人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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明日用事で投稿が遅くなるあるいは日を跨いじゃいそうなので、明日の分を先んじて

楽しみにしてくださるかた、お許しください!




「この阿鼻叫喚、私がなんとかするしか無いようですね・・・この、真なるルーラー!天草四郎時貞が!」


果ての在処

「召喚サークル、設置確認。霊脈確保、完了です」

 

 

 

たどり着いた島にて霊脈と召喚ラインを確保、滞りない繋がりを確保する

 

 

 

「へー、これは何かのまじないかい?験担ぎ?」

 

 

「カルデアに通信を繋げて、スムーズに要員を呼ぶためのシステムなんだよ、姉御」

 

 

「ほーん・・・未来にいきてんだねぇ・・・」

 

 

「あははっ、未来から来てるからね!」

 

 

「はい。これでますます・・・あっ、英雄王は、また・・・」

 

 

「?総督がそう言えば見えないね。何処にいったんだい?」

 

 

「霊脈のラインにつくとフラーッとどっか行っちゃうんだよね、ギル」

 

「怪しいことでもやってるんじゃないかねぇ・・・ほら、アイツも男だし?」

 

 

「それでも私はギルが好き!」

 

「先輩!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『向こうが騒がしいですね、ギル』

 

 

「害あるものではないのだ。放っておけ」

 

 

霊脈のツボを見定め、的確なポイントめがけ、聖杯を取りだし埋め込む

 

 

「よし。此度の聖杯、さぞかし磯臭くなるであろうが・・・まぁ贅沢は言うまい」

 

 

――この時代全てを汲み取る聖杯の受容器を設置する。特異点攻略の暁には、この世界総ての因子をこの聖杯が汲み取るだろう

 

 

フランス、ローマ、そしてここ。上手くいけば、三つの『世界』を獲得することができるのだ。天空、地、そして英雄の魂を余すことなく汲み上げた、大聖杯ならぬ『界聖杯』である

 

 

――未だ使い途は見つからないが、しっかり貯蓄しておこう

 

 

・・・いや、財を選別していたさい見つけた『アレ』の完全起動に使う日が来るかもしれない。真の力を発揮させるには、界聖杯が合計6つ程必要になると思うが・・・

 

 

『・・・聖杯を見ていると、思い出します。貴方が私を救ってくださったあの日を』

 

ぽつり、とオルガマリーが呟く

 

――忘れるはずもない。フユキにて、オルガマリーに聖杯を託し、彼女は生き延びた

 

 

『奇跡なんて、自分には過ぎたものだと思っていたけど・・・貴方から賜ったものは、私の一番の宝物です』

 

オルガマリーの感謝が、伝わってくる

 

 

『何度でも、言わせてください。ありがとう、ギル・・・』

 

「フッ。あの時の癇癪は何処へやら、であるな。やはり素直で貞淑な方が愛いではないか、オルガマリー」

 

『きょっ、きょきょ、恐縮です!』

 

『なんだなんだ、色恋沙汰か?余に相談すればたちどころに解決してやるぞ?』

 

覇気みなぎる、硬質な声音。征服王、イスカンダルだ

 

「たわけ、諸とも蹂躙するのを仲介とは言わん」

 

『わはは!抱かれてみれば世界が変わるものよ!余は!あらゆる快楽の臨界を極めし王であるからな!』

 

「フン。貴様の恋愛観は現代では絶滅危惧よ。偉そうなことをほざく前に、積まれた恋愛ゲームの一本でも消化したらどうだ?」

 

 

『あんなものが余に出来るはずが無かろうが!『あなたのことは嫌いじゃないけど噂されると恥ずかしいの』だと!?そんな浮わついた心構えでこの征服王とくつわを並べるなど言語道断!貴様など此方から願い下げだ!』

 

 

「細々としたフラグ管理は貴様は不得手か。我も苦手よ。理由もなく暴力を振るうヒロインなぞ頭蓋を砕きたくなる」

 

――そんなゲームあるんですか・・・知らなかった

 

ほのぼの系ゲームがあったらやってみたい。どうぶつと交流するとか、牧場経営とか、いいなぁ

 

「まぁそんな話はよい。征服王、この特異点に、何か思うところは無いのか?」

 

『?』

 

「ここに陸地はない。四方が海であり、どこにもたどり着ける場所は無い。そら、心当たりはないか征服王、貴様が求めたものであろう?」

 

 

――征服王が、求めるもの?

