ギル《いっその事清々しいまでの空箱ぶりよな・・・》
──あれっ!?祀神が書いておられません!?
フォウ(なんだぁこの侘しい神社はぁ!こんな神社、見たことない!)
霊夢「あ、あんたがギルガメなんとか言うの?紫と温羅さんから話は聞いてるわ。これからよろしく頼むわね」
ギル「・・・」
霊夢「ちょ、ちょっと何よ。賽銭箱ジロジロ見て。盗めるようなもの、入ってないわよ?」
《エア、課題に確かアレがあったな?》
──はい!ありました!こなしちゃいましょうか!
フォウ(君を・・・清貧から救済する!)
霊夢「ちょっと、何する──」
ギル「決まっていよう」
──賽銭入れ財布!四つ!展開!
霊夢「財布!?」
──投下!
フォウ(500円玉の祝福を!食らえーぃ!!)
霊夢「あ、ちょ、えぇえ──!?」
「はい!というわけでこれより御機嫌王様の財の皆さんに居住、拠点を提供し幻想郷を案内するガイドに任命されました
紅白の巫女服に、黒の長髪(髪は気分で伸ばす)を湛えた神秘と清潔な印象を与えし溌剌な巫女。カルデア一行に元気よく声を上げる彼女こそ、幻想郷を飛び回り妖怪退治と結界維持に一役買う博麗神社の巫女。その名も霊夢である。ちなみに話す度二秒毎にキラキラ輝く賽銭箱に目を奪われている。知るものが見れば、彼女がこんなにフランクかつ快活な事は極めて稀。一同はテンションに圧倒されるばかりである。
『ギルガメッシュ、youは一体霊夢さんに何をなさった。パパ活ならぬギル活?』
はくのん、ギルガメッシュを呼び捨てで呼べる数少ない存在が割とアウツな予想をするがギルは華麗にさらりと流す。賽銭の前に鎮座するゴールドキングは霊夢手作りの明太子おにぎりを頬張っている。
「ん?何、大した事ではない。結界の要がどのような神社かと思えば、寂れた廃墟と見間違う程にうらびれた風景に目頭が熱くなってな。少しばかり賽銭を弾んでやっただけの事よ」
「賽銭箱の前に仁王立ちして、沢山の財布から滝の様に五百円をなみなみと注いでくださる王様の威光は輝いていたわ・・・ちょっと泣いちゃったわ・・・ほっぺたつねりすぎて腫れたわ・・・」
博麗霊夢、実は万年金欠気味。妖怪退治と祭事、結界維持など幻想郷の重役ではあるのだが・・・彼女の神社は、彼女の人格と実力に一目置いた妖怪達の溜まり場になっている。神がおわす神社でありながら妖怪が跋扈し、同時に彼女も暢気でサボり屋な為、普通の人間は当然近付かないしリピートもしない。誰だって他の神社に行く。誰だってそうする。部員の皆様だってそーする。だから彼女の稼ぎは食費や買い出しで大体無くなってしまうのである。
「切実なんだな、巫女って・・・」
「そうなのよカドック~。まーなんだかんだ言って、神様仏様って金欠だけはなんとかしてくれないのよねー。資金繰りの為に破戒僧や生臭坊主が大量生産されたりしてるわけ。霊夢ちゃんは女手一つで頑張ってるの偉いわぁ~!アタシ感激しちゃ~う!すごーい!ペペロンチーノ感激~!」
「ペペロンチーノ?偽名?馬鹿じゃないの?」
「やだ可愛いのに辛辣ゥ~!!」
「話が混乱しちゃうわペペ・・・と、ともかく。別地点のリッカはともかく、私達グランドマスターの拠点は博麗神社・・・という事で・・・その・・・」
オフェリアは見渡す。ひとっこ一人いない閑散とした神社、来客の気配がない物静かな空間。え?神様祀ってますよね?といった耳がいたい静寂に満ちた空間。むしろ静寂しかない空間。
「・・・こちらでよろしいのですね?楽園にある神社とは違う・・・ような気がする、ここで・・・」
「止めろオフェリア。いくら楽園の大社天満宮の分社にも満たない様な規模であろうともだ。これより寝食を共にする場所だ。そう、我々がすし詰めになるような大きさの神社であろうともだ。敬いを以て、感謝を以て」
「止めろデイビッド!止めろ!君に悪気が無いのは解る!解るがそれは遠回しな宣戦布告だ!見ろ!」
「へぇ~~・・・・・・ほぉおぉん・・・ふぅ~ん・・・((^ω^#)ビキビキ)」
「ほら見ろ!笑顔で隠しきれない憤怒が漏れている!そういうのは口にしてはいけないんだ!日本ではわびさびなんだ!」
「本心かつ礼節のつもりで言ったんだが」
「なお悪い!!」
「ふふん。王様、あなたの財は非常に楽しい方々ですね♪」
「怒ったか?」
「いえいえ滅相もない!大恩ある王様の財で無かったら爆発四散させていたぐらいです!」
(((((怖っ!)))))
