キリシュタリア(すまないカプセル療養)『いやぁ、カドックとオルガマリーも驚いてくれるなんて嬉しいな。規模が規模だから自信はあったんだよ。オロチで回路も治りつつあるしね。でもほら、環境が合わなくてできないのはかわりなくてね?結局NPが足りないのさ』
オルガマリー「・・・改めて見ると酷いわ。何よ、この魔術回路の損傷具合・・・おまけに身体も枯れ木みたいな有り様になって。よくこれであそこまではしゃげていたわね・・・」
キリシュタリア「幼少の頃、色々あってね。貰った礼装は凄く役に立ってくれている。そう心配するものではない・・・なんて、痩せ我慢にしか聞こえないか」
オルガマリー「部屋にカプセルを配置するから、毎日そこで寝ること。マシュと同じ治療、神代の肉体変換を試みる。なんとしても癒されてもらうわよ、キリシュタリア」
キリシュタリア「すまないね、せっかくまた来れたというのに。・・・私はね、このカルデアで先の理想魔術を完成させたいんだ。皆を護るために、星の力を手にしたい。一発だけでいい、放てるようになりたいんだ」
オルガマリー「・・・」
キリシュタリア「この力を、今度こそ・・・人の未来のために振るいたい。だけど私だけではダメだ。君に協力してほしい。・・・ダメかな?」
オルガマリー「・・・もちろん、構わないわ。ただし、身体をちゃんと治す条件でね」
キリシュタリア「ありがとう!よーし、大丈夫大丈夫!こんなの寝ればすぐ」
オルガマリー「治らないから今其処にいるのっ!はしゃぐのは解ったから安静になさい!」
キリシュタリア「ごめんなさい・・・(しょんぼり)」
オルガマリー(・・・立派な服と礼装で、自分を偽り振る舞ってきた。その苦労が、少しでも報われる事を祈っているわ、キリシュタリア──)
「アジ・ダハーカの・・・頭脳体!?」
【?】
パーティーが一段落した頃、いつの間にか楽園にへとやって来ていた幼少の頃の姿をしている少女の処遇をどうするか。まずは包み隠さず王に伝えるべきとして相談に赴いたところ、帰ってきたのはそんな衝撃的な答えだった。王もまた意外そうに目を細め、不思議そうにお菓子バスケットを抱える少女を見定めている。
「ロマニ、そしてアンリマユめの推察だがな。獣が獣として成長し、孵化した際の頭脳ユニット・・・ティアマト神と酷似しているケース故有り得ぬ話ではあるまい。フォウめの話では、単純なパワーではアジ・ダハーカとティアマトは互角の関係と言う。類似していてもそう不思議では無かろうよ」
「そ、そういうものなんだ・・・。あ、言われてみたら羽根とか角とか、牙とか生えてる!かわいい」
【(じたばた)】
彼女は成体となったビーストの核、あの龍の中心たるユニットとなるべき存在。それがグドーシの救済とリッカの成長による獣の討伐にて、成長する事無く顕現している状態なのだという。グドーシに抱えられ、じたばたと拙い抵抗を図る姿には、確かに幼児程度の知性しか感じられない。
「どうして今になってやって来てくれたんでしょうか。本気でコウノトリの存在を信じかけたんですよ、私」
【カーマスートラが経典な神様な割に初なこって。あれだ。龍哮が泥を全部使って龍を再現したろ。そんときリッカが祝辞を贈った筈だ。生まれてきてくれてありがとう・・・ってな。その言葉が再現された龍を通じてこの頭脳体に届いた。要するにクリティカルワードだったわけだ。世界をフラフラしてた頭脳体は、縁を辿る形で逆召喚された訳だな。別世界のラプチャーと似た感じなんでねーの?なぁ?】
【(もしゃもしゃ)】
──一心不乱に御菓子を食べていらっしゃいます。可愛いですね・・・!
(や、やるじゃないかドラゴン娘だなんてアピールポイントを引っ提げてくるなんて・・・だが元祖スーパー可愛いマスコットキャラの僕がいる限り!君にマスコットキャラの座を簡単には明け渡したりはしないぞ!)
──あ、可愛い部門とは認めているんだねやっぱり!仲間が増えて良かったね、フォウ!