 

 

「『果ての海(オケアノス)』・・・ここはそう呼ぶに相応しかろうよ」

 

 

『・・・・・・あぁ、うん。そういうことか』

 

 

――オケアノス?聞いたことのない地名だ

 

 

『オケアノス・・・地球が丸くなかったと信じられていた時代、世界の果てにあるという大海ですね。何も存在するものはなく、ただ波の音が響き渡るという伝説の海ですね』

 

 

「こやつはそれを目指して東へと向かっていき、ついでに世界を征服仕掛けたのだ。夢に生き、覇道に生きた愉快な王よな」

 

――この征服王にも、求めるものがあったのか・・・あらゆる物を手にいれた、この覇王にも

 

『むぅ、確かに思うところは交々ある。そこは確かに果てのない海、ともすりゃ、本当にオケアノス、なのかもしれんな』

 

「ではどうする?本懐を果たしたとし、座から消えるか?」

 

――座から、消える?

 

 

『・・・可能なのですか?そんな事が』

 

「出来るとも。英雄とは未練にすがり、世界に焼き付いた亡霊だ。奴等は皆、果たせなかった未練や矜持に従い世界に召し上げられている」

 

――英霊の座と呼ばれる場所に、永遠に記録される、だったか

 

「焼き付いた亡霊故、その未練は果たされぬ。当然であろう。未練無くば英雄になぞなるものか。・・・故に。二度めの生、サーヴァントとして悔いややり残したものを総て清算したとき――」

 

 

――その英雄は

 

「――英雄は『無』に至る。未だかつて誰も到達したことのない、完全無欠の『消失』に至るのだ。未だ、其処にたどり着いた馬鹿者はおらぬがな」

 

 

――やり残しや未練を清算したとき、英雄は無に至る

 

――英雄は、未練や矜持を重んじ世界に在る存在

 

・・・――英雄王が座にいる理由は解る。時の果てまで、そこにある総てを見定める為に、彼は座に君臨しているのだろう

 

 

――では、英雄王も、総てを終えたら、消えてしまう日が来るという事なのか・・・

 

――胸が、痛い。なんだろう、この気持ちは

 

・・・彼の傍らには、その瞬間まで・・・誰もいないという事なのか・・・

 

 

『なぁにを言うとる。余はそんな世迷い言を鵜呑みにはせんぞ?』

 

 

派手に大笑する征服王、スピーカーが近いので爆音だ

 

 

『単に余は、その海が誰ぞに誂えられたというのが気に食わぬまでのこと!この征服王イスカンダルが、誰かに拵えてもらったゴールなどでこの胸の高鳴りを抑えられるはずが無かろうて!』

 

 

「フッ、それはそうよな。そんなもの、貴様は踏み砕こうよ」

 

『然り!余の遠征は果てしなく、それらは誰かの赦しや称賛を得るためでなく!我等が定めた果てへ、我等が目指した最果てへ至る為の行軍である!それを――名前が同じだけの海なんぞで阻めるわけが無かろうて!』

 

ガハハ、と笑いをあげる

 

『余の脚の歩みを止められるのは――他でもない!余自身の胸の高鳴りに他ならぬ!!』

 

 

――それが、征服王の覇道。それがイスカンダルの、遥かなる歩み・・・

 

 

 

「そうか。ならこの下らぬ海、我が濾過してこし取るに異論はないな?」

 

 

『おうとも!・・・しかしな、英雄王』

 

「ん?」

 

 

『此度の元凶の首級、余に取らせてはくれぬか?まぁ相手がなんであるかは知らんのだが・・・』

 

