人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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エルキドゥ「セイバー狩りかい?いつ出発するのかな?僕らも同行するよ」

エレシュキガル「私もいるのだわ!」

フォウ(二人とも!まさか、一緒に来てくれるのかい!?)

エルキドゥ「だってセイバーバッヂとセイバーが狩り放題なんだろう?僕達ランサーが餌になれば好きなだけ狩り放題じゃないか。片っ端から身ぐるみ剥いでユニヴァースの施設でリサイクルショップ巡りしよう♪(うんたん)」

エレシュキガル「その・・・エルキドゥや皆と一緒にイベントって、初めてだし。それに、イシュタルも・・・」

イシュタル?「・・・・・・」

「その、宇宙のイシュタルなのでしょう?一緒に力を合わせられたら、素敵ではないかしら?」

イシュタル?「・・・えぇ。私はなんとしてもギルガメスを倒す。その為ならなんでもするわ。力を貸して貰えるかしら」

エレシュキガル「ま、任せるのだわ!エルキドゥと頑張ってみせるから!」

エルキドゥ「未開拓の地は良いよね。治安が野蛮であればあるほど好ましい。降伏と対話の余地が生まれるまで侵略暴虐し放題だ。コンキスタドールエミュレータが捗るぞー♪」

フォウ(いかんエルキドゥがワクワクしてるぅ!!)

エレシュキガル「あ、あれ?ギルやエアは・・・?」

フォウ(ギルは騎士王に楽園の留守の引き継ぎで・・・)

──マリー!スパナ取ってスパナ!ギルギルマシンの調整をもっと完璧にしなくちゃ!宇宙ー!いくー!だもんね!

マリー「えぇ!ニトロやキノコをたくさん積むべきはないかしら!」

フォウ(あそこでワクワクしながらバイクいじってるよ!)

エルキドゥ(ほっこり)

エレシュキガル「ば、バイクかぁ・・・ヘルメット必須なのだわ・・・!エアー!ヘルメットは持ったー!?」

~男子トイレ

ニャル【おぉ、サーヴァントユニヴァースに行くのか。ちょうどナイアとXXを向かわせるつもりだったんだ。一部領域の権利書を預けてあるから、私の私有地を好きに使ってくれ】

マーリン「いやぁ助かるよ。君は行かないのかい?外宇宙の邪神・・・アドバイザーとして最適なだと思うのだが?」

ニャル【どうせ私は邪教の儀式で呼び出されるからね・・・今更行きたい場所でもない。そんなものより楽園でのトイレ掃除の方が大事だよ】

マーリン「あはは、本尊は大変な様だねぇ・・・」

ニャル【だが、助言だけはしておこう。・・・今回のイベント世界は『神座』に良く似ている。世界を世界で塗りつぶした場合、次には必ず新しい世界が来る】

マーリン「というと?」

【ギルガメスを倒した後、実権を握るのは誰かという話さ。──エピソードⅠでは終わらないだろう。楽しむ事を忘れずにね】

(・・・ふむ、それはつまり、新たなシーズンが我々にとって必ずしもいいとは限らない。なんと有益な情報だ。私はこの情報を・・・)

「・・・面白そうだから、誰にも言わずに黙っていよう♪」

ニャル【便所掃除終わり。後は反省文だな・・・あ、カオス・ボーダーは宇宙船として使えるから好きに使ってくれ】

マーリン「うーん、君ってバランスブレイカーだよねぇ・・・」

【お前が言うか、グランドキャスター】

リリィ「ま、マーリン!早く出てきてくださーい!」

【それと、割とお前と同類扱いは嫌だ】

マーリン「そうかい?リリィな娘さんの恥じらい好きじゃない?」

【・・・好きだがね】

ピシパシグッグッ


引き継ぎと心踊る準備

「では、我等はこれよりサーヴァントユニヴァースへと出立する。留守の楽園の統治は任せたぞ騎士王。安寧と平穏の統治という観点において、貴様の右に出るものはおらぬからな。火急の件があればすぐに我等を呼び戻せ、よいな」

 

「承知しました、お任せください。騎士王の名に懸け、あなたの留守は御守りしましょう」

 

サーヴァントユニヴァース攻略戦。一同がピクニック、或いは修学旅行の準備めいたテンションにて賑わうのに対し王が行った一手、それは楽園の統治の名代を立てること。No.2にして暴君属性持ちのカウンターたる騎士王へと指揮権を託す事だった。御機嫌王は平時の統治において、彼女の手腕を何よりも信頼している。

 

「ふふ・・・。いつぞやの問答では酔っぱらい二人に扱き下ろされたものですが、こうして互いの道が同じ未来に向く日が来るとは。解らないものです」

 

「フッ、酒宴の戯れ言を真に受ける貴様にも責はあったのだぞ?まぁ気に病むな。あの時空、世界が貴様に膝を屈させる為に回っていたきらいがある。ゴージャス時空の解釈は好意的と尊重重点なのだふはははは」

 

「あなたも悪酔いしていた。そういう事にしておきますね」

 

