子供「うわぁーん!お母ちゃん!お母ちゃーん!!」
母「どうか、どうかこの子だけは・・・神様、お救いください・・・!」
【【【【ウォオォオォオォオォオォオォオ!!!】】】】
子供「うわぁーん!お母ちゃーん!!」
無双信長「──涙で世は動かぬ、童」
「え・・・?」
「あ、ありがとうございます・・・!」
無双信長「立て。この日本の未来、担うは貴様だ」
子「──。・・・──うんっ!」
「フッ、良い・・・─始まったか。ならば、この信長もまた動くも必然──」
~
カドック「・・・サーヴァントのケアもマスターの役目だ。任せるぞ」
リッカ「勿論、任せてよ!」
桐之助「大丈夫かい?・・・いや、君たちの絆を信じるよ。時間を稼ぐ!待っているからね!」
景虎「・・・」
リッカ「・・・頭ごなしに否定なんてしない。あなたの事、全部受け止めてみせるから!」
「私はあなたと初めて会った時より、ずっとあなたを見て参りました。どんな困難にも、苦難にも決して退かずに立ち向かう誇り高く輝くあなたをこの目で。──えぇ、あなたこそ、我が剣と力を兼ね備えしもの。世界を救う戦いの矢面に立つに相応しき御方。世界が求めし人の在り方そのものと言えましょう。あなたが世界を救うと言うのならば、それは必ず現実になります。私が太鼓判を押しましょう」
この鉄火場において、景虎は本当の意味でリッカをマスター・・・主と認めた事を明かす。魔王であろうと、神であろうと決して退かず、恐れず、全身全霊で立ち向かい戦う尊き姿。その在り方こそが世界を救うマスターであると魂で理解したと告げる。
「あなたは本当に強い。可愛らしく、それでいて正しく在らんとすることを決して違えない。そんな貴女に、我が総てを託すことに何の躊躇いもありません。ですが、私はこうも思うのです。そんな誇り高いあなたががむしゃらに護らなければならないほどに、この世界やこの世界に生きる者に価値はあるのですか?『全て滅ぼした後で、一から始める方がずっと早い』でしょう?」
人間の有り様を、輝きを。リッカを通して理解した景虎。窮地においても決して人らしさを喪わず、決して困難から逃げない強さ。誰かの為に、自分の在り方を貫く強さ。──だが理解したからこそ今は思うのだ。『そこまでされる価値が、今の人にはない』のだと。
「虎ちゃん・・・」
「かの坊主の言葉にも一理はあるでしょう。リッカちゃんがどれ程懸命に世界を救い、護り、未来を掴んだとしましょう。だが人々が貴女に感謝を捧げると思いますか?いいえ、有り得ません。貴女を不気味がり、疎んじ、排斥しようとするでしょう。人は弱いくせに、強き存在を赦さない。あなたは必ず罵られ、蔑まれ、人の世から弾き出されるでしょう。──私の様に!これほど懸命に生きる貴女を化け物と指差すでしょう!数が多いというだけで、自分達と違うと言うだけであなたを排除するでしょう!それが人間!それがあなたが懸命に救おうとしている畜生ども!『誰もあなたを理解しようとしない』!あなたがこれ程護ろうとしている人間は、決してあなたを認めない!」
そんな事が赦されていいものですか!景虎は吼えた。リッカの辿る末路は、リッカの歩まんとしている道は既に景虎が見てきた道だ。・・・リッカを気高き『人』として認めたが為に、世に満ちる人間と名乗る生き物を『人』として見ることを止めてしまった。酒に溺れ、堕落と安寧を貪る摩玖主の連中と、世界を救わんと懸命に生きているリッカが同じ存在であることが赦せぬと、景虎は吼えたのだ。・・・いや、もっと話は単純なのかもしれない。
「清く生き、正しく生きる者を蔑み!世界の命運を只人に背負わせ自らは知らぬと肥える者!それが世に数多蠢く畜生の名であるならば!・・・悪い事は言いません。リッカちゃん。あなたはあなたの好きな様に生きなさい。世界や其処にいるものに義理立てする必要など何処にもない。あなたが救うべき人など、きっと何処にもないでしょう。あなたを世界が否定するというのなら、そんな世界はきっと滅ばねばなりません。正しき者が正しく報われぬ世こそ、末世と呼ばれる終焉なのですから」
