人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オルガマリー(いつまで悩んでいるの、私・・・リッカの安全には代えられないわ、こうなったらこの手段で──!)

キリシュタリア邸

「もーぅいーくつねーるーとー・・・、・・・?」

『ぐだぐだアイマスク オルガマリーより』

「おや、これは愉快なデザインな・・・私の為にオルガマリーがプレゼントしてくれたのかな?」

(サイズもピッタリ・・・よし、これを付けて今日は眠ろう。いい夢を見られるといいな)

スヤァ



管制室

マシュ「えっ!?本当ですか!?」

オルガマリー「あなたには伝えておくわ。・・・なんとか確保して、リッカと合流させてあげて。先入観と軋轢を防ぐため・・・」

リッカ(何の話してるんだろ?)

ギル「では我等は先に行くぞ。いい感じにこのぐだぐだ、終結させてみせよ」

「あれ!?ギルも出向くの!?」

ギル「エアとフォウを連れ、日本を歓楽するも悪くないと決めたのでな。手が空けば無論協力しよう。失敗はよい、苦戦もよい。くれぐれもつまらぬ選択は選ぶなよ?」

ノッブ【フリーダムじゃのー!じゃ、わしらも行くかリッカ先輩!】

リッカ「──うんっ!!」

ロマン「何かあったらこちらで何とかする。あまり気を張らず楽しんでおいで!」

ダ・ヴィンチちゃん「裏方は完璧なのさ♪お土産よろしくー!」

シオン「戦犯にはトイレ掃除なので!査定お願いしまーす!」

【うははははははは!!こんなに緊張感無い特異点はわしらくらいじゃな──!】



キリシュタリア「すやすや・・・」

(叶うなら・・・藤丸龍華くんの力になれるような行いをしたいなぁ──)


ぐだぐだ旅は道連れ世は情け!

【楽園から遥々レイシフトを敢行してみれば、其処は茶をしばきたい程の絶景極まる日本の何処かであった──。ほらほらリッカ先輩?いつもお得意のれむ睡眠から目覚める頃合いじゃぞ~?】

 

「ん、ん・・・ほわっ!?ノッブ!?」

 

シミュレーションが作り出した超高度な虚構世界。正しき終わりを迎え皆を楽園に取り戻すためにえんやこらとレイシフトしたリッカはノッブの声にて目を醒ます。目を開けたなら、其処には紅蓮の如き笑顔の超美人。頭を上げてみれば膝枕されていたという役得&驚きの事実。慌ててノッブに詫びながら立ち上がる。

 

【うはは、もうちょっとリッカ先輩を独り占めしていても良かったんじゃが!確か坂本じゃったかの、夫婦で温泉旅行の開祖。我等もそういうの出来そう、出来そうじゃない?】

 

「お、お戯れを我が魔王・・・そ、そして此処は何処なんでしょ?」

 

【それがわしにもさっぱりでなー。まぁ日本のどっかじゃって事は間違いない風土と風景しとるから日本のどっかじゃろ!我ながらアバウト極まるのぅ!ま、魔王は細かい事気にする必要無し無し!気になるなら城見つけ、根城欲するなら奪い去るまでよ!心踊る裸一貫じゃの、リッカ先輩!】

 

最高級に機嫌のいい超美人魔王の風雲児っぷりに萎縮しつつ、変わらぬ笑顔とノリに癒されながら気合いを入れ直すリッカ。グランドノッブの御付きとして無様を晒せば、ミッチに本能寺されてしまうだろう。気を引き締めなければ!

 

【まさかマシュもいないとは思わなんだ。まぁゴージャスは在るべき所にドドンと構えとるじゃろうからよしとして~・・・あれ?わしらもしかしてスタートから詰んでたり?うはははは!ま、前線強制徴兵よりかは鬱陶しくなくて良いがの!】

 

「マシュいないとかこれは重大なヒロインポイント減点案件・・・!私にとってマシュはご飯や空気みたいなものなのに・・・。ロマン?ダ・ヴィンチちゃーん?マリー、ここどこー?」

 

「──そうですねぇ。私も此処が何処なのかさっぱりです」

 

「ふぁ?」

【おん?──見ない顔じゃな、貴様】

 

ふと、呼び掛けられた声に振り返る。リッカはいつも通り、ノッブはすらりとリッカの傍にて構える。気配がせず、何時の間にやら現れたとしか思えぬ声の主はと言うと。

 

