クリアよクリアー!」

カドック「ああ、尊厳と引き換えにな・・・」

門番「すや~・・・」

レミリア「一致団結で!頑張るのよ!」

「「「「「「おー!!」」」」」」

リッカ、そしてアナスタシアがいなくて本当に良かった・・・そう空を見上げるカドックを余所に、意気揚々な号令が木霊した──

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