マカリオス「ヘスティア様」
ヘスティア「あらぁ~、二人ともぉ~」
アデーレ「すみません、突然。なんだかヘスティア神が気になってしまって・・・」
マカリオス「なんか・・・悩んでませんか?」
ヘスティア「・・・うん~。私の神体の事なんだけれど~・・・私は、ゼウスに『とあるもの』を預かっているの~・・・」
マカリオス「あるもの?」
ヘスティア「えぇ~。だから、私は神体を起動するのはとても注意しなくてはいけないから~・・・皆が頑張っているのに、不甲斐なくて~・・・」
アデーレ「・・・そんな事は無いですよ。ヘスティア神」
マカリオス「うん。いてくれるだけで嬉しいって、そんな神様だよ。あなたは」
ヘスティア「二人とも~・・・」
(・・・ごめんなさいね、ゼウス・・・私は・・・躊躇わないかもしれない。あなたには、どうかそのままでと言われたけれど。私は護りたいの。ここにいる皆を。宇宙の全てを。──だから──)
『皆様各位の解析、そして予測によりエキドナの所在を割り出すことが出来ました。イアソン、ブリーフィングという形で宜しいですね?』
「おう、解りやすく説明ならアンタの十八番だろ?パパッと説明してやってくれ」
ポセイドン神殿を抜け、ゼウス神殿へと向かう前の寄り道、魔獣エキドナを破壊する事を決定したイアソン一行。件の魔獣の解析を行った支援チームが、その所在を割り出したのだ。その成果を、ケイローンが取り纏め説明を行う。別動隊としての最終目的にも繋がる事柄であるからだ。
『魔獣エキドナは現在、ゼウス神殿宙域に浮遊しています。其処から魔獣を生成し宇宙各地に拡散、神々の神殿の襲撃を繰り返してる。恐らくゼウス・クリロノミアを取り込もうとしたのでしょうが規格が足りず、他の神々のクリロノミアで自己拡張と強化を行っているといった予想が出ました。まだ、大神ゼウスの力は手に入れてはいないのでしょう。幸いな事です』
「なんだよ、俺達のゴールにわざわざいるとは手間が省けたじゃないか。さっさと行ってぶちのめそうぜ!俺のクルーはそういうの大得意だからな!」
陽気なイアソンをケイローンが制す。突撃するしかないのはそうだが、其処に至る壁が厚いのだと。
『エキドナの周囲には大量かつ高密度の魔獣反応が展開されています。さながら星を護る衛星・・・何かしらの対策を練らなくては押し潰されてしまうでしょう。文字通り、魔獣の肉壁が展開されているのです。少なくともエキドナを倒す戦力と、道を切り拓く戦力の分担が必要ですね。その担当はイアソン、あなたに任せますが・・・』
たどり着くための囮、たどり着いた後の本命。此処に来てチームの分担が必要になる事に唸るイアソン。これは、かなり繊細な配備が求められる。
「・・・・・・そうだなぁ・・・・・・」
本体を討伐する面々を充実させたいが、もし陽動が撃沈したら一気に本隊に魔獣が雪崩れ込み総崩れとなる。しかし陽動に戦力を割いてしまえばエキドナを仕留める事が出来ないなどと本末転倒な事態が起こる。今、考えられる最善のチーム割り振りが必要となるのだ。イアソンはしばし考えるが──
「私が陽動に参加しよう。後は数名で良くなる。囮や陽動といったものは、私が最も得意とする作戦だ」
手を上げる褐色の美女。レジスタンスのリーダー、ラクシュミーが陽動に立候補を行った。彼女は自信を溢れさせ手を上げている。楽園不在籍であるため全貌は不明だが、彼女には圧倒的不運に加えそれを乗り越えて生還した『悪運』が備わっている。今回の作戦の為に私はいたのかもしれないとまで、彼女は言い切った。
「──解った。まあ覚悟はしておけよ。じゃあ陽動の運転は俺が」
【いやいや、君は本丸を討つべきだ。囮の宇宙船・・・スタリオンの同乗は私、ナイア、XXでなんとかするともさ】
邪神の言葉は意外なものだった。真っ先に囮を引き受け、自身も対応すると言うもの。娘と宿敵を推薦したのだ。
「えぇ、其処の邪神の言う通り!私は大量の暴徒鎮圧や範囲攻撃のプロですし、ナイアと高機動の戦闘が可能なユニット!必ず陽動は果たせるでしょう!難易度手当ても狙います!」
「近寄る獣たちを討伐、船を護衛するのもお手の物。狩人としてこなしてきた依頼の中にはそういったミッションも多数ありました。どうぞお任せください。皆様は本体の攻略を」
「・・・めっちゃ危険だが、絶対に帰ってこなきゃいけない任務だからな。そういう覚悟はもう、きっちり出来てるんだな?」