悶々とするフォウを宥めるエア。どうやら小動物的仕草が大いに琴線に触れたらしい。きっと仲良くできるだろう。友達として、仲間として。
「霊基のクラスはアルターエゴ、レアクラスではないか。アンリマユよ、貴様と合わせて何か特殊な運用は叶わぬのか?元はリッカ含め、一つの存在であろう?」
【あぁ出来ますとも。私とコイツを両方召喚し一緒に戦わせりゃあ、再現が出来る筈だぜ。メソポタミアでやったのとは違う、リッカとは別に独立して動く獣の再現・・・アジ・ダハーカの顕現がよ】
【(?)】
アンリマユは自信満々に宣言する。泥が構成する肉体であるならば、この少女はそれらを統括する筈だった頭脳体。リッカが使用する人類の悪性を転用した無尽蔵の魔力を使い、いつでも姿を現す事が叶うというのだ。ビーストif・・・アジ・ダハーカを再現することによって。
【いくら図体がでかくても、大元はマスターになる。リッカの技や攻撃が通じないようなデカイ敵にもぶちかませるようになるだろうさ。再現したヤツの強さはリッカ基準で決まる。翼から雷位の一閃を放ったみてーに、いくらでも強くなれるだろうぜ】
いよいよ巨人や巨神クラスの対応までが可能となるとアンリマユは愉快げに笑う。最弱の英霊サマが来るとこまで来たもんだと、少女をぽむぽむと叩きカウンターで噛み付かれ悲鳴を上げた。
【ぎゃあぁあぁ!?こいつ跳ねっ返りかよぉ!?】
【フンス(抵抗の意思を見せている)】
「成る程。その気になれば現地のマスター達を抱え飛ぶこともティアマト神クラスの危機も退けられる可能性が出てきた、か。それはよい、それはよいが・・・良いことづくめというものではなかろう?」
【まぁな。私がやられたら暫く全能力がダウンするだろうし、頭脳体として正式にサーヴァントの形を取りはしたが、単体としての私もコイツもぶっちゃけ弱い。の割にリッカの能力には密接に関係してるもんだから、戦闘不能になっちまったら皺寄せがリッカにモロに行くな。魔力の生成も止まっちまうかもしれねぇ】
【(しょんぼり)】
泥の展開不能、再現不能、制御の無視や暴走。リッカの力の根幹たる存在であるからこそ、デメリットも確かに存在している。アンリマユ、そして龍の少女が撃破されてしまえば様々な形でリッカに弊害をもたらすとアンリマユは推測する。泥の鎧の展開不可、そして魔力の涸渇とメリットと同じくらいに強力なデメリットが頭をもたげてきた。アンリマユが滅多に出てこないのはそれも要因である。倒されない事が戦い。楽園に隠れている事が自身の最高の運用方法なのだ。
「それ、リッカさんが単体で戦った方が強いんじゃ無いですか?ある意味最終手段というか・・・」
【全くもってその通りなんだよなぁ。マーラみたいに宇宙に蔓延クラスでねーと、あんまり使い途はねーっつぅか。私達が出る頃には相当ヤバい状況でしかないっていうか。まぁ釣り合ってはいないかもだ】
【(モグモグ)】
【だから、使い途は慎重に決めろよリッカ。私達が揃うことで魔力や泥はずっと使いやすく低燃費になるだろうが、倒されちまったらそれもパァだ。面倒くさいかもしれんが・・・】
「大丈夫!一度も負けなければいいんだから!ギル、彼女を楽園に在籍させても大丈夫?」
あっさりと受け入れ、滞在を願うリッカ。彼女もまた招かれし縁ならば、放逐されるのはあまりにも忍びない。龍の中核と言うなら尚更だ。そしてその貴重性も、王は把握し理解していた。
「無論だ。稀少なる龍の核が招かれたのだ。拒否する理由は何処にもあるまい。我が赦す!最重要戦力として、マスターめの自室にて待遇せよ!愛の神、並びに救世主よ。面倒を見てやるがいい!」
「承知いたしました。幼少のリッカ殿もまたリッカ殿ならば、邪険にする理由もありません」
「妹の様に、娘の様に・・・誠心誠意愛させていただきます。覚悟してくださいね?えっと・・・」
【・・・・・・?】
【喋れないんだよなぁ・・・。特性上、コミュニケーションが食事な訳で。それを流暢にやれたら不味いってんで自制してるってとこか。会話の意味や言葉自体は通じてるのは間違いねぇから、懲りずに話し掛けてやってくれ】
こうして、アジ・ダハーカの心、身体、そして頭脳が一ヶ所に集う事となった。人間では対処不可能な存在、或いは巨大なるスケールの敵でさえも問題なく対処は可能となるだろう。
──そういえば、彼女の事を頭脳体と呼ぶのは無機質で忍びなく感じます。お名前を授けるべきでは無いでしょうか?
《それも道理よな。だが、こやつの名前は今や忌名に等しい。紛らわしくもある。新しく考案してやらねばなるまいな》
「あなたはどんな名前がいい?藤丸立香の他に、呼ばれたい名前はある?」
【・・・。・・・あじ】
「「あじ?」」
【あじーか。・・・こんごとも、よろしく(おじぎ)】
【ヒヒヒッ、いっちょ前に名前を考えてやがったか。じゃあ、楽園ではアジーカって呼んでやってくれ。リッカと私共々、よろしく頼むわ!】
(君もまた、プレシャスビーストだ・・・!よろしくね!アジーカちゃん!)
【・・・ぱい、せん(リスペクト)】
(フッ、可愛い後輩が出来ちゃったなぁ!ワクワクするなぁ!よーし君も尊さ十二倍ダメージな身体にしてあげちゃうからねー!)
新たに増えた仲間。その稀少性に王も快諾せし存在。
【───(ヒュバァ)】
「消えた!?」
(来訪したてで、これ程の尊死を・・・!)
──尊死!?
沢山の祝福と肯定に触れたアジーカは早速、楽園の皆に討伐を果たされるのであった──。
カーマ「リッカさんにグドーシさん派閥の私からしてみたら、彼女はまさに福音ですよ・・・!アジーカちゃんこそ、リッグド派にもたらされた聖典ですね間違いない・・・!」
アジーカ【むにゃむにゃ(満腹でねむい)】
リッカ「アルトリアや兄貴を笑えなくなってきたなぁ・・・彼女の事、よろしくね。グドーシ!」
グドーシ「任されよ。拙者の知らなかったリッカ殿の表情に触れながら、お付き合いをさせていただくでござる」
アジーカ【・・・コテッ(眠った)】
カーマ「あぁダメですよ、廊下で眠っちゃ・・・」
リッカ「よーし!じゃあ先戻ってて!私、言わなきゃいけない事があるから!」
「承知。お気をつけなされよ」
グドーシ達に見守られ、リッカはノックし部屋へと入る。
リッカ「村正おじいちゃん!聞いてよ、龍哮がね!」
村正「ほぉ・・・?跳ねっ返りが、随分と踏ん張ったみてえじゃねぇか──」
愛刀として大活躍してくれた自身の分身の勇姿を、産みの親へと確かに報告するリッカであった──
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