人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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春日山城

カッツ「是非もなし!日本に湧いた有象無象の信長よ!今こそ此処に真の織田信長が降臨する!多分!第六天魔王を騙る無礼者、首を洗って待っていろ!!」

足軽「天守閣でイキり勝太郎やってないで現実見てください!正門に恐ろしく強い鬼武者がいるせいで陥落は時間の問題かと!」

ミッチ「裏側には新撰組が陣取ってはいるが、バランスはギリギリだ。一人でも回せば戦況は傾く」

カッツ「取り敢えず耐えて耐えて耐えましょう!姉上やリッカちゃんが来たら全部ひっくり返る筈ですから!」

足軽「それ何回聞いたか解りませんが承知!ミッチどの、よろしくお願いいたします!」

光秀「無論だ。ところで何だか気安くないか?」

足軽「気のせいかと!」

足軽「伝令!伝令!!」

カッツ「今度はなんですかもー!?」

足軽「はっ!正門の敵兵──『壊滅致しました!』」

ミッチ「何!?」

カッツ「もしや、もしや──!?」


正門

ノッブ【わしの居城に入るのに、裏口から行く必要なぞあるまいよ。のうリッカ先輩!】

『死屍累々』

お虎「私の!私の春日山城ですからねっ!」

リッカ【頼もし過ぎィ!!】

桐之助「歩むだけで灰塵焦土とは畏れ入った・・・む、正門に誰かいるようだ」

マシュ「あれは──鎧と、槍でしょうか?あと、岩壁・・・?」


これから毎日首級挙げようぜ!!

「ヒィーッハハハハハハァ!!なんだよこの城ォ!雑魚しかいねぇじゃねぇか!点数稼げねぇ、この鎧は動きづれぇ!!つまんねーんだよこういう戦はァ!大将首出てこいや大将首ィ!!」

 

「すみませーん!そこのバケツ鎧の人ー!目的わかってますー!?身柄引き渡し!あなたの身柄引き渡しなんですよー!?」

 

「うるせぇ乳眼鏡ぇ!!俺に命令すんじゃねぇ!死ぬかこの鎧外せボケがぁ!!」

 

「こっわっ!?なに考えてるんですかあの眼帯!こんなの私が扱えるわけないですよね!?すみませんわたし石壁に引き籠っていいですか!?」

 

「うがあぁあぁ!点数稼げねぇとか戦場に出てる意味がねーだろが!!あの小汚ぇ大殿許さねぇからなぁ!!てめぇも特別に後で殺す!!」

 

「すみませーん!!助けてほしいんですけどー!誰かいませんかー!?」

 

【あそこでわめいとる属性詰め込みチャンポン娘と・・・お、あれ勝蔵!勝蔵じゃないかの!なんじゃ、こんなとこにおったんか!いやでも見る限り頭に血が上っとるか・・・わしってわかるんじゃろか】

 

正門前で暴れ回る鈍色の鎧の槍武者、そしてその近くで石壁展開しながら待避しているオッパイメガネツインテールホットパンツハイニーソックスアホ毛というなんかトッピング盛りすぎたラーメンみたいな少女を捕捉し、ノッブが声を漏らす。春日山城にて暴れる要因、攻め込む相手は一目瞭然である。リッカ達も見慣れぬ姿に首を捻っていると、桐之助が補足を行う。

 

「森長可、勝蔵は幼名。鬼武蔵の異名を取る戦国随一の凶将で、彼が討たれた際には仲間達が宴会を開いた逸話すらあるとされる武将だ。信長公ですら乗りこなすのに難儀し──」

 

「ごちゃごちゃうるせぇ死ねぇ!!」

 

桐之助に振るわれる巨大な槍の一閃。振るった槍の軌跡にあらば、鎧すら紙屑が如くに消し飛ぶ強力無双の一振りをすんでマシュが受け流す。桐之助の眼前を掠めたが、彼は涼しい顔で受け流す。

 

「すまないマシュ文さん。もう少しで年甲斐なく粗相するところだった」

 

受け流せていなかった。

 

「すみません!私の後ろから離れないでくださいね桐之助さん!──先輩!虎さん!」

 

【どおぉぉっ!!】

「はぁっ!!」

 

マシュの肩を踏み、リッカとお虎が跳躍し刀を鎧武者の頭目掛けて叩き振るう。その無双の一閃二振りが直撃し、兜に亀裂が走り、ひび割れ──

 

「がっは──うらぁあぁあぁあぁ!!!」

 

【ぉおぉうっ!!?】

 

虎の一撃は眉間を貫いた。リッカの一撃は兜を砕いた。普通ならば致命傷の一撃だ。だが──額から血を流しながら、致命傷を受けながら武者は槍を振るったのだ。残心に割り込まれた形で、リッカはブリッジ回避しお虎は跳躍し待避する。

 

「あー!窮屈な兜が外れてすっきりしたぜぇ!女は点数が低いんだがよ、礼に見せてやらぁ!!」

 

【──!】

 

「嗤えェ──『人間無骨』!!!

