~
そうか、今は君、そんな感じなんだね。これは参った。いつか来るかと思っていた中でとびきりの悪夢だよ。
いや?それも勿論君だろう?聖女じゃあるまいし、君がそうなる背景だって山程あるだろうし。
あぁ、じゃあ今の君下ネタOKかい?君に聴かせるのは気が引けた曲、たくさんあるんだ。
聞いていきなよ、マリア。笑っちゃうような駄曲を捧げちゃうぜ──
~
マリア【・・・】
『歌詞』
【・・・奏でた曲が愛の曲ばかりだなんて。あなたは何に恋をしていたの?アマデウス・・・】
~
──フォウ、行こう!
フォウ(うん、任せて!)
──ギル、どうか共に!
《無論だ。お前の愉悦は我の愉悦よ!》
──よろしくね、ギルギルマシン!ヘルメット・・・
──行きます!!
【さぁ!憎んでも飽きたらないフランスの民達!私がかつて愛した恥の具現フランスの民達に、今日も私の想いを捧げましょう!】
フランスの地、中央広場の処刑台にて高らかに声を上げるは、憎悪の王妃マリー・アントワネット。黒きドレスに比類なきスタイルの肢体、死人の色の肌に黄金の瞳を輝かせ、謳うように民達に声を投げ掛ける。それは愛の演説などではない。彼女の足下には、ギロチンを支える紐を結んだ杭がある。そのギロチンには、同じく民の首が捧げられている。皆、憎悪と怨嗟にてマリーを見上げ、罵詈雑言を叩き付けている。彼女は今、罵声の喝采を一身に受けていた。
【呪われろ、悪の王妃め!】【フランスの恥め!】【王家の腐敗、悪夢の毒華め・・・!】
【罵るといいわ、嘲るといいわ。貶めるといいわ!貴方達に赦されるのはそれだけだもの。貴方達に出来るのはそれだけだもの!あぁ、気持ちがいいわ!貴方達の歯軋りと憎しみをこの身に受けるのはこんなにも気持ちがいい!】
マリーは手にした鞭にて民達を打ち据える。いばらで編まれた特製の鞭が、瞬く間に集まった民とギロチンにかけられた民達を血塗れに染めていく。悲鳴と鮮血が、広場に響き渡った。黒き暗雲に彩られた、戦慄の舞踏会。
【民と言うものは素晴らしいわ。捧げ、貢ぎ、増え、肥えて。わたしの胸を満たしてくださる。その労働で、その生で、その無様な足掻きで。本当に素敵よ。その最たるものが繁殖力よ。殺しても殺しても、貴方たちは湧き出てくれるわ。最初から貴方達を活用しておけばよかったわ。ねぇ?】
【がっ、あがっ・・・!】
【貴方達を苦しめるのがこんなにも楽しい事だなんて。私は損をしていたわ。ねぇ?あなたも素敵と思うでしょう?これがあなたの望んだマリーよ。貴方達の望んだ、革命の王妃!貴方達が憎み、滅ぼしたいと願った王妃!貴方達の血と涙と、憎悪と怨嗟を以て咲き誇る黒百合の王妃!私は貴方達に教えてもらったわ!【正義の下に行う行為は何よりも気持ちがいい】!そうよ、告白いたします!私は今、とても楽しい!貴方達が苦しめば苦しむ程にとても楽しくて楽しくて堪らないの!】
民の頭を砕けんばかりに踏みにじるマリー。彼女は今、酔っていた。民と犠牲と、自らの憎悪の昂りに。デオンと、サンソンは言葉もなく彼女を見つめる。──彼女を止める資格はフランスの何処にも無い。誰もが彼女を裏切り、誰もが彼女を糾弾し、誰もが彼女の滅びを願った。
【そう──どうかこの破滅が永遠でありますように!貴方達の苦痛と嘆きが永劫でありますように!もっともっと私に捧げてくださいな。貴方達の愚かで無様な嘆きと苦しみを!】
彼女はそれでも赦した。民達に幸せを願い、フランスの幸せを祈り続けた。怨みなど、懐くこと等なかった。女神のように、女神よりも気高く誇り高くあった王妃であったのに。
時代は、彼女のみに飽きたらず彼女の愛する者にも犠牲を求めた。民は、彼女を失墜し辱しめる為に、彼女の周囲に犠牲をもたらした。その行いは、彼女の心に燻り続ける染みを刻み込んだ。そう──。
【赦しはしないわ。貴方達を私は赦しはしない!私はフランスの全てを憎んでいるわ!過去も、未来も、貴方達一人一人を憎んでいる!】
忘れない。赦さない。けして消えること無い憎悪の炎。鉛のように重く、けして絶える事の無い暗き炎。かつて王宮から振る舞った言葉を、憎悪と共に叩き付けているのだ。