目が全く笑っていない事からも解るように、彼女は何にも縛られず浮いている。情、絆といったものにも惑わされず、成すべき事を成す。彼女は目的を果たすために邪魔ならば、どれだけ親しかろうとも排除する少女である。人間離れした合理主義。それが妖怪や強者に気に入られる所以でもあるのだ。異変騒動を解決する為なら気に入った妖怪、人間であろうと退治するおにちく巫女な一面もあるのである。
「ま、まぁそれなりに皆様思うところがあるそうですが!暫くの滞在、頑張って参りましょー!でははいこれ?男子はこれ、女子はこれ」
「「「「えっ?」」」」
「えっなんでアタシ男服?」
「何を惚けている。貴様らはレクリエーション、課題を果たすために此処に来たのであろうが」
カドックらを始め、巫女服や修行僧服を配っていく霊夢。それだけではない。買い出し表、箒、塵取り、メモ帳、大工用具・・・
「はい!というわけで課題!『博麗神社のスタッフとして務めろ』!しっかりやってね!よろしく!」
「えっ・・・!ま、まさか・・・」
スタンプを確認する。そこにはきっちりと作られた、なんと博麗デザインのスタンプ。宿を得る度に一日分のスタンプが用意されている。レクリエーションというものは行事。楽しいばかりのグランドマスターではない。無論、幻想研鑽の場である。
「ほーら課題にちゃっちゃと挑む!行きたい場所には説明とかしてあげるから、さっさと着替えて神社に貢献しなさいほらほら!王様見てらっしゃるわよ早く早く!あんたたちの輝き私に見せなさい!」
「うそ、巫女体験を出来るだなんて!アルトリア、はくのん、オフェリア、ペペ!素晴らしい事じゃないかしら!張り切って行きましょう!」
「17才、新王です。巫女のバイトやってます」
「バイトぉ!?何責任感低めな役割に甘んじようとしてるのあんた!私達はアットホームで笑いの絶えない職場!博麗神社の明日がかかってるのよ!真面目に気合い入れてやりなさい気合い入れてぇ!」
「うぐぅ」
(月の新王を締め上げてる!?)
(なんて国際問題に発展しそうな事を・・・っ!)
「ふははははははは!オルガマリーの審美眼は確かだが、貴様らの価値の査定はまだまだこれからよ!我はこれより博麗神社の補修に入る。我より働けとは言わぬが、せめてスタンプカードは埋め尽くし課題を完遂せよ!レクリエーションの催しも惰性ではない、貴様らの奮起を期待するぞ!博麗の!材木の種類を纏めよ!」
「はいっ!秘蔵のお酒と銀シャリ、沢山味わっていってくださいね!」
居間に引っ込んでいく霊夢とギル。置いていかれたグランドマスターズは顔を見合わせつつ、挫けない。
「・・・手分けしよう。外の雑草抜きや掃除は僕たちで、家の中とかは女性陣が頼む。これから御世話になる場所だ。手を抜くわけにはいかないぞ!」
「「「「了解!」」」」
「それじゃ、夕方までに終わらせよう!健闘を祈る!」
「「「おーっ!!」」」
「カドック!アタシ・・・アタシ・・・!どっちを着るべきかしら!悩むわぁ~!!」
「どちらも似合うだろう、ミョウレンジ」
「あらぁ・・・(トゥンク)」
「好きにしてくれ・・・」
そうして世界を救うグランドマスターズは、境内清掃に全力で取り組む羽目になったのだった──
キリシュタリア「・・・・・・・・・」
カドック「雑草はきちんと根まで抜かないと滅びないぞ・・・って、どうした、さっきから静かだな、キリシュタリア」
キリシュタリア「カドック・・・私は今非常に気掛かりな事がある。さっきからずっとずっと気になっている事だ」
デイビッド「キリシュタリアが悩むとは。世の成り立ちを考えていたか?」
カドック「いいや、解り始めた。キリシュタリアは多分、真面目に考えていると見せかけて・・・」
キリシュタリア「リッカ君と・・・枕投げで戦えたりするのだろうか・・・!」
カドック「ほらな・・・」
はくのん「止めておいた方がいい。死ぬ」
カドック「死ぬ!?・・・割と大袈裟じゃないかもだな・・・」
デイビッド「超次元枕投げか」
キリシュタリア「女性陣は・・・コイバナをするんだろう!?」
ペペ「そうよ~!好き好きトークするわぁ~!!」
オフェリア「マシュとコンラについて語るつもり」
ぐっちゃん(項羽様と来れずぼんやり)
カドック「が、頑張ってくれ・・・」
霊夢「こら~!サボっていいのは王様だけよ!シャケ焼いたげるから働きなさーい!」
はくのん「ネバギバ」
アイリスフィール「さっきそこで妖精を見たわわ!」
カドック(リッカ・・・オルガマリー・・・!帰ってきてくれ・・・!)
胃袋の痛みを感じながら、懸命にカドックは皆と掃除し続けた──
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