人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギルガメス「フン、雑種の集いには大いに勿体無いが、露払いとしては上出来であろう。どうだシドゥリ、塵も残らずアレらは吹き飛んだか?」

『吸い込まれました』

「何?」

『突如現れた、質量と熱量が存在しない存在・・・【宇宙の深淵】に王の一撃は吸い込まれました。今尚、敵体勢力は健在です』

「──お前にしてはつまらぬ冗談ではないかシドゥリ。質量も熱量もないだと?ならばそれは何を以て存在を定義しているのだ?」

『解りません。何も解らないのです。そうとしか言えません』

「──うむ!暫く休暇をくれてやる。恐らく疲れているのだろう。AIも疲れるとは大いに初耳だがなふはははははは」

『映像を拾いました。回します』



不定形の深淵【アッハッハハハハ、フハハハハハ、イッヒヒヒヒ、ウフフ、ヒョホホハハハハハ、キュキュキュキュクキキキキキュキュ】

「・・・なんだあれは?巨大なようにも、頼りないようにも見えるが」

『さぁ・・・。質量レベル、ゼロ。あの空間にある穴を今、無理矢理視覚化しています』

【アーッハハハハハ、キキキキ、ウフフフハヒヒヒャヒャヒャヒャ。──エヌマ・エリシュゥウ~ッヒヒヒヒヒヒ】

『魔力反応。艦隊数割が消失。──主砲に着弾。主砲、損傷により復旧が必要。あの存在はどうやら、ジグラッドの主砲を吸収した様子です。すみません、気持ち悪くなってきました』

【ヌヒヒヒ、ウヒヒヒ、ヒーッヒヒヒヒッ。アッヒャヒャヒャヒャヒャーッヒャヒャヒャヒャヒャ】



ギルガメス「・・・・・・」

『いかがなさいますか?』

「──侵入した輩の対処を行うとするか」

『はい。見なかった事にし、アレ以外の敵対勢力に攻撃します』

「うむ。・・・宇宙にはよく解らん現象が多々あるものよ・・・」


突撃最終決戦!ギルガメス婚姻式場へ殴り込め!

『どうやら無事に突入を果たしたようだな。それでこそだ!相手が相手ゆえ、一足早くマッピングしたデータを転送しておくぞ。存分に活かし、宇宙一の大うつけ!ギルガメスに引導を渡してやるがいい!案ずるな、我とは顔が同じだけの別人よ!ふははははははは!』

 

宇宙船ごとジグラッドへの突入を敢行、そして成功したリリィチームに届く愉快痛快なテンションの御機嫌極まる英雄王、略して御機嫌王は内部間取りを完全に把握した解析データを突入部隊へと渡す。其処にはギルガメスのジグラッド・・・敵の親玉にして本命の輩が何処にいるかをエアと共に解析し、送り付けたのだ。無駄な添削と無用な戦いを避けるための気遣いに、リリィは頭を下げる。

 

「見たところ防衛装置も生きているみたいだし、じゃあ破壊工作部隊は此処で御別れだね。存分に暴れまわってくるから、そっちも気を付けてね」

 

「・・・一応聞くけど、気をつけるのはギルガメスに?それとも暴れまわる事への配慮?」

 

「両方♪」

 

満面の笑みでそう告げ、敢えて防衛機能が充実したフロアにカッ飛んでいくエルキドゥ。イシュタルは呆れと共に気を引き締める。彼のレンジに入ってはいけない。まず間違いなく彼はフレンドリーファイアへの憂慮が薄い筈だから。

 

「私達ワルキューレは、脱出ルート確保の為のルーン設置作業に移ります」「戦闘には参加できないけど、たくさん魔術はかけておくからね!」「グッドラック」

 

「エルキドゥと同じチームになった事は一生の禍根になるやもしれません・・・リリィ、どうかお気をつけて。自分こそが最強セイバーという自負を忘れないようにお願い致しますね!エルキドゥ!待ってくださーい!」

 

それぞれの役割を把握し、散っていく仲間たち。だがその顔に悲愴な決意はない。あるのは揺るぎなき、勝利の確信のみだ。

 

「当方と我が愛は、スペースシップの護衛に当たる。勝ったとして、帰る家がなければそれは空しい勝利となる。我が愛の炎の様に、揺るぎない焔を勝利の篝火として掲げよう」

 

「あ、あなた・・・割と意味がわからないでしょうが、それほどやる気と言うことです。どうか、くれぐれもお気をつけて・・・」

 

「ボクらもちゃんと見ているからね!胸を張っていってらっしゃい。私達はまだ、此処に健在だということを。明るい勝利宣言、皆で一緒にお祝いしようじゃないか、ね?」

 

「そうとも!我々は警備機能のハッキングを狙うから、離れていても心は一緒さ!ギルガメスの直接討伐、なんとしても任せたからね!」

 

「そういう事だ。船長として帰りは待っていてやる!首・・・はグロいから、勝ちの報告を楽しみにしてるぞ!オレやその他の此処までの苦労、水の泡にするんじゃないぞ!解ったな!」

 