 

宝具──サーヴァントの秘奥を以て放たれる一撃は、先の槍とは比べ物にならない。最低でも掠める・・・!慌てて防御体勢を取るリッカの身体が、不意にふわりと浮き上がり──

 

【防御はいかんぞリッカ先輩!ヤツの人間無骨、防御無視して貫通してくるでな!】

 

信長がリッカの身を引き寄せ、範囲より離脱したのだ。間一髪のサーヴァントのまさに価千金の働きに、リッカの口から素直な礼賛が飛び出るのは自然であった。

 

「ノッブ!ありがとー!!」

 

【うむ、そなたに何かあったら楽園に帰れぬからの!しかしあの鎧・・・】

 

「あの鎧、周囲から魔力を吸い上げている。致命傷を受けても活動しているのはそれが原因だろう。リッカ君、『彼を倒す必要はない』。『鎧を壊すんだ』」

 

「──!マシュ、ノッブ、お虎さん!!」

 

「はい!」【うむ、良かろう!】「解りました!」

 

【令呪、皆に託すね!──いっけえぇ!!】

 

令呪(カルデアと連絡取れたらロマンが即時補充してくれる)を三人に使用し、迅速にコンビネーションを取り長可を無力化させる行動に移る。まず、マシュが敢えて真正面に陣取り──

 

「うぜぇんだよ死ねぇ!!」

 

「───せぇいっ!!」

 

槍の乱雑な一撃を、叩き付け跳ね上げる。令呪ブーストされた力は、バーサーカーの腕力すら一瞬上回った。体勢が崩れる長可。そこへお虎、刀と槍を構え──

 

「いざ!毘沙門天の加護ぞ在りっ!!」

 

瞬間、腕部に攻撃を集中させ槍を弾き飛ばす。宙を舞う槍、素早くマシュを担ぎ離脱するお虎。そして──

 

【殺す気で撃つが堪えろよ、勝蔵。──全砲門展開。三千万象灰塵と帰せ】

 

待ち兼ねていたのは、戦極魔王信長の火縄銃の最大展開。空を覆い尽くす全方位、ゆうに三千は有す信長の力の一端が一斉に向けられる──!

 

【『獄門・三千世界(ごうふ・さんだんうち)』】

 

其処から放たれし無数の弾丸。いや、余りに高まった魔力はレールガンめいた弾速となり辺り一帯を蹂躙し尽くす。一瞬離脱が遅れれば味方も蜂の巣になる程の無差別級の制圧射撃。ぶちかまされたバーサーカー、森長可は跡形もなく──

 

「うははははははは!ほぼ死んでたぜ大殿ォ!!なんか見ねーうちにでかくなってたから気付かなかったわ、わりーな!」

 

【リッカ先輩に感謝せいよ、勝蔵。『鎧を壊して』という提案、わしらが全力で乗ったのじゃからな】

 

【作戦大成功!ね、動きやすくなったでしょ森くん?】

 

「おうよ、サンキュー嬢ちゃん!俺よ、小汚ぇ大殿に鎧おっかぶせられて此方に送り飛ばされたってんでイライラしてたとこだったんだよ!清々したわ!んで死ぬわ!!」

 

【ファッ!?キラキラし始めてる!?】

 

「契約者もいないはぐれサーヴァント・・・バーサーカーでは現界も難しいだろう」

 

【じゃよなー。戦国時代で本当の意味でお前を乗りこなせたヤツは一人もおらなんだ。そんな貴様が人の言い手で攻めるなぞ有り得んわな。──のう、リッカ先輩】

 

【森君!楽園に興味ない!?】

 

即断即決。あの力、あの暴虐。これほどの力を喪うのも、他者にやるのもあまりに惜しい。リッカが迅速に契約を持ちかけたのはその他にも──

 

【ノッブや、新しい仲間と皆で馬鹿やろうよ!絶対楽しい天下取りになるよ、保証する!森くんとノッブがワイワイしてるとこ、見たいなぁ!】

 

──ノッブの部下で顔見知りを、別れさせたくない。その気持ちが第一だったのはその勧誘の台詞が物語る。戦慄の鬼武蔵は二の句も告げず・・・

 

