人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ヘスティア「えっと~。ギルガメスがガチャを回して失敗してー、それを笑っていた皆をギルガメスが粛清して真のセイバーを選ぶ宇宙にしたのがこの宇宙、セイバーウォーズなのよぉ~」

ペルセポネー【?????】

「ギルガメスの花嫁になるセイバーを求めてー、宇宙全体が戦っているの~。私は見ていなかったんだけど~、皆見てたから吹き飛んじゃったのねぇ~」

ハデス【・・・・・・ネット回線引いてなかったから乗り遅れていたのが幸いだったという事かな・・・?確かZIPANGもそんなんだったような・・・】

ペルセポネー【?????】

ケルベロス【【【(´・ω・`)?(-ω- ?)(・・?】】】

オリオン「大丈夫?全然ピンと来てないぞ妻とペット」

イアソン「ハデスは解ってそうだからいいだろ。だんだん理解したら事の重大さが解ってくる」

ロマン「本当にいい人達なんだね・・・というかネット回線引かれてなかったんだ・・・それにしても、ギルガメスはやっぱり無差別って訳じゃなかったね」

ヒロインXX「裁定者を名乗るだけあって、裁くべき者しか裁かない、ですか。だから冥界は無事だった・・・」

エレシュキガル「なら、ユニヴァースの日本はイザナミ大おばあ様がネット断ちしていたから無事だった・・・?」

アナヤ!

イアソン「いや多分アレだろ。オレオレ詐欺に引っ掛かりまくるから子供らに回線引いてもらえなかったんだろ!あの愉快な婆ちゃんならあり得るあり得る!」

アナヤァー!?

ケイローン『ZIPANGはあまりの秘境故、千里眼ですら見通せない場所なようですが・・・日本の冥界神もそれほど愉快なのですか・・・』

イアソン「あぁ、特売セールではしゃぐアフロディーテクラスのべっぴんさんって言えば解るか?」

ケイローン『・・・あぁ、地上最強の生物、ZIPANG西に生息するオバチャン族の神でしたか。道理で』

ロマン(種族なのかい!?)


ハデスとペルセポネーが把握するまで、ヘスティアの説明は続いた──


冥界が滅亡に潰れぬうちに

【・・・・・・そうか。その様な事が。・・・その様な、事が・・・】

【・・・・・・常日頃、死や世代交代を願ってはおりました。ですが、これはあまりに、あまりにも・・・】

 

イアソンら一行から、ユニヴァースの顛末を聞かされしハデス夫妻。オリュンポスが、ギリシャが、銀河の秩序が滅び去っていた事。今、自分達がユニヴァースの明日や未来を背負っていること。それらを余すことなく伝え終わった時、あまりの衝撃にハデス夫妻は沈痛に顔を伏せてしまっていた。

 

【ゼウス、ポセイドン・・・君達に訪れる終わりが、こんなに呆気ないものだと誰が予測しただろうか。・・・天と海が滅び去り、人は何を仰いで生きていくと言うのだ・・・】

 

どんなに悪評高くても。今の状況を生んだのだとしても。ハデスにとって兄であり弟でもある近親の神の死を喜べるほど、彼の精神は捻れていなかった。それは地の底でどんな金脈よりも輝く、黄金の心であり・・・少なくとも確かな信頼と愛を持つ者の輝きだった。

 

【デメテルお母様・・・。ゼウスを始めとした色欲神など死のうがなんだろうが気にしませんが、デメテルお母様だけは、無事でいてほしかった・・・】

 

唯一の肉親、デメテルの消滅を悼むペルセポネー。その子離れできない性質に苦慮する時もあったが、それでも愛すべき母。別れの言葉一つなく訪れた終わりに、その気丈さで覆った可憐さが表出し顔が歪む。それは今や、ゴージャスが口に合わぬと断言する愉悦の顔でもある。

 

「お嬢さん、あなたに涙は似合わなイデデデ!」

 

「シームレスに口説くなバカタレ!・・・アデーレ、マカリオス、エレシュキガル。何か言ってやれ。お前らの言葉なら、がつんと響くだろ」

 

イアソンが彼に、彼女らに託す言葉を差し向ける相手を選ぶギリシャに生きる生き残りの生命と、同じ冥界の神。それならば確かに響くものがあるはずだとイアソンは睨んだ。ヘスティア神にそっと背中を押され、三人は頷く。自分達が、言えることがあるのなら。

