人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギル「アトランティス・ボーダーの状況はどうか!」

ネモ「問題ない、大丈夫。ポセイドンはサメよりもシャチよりも強靭、クジラよりも巨大なんだからね」

──大きい!凄い!説明不要ですね!

マルドゥーク『Σ(゚Д゚〃)』

──もちろん、マルドゥーク神が一番ですよっ!

『(о´∀`о)』

ギル「ZIPANGはあくまで仕上げだ、本懐はギルガメス艦隊だ!最終調整を急がせよ!」

マリーンズ「「「「まかせろー!!」」」」


ギル「これで『眼』は確保したも同然。後は決戦を待つのみ──」

イザナミ『そんなぁ!?もう帰っちゃうんですかぁ!?』

──!?

『しゅん・・・必ずまた来てくださいね!待ってますよー!!』

──か、回線チャンネル・・・開いてませんよね・・・?

ギル「──外界から切り離した理由が読めたぞ。確かにこれ程の力、憎悪に染まればマガハラの二の舞であろうな──」


来ました!アナヤZIPANG!

「皆様、本当に申し訳ありませんでした。そして我々の宙域、ZIPANGへようこそ。何故試練を課したのか、何故鎖国を行ったのか。疑問の数々にお答えいたします、楽園の皆様。私の名はアマテラス。神霊の和魂の側面を顕しこのシーズンにて在る神の一柱にてございます。何卒お見知りおきを・・・」

 

試練を乗り越え、いよいよ脚を踏み入れたZIPANG。突破した先にて待ち受けていた男女の神々は、友好的に言葉を交わす。紅い隈取、白き羽衣。安穏と温和な日光が形になったかのような女性が頭を下げる。彼女こそはアマテラス。楽園にいるワンコをそのまま人にしたような慈母が、柔和な挨拶を口にする。

 

(あまこー!あまこーの擬人化ですね!?これはリッカちゃんに写真ブロマイドをお土産に選ぶしか無いですね!)

 

(手を合わせておこう。連勤明けの朝日には心を洗われているからな・・・いつもありがとう、太陽よ・・・)

 

「ほら、ツクヨミ?挨拶をなさいな。あなたの神業を突破した選ばれし勇者ですよ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・ツクヨミ・・・です・・・ご迷惑を御掛けしました・・・影が薄いから・・・張り切っちゃって・・・すみません、ごめんなさい・・・」

 

うつむき、月光の様な儚げな雰囲気を漂わせる黒き長髪の美女はツクヨミと名乗り、所在無さげに頭を下げるその姿は、とある数名にシンパシーと共感をもたらす。

 

(こ、この人・・・人?いや神か!間違い、間違いない・・・!このキョドり、あの視線の運び方!)

 

(影が薄いという悩み・・・!そして夜と月と言うポジション!ま、間違いないのだわ!これは確信してしまったのだわ!)

 

((彼女は同じ、陰の者・・・!!))

 

「・・・め、めっちゃ見られてる・・・姉さん、めっちゃ見られてます、あたし、あ、いやわらわ・・・すみません・・・すみません・・・」

 

「自信を持ちなさい。あの視線は友好的な接し方を望んでいるのですよ。影が薄いというのも思い込みです。あなたは・・・そう。其処に在るだけで素晴らしいのです」

 

「うぅ、全肯定太陽姉さん助かる・・・」

 

「貴様!畏れ多くも我等を試したと言うのか・・・?他の輩はともかく!この妹を!ディオスクロイを死地に晒すとは!!」

 

「兄様!」

 

「ピエッ・・・」

 

ディオスクロイの怒りに気圧され、アマテラスの背後に隠れるツクヨミ。剣呑な雰囲気を撒き散らすカストロが歩み寄る前に、一つの影が素早く割って入る。

 

「すまん!!ごめん!!!」

 

素早く頭を、最敬礼レベルに下げる筋骨隆々の青年。逆巻く真紅の怒髪を深々と垂らし、謝罪の意を全力で示す神格。彼もまた、ZIPANGを守護する神格の一柱。

 

「オレはスサノオだ!母ちゃんとZIPANGを護るための試練を考えたのはオレだ!タケルが、いんふら?いんふらを禁止したから物理的な試練を担当したんだ!責任はオレにある!姉ちゃんと母ちゃんを責めないでやってくれ!頼む!何でもするから!」

 

「ん?今何でもするって?」

 

「マーリン!・・・あなたたちは、日本の神々なのですね。しかも、最高神に近しい立場の・・・」

 

楽園の一行からしてみれば、知らない存在ではない。アマテラスは楽園に様々な姿で顕れ力を貸してくれているし、彼等の力を取り込み自在に扱った女神の存在を知っている。アマノザコ・・・日本のロストベルトを製作したイザナミの産み出した女神が取り込んだ神々だ。日本神話の三貴神が、楽園の皆を、こうして迎えてくれている状況の特異さとフランクさに、一行は困惑と動揺を隠しきれない。

 

「知っているのか!オレたちはイザナミ母ちゃんのやりたい事、全宇宙の皆が安らぐようなリゾートを作り上げる夢を助けるためにいる神様!子供たちのリーダーだ!」

 

