(・・・とびきり可愛らしくなったキャスパリーグと、あのお姫様か・・・。うん、いい!凄くいい!)
「めんどくさくてほっといたフランスも綺麗になったし、ボクもいっそ赴いちゃおうかな!」
「徒歩?そんなわけないじゃん!──マウンテンバイクでだよ!」
【これが・・・フランスの、私の輝き・・・】
クリスタルドレス。マリー・アントワネットの王権を示す、白百合のドレスの形をしたマリーの威光そのもの。それをエアは、マリーの同意を得て解放する。それは黒百合の王妃に届ける為に借りた、彼女の、彼女だけの栄光。それが形となる。
「はい。これがあなたが集めたもの。これが、マリー・アントワネットが集めた愛、栄光。いくら犯そうと、汚そうと、けして消えない愛の形です。あなたに、今こそ届けます」
エアの纏いしドレスが、黒百合の王妃にも同じ様に纏われる。そして、その輝きは曇天のフランスを貫き、煌めく栄光が降り注ぐ。それらは、肥大した憎悪すらを貫く、満点の星のような綺羅星。フランスに降り注ぐその耀きこそは、マリーが集め、振り撒いた・・・
『僕は君を愛していたよ。それが叶わないのはまぁ、人生ってそんなもんだしね。だけど愛する、恋するというのは理屈じゃあ語れないものさ。まぁ嬉しくも無いだろうけど、その気持ちは本当だよ。今もね』
【・・・アマデウス・・・】
笑顔で、王妃に愛を告げる音楽家。音楽と共に生き、音楽のみしか愛さなかった者が、恋を捧げた唯一無二の相手。それこそがマリー・アントワネット。
『我等が誇り、我等が象徴。煌めきの王妃、我が剣と誇りは永遠に。あなたに忠誠を誓います。──私の全てを懸けて』
【デオン・・・】
例え黒く染まろうと、例え憎悪に堕ちようと、変わらぬ忠誠と剣を捧げ続けた白百合の騎士、シュヴァリエ・デオン。その真っ直ぐに向けられた視線はただ一人。王妃たるマリー・アントワネットに向けられている。彼女にのみ、永遠に捧げられた誓いの言葉と剣。
『君を殺すために、こんなものを作ったわけではないんだ。君を害するために作ったものではないんだ。誰より奮闘し、誰よりもフランスを愛した君を、こんなもので終わらせていい筈が無かったのに』
【サンソン・・・】
処刑人として、悩み、苦しみ続けたサンソン。王妃としての彼女を害し、首を落とした事を悔やみ、生涯の悔恨に、霊基に刻まれる程の想いを寄せた男。彼女の喪失を誰よりも悼んだ、哀しんだ優しい男。
『その輝きに栄光を!』『その煌めきに永遠を!』『いつまでも、いつまでも貴女と王家に、繁栄を!』
『『『『フランスに、栄光あれ!!』』』』
【フランスの、民達・・・】
どれだけ憎もうと、どれだけ蔑もうと、決して記憶と想いから消え去りはしない。殺したい程に憎しみ、そして、そんな憎悪よりも何倍も大きく想い続けた──フランスに生きる全ての民達。
《目を見開き見るがいい。これはお前が集めた憧憬、そしてお前が積み上げた全て。王妃に捧げられた絢爛の記憶だ》
王が傍らに立ち、マリーの手を取り立ち上がらせる。そして王宮のテラスに連れ、扉を開ける。そこに広がる、当たり前の報奨と景色を垣間見せる。
【──あぁ・・・】
其処に広がっていた景色。それは先の暗雲と血染めの空、糞尿にまみれていた憎悪のフランスではない。テラスに止まる鳩が飛び立ち、風船が飛び立つ絢爛の晴天。清涼な空気と突き抜ける空。清らかな噴水の水と、万雷の喝采と共に行われるパレード。一人の王妃に捧げられた、愛に満ちたフランスの姿。誰もが笑顔で、誰もが偽り無い称賛を贈る、憎悪を振り払ったフランスの姿。
『憎しみの裏には愛が満ちている。君の心象がこの星と言うのなら、ここに拡がっている世界だって君が掲げるべきフランスの姿だよ!』
民達が笑顔で、マリーを見つめている。唯一無二の王妃を愛している。フランスの全てが、彼女を愛している。尽きぬ憎悪の反対、無上の歓喜と祝福。そしてそれから生まれる、至上の愛。彼女が勝ち取り、彼女に捧げられた無償の愛。
『どうかしら?私達が生きた、恋し、愛したフランスの姿。憎悪も刺激的かもしれないけれど・・・やっぱり、こっちの方がいいと思わない?』
彼女の隣に現れる、もう一人の王妃。黒百合の王妃の対となる、クラスカードに乗せた、プレシャスパワーで形とした、マリー・アントワネット。
【・・・憎いとばかり思っていた。消えてしまえばいいと思っていた。でも、それは間違っていたのね。こんなに輝かしい景色を消そうとしていた私は・・・】
『いいえ、間違いでは無いわ。その気持ち、その想いだって私のもの。あなたは私よ、確かに私の一部。大切なものを踏みにじられて、憎しみを懐くであろう私そのものよ。ね、エア?ゴージャス様?フォウ?』