単純に・・・、自身と同じ視線や立場にて対等に在る者が害されるのが赦せなかったのやもしれない。自身がどれ程畏怖され、恐怖されているのかが解っているから。
自身は神の化身であると、義を貫くと自らを律したからこそ自身は堪えられた。神であり強き自身は、弱く愚かな人間を護るのだと。だからこそ、人間が自身を蔑み遠ざけようと受け入れた。
しかし、人が人を貶めるという事をするのなら。龍と呼ばれ、どれ程強く在ろうと。なんら人と変わらぬ尊きものを人自身が害するというのなら。それは本当に・・・人間が自らの価値を放棄したと同じ。自身に歩み寄り、自身に寄り添ったただ一人を害そうと言うのなら。そんな世界こそが間違っているのだと景虎は告げている。それはともすれば・・・初めて、本当の人との触れ合いで得た他人への感情であるのかもしれない。彼女は今・・・本気で、目の前の人たる者を思いやり、案じているのだ。彼女の道行きが、自身と同じであってはならない。
同じと言うなら──そんな世界に、救われる価値など無いのだと。それは、人を理解したが故の人への憤怒、弾劾。リッカのように懸命に駆け抜け生きる者と、摩玖主の連中が同じ生き物を名乗ること自体がおぞましく、赦せぬと景虎は言葉を走らせた。
「えぇ、リッカちゃん。あなたは素晴らしい人間です。私はあなたを、あなたという人間を心から支え、護りたいと願います。・・・だからこそ、私は解らないのです」
そんなあなたが、何故それほどまでに人を護るのかと。救いたいのかと。人間の愚かさを目の当たりにしておきながら、何故がむしゃらに護らんとするのか。
「リッカちゃん。教えてください。何故あなたは『人』という存在を懸命に護らんとするのですか?人より遥かに強きあなたが。強きをけして認めぬ愚かな者たちなどを、何故──」
「そんなの──」
リッカが応えんとするその刹那。
【ウォオォオ───、オ】
瞬間。リッカの手により、割って入った黒き巨人が両断された。その太刀筋、その迷いの無さは何一つ変わらない。リッカは変わらず、揺らがず、真っ直ぐに景虎へと返答する。
「決まってるよ、虎ちゃん。私はね、そんな人間が大好きだからだよ。愚かで、無様で、恐ろしくてよわっちぃかもしれない。そんな人間が大好きだからだよ!」
「大好き・・・?あなたを害する者たちが、ですか?」
「うん!だって私は教えてもらったから!何処までも愚かになれるのが人間なら!『何処までも素晴らしく輝けるのが人間だ』って!私は皆に、教えてもらったから!」
リッカを取り囲む巨人達。鎧──彼女が生涯を懸け形にした、白く輝く鎧の最終形態を装着し戦う。その拳にも、その魂にも、微塵も迷いは見られない。
『人間は確かに愚かで、恐ろしいくらいに残酷な存在かもしれない!でもね虎ちゃん!人間はそれだけじゃないんだよ!誰かを傷つけるのが人間なら、誰かを労ったり誰かに優しく出来るのが人間なの!それでいて同じ人は一人もいない!この星に生きる人間の一人一人が、誰でもない自分だけの生き方でこの星の未来を紡いでる!』
【【【【【ウォオォオォオォオ!!!】】】】】
『それって──!すっごく『楽しい』って思わない!?私は思う!誰かを傷つけるばかりの人間が、その手で誰かを労って、手を取り合って未来を作る!化け物や獣でしか無かった私が、皆のお陰で世界を救うマスターになれた!そんな人達が滅んじゃうのって、すっごく哀しくて嫌だと思わない!?』
「─────」
『だから私は護る!命を懸けて護ってみせる!滅ぶ未来も、世界の終わりも全部私が、私達が変えてみせる!!人間はこの世界で一番・・・!『素敵な明日を作れる』生き物だから!!私は自分より!皆の生きる世界が大切だって思ってる!!』
群がる巨人達を、決意と共に薙ぎ倒すリッカ。彼女は誰よりも知っている。人の悪性を。人の恐ろしさを。
・・・そして、そんな人間を心から愛している王を知っている。自分も含めた総てを尊いと言ってくれた優しいお姫様を知っている。そんな二人が愛している生き物が人間で、人間が作り上げているものが『世界』と呼ばれる織物なのだ。なら、人間とは最早違ってしまった自分が、そんな人間にしてあげられる事はたった一つ。
