ナイア「私も、実は詳しい所在はよく・・・仕事が終わると必ずお父さんがワームホールで迎えに来てくださったので。【暗黒宙域にある】というのも、実は最近教えてもらった事なのです」
ヒロインXX「暗黒宙域・・・・・・」
ダ・ヴィンチちゃん「心当たりがあるのかい?」
イシュタル『誰も近付かない宇宙の深淵よ。噂では『迷い込んだ宇宙船と【乗組員】が丁寧にパーツ分解されて遺族やメーカに送られてきた』『通りかかった艦隊が突然の流星群で全滅した』『ブラックホールや超新星爆発寸前の星がワームホールでどこかに送り込まれるのを見た』・・・なんて、眉唾な怪談話ばかりですもの』
ロマン「・・・・・・なんだか凄く、心当たりがあるような、無いような・・・」
ナイア「・・・私を育て始めた頃のお父さんは、よくにやにやしていました。もしや・・・」
イシュタル『・・・?』
イアソン「ワープアウトするぞ!頭をぶつけるなよ!」
ヒロインXX「・・・もしや、別荘とはまさか・・・」
「此処がシルバー宙域・・・フン!一目瞭然とはこの事だな!」
イアソンの言葉通り、其処がシルバー宙域である事をゴージャス一行は理解する。何故なら黄金の宇宙に銀色のオーロラがかかっている、神秘的な光景が眼前に拡がっていたからだ。宇宙とは暗く寂しいという概念を真っ向から叩き潰す、きらびやかにして悪趣味な宇宙の展開に悪態をつく。
「なんたって風情が無いだろう!銀の海だなんて環境汚染極まった感があって嬉しくもなんともない!金色の宇宙を掻き分けていく身にもなってみろ!ギラギラして目がおかしくなるというものだ!」
「それは大いに気の毒だが、今は位置把握を行おう。XX、此処はどこらへんなんだい?」
土地勘のあるXXに訪ね、同時に熱源反応を探知し安全を確保する一行。XXはアーヴァロンを展開し、辺りをサーチし始める。こういったナビもまた、銀河警察在職者のたしなみだ。転職したが。
「ふむふむ、ここは宙域の端に近い場所ですね。此処から二万光年先に銀河警察本部があり、八千光年近くに不干渉の暗黒宙域があります。銀河警察本部へは一回のワープに手頃な星のパーキングを挟みもう一回のワープで、暗黒宙域にはワープ一回で突入出来る筈ですよ」
銀河警察本部とは文字通り、サーヴァントユニヴァースの平和と秩序を守護する警備組織。平和を護りブラックな労働にて明日を創る遣り甲斐搾取上等な組織とXXは語る。余程恨み骨髄なようで、一度尋ねた際には愚痴が三時間も飛んできたためこの話題はXXの前ではタブーである。
「暗黒宙域とはその名の通り、一切のレーダーや探知機が意味を成さない深海のような宙域です。スペースデブリやアステロイドベルト、超新星爆発にブラックホールの発生といった混沌ぶりから、禁忌にして邪悪なる宇宙・・・宇宙の深淵と言われていたそうですね。別荘は此処にあるとお父さんが言っておりました。何分外界から宇宙を見るのは初めてでして」
宇宙線で変異した怪物、超巨大隕石、突発的流星群、超々々小型ブラックホール・・・宇宙に棲むあらゆる全てに害をなす現象が、発生源不明、発生要因も時期も予測させずに宇宙のどこかに気紛れに放たれる発生源。被害も対策も意味を成さずあらゆる人の意志を嘲笑い、弄ぶ様に最悪の事態が頻発する事の出所がこの宙域であることから【
「怖いなぁ・・・!?ん?あれ?いくつかのフレーズ、聞いたことがあるような・・・」
「・・・ロマン様、恐らくその勘は当たっています。どうしましょう、このまま暗黒宙域にあるという別荘に・・・」
「お、おい!待てお前ら、どうやら落ち着いて話している場合じゃないぞ!とんでもない事になっているぞ!宇宙全体がだ!」
熱源探知を行っていたイアソンの言葉に、モニターを全員が見上げる。其処に、ボーダーが感知された宙域が球体状に表記され、敵対や識別不明の熱源は赤で表示されるのだが・・・
「群雄割拠だの大混乱だの聞いていたんで腹を括ったつもりだったがこいつはあんまりだろうが!俺たちのいる場所はその暗黒宙域だかに近いんで人っこ一人いないが!【ここ以外のほぼ全ての宙域で戦闘が起きている】!呑気なドライブとか言っている場合じゃないぞ!」
球体のあらゆる場所に赤い点が示され、それらが明滅し戦闘中である事を示している。艦隊、戦艦、戦闘機といった熱源が、宇宙全てを満たしているのだ。ブロンズの様な無法ではない。ただ、シンプルな弱肉強食の体現である。カオスの体現と言ってもいいだろう。此処から全ての場所に向かう際、ワープアウト地点に敵がいる、戦地の真ん中に姿を晒すと認識しなければならない程の大戦乱が巻き起こっていたのだ。
