エレシュキガル「ん、ぅうん・・・?」
【どうか、我が妻を・・・我が朋友たる・・・ロスを・・・頼む・・・!】
~
エレシュキガル「・・・はっ!?」
マンドリカルド「うわっ!?・・・お昼寝っすか。サーヴァントでも夢、見るんすね」
「リカルド?今の・・・」
ラクシュミー「悪夢でないなら問題ないだろう。ワープアウトし、ハデス宙域に向かうところだ。もうすぐだぞ」
「・・・夢、だったのかしら。随分迫真な・・・」
ダ・ヴィンチちゃん「総員!第二種戦闘配備だ!ワープアウト先で戦闘が起きている!」
マンドリカルド「えっ」
ロマン「この反応・・・魔獣だ!割と多い!片方は大きいぞぅ・・・神獣と神霊の反応だ!」
オリオン「おいおい、それってまさか・・・」
イアソン「・・・・・・あぁ、間違いない。・・・多分オリュンポスに呼ばれてないし動画も見てなかったな!生きてたか・・・!」
エレシュキガル「生きてた・・・?」
【あなたッ!それでも誇り高き冥界の番人!地獄の番犬ケルベロスなの!?このようにエキドナから産み出された雑魚の獣達ぐらい、無惨に引き裂けずしてなんとするのかしら!誇り!誇りは何処にいってしまったのかしらあなた!三つ首の何処に隠していると言うの!?】
【【【ワゥウ・・・】】】
【門番だから攻めるのは苦手ぇ!?あなた素晴らしくも勇壮な巨大魔獣ケルベロスでしょうっ!?防御は最大の攻撃なの!あなたなら出来るわ、いいえやってもらいます!あなたは冥界を、ハデスと私の庭を守護するのです!奮いなさい!ハチミツをかけたホットケーキを焼いて差し上げましてよ!ほら速く!速く!】
【【【ウォオォオォオウ!!!】】】
「・・・なんすかあれ。ペットの調教風景?デカい三つ首・・・あれが噂のケルベロスっすか・・・」
ハデス宙域に脚を踏み入れたアルゴノーツチームが垣間見たもの、それは丘ほどもあろう体躯の三つ首の犬に激を飛ばし戦う、黒衣の美少女と・・・ラミア、キメラを始めとした混成魔獣の群れとの交戦風景。左右中央の首についた首輪の鎖を巧みに操り、ケルベロスをビーストテイマーと言わんばかりの操舵で操る美少女が、懸命に奮闘している。
『はい、間違いなくケルベロスです。そしてあちらは・・・ハデス神の后、ペルセポネーで間違いないでしょう』
「あの、ケルベロスを乗りこなす勇猛極まる美少女がか!?二十歳か、それ以下に見えるのだが・・・」
「冥界のザクロ食ったからな。見た目は止まってるか可変式でいじってるかのどっちかだろ。ハデスの趣味はよくわからんからな!」
「んー、ハデス神の嫁さんはなー。なんとなくだけどハデスからあれを取ったらダメな感じがするんだよなー。狩人、他人の幸せにも敏感なのよ?それに、なんかキツそうだし・・・」
遠目で見ても幼く、儚げで、護ってあげたくなるような外見をしているペルセポネー(仮)だが、ケルベロスに激を入れながら抵抗する様は英雄にひけをとらないほどに勇壮かつ猛々しい。ケルベロスもそれに応えるように奮戦し、三つ首を振るい近づく魔獣を蹴散らし食らい潰していく。
「だが、数が多いな・・・強靭ではあるがやや分が悪い。状況を打開せねば押しきられるやもしれん」
ラクシュミーの戦略眼が戦況を読み解く。群がる魔獣は、見たところケルベロスよりやや劣る出来映えの者達。しかし、その数はゆうに十数頭はおり、勝てたとしても重症、無傷は叶うまい。戦いは数だ。それに、ケルベロスとペルセポネーは明らかに戦術が拙い。死角からの不意打ちを避ける事に神経を費やしているのだ。迅速な加勢が求められるだろう。
「キャプテン!助けに行くっすか!任せてくださいよ!」
「いや待て!此処は既にハデスの領域だ!俺達が勝手な真似をするのはまずい、少し待て!」
マンドリカルドの言葉を遮るイアソン。作戦が基本ガンガン行こうぜな彼にしては珍しい、極めて消極的な方針だ。一同は驚きつつ、キャプテンの指示を待つ。
「いいかマンドリカルド、冥界っていうのは地上や天界より遥かにルールが厳しい!ヘルメスの助けで嫁を助けに来たオルフェウスは自慢の琴でハデスを感嘆させ、嫁と冥界を脱出した!だがな!ハデスは『生者でありながら冥界に来た』一点でオルフェウスから嫁を奪ったんだ!解るだろエレシュキガル!冥界では、そこを支配するものが絶対の法!下手すりゃ俺達も裁かれる対象だ!」
ハデスとオルフェウスのエピソードが示すもの、それはオルフェウスと妻の絆を尊ぶ『誠実』なるハデスと、冥界の法を破るならば容赦はしない『厳粛』な側面。彼は公私を混同しない。仁義を重んじた行為と、冥界を荒らした責任は別に裁くだろう。そして、冥界でそれに抗えるものはない。エレシュキガルが太陽の神ネルガルを完膚なきまでに封殺したように。冥界とは、冥界の支配者が全てなのだ。