「──うははははははは!!おもしれー!おもしれーじゃねぇか殿様よぉ!そうかそうか、んじゃあワイワイ騒いでガンガン首ブッ飛ばそうぜ!!殿様の敵はオレの敵!オレの敵も殿様の敵ィ!大将でも誰でもブッ殺してやっからよぉ!!」

 

契約、此処に快諾。リッカの背中をバシバシ叩く鬼武蔵が此処に仲間入り。猛る森くん、いたくリッカを気に入った御様子である。敵を排除ではなく引き込む楽園クオリティを体現するリッカに、ノッブは満足げに笑う。

 

【うんうん、これこそリッカ先輩じゃ!おーい生きとるかー虎!】

 

「やってくれましたね!もう少しで巻き込まれるところでしたよ!」

 

「げほっ、げほっ・・・!死ぬかと思いました!」

 

「何、戦国時代では初陣は生き残れば勝ちだという。リッカ君の手腕も冴え仲間も増えた!まさに大勝利だ勝鬨上げよう!えい、えい、おー!」

 

 

「「「【【えい、えい、おーっ!!!】】」」」

 

(あぁ、なんと楽しい夢だ。願わくばまだまだ、醒めないでほしい──!)

 

夢に見た、仲間との特異点攻略。ちょっとおかしくはあるものの彼は気にしない。初戦の鮮やかな手並みと非日常に、桐之助は感動に身を震わせるのだった──




チャンポン娘「お、終わりました?キチンと受け取ってくれました?いやその、私達は本当に彼を返還したかっただけで・・・さきの兵士は私の護衛で・・・」

リッカ【──オルミーヌ!?ドリフターズのオルミーヌさんじゃないあなた!?】

「え!?なんで知ってるんですか!?私達、いつの間にかニホンとかいう地にいて、現代武器見てテンション上がった信長さんですら『鬼武蔵はないわー』と私に投げた彼をあなた方に送りつけにきただけで!」

森「厄介払いじゃねーか殺すぞ!!」

「ひぃいぃいぃ!?捕虜になりますんで命だけはお助けをぉ!?」

ノッブ【おうリッカ先輩!こいつ中々良い身体しておるぞ!】

リッカ【おっ・・・命だけは助けてあげるから・・・ね?】

オルミーヌ「ひぃいぃいぃ・・・!?美女が怖い顔で迫ってきます・・・!?」


~漂流信長本拠地

信長のキャスター「オッパイーヌ上手くやっとるか?森っぽいやつが越後の同盟ワンチャン叩き潰してくれれば楽に陣地広がってハッピーなんだけどなー」

源のアーチャー「外道の発想」

「右も左も解らんなら、手近な領土を手にして右と左を決めるまで・・・ん?映像?」



オルミーヌ『えっ!?ビーフもチキンもポークもシーフードも米も食べ放題なんですか!?』

リッカ【お代わりもいいよ・・・たくさんお食べ!】

オルミーヌ『んめ んめ』

ノッブ【もしわしらについたらぁ~、ゴージャスが千両箱くれるんじゃけど~。どうするぅ~?】

マシュ「美味しいご飯食べ放題!」

お虎「おいでよ越後!永久就職!!」

『え、でも・・・』

リッカ【大丈夫・・・世の中には三回裏切って茶釜に爆薬詰めて爆発した人もいるから・・・私達はあなたに酷いことしないよ・・・ヒラコーワールドからきのこ世界においでよ・・・狂気タッチが減ってアルトリア顔になれるよ・・・可愛いよ・・・】

ノッブ【裏切りなんて戦国じゃ峰不二子ばりに起きるいつもの事・・・牢屋と天守閣、務めはどちらが良いかの?】

『・・・なんだか私、使命とかここでは関係無さげだし・・・いい人達そうだし・・・転職します!!』

【【対話成功・・・!!】】

桐之助「そこだ!そこでカメラにダブルピース!!」

『ごめんなさぃ皆さん・・・!美味しい御飯と厚待遇に勝てませんでしたぁ・・・!(幸せダブルピース)』



アーチャー「如何した?お手空きか?」

キャスター「・・・オッパイーヌNTRられた!!

「は・・・?」

「あぁくそ!あの薩人マッシーンつけとくんだった!あのオッパイーヌ飯と金に釣られやがったな!いや釣られるわ!皆釣られる!アイツがなんでいないのか畜生!?」

アーチャー(時に此処は何処か・・・)


カルデア

豊久「かー・・・おやっど・・・おやっど・・・」

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