頷くリリィ、マンドリカルド、スペースイシュタル。ひょんな事から始まったこの旅路の一先ずの総決算が、すぐそこまで迫ってきている。

 

『敵性反応確認!防衛部隊が探知したみたいだ、こっちに押し寄せてくるよ!』

 

「すまないが、気の利いた言葉を贈る前に時間が来てしまったようだ。間が悪くて大変申し訳無い。その分勝利の祝辞を頑張って考えておくので・・・」

 

「はい!絶対に死なないでくださいね、ジークフリートさん!」

 

「行って、マンドリカルド!この宇宙で培った、私達の宇宙一後ろ向きな絆と結束を胸に!」

「慎ましく、細やかなパーティーが私達には似合うだろう。カレー屋の一門でやる細やかなパーティーなどがな。だからそれまで死んでくれるな!」

 

「──ありがとっす!エレちゃん!ラクシュミーちゃん!オレ、やり遂げてみせるから!」

 

『あ、ごめんよイシュタル。何だかエモーショナルな台詞を送る前に飛び出しちゃった。んーと、えーと・・・ユニヴァースの君の事は好きだよ。凄く真面目で誠実だし。でもたまには、悪いことも悪くないよ。何事もそれだけ!じゃ疲れちゃうだろうからね』

 

「・・・あなたが私に使う好意的な台詞の意味、とても重く受け止めさせてもらうわ。そちらも気を付けてね・・・!」

 

「本当はかぶり付きの特等席で見ていたいんだけど、ギルガメスの余計な怒りを買うのもよろしくない。ここはいつも通りのらりくらりと覗き見させてもらおうかな!リリィ、忘れないように!最後にモノを言うのは、自分を信じる心だと言うことを!孤高の王者に、未熟な君が勝るものがあるのだとしたらきっとそれだと私は信じている!きっと、散っていったもう一人の私もそう言う筈だよ!」

 

「マーリン・・・!」

 

「君は決して一人じゃない!君が思い描く理想郷は、きっと間違いなどでは無い筈さ!──さぁ、行ってらっしゃい!宇宙の果てにも、君達の行く末に花の祝福があらんことを!」

 

「あなたならできますよリリィ!今こそコスモ武者修行の総決算!あの花婿面している宇宙大帝に見せつけちゃってください!いやもう本当鳥肌が止まらないんでよろしくお願いいたします!私にとってのギルは──あわわ何でもないです!お気をつけて!」

 

押し寄せてきたエネミー達を引き受け、そして三人をギルガメスへの道へと導く・・・或いは退路と活路を確保するため蹴散らす仲間達の激励を受け取り、三人は振り向く事なく走り抜ける。

 

「行きましょう、マンドリカルドさん!イシュタルさん!次シーズンを迎えるために・・・!」

 

「そうっすね!陰キャだってオフ会で盛り上がれる様な未来を作る為に!」

 

「よく考えなくても、ユニヴァースの楽しいスポットほとんど潰れているものね・・・楽しい旅行をしてもらう為にも、なんとしても勝たなくちゃね」

 

『覚悟は決まったな、希望の担い手どもよ。ならば意気揚々と脚を踏み入れよ!その先の豪奢な大広間こそ!ギルガメスが待つ大式場だ!』

 

階段を上り、敵を蹴散らし、漸く辿り着いた──黄金の大門。御機嫌王の言葉に頷き合い、取っ手を強く握り締め。

 

「──行きましょう!宇宙の未来と平和を掴み取る為に!」

 

最早迷いも、恐れも無い。信頼できるかけがえのない仲間達と共に歩んできた旅路をただ信じるのみ。リリィ、マンドリカルド、スペースイシュタル。立場は違えど、心の在り方は等しく同じ。

 

「ツクヨミさんも含めた、カレーパーティーの為にも!」

 

「生きとし生ける者達の、正しき営みを守り抜く為にも・・・!」

 

「──完全無欠の結末の為にも!さぁ、進みましょう!」

 

心を一つにして、扉は開かれる。この宇宙の旅路の果てに待っていた、黄金大帝ギルガメスの待つ、黄金結婚式場へ──




ギルガメス・大結婚式場

リリィ「ここが・・・!」

イシュタル「見る限りに金ぴかで、悪趣味な此処が・・・」

マンドリカルド「オレには多分一生縁の無い、結婚式場・・・!」

調度品、照明、家財、その他の全てが黄金に煌めくミダスめいた超大広間にして結婚式場。玉座、そして新婦が座する席が用意され、其処には──

ギルガメス「フン、随分とやきもきさせてくれるではないか花嫁、そして真なるセイバーよ。アレか?我の妃になる栄誉にかしこまり、恥じらうあまり出てこれなかったのだな?ふはは、ならば許そう!その控えめで清楚、貞淑な在り方こそ我の好みドストライクなのだからな!」

リリィ「・・・宇宙大帝、ギルガメス・・・!」

「よくぞ来た!宇宙の果てたどり着きしセイバーよ!さぁ始めるぞ、我等の式の開幕だ!」

タキシード姿にてリリィを迎えるギルガメス。真の意味で、最後の戦いが幕を開ける──

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