人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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安土城

光秀「始まったようですね、信長公・・・楽園の皆様が、全てがあなたを殺さんと迫り来る。あなたは討ち果たされるでしょう!清く正しい皆様に!」

【・・・・・・】

「あなたは討ち果たされ、魔王として舞台を降りる!それは哀しく、とても辛い・・・!あなたが拒絶されながら、世界から再び消えてしまう事が・・・!」

【・・・・・・】

「私は堪えられない・・・。あなたが、信長公が討ち果たされ消えてしまう事が・・・!だから私は、私に出来るやり方であなたを護りましょう、信長公!『私があなたを殺す事で、あなたは誰にも殺されない!』」

【・・・因果か、光秀】

「えぇ。私には、これしか知らないもので」

【ならばァア・・・望み通りに此処で死ねェイ・・・!!】

「あなたは私が護って御覧にいれましょう!それが私が、あなたに捧げる忠義の形!さぁ──私に殺されてください!あなたは誰にも渡さない──!!」


奪え!魔王陣!!

「皆、行くぞ!戦略的勝利はリッカが収める、戦術的勝利が僕らの目指すゴールだ!」

 

遂に火蓋が切って落とされた安土城攻略戦。最早息をするのが困難であるほどに濃密な地獄。そのの門の前に立ち、カドックが気炎を吐く。クラスカードライザーを突き付け、勢い良く撃ち放ち開門を行う。文字通り、地獄の門を蹴破ったのだ。

 

点火(イグニッション)!──進め!!」

 

『『『『『ノーッブ!!』』』』』

 

雪崩れ込むちびノブ軍、迎え撃つバサラ信長軍、並びに光秀軍の混迷の戦場が展開される。異形の存在ばかりで占められた信長軍、骸骨まみれの光秀軍。ちびノブ軍達は迅速に隊列を組み、信長が展開させ三重陣形を布陣する。

 

「与一さん、頼む・・・!」

 

「いいでしょう。引き付け・・・撃て!」

 

リッカのサーヴァントである与一に指揮を任せ、タイミングを譲渡。弓の名手たる与一の判断にて放たれる銃の一斉発射。迅速かつ圧倒的に、混迷のニ軍を蜂の巣にし制圧を開始する。

 

「うひゃはははははは!!蹴散らしてやらぁあぁ!!」

 

「大将首!大将首だろお前!!」

 

「斬れ!進め!斬れ!進めェエ!!!」

 

「カカレェエェエェイ!!!」

 

四匹の鬼が吼え、有象無象ひしめく地獄へと突撃する。漁夫の利を狙うなどとはせぬ殲滅前進。槍が閃き、刀が煌めき、鬼が吼える。地獄の亡者すらも皆殺す一気呵成にして一騎当千の武将達が、戦線を押し上げ一直線に道を拓く。

 

『よし・・・!情報通りなら此処で・・・』

 

【【【【【ォオォオォオォオォオォオ!!!】】】】】

 

爆弾兵、弓兵、鬼人兵。爆弾を抱えて走る兵士、骸骨の弓を構えた兵、金棒を持ち鎧を身に纏った地獄のバサラ兵士。並びに光秀軍が焚きし腐食の香。それらが、一斉に脆い前線のバーサーカー達に迫り来る。だがそれは、とうに織り込み済みの展開だ。

 

『頼むぞ、蛇神様・・・!』

 

既に上空にて待機させていた蛇神に号令を掛け、兵の処理を依頼する。指令を受けた蛇神、静かにアイマスクを押し上げる

 

「解りました。道を拓く為に・・・雑にいきます」

 

そして解放されし魔眼。対魔力持たぬ全ての兵士が能力の関係無く一瞬で固まり石化を果たす。物言わぬ石塊となればどの様な能力を持とうとも何の意味も成さない。リッカの頑張り、桐之助の敏腕が功を奏したのだ。

 

(ありがとう、二人とも。このまま形にしてみせる。君達の頑張りを!)