心無きものは彼女がブリテンを終わらせたと言うかもしれない。だがそれは誤りだ。『彼女こそが孤島にして亡国でしかなかったブリテンを、歴史に輝く騎士の栄光と共に伝説と化した』のである。決して酒を飲んだその場のテンションで否定していいものではない。大多数の民にとって、正しき治世に正しき統制こそが求める理想に疑いはない。ならばこそ、日々を守護させる任を託すは騎士王なのである。彼女は人が人たりえんとする規範、規律、そして誇り・・・『騎士道』を後世に遺した偉大なる王なのだ。その輝きは、誰にも否定される事はない。だからこそ・・・

 

「御機嫌王。リリィをどうかよろしくお願い致します。願うならば、彼女だけの旅路を見出だす手助けを。彼女こそは・・・」

 

騎士王の言葉を、御機嫌王は汲み取る。エアもフォウも楽しい準備の中、此処にいるは二人の王のみ。

 

「理解している。かの姫騎士こそは『未来を臨む騎士王』。成長する事のない過去の幻影たるサーヴァントとは違い、ヤツは『未来を変えられる』。ブリテンの結末に至る道筋を、より良いものへと変えられる可能性を秘めた特例よ」

 

成長する英霊・・・。全能の根源の導きにより、エアと共存し生誕した、『生命を得た英霊』といった境地に至った御機嫌王ともまた違う、無限の可能性を秘めた英霊。

 

ブリテンの滅び。それは決して変えられない。滅びがあるが故にアーサー王は完成し伝説となった。結末は変えられないものではあるが・・・其処に至る『道筋』を、彼女は変えられるのだ。それは暴虐と圧政による終焉かもしれない。平穏と安寧の中の、緩やかな消滅かも知れない。騎士という概念が無くなるものかもしれない。彼女は、無数のアルトリアシリーズの中で彼女だけは『始めることができる』英霊なのだ。それはどんな英霊にもない・・・彼女だけの特権。それを善きものにするか悪しきものにするかは、これからにかかっているのだろう。今、ユニヴァースに旅立とうとするこれからに。

 

「・・・まさか宇宙に旅立ち武者修行をするとは思いませんでしたが。私の宿す運命というものは本当に・・・」

 

「見ていて飽きぬと言うヤツよな。ふはははそれでこそ我が見上げるに相応しき星よ!故に、その星を掠め取らんとする我擬きは我の手で処断せねばならんな」

 

どこの世界、どこの時空であろうとも地上の星を横取りは赦さない。それが自分自身であるなら尚更だ。御機嫌王として、醜態を晒す自身はさっさと始末するに限る。自身を敬愛する姫の瞳が曇らない内に、だ。それに──

 

「それにだ騎士王。これは験担ぎでもあるのだぞ?ヤツは推定億は爆死している。アルトリアに銀河一拒絶された我と言っても過言ではない。いわば我の爆死の運命そのもの!そやつを我の手で誅すれば、それは最早我の勝利は約束される最上級のジンクスではないか!我は此処に!『爆死した自身の贋作抹殺教』を提唱する!ふははは爆死に苦しむ雑種ども!真似してもよいぞ!」

 

「・・・果たして、真似できる方は何人いるのでしょう。最低でも自分自身がシリーズ化している方ではないと難しいのでは・・・」

 

真面目に首を捻る騎士王。それに今回の旅路には御機嫌王的にも新鮮な愉悦目白押しだ。やると決めることにそれほど抵抗は無かったりする。こういった、王の観点での対話を優美に行う話し相手としても彼は騎士王に一目置いている。

 

「エアと我の悲願である宇宙進出は言うまでもないが・・・我の見たところ、あのイシュタルを名乗る輩の顛末も気にかかる。我の見立てでは、アレは女神が宇宙であった先史時代の頭脳体と睨んでいる」

 

「え、ええっと・・・つまり、人類史、或いは星が生まれる以前の文明の名残・・・女神の身体こそが宇宙であった頃の時代、それの女神の知性や人格が彼女・・・善のイシュタルと言うことでしょうか?」

 

「あくまでざっくりとした予想でしか無いがな。善に拘るのは、恐らく善を担当する人格だからであろう。──その善に、真面目に悪の首領をやらせたならどうなるかもまた一興だが・・・今は素直に善の側で輝かせてやろうではないか」

 

善の女神が、善を成す。今はふざけた理由とはいえユニヴァース存亡の危機なので他の要素が混ざる理由がない。彼女は今、正しく世界を救う善の女神なのだ。それに無粋は働くまいと王は告げる。

 

「ソロモン王が崇拝した豊穣の女神・・・イシュタルより来歴を旧くするというならば、そうさな。『アシュタレト』等が響きに合おうよ。だが我は呼ばん!何故ならイシュタルなんぞに敬意を払うなど我が御免被る故な!トオサカリンとでも呼んでおけ!肝心な時に宇宙船が爆発しそうなトラブルを招きかねん名前だがな!」

 