『こちらヴィマーナ搭乗のマーリン!御機嫌王とエルキドゥは手当たり次第に粉砕する事を提案しているよ!ヒロインXは同意、イシュタルはまず拠点を確保すべき、マンドリカルドはもうダメだ、エレシュキガルはもうダメなのだわと言っているね!』
「古代のやべーやつ二人は出来るだろうな!だが俺達が保つかバカヤロウ!バカめと送っとけ!確かに全員蹴散らすのは出来るだろうさ、だがあいつらはギルガメスに焚き付けられて戦ってるだけの連中だ!無闇に消耗したら次の戦いに響くだろうしもしかしたらギルガメス本人が間引いてくるだろ!俺達はあくまで異世界人なんだ!なんか流行ってなかったかそんな創作!」
『ふむふむ、ではアルゴノーツ船長の見解は?』
「宇宙全てが敵なら拠点がいるに決まってるだろうが!港に値する星か施設かなんかを見つけてから攻略だ!艦隊戦なんかの何処に武者修行ポイントがある!成長と躍進は自らの脚で進み、自らの腕で切り拓いてこそもたらされる!ケイローンが言ってた!」
「イアソン!どうやら敵の斥候部隊がこちらに向かってきている!バニシング波を感知したのかな?このままだと交戦するかも!」
『私達が『いる』と認識されてしまうのは面倒ね・・・誰が敵か味方かも解らないなら、ここは誰とも接触すべきではないと思うわ』
「聡明だな女神!そうだ、オレ達はまず幽霊船にならなくちゃならん!どこをどう攻めるか、どこをどう行くかを決めなきゃそれはただの放浪だ!オレの意見、余さず伝えろ!」
『・・・その必死さに免じ、方針を貴様に委ねる!だそうだよ!』
「上から目線ムッかつくぅー!!いや上か、英雄王だからな!アイツが王じゃなくて誰が王だそんな事はいい!ロマン、ダ・ヴィンチ!解りきってはいるがワープ予測地点を算出しろ!」
「・・・ダメだ!何処にどうワープしても戦闘宙域に突っ込む事になる!最低でも戦艦10隻は有した艦隊ばかりだ、最初から殲滅する気じゃなきゃ倒せない戦力だよ!」
「星に降りるのもまずいかもねー。目星があるとすれば銀河警察本部だね。あそこは今完全な廃墟になってるっぽい。あそこまで行ければなんだけど・・・うん!二回くらい囲まれるね!」
何処へ行こうと死地(王達以外の)、ワープの先は戦地、迫る戦いの火蓋。どうしようと何かをしなくては終わりが見える中。
──そんな時こそ、知恵と勇気の英雄イアソンの本質は冴え渡る。
「だろうな!やはりこれしか無いだろう!目標!暗黒宙域!何でもいい、ワープで突っ込め!」
「「ええっ!?」」
「別に驚く事じゃない!元々別荘とやらにも行くつもりだったんだ、性質から向こうから来れないと来てる!話を振ってきたのはあの邪神だろう!?こちらには娘もいる!悪いようにはならない筈だ!」
「イアソンさん・・・」
「邪神だと?心配するな!『ギリシャの神に比べたら最高神』だ!お前を見てたら、ソイツにどんな
「接近艦隊から熱量確認!これ・・・」
「主砲が来るぞーー!!」
「急げワープだワープ!!総員対ショック!ワープ地点は暗黒宙域だ──!!」
ワープ地点を打ち込み、ギル一行がワープするのと、放たれた主砲によりその宙域が蒸発するのはほぼ同時。
「・・・消えたか。【王妃】の気紛れにゴールドからシルバー宙域に来てみれば、デブリか何かが紛れていたか・・・?」
「目標、完全ロスト。・・・暗黒宙域に突っ込んだ様子」
「ならば最早消えたものと扱え。あの宙域にて無事なものなどいはしない。・・・視察は終えた。帰還するぞ」
謎の勢力たるシップは、端たる宙域を静かに去っていった──
暗黒宙域 ???
イアソン「い、生きてるな・・・生きてるよな・・・新生アルゴノーツ!無事か!」
マーリン『もちろんさ!ヴィマーナ、健在だとも!』
ヒロインX『ドゥン・スタリオンⅡも同じく!』
イアソン「た、助かった・・・ていうか、ここは・・・」
ワープアウトした際に拡がっていた景色に、イアソン達は呆然と圧倒される。
ナイア「此処は・・・!あぁ、懐かしい・・・!」
其処は、青空に虹、白い雲。サッカースタジアムばりに広い庭園に、ホワイトハウスを黒塗りにしたような屋敷。手入れの行き届いた花壇に広場、果樹園や農園、公園といった何不自由無い大豪邸が拡がっており。
執事ニャル【ようこそおいでくださいました。サーヴァントユニヴァースの旅路をお助けする拠点、ナイアとニャルラトホテプの幼少よりの『別荘』へとようこそ】
そして、丁寧な動作にて頭を下げるニャルの【分身体】。
──暗黒宙域の深淵とは。親子二人の静かな豪邸であった。これもまた、試練に赴く楽園へ送る、邪神の祝福が一つ・・・
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