「すみません、道に迷っていた所で幸いとお二人に尋ねてみたのですが。どうやらお二方も途方にくれていたのですね、残念無念・・・。あ、申し遅れました。私はなが・・・あぁいえ、お虎と申す旅の者にてございます」

 

白き頭巾を深く被り、数珠を身につけ槍と刀を身につけた抹茶色の瞳持つ僧風味の旅人に、リッカ達は挨拶を返す。なんとなく──この人は敬わなきゃ的なオーラを持っているからである。

 

「こんにちは、瞳が素敵な旅の人!私は藤丸龍華、古今東西の大地を駆ける旅人です!そして此方は・・・」

 

「──。あははっ、瞳が綺麗ですか!あなた、どうやら私と同じ様ですね!」

 

「?」

 

【わし吉法師!趣味は茶と敦盛と楽市楽座!今はお気にの美少女とぶらり日本旅といった所じゃな!ま、敵で無いなら構わぬ。その内互いを知る機会もあるじゃろ多分。どうじゃリッカ先輩、こやつ遊ばせておくのは勿体無き人材じゃよ多分!登用しとくが吉と見た!】

 

「うん!もしよかったら一緒にぶらり旅しませんか、お虎さん?」

 

「いいですよ、勿論。そちらの紅蓮の人はともかく、あなたとはとてもとても仲良くなれそうです!ほら、私の綺麗な瞳も!そう言っています!あははっ!」

 

「これは嬉しい!現地人コミュニケーション成功!じゃあ行こう二人とも!天照大御神と平将門公とブッダとカーマとアルテミスとイザナミ様とタケちゃんとグドーシとマルニキと武勲の加護を信じてー!」

 

「おー!・・・え?今なんて?」

 

【わしのマスター贔屓な神様多すぎなんじゃがwwwまー適当に街道歩いてればどっかになんかぶち当たるじゃろ!わしの勘、窮地には冴えるともっぱらの評判!】

 

そうして三人は歩き出す。お虎と名乗るその者は、道すがら二人に色々な事を尋ねた。二人はどこから来たのか、これから何処へ行くのか。これから何をするつもりなのか。リッカはそれに嘘偽りなく答え、じっと見つめてくるお虎さんから目を離さずに対話を行った。

 

「成る程・・・ところで私、昔から目が怖い表情が怖いと言われたものですが。あなたもそう思いますか?」

 

「うぅん、全然?だって人の見た目で判断できる事なんて全然無いし。不良だ、極悪人だなんて呼ばれてる人と話してみたら優しくて責任感あるなんてザラだしね」

 

【わしもよく無慈悲な暴君扱いされるんじゃが、割とそんな事無いんじゃがなー。むしろ慈悲無しは猿の方がエグいて。あやつ文面にわしは信長程甘くないとか書いたりしてたらしいしの!うーん、苛烈!】

 

「そちらの吉法師さんは置いておいて。・・・そうですか。私の目も、笑顔も怖くないと貴女は言いますか・・・」

 

(あれ?バッドコミュニケーションめいてた?私やらかした?(ひそひそ))

 

(口裂け女じゃあるまいし、私キレイって聞いてきてキレイが地雷ワードとかめんどくさいイベント挟まないじゃろ(ひそひそ))

 

「・・・あははっ!どうやらあなたは本当に人とは違うようです!それが感性か、精神か、はたまた全く違うものがなのかはまだ掴めませんが・・・一緒にいる内に解るでしょう!それではリッカちゃん!進みますよ、あなたの信ずる神に毘沙門天も加えて参りましょー!」

 

「あわわわわお背中押されるぅ!」

 

【戦国で毘沙門天信仰とか上杉謙信みたいなヤツじゃな。ま!あり得んか!戦国大名がふらふらしてしかも女とかあり得ん話じゃしの!】

 

ゲッターロボの必殺技ばりのトークブーメランをぶん投げるノッブと上機嫌なお虎と共に、街道伝いに練り歩くリッカ。暫く進んだ景色の向こう、集落の気配と共に向こうから走る影がある。

 

「せんぱい!せんぱーい!大変ですー!」

 

「む!このラフムめいた声帯の声は!」

 

【但しラジオに限る!間違いない、マシュマロなすびじゃな!】

 