【どうか、貴方達に呪いがありますように!この世全ての悪がもたらされますように!幸福と喜びは私だけのものよ。貴方達にもたらされるものなど何もない。あるのは冷たいギロチンの刃だけ!】
フランスという国の全てに尽きぬ憎しみを。フランスに生きる全ての者達に尽きぬ敵意と悪意を。
【あぁ、喝采なさって!フランスという国の滅亡と破滅を!フランスという国の愚かしさを!そして讃えていただけたなら幸いです。私と言う、フランスが産み出した王妃の在り方を!愚かなる民を、国を愛した誰よりも無様で滑稽な王妃の存在を!】
彼女がもし、宇宙のシーズンを握るような事があれば宇宙は滅亡に向かうだろう。彼女はフランスの頂点。そんな彼女の下にあるものは全てがフランスであるのだから。そんな彼女が、フランスとなった宇宙に決して容赦などするまい。彼女は全てを憎み、滅ぼすまで決して終わらないだろう。屍で作られた王宮に、一人血の湯あみをするのだろう。憎悪と怨嗟の喝采を浴びるのだろう。
【どうか、私だけが幸せでありますように!私は王妃、マリー・アントワネット!私は誰よりも──誰よりも!私を愛しているわ!私自身を!私だけを愛しているわ!これからも、これからも!ずっとずっと!貴方達の望んだままに!貴方達の望んだ王妃として振る舞いましょう!──さぁ、デオン、サンソン?讃えなさい?あるでしょう?フランスを、私を讃える言葉が。おぞましくて私は口にしたくないわ。反吐が出るもの。貴方達が口になさって?】
「・・・マリア・・・」
【──・・・】
【・・・・・・いいえ、やっぱり結構よ。貴方達に言われても、何も響かないもの】
本当に言ってほしい相手はもう何処にもいないし、言う必要もない。これからも自身は謳い続けるのだろう。自身を唯一無二のフランスとして。尽きぬ憎悪を歌にして。
【さぁ、始めましょう。サンソン?デオン?また繰り返しましょう。どうせ、すぐにまた元通りなのだもの。何を躊躇う必要があるの?】
【・・・王妃の・・・望むままに・・・】
デオンが、黒百合の騎士が歩み寄る。
【さぁ、サンソン?貴方の役割を果たしなさい?私にしたように、民にしたように。私はそんなあなたが好きよ?ごめんなさいね。靴を踏んでしまって】
「──・・・」
無言で剣を構えるデオン、断首の剣を構え、刃を結ぶ紐を断ち切らんとするサンソン。彼等もまた、王妃が憎む者達。彼等に王妃を止めることは叶わない。
【・・・・・・・・・】
王妃は満足げに見据える。フランスへの迫害を、フランスの滅亡に向かう様を。彼女には、もうそれしかない。もうそれしか残っていないのだ。自身の中には、憎悪しか残っていないのだ。
【さぁ、始めなさいな。私の為に働かせてあげましょう。──さぁ、歓喜と共に叫びなさい?貴方達もよ】
今宵も全く同じように、憎悪の刃が振り下ろされる。変わらぬ、いつまでも終わらぬ憎悪を果たすために。
【──】
決して晴れぬ憎悪と共に、憎むべき民達の首に刃が振り下ろされる。憎悪と怒号が、フランス中に響き渡り──
瞬間。──広場に聞きなれぬ爆音が響き渡る。エーテルを放出疾走し、広場に向かう黄金のマシン
マリー【・・・──!?】
民【なんだ!?】
虹色の軌跡を描くマシンが停止し、広場の混迷が静まり返る。処刑すらも、怒号すらも収める、白金の鎧と、黄金の頭髪──獅子の面。
デオン【なんだ──貴様は・・・!?】
サンソン「・・・!」
傍らに虹色に輝く獣を有し、すらりとまたぎ広場に立つ。
マリー【・・・なあに?あなた。どちら様かしら?】
──その獅子面の仮面は、応える。
『──ラマッス仮面』
デオン【ラマッス】
サンソン「仮面・・・」
『マリー・アントワネット王妃。貴女の憎しみに・・・』
ラマッス仮面を名乗る鎧の獅子は、マリーに手を差し伸べ──
『寄り添いに来ました』
マリー【・・・私に?】
フランスの憎悪に、終止符を打たんと現れる──
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