『私は切り拓き続ける!人類の先頭で、皆が安心して進めるように邪魔なものを蹴散らして走る!戦えない全ての人達の為に!平和と未来を望む全ての人達の為に私が戦う!!!』
それが、世界を救う楽園のマスターとして自身が掲げる魂の誓い。それが、沢山の人に──可愛いと言ってもらった自身ができる精一杯の恩返し。
『私は私である事から逃げない!それが私の──誓いだあぁあぁあっ!!!!』
目の前の総ての泥を蹴散らし、龍が如くに吼えるリッカ。そしてその顔は、いつもと変わらぬ快活な笑みを浮かべている。
『以上、説明終わり!解ってくれた?』
「──えぇ。ようやく、ようやく人とはなんたるかを理解できた。そんな気がします」
底抜けに愚かでもあれば、天高く飛ぶまでに気高い。強くもあれば弱くもあり、愚かでもあれば涙を流すほどに尊い。
「──えぇ。確かに人は面白い。素晴らしい。こんなにも多種多様な在り方を良しとする生き物・・・きっともう二度と現れぬでしょう」
【【【【オォオォオォオォオォオ!!】】】】
すぐさま甦る黒き巨人達。しかしリッカが身構えるよりも早く、真っ二つに両断される。軍神の、迷いなき一撃だった。
「──ならばこの長尾景虎!あなたが数多の衆生の未来を護ると言うならば!私はあなたの未来を護ると致しましょう!そなたの駆け抜ける生!我が身の総てを懸けるに些かの不足なし!!」
『虎ちゃん・・・!』
「ごめんなさい、リッカちゃん。正直に白状しますが、あなたにかなり惚れ込んでいるようです私。あなたが私みたいに疎まれると言われついカッと・・・」
『気にしないで!──それともひとつ』
「?」
『世界の何処にも居場所が無くても構わない。──居場所は自分で作る!それが藤丸リッカの生き方だから!だから心配しないで、ね?』
「──あははははははははははっ!あなたはつくづく、生まれる時代を間違えていますね!」
この時、初めて景虎は腹の底から、心の底から笑いが込み上げた。愉快極まる対等の存在に、笑いを貰ったのだ。
(──えぇ。私はこの人を護りましょう。彼女の人生を、私も見守りたく思うがゆえに!)
人の輝きと強さを目の当たりにした景虎に、迷いはない。今度こそ、本当の意味で軍神は龍と共に天を翔る──!
カドック「全く。男の立つ瀬がまるでない。──とんでもない後輩が育ったものだよ、桐之助」
桐之助「──私はこうも思う。彼女が楽園のマスターで、本当に良かったと。世界を救ってくれたのが彼女で、本当に良かったと」
カドック「・・・同感だ。あの生き様は・・・魔術師の世界なんかにいちゃいけないくらいに眩しい。──世界を救う人間として、これ以上ない輝きだって思えるよ」
リッカ『さて!よくもあまこーや毘沙門天をバカにしてくれたね大僧正さん!』
景虎「我こそは越後の軍神!長尾景虎なるぞ!そしてこちらは我がマスター!」
大僧正「・・・それがどうしたというのか。お前達の神など、この浄土の前に現れんというに」
リッカ『じゃあ──見せてあげる!!』
リッカが取り出したるは、将門公より賜りし『勾玉』。神の威風満ちる勾玉をリッカは高く掲げ──
景虎「・・・姫鶴飛んで三鳥遊ぶ。谷切り結び、五虎引かば、祭剣まつりて七星流る。松明照らすは毘天の宝槍──」
『祈りは力なり!力は祈りなり!いざ、平将門の名の下に!いざ来たれ!『新皇座臨・総鎮守』!──神田明神!!!』
大僧正「な、何──!?」
大僧正は垣間見る。景虎の背後に浮かびし輝ける後光。それはまさに毘沙門天の威光にして降臨そのもの。そして──
天照大御神『──ウォオォオォオォオォオーン!!!!』
東方守護神・平将門公『神仏、此処に在れり』
伊邪那美命『どうも~!どうも~!(二回目)イザナミおばあちゃんです!』
リッカの願いに応え、四柱の神々が大僧正の前へと顕現する。それは偽りの浄土に待ったをかける、社より来たりし神々の顕現──!
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