「なんだか不味そうな菓子ですね・・・。何やらただ事ではなさそうな剣幕ですが」

 

「良かった!無事にレイシフト出来ていたんですね!先輩のレイシフト成功率は100%ではありますが心配しない理由には・・・そ、それより大変!大変です!」

 

「何が大変なのか?申してごらん私のなすび」

 

「それが──」

 

「──それがだね、龍華君。あちらの集落でか弱き民草達に謎の兵が兵糧を巻き上げようとしている。言うなれば年貢の納め時。非常にまずい、ヤバめな事態だ。君の力が必要な局面なんだ」

 

マシュの後にやって来た男性、それは白と青の風来坊衣装に身を包み、金髪の長髪を後ろに束ねたすらりとした威厳ある出で立ち。爪楊枝を加え、網笠纏った流れの風来坊スタイル。非常に流暢かつ豪奢な彼は、優雅に名乗りを上げる。

 

「申し遅れました。私はふらりと日本旅行中の風来坊、菩提(ぼだい)桐之助(きりのすけ)。さぁ私の事は後でいい。虐げられ助けを求むる弱者がいる。君の選択を私に見せてほしい!」

 

【んんん?お主、何処かで見たような・・・見とらんような・・・】

 

「こちらはあちらの集落で宿を取っていたところ──あ、先輩!?」

 

「ごめんお虎さん、ノッブ!私先に行くから後から追ってきてね!」

 

【うははははは!サーヴァントを置き去りにするマスターとは!だがそうでなくては!流石はわしのリッカ先輩よ!よし、者共かの龍に続けーぃ!!】

 

「──そうか。夢にまで見た事が今叶っているのか。なら、私は全身全霊で彼女を助けよう・・・!」

 

「桐之助さん?」

 

「あぁすまないマシュ美さん。私も出来ることがあるなら協力しよう!」

 

一同はリッカを追い、駆け出す。いつだって王道を駆け抜けるリッカの背中をいとおしげに、誇らしげに風来坊は見つめながら──。

 




集落

兵士?「敵対勢力圏に到達。これより物資の補給を開始します」

村人「や、やめてくれ!今年はまともに作物が取れんで、それを持っていかれちゃ飢え死にしちまう!」

「非戦闘員の抵抗を確認、作戦継続の障害と判断。これより排除します」

村人「ひぃい!?ま、まるで話が通じねぇぞ!?」

兵士「火器の使用を許可。物資以外は拠点ごと掃討、殲滅せよ」

装備されているのは、火炎放射器。一度火を噴けば、集落もろとも畑が焼き払われる。

「や、止めてくれ!畑が、畑が燃えちまう!?」

「排除開始」

数十の、僧兵を模した兵士の一人が火を放たんとしたその時──

【──『天照神楽・青天霹靂』】

「!!?」

瞬間、青空に紫電と焔が煌めいた。太刀筋が導いた『ソレ』は、狼藉を働く兵士の半分、全く同時に叩き斬り無力化する。

「!?何者!?」

村人「ひ、ひっ!?化け物──!?」

【──さぁ、誰かな。イザナミ様が恵み、あまこーが育て、人が愛でた作物を顔色一つ変えずに焼こうとする外道の輩・・・!】

再び刃煌めけば、切り捨てた逆光にて姿隠しの黒鎧を照り返す剣光と共に兵士が崩れ去る。高らかに、刀を握る龍は告げる。

【そんな奴等に、誇り在る私の名前を教える必要無し!!此処は楽園カルデアが陣取った!悪鬼羅刹、外道の類は生かして帰さない!!さ、逃げて!】

村人「ひ、ひぃいぃいぃい!!?」

お虎「・・・あの姿は・・・」

桐之助「マシュ美さん!彼女が、彼女が変わったよ!」

マシュ「桐之助さんは皆様の避難を!いざ出陣!えい!えい!おー!!・・・吉法師さん!?」

【すまん!わし焔属性じゃから絶対村燃えちゃう!リッカ先輩とマシュマロに此処は任すかの!ごめんネ!】

マシュ「えぇえぇえ!?」

桐之助「了解した!では皆々様!落ち着いて走らない喋らない!おはしで逃げましょう!」

お虎(・・・・・・)

【この龍鎧を畏れぬなら!かかってこいっ!!】

(──あの人ならば、きっと・・・)

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