イアソンの言葉に、邪神はいつものように笑い女性メンバーは頷いた。言われるまでも無い・・・そう、言葉無くとも心で告げていたのだ。僅か四人で無数の魔獣に挑む。極限まで高められた質である四人を、信じる他ないとイアソンは覚悟を決める。
「よし解った、そこまで言うなら任せてやる!魔獣をおちょくってルートを開け!だがあくまで時間稼ぎだ!無茶して死ぬなよ!死んだら船長命令違反でもっぺん殺すからな!いいな!」
【あぁ。ところで時間を稼ぐのはいいが──】
「あん?」
【別に、魔獣を全滅させてしまっても構わんのだろう?】
ビミョーな雰囲気に包まれる船内。言いやがったよこの邪神・・・というある意味な負の信頼と、でも本当にやれそうな気もする確かな信頼の混じったビミョーな空気である。メンバー的には、決して遅れを取るような者達では無いことは確かだが──
「おう、やってやれ!出来るもんならバッチリ仕留めろ!お前もたまには運動しろよ!」
【そうしようかなと考えていた所だ。その代わり、本体の討伐はそちらにお任せするよ】
「・・・大丈夫なんだろうな、あんた。娘さんや刑事さんと違って、直接的な強さはそんなにとかじゃないよな」
「マカリオス、失礼よ」
【フフン、私は基本後ろでニヤニヤしているのが仕事だからね。心配と忠告はありがたく受け取っておく。君達こそ、エキドナを倒せさえすればゼウス神殿はすぐ其処だ。くれぐれもへまをしないようにね?】
「おうとも!バッチリナイアちゃんと同じ狩人だってとこ、見せちゃうもんね!ムキムキとムチムチは世界を救うってとこを見せちゃうぞ!」
「ラクシュミーさん、マジに気を付けてくださいっすよ。・・・いや、俺達もそっちに・・・」
「大丈夫だ。君達は本隊で出来ることをやるといい。・・・必ず、君達の邪魔はさせないよう抑え込んでみせるさ」
「ラクシュミー!私達のコミュは、始まったばかりなのだわ!だからどうか無事で・・・!」
「ありったけの魔術やガードは張っておく。君の神体の本領は呪われていて使えなかったろう?無茶はしないようにね!」
「君はカルデアの暗部であり、不可欠な特殊部門だ。仕事は山盛り、死んでいる場合じゃないからね!」
【ありがとう、ドクターにダ・ヴィンチくんちゃん。私としても楽園の旅路を見届けるまで、滅びるつもりはありませんとも。なぁに、宇宙怪獣やフェストゥム、ベータやバイドでも無し。なんとかなりますって】
「いいかナイア、XX。互いをカバーし合えよ。一人じゃ出来ないことも割りとなんとかなるからな」
「勿論です!私には夢があります。ゼロ君のような私設警備隊をナイアと立ち上げる夢が!その為にも敗けやしませんから!」
「それは・・・実に心踊る夢ですね。なんとしても叶えましょう!XX!」
「へっ。──よーし、腹は決まったな!配置につけ!一気にワープするぞ!こいつを終わらせて、派手に宴でドンチャン騒ぐとするか!」
「「「「おーっ!!!」」」」
「・・・・・・」
『ヘスティア神?どうかなさいましたか?』
「・・・ううん~。もしもの時は~、覚悟を決めるわぁ~。私も頑張らなくちゃ~」
ほんわりとした語りの、いつものヘスティア。しかしヘスティアの目には、子を見守る慈愛と──子を護るために立ち上がる、母としての決意と覚悟が宿っていた。
『ワープ開始。目標、ゼウス宙域周辺。総員、態勢を整えてください』
新生アルゴノーツ、ラストミッション。エキドナ討伐に、勇気を胸に挑む──
ゼウス宙域
ニャル【御約束だが言っておくか。こちらスタリオン。宇宙の色が見えない。いいか、銀が五割で黒が五割だ。銀が五割で黒が五割だ】
シルバーセイバー宙域にてワープアウトした一行。目の前に拡がる光景をニャルが茶化す。決して大袈裟ではない、無数の魔獣達が眼前に拡がり尽くす光景に、宇宙船二隻が臨む。
XX「狙いをつけずともよい!とても簡単でいいではないですか!ナイア、ラクシュミー!準備はいいですね!」
ナイア「おす!」ラクシュミー「勿論だ!」
ニャル【それでは、行ってみよう。ルートは算出してある。抜かるなよ?】
イアソン「誰に言ってんだ?俺は未来の王様、イアソンだぜ?こんな所で──死んでたまるかよぉ!!」
二隻が別れ、無数の魔獣が接近する。本拠地にて開始される、電撃総力戦が幕を上げる──!
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