 

「・・・ハデス様、ペルセポネー様。まだ俺達はギリシャが終わったなんて考えてません」

 

【君達は・・・確か、エウロペ姫の従者達だったかな・・・?】

 

「オレはマカリオス、こっちは姉さんのアデーレ。・・・オレ達は今、未来を取り戻す為に戦っているんです。ギリシャや、ユニヴァースの未来を取り戻す為に。だからまだ、哀しむのは早い筈です」

 

マカリオスの言葉に、アデーレも続く。確かに哀しく、辛い情報ではあるが・・・しかしまだ、逆転の目は残されている。

 

「異なる宇宙から来てくださった勇者達、生き残っていてくださったヘスティア神。そして無傷で健在なされたハデス様夫妻。・・・私達は、絶望に沈むにはあまりにも早いのです。此処に、希望は残されています。私達はまだ、諦めてはおりません」

 

【アデーレ君、マカリオス君・・・】

 

ギリシャに生きる民の声、死した魂の嘆きではない生きる者の鮮烈な鼓動に、一種の感動を示すハデス。エレシュキガルが、更に自身らが懐く希望を説く。

 

「・・・この宇宙における、私のそっくりさん。スペースエレシュキガルは・・・この宇宙の混沌から最大限の希望を掴み取り遺したのだわ。その篝火を絶やすか生かすかは、私達にかかっている。私達はこの小さな火を宇宙を救う焔にしなくてはならないのです。その為には、二人の力が必要なのだわ。どんな時でも、自身の責務を全うできるあなたたち二人の力が・・・!」

 

【エレシュキガル様・・・】

 

「そしてこれは、冥界の神としての見解なのだけれど。打ち砕かれた神々の魂が、此処に見えないのは何故でしょう?本来なら、あなたが裁くべき死した魂達。増えたとは言いましたが、全宇宙の魂が雪崩と共に押し寄せたとなっては、ハデス神の敏腕ですら捌ききれるか解らない数。ですが、冥界は穏やかな沈黙すら保っていられた・・・これはきっと、『このシーズンが終わっていないから』なのです。まだ復活できる可能性、未来が残されている。ギルガメスをやっつけ、シーズンを終わらせることさえ出来ればきっと!」

 

エレシュキガルの言葉通り、オリュンポスの神々やギリシャの民達を始めとした『ギルガメスの粛清』にあった魂たちは冥界に来ていない。それが意味するものとは即ち、シーズンの定まりが起こっていない事による魂レベルの一回休み。セイバーウォーズが完結を迎えた時、或いはリセットされた時に初めて魂達は行き先が決まるのだ。不要と冥界に捨てられるか、銀河に再び息吹をもたらすか。その行く末と可能性は今、ゴージャスかギルガメスに委ねられているのである。

 

【・・・!ならば、これは挫けている場合ではありませんわハデス!全宇宙の魂が冥界に来るなど容認する訳には参りません!確実なキャパオーバー、あなたが過労死なさってしまいますわ!ゼウスやポセイドンを始めとした神々も、冥界の秩序を著しく乱すでしょう!世界の滅亡は、我が夫と愛する冥界の破滅にも繋がる・・・!】

 

聡明なペルセポネーは即座にその可能性に至った。ギルガメスが勝利し、死者として魂が処理された場合、一斉に魂が雪崩れ込む事態となる。冥界の大きさも魂の管理も、とても間に合う量ではない。ハデスがいかに有能でも、そんな事態では職務を全う出来るかすら怪しい。全宇宙の魂とは、それだけの数なのだ。他人事ではない。今の状況を変えねば冥界も滅ぶ。押し潰される形でだ。

 

【・・・初めから、君達には協力するつもりではあった。だが、今の決意と言葉を聞いて・・・更に決心がついたよ。本当に、君達は気高く誇り高い人達だ】

 

ペルセポネーに続き、ハデスも顔を上げる。ゼウスら弟達は滅び去った。ギリシャを始めとした世界も今、混迷を極めている。だが、それでもこうして希望は此処にやって来てくれた。自身らを必要としやって来てくれたのだ。

 

【君達がまだ抗い、前へ進むと言うのならば。哀しむのは後にしよう。冥界の神としてではなく、このサーヴァントユニヴァースに生きる一人の存在として・・・。改めて、磐石の支援と助力を御約束する。我が妻に、我が番犬に誓おう・・・!】