 

・・・総身が粟立つ。あふれでる覇気に、凡庸な魂が気圧される

 

 

『――余の夢を侮辱した無礼、その身を以て償わせてやらねばなるまいて』

 

 

――英雄王の庇護で命拾いした。怒気を纏った覇王の覇気など、まともに受けていたら魂など砕け散っていただろう

 

――畏怖の感情がもたげてくる。これが、世界を蹂躙せし王の覇気・・・

 

 

・・・だ、だけど。自分が最も信ずる王はそれにけして劣らぬ王だと信じている。そもそも王道は比べるものじゃない筈だ。それぞれ生きた時代、治めた治世、辿った歴史がまるきり違うのだから比べようなんて無いと思う

 

 

「貴様の所感はどうでもよいが、オルガマリーを気絶させるのは控えよ。泡を吹いているではないか」

 

『おぉすまんすまん!シャキッとせんか!わはは、いつぞやこんなやり取りをした気がするのう!』

 

 

――オルガマリー、災難だなぁ・・・

 

「――まぁよい。貴様の要望、マスターに伝えておこう。正直なところ、あのような肉塊、誰が誅そうがどうでもよい」

 

 

『わはは、物わかりがいいのぅ!今の貴様と問答したかったわい!』

 

「あの問答は外野の議論が絶えぬ。素人の創作では扱えぬ話題と知れ」

 

――二人の王の会話が弾む最中

 

 

異変は起きた

 

 

 

大地が揺れる。世界そのものが鳴動し、揺らいでいる

 

 

「む?地震か」

 

――う、器が動じないから平静を保っていられるけれど!こわい!ゆれてる!本能的に恐怖がつきまとってくる!

 

 

『ギル!――、――!』

 

『む?貴様の姿が見え――、――』

 

通信が遠ざかり、オルガマリーと征服王の声が聞こえなくなる

 

 

「不調か?今のカルデアの設備を遮る辺り、ただの故障ではないようだな」

 

がっしりと腕を組み、天を睨む器

 

 

「――どうやら、新たな波乱が起きそうな予感がするではないか」

 

――地面が揺れるの、怖いです・・・

 




「分配して作る、ですか?」


「はい。貴女が猛進して作った麻婆と、部員や皆様にアドバイスしてもらった手順や秘訣通りに作る麻婆を用意するのです。一つの料理に二つの味わい。きっと喜ばれますよ」

「成る程・・・確かにいろんな方下さった助言を無下にするなんて無礼ですものね!解りました!私の麻婆と、部員の皆様やエミヤさん、キャットさんのアドバイスを活かした麻婆を作ってみます!」

「えぇ、それがよろしいかと。誰が何を貴方に吹き込ん・・・助言したかは私が把握していますので、的確に返礼いたしましょう。激辛調味料や香辛料を面白半分に勧めた方には、それ相応の代償を払ってもらう、ということで。因果応報が、かの部の教訓な様ですから」

「???よく分かりませんが、ダメですよ天草さん!この世界に、誰かを陥れてほくそ笑む方なんているはずがありません!」

「・・・はい?」

「部員の皆様は、皆いい人です!料理のイロハも知らないこんな私に、真摯なアドバイスや支給を送ってくださいました!彼等の行いや振るまいに、私は主の慈悲を垣間見たのです!誰かの成功を願う無償の愛!人の善き心を!天草四郎時貞!ジャンヌ・ダルクの名に懸けて、素晴らしき部員の彼等を害することは絶対に許しませんからね!ハレルヤしますよ!」

「・・・、はい。解りました。今の言動で充分罰にはなったでしょうしね」

「?よーし!作りますよー!英雄王の分!皆さんの分!二倍頑張りますよー!」


「・・・英雄王一人の犠牲で総てを救う。これが天秤の護り手、正義の味方クオリティですか・・・」


『まぁぼぉ・ぶいんのみなちんへ』

『まぁぼぉ・えぇゆうおぉへ』


「やりますよー!!」


「字ぃ――――!!!」

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