 

瞬間、耳をつんざく咆哮。荒れ狂う怒号と共に現れしは、牛頭と馬頭の、戦場を見下ろす巨大なる獄卒の指揮官クラス。報告にありし、二匹の鬼。統率を取っている立場であろう強力な敵方の武将だ。

 

【【◼️◼️◼️◼️◼️!!!】】

 

業火を吹き出し、棍棒を振り回し、巨体にて光秀軍を片端から皆殺しにしていく。豪腕剛力を駆使した一撃は、サーヴァントであろうとも被害甚大にして重傷は免れない。地獄の威厳と威圧を前にし、麒麟に平静を祈り次なる策を弄する。

 

「蠣崎イリヤ!ハサン太夫!頼む!」

 

「任せて!行くわよシロウ、バーサーカー!」

 

「承知。大物喰らいは望む処・・・!」

 

白熊に乗り、バーサーカーヘラクレスを従えしイリヤ。並びに影より出でしハサン太夫。暴虐の限りを尽くす二匹の鬼に果敢に立ち向かい、討ち果たさんと挑み往く。

 

「バーサーカー、動きを止めて!シロウ、走って・・・行くよ、女神達!」

 

【◼️◼️◼️◼️!!】

 

「ガアァアッ!!」

 

バーサーカーが真っ向から金棒を受け止め、素早く動きを止めて制限する。そして白熊のシロウがイリヤを乗せ、宝具を速やかに展開し決着をつける。宿りし女神の力を弓矢に乗せ、一気に撃ち放つ!

 

「『吼えよ我が友、我が力(オプタケシケ・オキムンペ)』──!」

 

【◼️◼️◼️◼️!!】

 

瞬間、撃ち放たれた氷の弓矢が牛頭に直撃し、一瞬にて硬直冷凍し氷の彫像が出来上がる。そしてそれを一瞬で粉砕し、粉々に分解し撃破討伐を達成する。耐性を縫った、鮮やかな撃破であった。

 

「『妄想心音(ザバーニーヤ)』」

 

片や、心臓を抉る右腕が解放され馬頭を沈黙させる。剛力、強靭なれど即死に耐性は皆無であったのか、さしたる抵抗もなく轟沈する。一瞬の隙にて最大限に効果を叩き出す、忍の面目躍如なる活躍だ。

 

「よしっ!やっぱりだ、これはあくまでシミュレーション・・・用意された試練には必ず、解決するに最適な『適役』がいる・・・!」

 

登用という形態を取ったサーヴァントスカウト。それは確かに意味があった。バサラ信長の軍に対し、登用サーヴァントの対応効果は想定を遥かに上回っている。それはともすれば、楽園のサーヴァントが対応するよりも。それは間違いなく問題の最適解、『適役』という概念の存在。リッカと、桐之助の真摯と誠実さはこうして形を成している。登用を行った事により、想像以上にして想定以上の結果を導き出す。人助けと回り道こそが、真に正解に近しきものとカドックは確信していた。この機会を、彼女らの頑張りを無駄にするわけにはいかない。自身にまとわりつく光秀軍を処理しながら、カドックは更に一手を進め王手を掛ける。指揮系統が寸断され、混乱が広まっている今こそが好機だ。此処を逃していては指揮官などやってはいられない・・・!

 

「陣地の攻略を開始するぞ!マスター各位は敵を各個撃破して所定の位置につけ!各自のマスターの魔術回路が起動の鍵だ!」

 

霊脈の中心にマスター各位を配置し、イザナミの力にて陣の浄化を行う。無事にこの行程を果たすことが出来たなら、陣地を奪還する戦術的効果は充分に果たされた事となる。紛れもなく、作戦の要だ。地獄の兵士たる信長軍はともかく、光秀軍は指揮するカドックを始末せんと雪崩れ込む、が。

 

「させるものか。カドックは我等の指揮官なのだからね!イニス!」

 

「はい!この不死身の身体、槍に乗せて振るいます・・・!」

 

護衛を行うは、イニスと桐之助の新進気鋭コンビ。高速思考を行うカドックの傍らにて彼を守護し槍を振るい、帯刀した刀を振るい大立回りを見せる。全員が所定に付くまでの、僅かながらの時間稼ぎだ。

 

「無理はせず、やれる事をやればいいんだ!僕達の努力は、リッカ達が必ず力にする!」

 

「ふふっ、見ない内に本当に頼もしくなった!負けていられない、私も風来坊として奮起しようとも!」

 

「えぇ、この奮闘と奮起に未来がかかっているのならば・・・例えこの力の在り方が解らずとも!」

 