 

【【【ワゥ!】】】

 

【なんとしても、この宇宙をカオスの星にしてはならない。私達も、君達の旅路に入れてほしい。輝く黄金のような、世界を救う旅路に・・・!】

 

【更に我等、冥界夫妻のオリュンポスにおける地位アップにもご協力いただければ!かのテュポーン討伐の折のように、ゼウスらの醜態が存分に目の当たりに出来るチャンスですもの!どうか皆様、我が夫のオリュンポス次期リーダー狙いの為にも!手と手を取り合って参りますわよ!よろしいですわね!】

 

信じてきた世界の滅亡と破滅にも、二柱は挫けることなく立ち上がった。その誇り高さと気高さ、責任感の強さは決して喪われなかったのだ。

 

『はい。スペースエレシュキガル様、ペルセポネー様、ヘスティア様、そしてハデス様が力を合わせれば、きっと秩序はよみがえりましょう。オリュンポスの主軸に二柱がいてくだされば、その治世もきっと変わっていくはず。どうかよろしくお願いいたします』

 

「一緒に頑張りましょ~。皆がにこにこ笑える世界を取り戻すの~。よろしくねぇ、ハデス君~、ペルセポネーちゃん~」

 

【お任せくださいな!今、我が夫がクロノス神討伐以来の活躍を魅せる時!今度冥界のくじを引くのは誰か!よーく知らしめてあげますわオリュンポスの神々達!冥界を『牛の肥溜めのような場所ね』と罵ったあなたたちを見返しますわ!ヘラ!アテナ!アフロディーテ!】

 

【ゼウス、ポセイドン・・・僕の後手を許してほしい。君達のやらかしはともかく、君達の愛した民達を必ず取り戻してみせよう・・・!】

 

様々な想いに燃える冥界夫妻。宇宙の存亡において、普段目立たない生真面目な神が激励にて立ち上がるのだった──。




ロマン「冥界神は冥界神を知る・・・うんうん、やっぱりラスボスな冥界の神なんていなかったんだね・・・」

ハデス【となると、僕達も出し惜しみは必要無いね。ペルセポネー、あれを持ってきてくれるかい?】

ペルセポネー【あれですわね?承知しましたわ!】

イアソン「アレ?アレってなんだ?」

ペルセポネー【──此方を持っていってくださいませ。こちらは冥界の至宝、『ハデスの隠れ兜』ですわ。着用するだけで神の眼すら捉えられない隠蔽遮断を誇る、ゼウスの雷やポセイドンの三叉矛に並ぶ我が夫の至宝ですの!】

ハデス【何かの役に立てば幸いです。これを協力の証に、皆様に差し上げましょう】

イアソン「とんでもねぇもん持って来やがったー!!!?」

ロマン「主神クラスの至宝がポンと出されただってーーー!?」

ハデス【エレシュキガル様、確か銀河警察は滅んでしまっているんだね?】

エレシュキガル「え、えぇ。機能がダウンしてしまっていて・・・」

ハデス【ペルセポネー、私の神体とハデス・クリロノミアを君に託す。銀河警察の機能を復活させに向かってほしい】

ペルセポネー【えぇ、お任せになって。反抗艦隊の旗艦、ハデスの偉容を御覧に入れましょう!】

オリオン「オイオイオイ、本気だわこの夫妻」

ハデス【皆様には僕の神殿を解放します。宇宙船の整備に是非。そしてポセイドンの亡骸の座標をお送りしますので、機能復元に御使いください。滅んだのは辛いですが、せめて未来のために有効活用致しましょう】

ダ・ヴィンチちゃん「と、とんでもなく合理的だ・・・」

ハデス【僕は冥界を動けないため、神体と妻をそちらの戦力に託します。どうか皆様、この宇宙に光を!夫婦共々、よろしくお願いいたします・・・!】

エレシュキガル「こ、こちらこそなのだわ!?いや本当に、よろしくお願いいたしますのだわ!」

イアソン「・・・なぁケイローン。こんな使える奴等をハブにしてた組織があるらしいぜ」

『えぇ、オリュンポス十二神と言うのです。その組織の名は』


拠点エリア・冥界が解放された!

ハデスの隠れ兜を手に入れた!

ハデス・クリロノミアを手に入れた!

ハデス神体が戦力に加わった!

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