デオン【・・・く、ふふ、ははははは!】
カストロ「何がおかしい?気でも触れたか」
【いいや、いいや違う。お前達は愚かな選択をしたのだ。我等が王妃の慈悲と寵愛をはね除ける。その蛮勇と愚かさを笑ったのだ。そして、そんなお前に遅れを取った私の無様さにな】
「・・・・・・」
【今回は私の敗けを認めよう。だが、我等と貴様らとはまた合間見える筈だ。いや・・・この宇宙を変えたいのならばな。また会おう──】
瞬間──デオンの首が【落ち】、足から消え去る。
別荘・プールサイド
ニャル【王のお耳にご報告を。リリィ様チームの皆様は、無事にセイバーバッジを回収し此方に帰艦なさる様です。北欧の人形たち、無双の竜殺し、双子の神達を迎える事にも成功したとの事】
ギル「・・・そうか。敵は確かに『フランス』と言ったのだな」
ニャル【・・・えぇ】
ギル「・・・・・・・・・・・・そうか。報告ご苦労。下がるがよい」
【はっ】
「・・・・・・子を殺された恨みを、雑念とは言えまいな。──マリア」
「というわけで、我等ディオスクロイ・・・カストロ、並びにポルクス!お前達の傘下に入ってやろう!心より感謝し、そして友好的に接する事を所望しよう!よろしく頼むぞ!」
ボクシングジムの波乱は過ぎ去り、一同は一旦集合、情報を共有する。敵対者なるゴールドセイバー宙域よりの刺客、フランス軍勢サーヴァントの情報・・・並びに、ディオスクロイ、ワルキューレ、シグルド、ジークフリートのメンバーがゴージャスチームに参入した事をゴージャスに報告するのだ。
(艦を襲ってきた時とそう時間は経っていないのにまるで別人じゃあ無いですか!意外と話せば解る人、いや神様だったんですか?リリィのアドバイスも中々な成果を残した様で何よりです!)
(ま、まぁ・・・話せば解るといいますか、殴れば理解したと言いますか。ギリシャの蛮勇からは逃れられなかった事を深く恥じ入るばかりというか・・・)
(でも、カストロさんはとてもスッキリした顔をしています!挨拶もしてくれました!やはり、どんな時でも真心と誠実さを忘れてはいけないんです!マーリンも常日頃言っていました!)
(殴って理解するとか超絶的な理解力というか・・・後遺症とかは大丈夫なのかしら・・・)
「む?なんだお前達、何をこそこそ話している?やましいこと、後ろめたい事がなければ笑い、胸を張るものだぞ!なぁに心配はいらん。お前達の航海は、我等ディオスクロイが保証するのだからな!ははははは!」
本気でスペースシップを叩き落とす所存であり、宇宙の敵対者達を皆殺しにしてきた苛烈さは今消え去り、朗らかに笑う兄、カストロは言葉の通りに胸を張っていた。気難しくもあり、自分達が施す者という認識は揺らがないが、それでもギリシャの神々たちの主な醜態を思えば、破格の譲歩であり気さくさであることは間違いない。
「そうだ貴様、リリィと言ったな。思えばお前の言葉が我が妹の拳を高みに導いたのだ。まぁ我が妹ならば独りでも必ずその境地にたどり着いたのは言うまでもないが・・・きっかけはお前だ!うむ、その功績は誉めねばなるまい!」
「は、はい!ありがとうございます!でも、それは私の言葉や振る舞いではありません。私の世界の、私達の輝く綺羅星の様なマスターの道であり、生き方なんです!」
「うむ、それだ。いつかその痛快な人間の顔と生き方を拝みたくなってな。こんな所で俺もポルクスも宇宙の塵になっている訳にもいかぬのだ。ならばこそ、この戦い、この争乱は貴様が打ち克て!今までの醜態の償いの証、その為の力と資格だ。心して受け取るがいい!」
その言葉と共に、ポルクスと鮮やかに片手ハイタッチを成し遂げるカストロ。その音と乾いた音が空間に弾けた、その瞬間。
「わ、ぁ・・・!」
輝く光と共に、二つの物体が姿を現す。その一つは鍵、カードキーなる形の光輝く物体。其処にはアルゴー号の起動キーが顕れていた。
「ポルクスにも秘していたのはイアソンの趣向でな。我が妹は人を騙すは不得手だ。ヘルメスのような詐欺を司る姑息な神と共に観られるも不愉快ゆえ、知らないという防護策を取らせたわけだな」
「仕方ないのは解っています。解っていますが悲しかったので後で腹パンしますね兄様」
「うっ・・・!!どうか許せポルクス。国を落とした木馬、冒険と英雄の象徴の船を万が一にも奪われる訳にはいかなかったのだ。──そして、未熟ながらも可能性に満ちた宇宙の開拓者よ!貴様にこれを託してやる!」
青ざめながらも、リリィに渡されしはスペースインゴッドにアルトリウムを注入されて製造された極めて稀少な一流セイバーの証にして、次なる宙域、ゴールドセイバー宙域への道標となるであろう輝きのバッジ。