『ペルセポネーを冥界に招き、ザクロを説明せずに食べさせたのも、『生者』を自在に行き来させるわけにはいかないからとの意見もあります。やや詐欺紛いでしたが、拒絶と別離を恐れた人柄もあったのでしょう』
「じゃあ、どうするんだい・・・!?ま、まさか見殺しに・・・!?」
「そんなことダメだ!ペルセポネー様はハデス様の妻なんだろ、何かあったらハデス様が哀しむ筈だ!」
「えぇ、私達は助けるべきだと思います。何せ、あのハデス様の妻なのですもの」
「・・・・・・・・・」
「私も説得するわ~。ハデスちゃんはいい子だもの~、解ってもらえるように話せばきっと大丈夫~。イアソンくん、お願い~」
全クルーの命を神の裁きの天秤にかける手前、慎重極まるイアソン。それほどギリシャの神の裁量は絶大だ。下手をすれば宙域から出てこれない可能性すらある。あと一押し、何かがあればと歯噛みしたイアソンは、それを問うた。
「エレシュキガル!お前はどうだ!自分があいつらの立場だったらどうしてもらいたい!同じ冥界の女神として、頼んでない助けをどう受け取る!不敬か!感謝か!お前の意見を聞いてやる!」
同じ冥界の神として、その思考が似通っているならそれを最後の判断とする。エレシュキガルならどうしてもらいたいか、してもらったらどうするか。助けてもらった時、どう思うか。エレシュキガルは悩み・・・
「・・・嬉しいわ。冥界に生者が来てしまったのは問題だけど・・・それ以前に、助けに来てくれた事は嬉しいに決まっているのだわ!」
更にエレシュキガルには予感があった。先ほど聞こえた声・・・それはきっと、自分達を招く呼び声であると。その返答を以て、イアソンは方針を定める。
「──そうか!ならハデスもきっとそうだと俺は賭けるぞ!着陸だお前ら!魔獣をブッ殺してこい!」
「そうこなくっちゃですね!ナイア、ザクロをつまみ食いしないように!帰れなくなりますから!」
「了解しました。少し貰ってお父さんのお土産にします」
「未亡人も先立たれるのも嫌だよなぁ・・・ここは愛の狩人改め!トライスターナイト・オリオンとして頑張っちゃいますか!」
「状況開始だ。マンドリカルド、エレシュキガル!行くぞ!」
「うっす。陰キャの御神体はやらせねっすよ!」
「皆、負けないで~。私の祝福で、運命力の低下は大丈夫な筈だから~」
「ボクも後方で君達に魔力を送るよ!レオナルド!」
「お任せ!魔獣のサンプル採取と魔力生成はお任せあれだ!」
『くれぐれも粗相の無いように。後々の交渉に響きます。イアソン、あなたは留守番ですよ』
「勿論そのつもりだ!踏ん張ってこいお前ら!アルゴノーツ!出陣!ブッ殺して来い!!」
一同は出撃し、魔獣達の掃討に向かう。エレシュキガルも勿論、その中の一人。
(さっきの声、信じるのだわ!あなたはきっと、本心から助けを求めているって!助けてほしい人は助ける!それが、楽園カルデアの絶対理念なのだから──!)
冥界の神として、異なる世界の冥界であろうと狼藉は看過しない。そんな想いと共に、ケルベロスへとアルゴノーツは加勢する──!!
ケルベロス【【【グルルゥ・・・】】】
ペルセポネー【忌々しい・・・!ハデスの威光さえ十全ならば、即座に討ち果たされるものを!この私が、彼に泥を塗るなど許されません・・・!こうなれば、あの兜を使いケルベロスだけでも・・・】
オリオン「一、二の、三!!」
魔獣「!?!?!?」
ペルセポネー【な!?】
ナイア「これがラミア。名付けてラミア・オリジンでしょうか。見事な鱗とフォルムです」
ラミア「・・・!!・・・!」
ペルセポネー【あ、あなた達は!?私の目が確かなら、そちらはオリオンでなくて!?】
オリオン「あ、知ってます?オリオンです!今は寂しい独り身ですのでお気になさらず!」
エレシュキガル「私達はハデス神に用があってきたのだわ、でもあなたやケルベロスを放っておくわけにはいきません!助太刀するのだわ!」
ペルセポネー【なんですって!?ハデス、あなたに助けてくれるような交友の方がいましたの!?聞いていませんわ!?】
マンドリカルド「そこなんすね・・・気にするの」
【ま、まぁちょっと、いささか、かなりピンチぎみでしたので?ちょうどヘカトンケイルの手も借りたかった事です!よろしくてよ、このペルセポネーとケルベロスを助けなさい!ハデスに問い詰めるのはその後で!参りますわよ!】
エレシュキガル「はい!やるのだわ──皆で!」
ペルセポネー【・・・ん?あ!あなた確か1日署長のエレシュキガル様でなくて!?】
エレシュキガル「ど、同性同名異次元の空似なのだわ!?」
ケルベロス【【【(゜ロ゜;(゜ロ゜;(゜ロ゜;!?】】】
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