優秀かつ有能なのだが、どうしても事象や可能性が裏目に出た優雅を彼は知っている。彼は惜しんだ。かつてのマスター・・・の為に使い捨てた宝剣宝槍四丁を。エアには内緒である。血相を変えて回収に絶対向かうからだ。我の至宝はそういう事してくれる。

 

「ふふっ。善の女神に輝かしい未熟な私。どうか記憶と記録・・・そして美味しいお土産を期待していますよ、ギル」

 

「任せておけ。そして新たな叙事詩の格言を称えるがいい。『井の中の(オレ)、大海を制す!!』ふはははははは!!我等の活躍、早くもこの星では狭くなりすぎてしまったか!」

 

愉快な哄笑、騎士王の酌にて酒を嗜む王。宇宙に飛び立つコスモ武者修行の刻はすぐ其処にまで来ている。

 

「ふふ・・・それではギル、前途を占う景気付けの遊戯はいかがでしょう?夏の催しの一環として、私の練習に付き合っていただけますか?」

 

胸の谷間からカードを取りだし、不適に笑う騎士王。穏やかではあるが獅子のような威厳に、酒を飲み干し器を投げ捨て御機嫌王もまた白き歯を見せ笑み返す。

 

「──フッ。我にカードゲームを挑む最低条件を心得ているか?最低限──『思い通りの手札が手元に来る』程度でなければ勝負にもならんぞ?」

 

「えぇ、私も夏にはあなたとプリンセス専属のディーラーとなるつもりです。──常勝無敗の看板、私が戴くつもりですのでお覚悟を」

 

「よくぞ吠えた!やはり貴様は獅子がごとき王よ!ならば宇宙の旅路の無事を懸け!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

・・・とは言うものの、王同士の暢気なカードゲームな事には変わりないので。夏の催しの話をしたりしながら。

 

「ウサギは可愛らしいです。──夏の装いはバニーで行こうと思うのですがどうでしょう?」

 

「うむ、貴様ならば不足はあるまい。しかしカジノか・・・エアやマリアに、カジノで常勝無敗は禁じ手と教え込まねばな・・・」

 

「どうです?私と共に運営側に回りますか?」

 

「そうさな。やはりそれが無難であるか。上限なし、退出なしのゴージャスカジノ・・・ベンチャービジネスで資金も稼がねばな」

 

二手三手先のイベントを見つめ、二人の王は『絶対に手札事故が起こらないカードゲーム』に興じるのであった。




その頃

ダ・ヴィンチちゃん「えっ!?宇宙船の修理と新しい最新型の宇宙船製造!?」

ロマン「やっぱり無理かい?ほら、サーヴァントユニヴァースってキテレツだからさ・・・ドゥン・スタリオンⅡだけじゃ不安だし、アーヴァロンは一人用だし、アーマーだし。マルドゥーク神は通常運用じゃ目立ちすぎるし・・・」

マルドゥーク『( >Д<;)』

ダ・ヴィンチちゃん「何言ってるんだい?そんなもの勿論!」

ロリンチ「できらーっ!そしてもうやっているよ!私は既にムネーモシュネーと共同で宇宙船の3Dプリンターに着手している!」

ロマン「うわぁ仕事速いなぁ!?」



イシュタルが持ってきた宇宙船を解析して即座に改良生産!・・・したかったんだけれど、文明体系が余りにも違いすぎて、手持ちの情報だけじゃ難儀するかと思われた!しかし!

温羅「あー。これ最新型のリアクターだな。というかこのコクピット周りとポッドの頑丈からして・・・総帥や首領ポジションなのかあの娘さん」

紫「私がワープ担当なのは解るけど・・・こんな月の文明めいた発明にも明るいのねあなた・・・」

「ま、これくらい文明基準が進んだ世界もあったしな。結局ナノマシン以上の発展が望めなくて剪定されたけど・・・そんとき、こういう宇宙船のメンテもやってたりしてたんだよアタシ」

エジソン「頼むぞ温羅クン!技術解明さえ終わればこの私が直流安全宇宙船をこしらえよう!」

テスラ「黙れ凡骨!粗製乱造の量産品ではない、楽園に相応しきはワンオフだ!交流ネームシップこそ相応しい!」

エレナ「もー!二人で力を合わせてブレイクスルーなさーい!」

温羅クンに技術解明してもらい、データを貰い技術班が作る!完璧な分担だろう?心配はいらないさ!



ダ・ヴィンチちゃん「ま、そんな温羅クンも匙を投げたのかマルドゥーク神なんだけど!どうやらあらゆる技術を使っても、装甲すら再現出来ないようだ!人間の技術すごい!」

マルドゥーク『(  ̄ー ̄)』

ロマン「そっかぁ・・・!よし、ボクも手伝いをしなくちゃ!あ、バナナはおやつに入るかは永遠の命題だよね!」

ロリンチ「ニャル君が魔改造してくれちゃったボーダーも投入しよう!技術者しかできない戦いをしてやるぞーっ!」

ロマン(たまには、リッカちゃんに休んでもらわなきゃね。それにしても宇宙かぁ・・・大丈夫かなぁ・・・?)

不安と楽しみを胸に、一同の準備は続く──

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