頷く三者。心とは多様なもの。憎しみと愛は共に織られ、編まれるもの。だからこそ本当の存在などといったものはない。人は誰でも、醜い部分と素晴らしい部分を持っている。
《身体つきは全く好みではないが、その苛烈さと鮮烈さは実に我好みの積極さだぞ。綺麗な華には刺がある。我が至宝の毒舌の様にな!》
「そっ、それは今指摘するべきものではないのでは無いでしょうか!?これが、口は災いの元・・・!」
『はあぁあぁあぁあぁあぁあ!?この抜群のスタイルの良さが解らないとか頭エクスカリバーかよオマエ!!王妃、ここにいるゴージャスの戯れ言はお気になさらず。心に決めた運命がいるボクですら揺らがされるその抜群なフランスの栄光・・・えぇ、ボクもブリオッシュドカ食いするというものです!』
《節操が無いと言う言葉は貴様の為にある言葉よな!エアという運命がいるならば目移りなどするでないわ!!》
『黙れェ!!エアは殿堂入りなんだ、何にも侵されぬ聖域なんだ!!素晴らしいものに素晴らしいと言って何が悪い!!グランドバトルするのか金ぴかぁ!!』
《よくぞほざいた!其処に直れ珍獣ゥ!!》
「ふ、二人とも・・・!・・・と、ともかく。この景色を貴女に届けたかったのです。憎しみだけでは決して終わらない、マリー・アントワネットの輝かしい一面を!世界を!」
リアルファイトに発展した大切な存在を置いておき、エアがマリーと共に黒き王妃に示す。それは、憎悪と共に回るもう一つの紋様。愛と希望の証。マリー・アントワネットの心象の景色。
【──でも、私は・・・愛する子を・・・】
『あら?まだ見えないの?あなたに誰よりもお礼を言いたいであろう者は、あなたが一番御存知なのではなくて?』
紛れもない愛を示してもなお、それを受け入れることを躊躇う黒き王妃に、マリーは告げる。彼女の、自身の心には。けして消えずにずっと懐いていたもの。
『──母上!』
【・・・!!】
彼女に歩み寄る、王妃が誰よりも何よりも愛したもの。彼女が信じ、掲げる愛が心象にて形となったもの。どれだけ汚されようと、どれだけ害されようと、微塵も変わらぬ愛の証明。
『母上、僕を産んでくれて・・・本当に、本当にありがとうございました!』
【ルイ・・・!!】
それは、彼女が何よりも愛した──最愛の息子。
『僕は!母上が・・・母上が愛したこの国が大好きです!いつまでも、いつまでも・・・!だからどうか、誇ってください!貴女の国を!どうか告げて下さい!貴女の愛したこの国に!』
【・・・・・・えぇ、そうね。そう・・・私達は、愛していたわ。愛していたのよ。この国を。民達を。その全てを。──ずっと見失っていた想いを、口にするわ・・・】
『えぇ、そう。私達は告げるのよ!これまでも、これからも、いつまでも!』
『【──
民達に向け白き王妃が手を振り、黒き王妃が最愛の子を抱き寄せ、真に憎悪を振り払う言葉を告げる。これこそが──憎悪による革命の終焉──
エア「・・・良かった・・・」
フォウ『コノヤロー!!エアのスタイルはボクの理想だ!そこはナイスだギル!!』
ギル《であろう、であろう!我が肉体の女体だ、如何なる至宝をも消し飛ばす美貌である!それに至尊の魂が宿ったのだ、最早並ぶ女など無いわ!!》
「・・・何故、尊重しながら殴りあっているのです・・・?」
?「ふふふ、あははは!いや、素晴らしい!素晴らしいな君達は!遠巻きで視ているつもりが、最善席でかぶりついてしまっていたよ!まさか、こんなに素晴らしい物語を見落としていたなんて!」
瞬間、華のような風が吹きエアの肌をくすぐる。聞きなれた、でも違うような声音が届き、エアは振り向く
「?──フォウ?」
その声の先にいた者は──人の姿を取ったフォウとそっくりで、でも異なる悪戯げな笑みを浮かべる女性。
『クソ野郎の気配!?』
《む?──この気配、もしや・・・》
「貴女は・・・」
「あっ、いけない。ついついステージに上がってしまった。うっかりうっかり。でも上がったものは仕方無い。サインねだりがてら名乗ってしまおうか。ようこそ、尊きお姫様とそのファン達!ここは宇宙、そしてぼ・・・私は謎に満ちた花のお姉さん!そうだな・・・真名はとりあえず伏せよう!私はハッピーエンド大好きお姉さん!呼ぶならそう!──マギ☆マリと呼んでくれたまえ!」
フォウとそっくりな少女は、エアの手の甲にキスと共にそう告げる。エアがキョトンと、ギルが笑いを堪え、フォウが殺意に牙を剥き出す反応を楽しむように笑いながら──
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