「受け取れ!輝ける絢爛の旅人よ!ゴールドセイバーたる証のバッジ・・・名付けて!ゴールドセイバーバッジだ!」
リリィの控えめな胸に輝く三つのセイバーバッジ。ジークフリート、シグルド、ディオスクロイの黄金のバッジが今集い、必要数揃ったのだ。リリィの活躍と華やかさに劣らぬ証が集い、Xは涙ぐみながらもイシュタルに所感を漏らす。
(まんまですね、まんま。ところで何で私には無いんですかね?私に求婚するなら時空を越えてでも渡すべきじゃないですか?ギルは私に美味しいリンゴをプレゼントしてくれたのに。だからギルガメスって気持ち悪いんですよ一方的で)
(当然だけど、蛇蝎の様な嫌いぶりね・・・いや本当に無理もないけど)
「皆様、改めて本当にありがとうございました。皆様の辛抱強い介護のお陰で、乱心していた兄様は正気に戻りました」
「我が愛の心労の対処とケアを行ってくれた感謝と喜びは計り知れない。その恩に報いるため、我が武勇と叡智を捧げ振るうと誓おう。──何より」
「あぁ。エレシュキガル殿が願った平穏と平和・・・我等がその未来を切り拓く刃となる。それこそが、あの心優しき所長の願いなのだからな」
ジークフリート、シグルド、ディオスクロイ、ブリュンヒルデ、ワルキューレ達。本来ならセイバーバッジだけを奪い、手に入れるだけでよかった作戦が、この様に一騎当千の英雄達の助力を手に入れた形となった。その成果に、イシュタルは静かに感銘を示す。
(窮地と土壇場で絶望せず、自らの為すべきこととやるべき事を成し遂げる。・・・本当に、立派だったのね。私に似ているらしい私って)
窮地において人は本性が垣間見える。それに則るならば、エレシュキガルを始め、各陣営の英雄は最適解を取り希望を託していた。皮肉な事に、ギルガメスの暴虐は停滞し腐敗していた秩序を破壊し、新たな希望と世界の改革をもたらさんとしている。
「?どうかしましたか?イシュタル」
「いいえ、何でもないわ。ちょっと・・・運命や奇跡を信じたくなったってだけ」
「・・・北欧では運命や宿命とは悲劇、惨劇の引き金であり総称だが・・・君達の事を指すならば、希望に満ちた意味に変わるな」
「同意を示す。叡智や勇気は、その様な希望を担う者達に捧げられるべきと信じている」
「ギリシャでは神々が定めるものであり、非常に理不尽かつ気紛れなものだがな!トロイア戦争の事の起こりは笑えるぞ、余りに勝手すぎてな!」
「『神の血を引く英雄が増えすぎたので間引こう』と神々が決めたのが発端で、依怙贔屓介入横槍なんでもあり。ゲーム感覚で人々は死んでいきました。ヘラクレスのうんざりげな『神々は本当に最低だな・・・』と呟いた瞬間が忘れられません」
「ゼウスらが仕込んだ種が大半だと言うのにな!我等は!同列に語ってくれるなよ!」
・・・何より、出典も、神話も、時代も違う者他達が集い、語り合い、笑い合う。そんな光景が目の前に広がっている。
「師匠!見てください!皆様の輝きが形になったゴールドバッジです!御機嫌王は喜んでくださるでしょうか!」
「そうですねぇ・・・きっと喜んでくれますよ!私達の輝きに!さぁ皆さん、別荘に戻ってワープドライブの準備に取り掛かりますよ!ギルガメスを八つ裂きにするまで、決して油断はできませんからね!セイバー!おーっ!!」
「「「「おーっ!!」」」」
・・・その目の前に広がる光景に、懐く気持ちを、エレシュキガルが夢見ていたのだとしたら。それが、彼女が頑張っていた理由なのだとしたら。
「──善の女神として、力を貸してあげなくちゃね。一日所長さま?」
その願いを叶える事は、きっと宇宙を丸ごと救う『善』に繋がると。イシュタルは心から確信するのであった──。
別動隊・待機ドック
イアソン「リリィチームが上手くやったか!フン。未熟者ながらも勇気とやる気は一丁前だな!」
(ディオスクロイの奴等も、北欧の連中もまさかスペースアルゴーやトロイの木馬も遺されていたとはな。・・・)
「・・・馬鹿野郎。さっさと逃げるか、生き延びていりゃあ俺達が間に合ったってのによ」
(だが・・・お前達の最後っ屁は無駄にはしないぞ。船長として、お前たちの遺産は有効活用してやる!アルゴー号の船長!イアソンがな!俺がこんなにやる気に満ちているのはレアだ!レアだぞ!今の俺は!汎人類史の『アルゴノーツ』の矜持を背負っているからな!お前達の無念!面倒だが背負ってやる!)
「──出陣の時だ!!往くぞ!アルゴノーツ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ってなんで誰もいないんだよぉおぉぉおおぉ!!?」
イアソン編に続く!
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