 

「・・・この状況でも、優しさと労りを忘れないなんて。そのイザナミ様っていうのはさっきの大声で話していた元気な女性の方?」

 

イシュタルの言葉に頷く・・・誇らしげに、ちょっと気まずげに・・・ツクヨミ、アマテラス。スペース組には目新しいやもしれぬが、楽園組の者には非常に馴染み深い。あなやと笑顔で飴ちゃんと笑顔を振り撒いてくれるおばあちゃん。それこそがイザナミ。肝心な時にしか役に立たない八百万のお母さんである。

 

「そうなんだ!ZIPANGは誰も拒まず、誰も敵対せずな、中立と安全地帯を目指して宇宙進出の為の地盤固めを行っている!最近それが漸く形になってきた!それがZIPANG精神、オモテナシを体現したこのリゾート温泉街なんだぞ!」

 

(この方向性が迷子なネオン温泉街がイザナミ様の意向・・・)

 

((((あの女神はこういう事する))))

 

楽園組は深く頷いている。どんな時でも誰かを労り、思いやる神様らしい慈愛に満ちたおばあちゃんなイザナミなら。テンションがハイ過ぎるのが玉に瑕なのかもしれないが。

 

「あ、あの・・・じゃあなんでインフラを全部カットみたいな真似を?」

 

「イザナミ御母様は人を疑う、裏切るといった事を知りません。全存在自分の子供!と真面目に言っちゃう・・・その・・・社会で生きていけないタイプの優しい御母様なので・・・」

 

「詐欺、とか、悪意とか。完璧見抜けるんだけど・・・『人を騙したり、貶めたりするのには理由がきっとあるはず!』って、気持ちを汲んじゃう方・・・だから、そんな御母様・・・悪徳セールスとかに弱いから・・・」

 

「完璧に対策と対応が出来るまで、インフラを全部母ちゃんには禁止してたんだ!リゾートが出来るまでの辛抱だって!で、今シーズンで漸く準備が整ったんだけど・・・」

 

その時、あの始まりが些細に過ぎる宇宙の惨劇が起きた。イザナミが所有する世界を産み出した事により備わる、アマノヌマボコの対粛清防御の顕現により星と宙域は完璧に防御されて事なきを得たと言うが・・・

 

(対粛清防御だなんて、最大級のワールドガードじゃないか!エヌマ・エリシュだって防ぎきれる、オジマンディアスが持っているクラスのガードを・・・!)

 

(それは確かに無事なのだわ・・・やっぱり御母様は凄い存在なのね!)

 

「今こそ宇宙が安らぎを求めている。私達もZIPANGを解放する時と決議したのですが・・・我々は気付きました。宇宙に蔓延する、憎悪の火種。今を生きるサーヴァント達の存在を認めぬ者の思惑が漏れだしていた事を」

 

一同は驚愕を露にする。その憎悪にいち早く気付き、察知し、対策を行っていたというのだ。カストロ、マリー、エキドナ・・・それらに撒かれた憎悪の存在。

 

「そ、それは誰なんだい!?宇宙を覆い尽くす程の憎悪なんて、誰が懐くと言うんだい!?」

 

「そろそろネタバレしてもいいんじゃないかい?我々はいずれ、それらとも戦わなくてはならないんだ。情報はあればあるほどいいのだからね!」

 

ロマン、そしてダ・ヴィンチちゃんの問いかけに、三柱は頷く。

 

「・・・教えましょう」

 

「試練を乗り越えたお前達なら、きっと大丈夫だ。オレ達は、イザナミ母ちゃんが憎悪に染まる事を何より恐れていた」

 

「お、御母様が憎悪に、万が一でも染まったら・・・ZIPANGは、全宇宙を覆い尽くす・・・だから・・・」

 

「──憎悪の根源は、深紅の宇宙。女神こそが宇宙であり、宇宙が女神であった遥かなる太古の宙域に在りし一柱の憎悪」

 

アマテラスは、一瞬だけイシュタルを見、そして願いと想いを信じ、真実の一端を告げた。

 

「蒼き銀河の前身、旧き深紅の忘れ去られし女神。人が女神より離れし事を憎んだ一柱が、憎悪の火種を撒いたのです。新たに、自らの宇宙を蘇らせる一助として──」




イザナミ『おぉーい~!お話は終わりましたかぁー!積もる話はありますでしょうが!どぞどぞ疲れをお癒しくださいませー!イザナミ御殿!イザナミ御殿にどうぞお越しを~!』

イアソン「やかましいなこのおばば!?今大事な話してるんだよ!」

イザナミ『妾だって皆様と大事なお話したいのです~!色々聞きたいのです!引きこもりが過ぎるのですから妾!お話したいお話したい~!あーなーやー!』

アマテラス「あははは・・・まぁその憎悪は今は種火、処理はこのシーズンの果てに必ずや。今はお義母様とお話ください」

スサノオ「フリーパスにもしておく!楽しんでくれ!」

ツクヨミ「・・・あ、案内は・・・」

「吾がやろう」

イザナミの下へと招くもの、それもまた──見知りし者。

タケル「タケルです。──オイデヤス」

それは、贅沢極まるキャストの武神──

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