イニスの槍の冴えは凄まじいもの・・・否、荒々しいものであった。戸惑いながらも懸命に振るう槍は、怒濤の勢いにて兵士達を凪ぎ払い、討ち果たす。

 

『小僧、急げ!お前以外は全員ついたぞ!』

 

「解った、そう焦らせるな!桐之助、イニスに指示を!突っ込むぞ!アタランテ、頼めるか!」

 

瞬間、アタランテを召喚し、一直線の方角へと使役し未来を拓く為の突進を行う。言葉なく猛進するアタランテとの間には、確かな絆が介在している。

 

「解った!イニス、行けるかい!?」

 

「えぇ、お任せを・・・!アタランテさん、続きます!」

 

二人の突進を真っ直ぐに信じ、走り出す桐之助、カドック。死骸溢れる道を懸命に走り、死兵の群れを掻き分けていく。目標地点まで、もう少し──

 

「っ、く・・・!」

 

「桐之助!?」

 

瞬間、桐之助が足を屍に取られ転倒してしまう。彼の身体は最底辺の頃とは比べ物にならぬ程快復したが、土壇場の緊張が明暗を分けた。隙を見せた桐之助に、兵達が群がる・・・だが、速やかにカドックは行動を起こす。

 

「しっかりしろ、君らしくない!風来坊が迂闊だぞ・・・!」

 

躊躇いなく肩を貸し、共に歩むカドック。切り捨てることも、見捨てることも微塵も選択しない。彼はもう、安易な策には逃げない。

 

「カドック・・・」

 

「か、勘違いするなよ。これが楽園の流儀で、君にはやってもらう事があるってだけだからな。僕は僕の課題をこなしただけだ」

 

「──ありがとう。だが・・・」

 

瞬間、桐之助の杖が閃き、無数の光の束が辺りに降り注ぐ。それらは過たず、速やかに二人を囲う敵兵を討ち滅ぼす。カドックを護り、周囲の安全をカバーしたのだ。

 

「まだまだ君は視野が狭い。もっと次の手と環境を考えれば更に強くなる筈だ」

 

「ふん、いいんだよ。明日は今日より良くなっている筈だからな・・・!」

 

『何してるの!さっさと来なさいよあんたら!』

 

よりによってぐっちゃんに叱咤された事実に、カドックと桐之助は顔を見合せ、思わず笑ってしまう。

 

「お叱りを受けてしまったね。さぁ頼むよカドック、私を運んでくれ!」

 

「元気なら自分で歩かないか!全く、君は本当に掴み処が無いんだな・・・!」

 

絶望を掻き分け、二人は辿り着く。そして──無限に湧き出る魔王の陣地を、奪還する時が来た──

 

 




カドック『マスター各位到着!ロマニ、魔術回路が揃った!イザナミさんに連絡を頼む!』

オルガマリー「本当に頼もしくなって・・・いいわロマニ、やりなさい」

ロマニ「了解!イザナミ様、よろしくお願いいたします!」

イザナミ『お任せぇー!そーれ!暗雲よ晴れよー、呪いよ去れー!恵みよ来たれー!』

「魔術回路、掌握。浄化魔力、御祓開始!」

ロマニとイザナミの合わせ技、イザナミの祝福をロマンの魔術により御祓の清浄なる魔力をマスターの魔術回路を通して霊脈に浄化を叩き込む。マスター一人につき、陣一つの計算。──正しき成果により、浄化は果たされる。

オルガマリー「成功よ、カドック。陣は奪還されたわ!禍肚の経験が活きたわね・・・!」



カドック「よし、なんとかなったか。全員欠ける事ないのが必須だから、目標が高く手抜きが許されないのが難題だ」

桐之助「手、抜くつもりかい?」

「そんな訳ないだろう。僕達は此処で陣地を護る。桐之助はイニスと魔力を貯めておいてくれ」

イニス「?何故です?」

「君達にしか出来ない事があるんだ。・・・僕が見立てた通りなら、必ず君達の力がいる」

桐之助「──解った。君を信じよう。イニス!魔力を貯めて指示を待つんだ!」

「了解しました!」

「後はリッカ次第だ。──心配はしてない」

(君の準備は活かしてみせた。今度は、僕達の頑張りを無駄にしないよう頑張るのは君達だぞ・・・!)

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