人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギルガメッシュ「邪神。世界線の観測はどうなっているか」

ニャル【どれどれ・・・。・・・うん、問題ない。行き止まりではなく、あり得た平行世界として問題なく世界は運行されている。ロストベルトの影響は無い。どうやら編纂された瞬間から、大多数の民や歴史からは無かった事になるようだな。バビロニアを礼にするなら、魔獣の被害、ティアマト顕現の被害は別になったようなものだ。ロストベルトの王、或いは契約を果たしたものの中にしか・・・間違いの歴史の記憶は無いんだよ】

──それはつまり、ロストベルトがあった事を覚えているのはワタシ達と、契約を果たした者と、ロストベルトの王のみということでしょうか?

フォウ(そうだね。だから契約の重みも違うんだ。間違ったとされた歴史を、それでも覚えていたいのか。忘れてしまってもいいのか。ロストベルトの王は、その判断を裁定されるんだ。コイツ、そういうところはエゲツないよな)

《当然であろう。我等が成すは愉悦であって慈善では無い。無条件で世界など救ってやるものか。其処には愉しみと、確たる成果が無くてはな!》

──ロストベルトは、見方を変えれば汎人類史が思い付かなかった、或いは分からなかった技術と文化の宝庫と言えます!世界が不要とするならば、ワタシ達は大切だと謳いましょう!だからなんとしてでも未来を紡ぎたい!何故なら異なる帯とはつまり、見たことのない紋様の織物なのですから!

《そういう事だ!我等はこれよりもロストベルトに挑むとしよう。其処に産まれた苦難も革新も味わい尽くすのだ!ではその前に、始めるとしよう!勝利を手にした王らを祝う、大宴会をな!!》

ニャル【──。それでこそだ。心から、此処に来れて良かったと思えるよ─】




勝利と痛快の大宴会!~閻魔亭編~

「大放出でち、大放出でち!楽園と番頭王、温羅様の大勝利を祝って!閻魔亭出血大サービスでち!皆様、存分に飲んで食べて!あちきたちの勝利を祝うでちよ~!」

 

「「「「「チューン!女将も思わず腹式呼吸!神も人も鬼も皆で騒ぐチューン!!」」」」」

 

ロストベルトを乗り越え、再び完全無欠のはっぴぃえんど大勝利を打ち立てた楽園恒例、驚天動地の大宴会が開かれる。その規模は王の監修と大盤振る舞いの下、なんと最高級幸とサービスが無料堪能、閻魔亭貸し切り大宴会ゴージャス模様。王の財宝大解放も相まって、今までの労力を消し飛ばす程の大騒ぎとなっていた。しかもこの王の宴、一週間は続く大行事である。

 

「知るがいい!宴というのはこういうものよ!我が赦す、存分に祝い、騒ぎ、生を謳え!悲嘆の決意も慚愧の一歩も無縁の旅路!我等の叙事詩を力の限りに讚美せよ!ふふはははははは───!!!」

 

「「「「「「ご機嫌番頭王!最高だチューン!!ダツエバババァとは偉い違いの振る舞いだチューン!!」」」」」」

 

妖怪も雀も、人もてんやわんやの大騒ぎ。王の名の下目も回るような大宴会が行われ、最早隣の声を聞くも困難な程の大規模どんちゃん騒ぎが行われる。つくもっち達も懸命に働き、温羅の取り巻きの妖怪連合達も幹事に懸命に参加する。その場には、ただただ笑顔が溢れ勝利の喜びを噛みしめる。自らが紡いだ歴史がこれからも続く。その事実に、感謝を捧げながらだ。閻魔亭では、主にカルデアと人間組が騒ぎと美酒と甘味に耽っていた。

 

「いやぁ、本当に我ながらチーフリーダー、副リーダーぶりが板についてきたんじゃない?見なさいよこの鍛え抜かれた三段持ち!良い子は真似しないようにね!」

 

『ゴルドルさん、姿が見えないと思ったら閻魔亭で妖怪の呼び込みやってたんですね。つくづく魔術師以外は何でも出来ると言いますか・・・』

 

「うるさいよシオン君!私はね、身体は重いがフットワークは軽いの!おいそれと所長が前線に出ないよう私が頑張るのが当たり前なの!」

 

『ボクもそれは賛成。マリーはリッカ君がピンチになるとすぐ銃に手が伸びるんだからねー。心配性なんだからさ!』

 

『裏切ったわねロマニ、それは内緒という約束だったでしょう・・・!』

 

『あははっ!カルデアでも勿論大規模宴会だ!カルデアスタッフ諸君、今回は本当にお疲れ様!』

 

『ま、ウルク民や財に恥じない活躍は出来ましたかね?俺達、一人一人が柱になれる逸材目指してますから!』

 

『宴会費用、全額負担♪金の延べ棒がジンバブエみたいなノリで飛び交う楽園カルデア大好きですぅ~♪子供の養育費、そして不自由ない生活は保証されておりますのが実に永久就職先溢れていて!グッ!』

 

【シスター服洗濯するから、閻魔亭の仕事着を着てお前も宴を楽しむといい。あ、髪型はいつものロングでもいいがポニテやサイド、あるいはツインテとかも試してみたらどうだ?今度日本の秘湯巡り、一緒に行こうじゃないか】

 

「はい、お父さん。そして秘湯巡りと宴を楽しむ以外の指令は全て保留です。これからリッちゃん様に酌と、酔っぱらいの見張りとXXの監視とユゥユゥの傾国抑制が待っていますので」

 

【私の娘めっちゃ多忙やん・・・】

 

そんなこんなで、カルデアは悠々自適でいつも通りな騒がしい一時を過ごす。苦戦や脅威はあれど、最後に勝つのは自分達。その確信が皆の笑顔を何よりも輝かしいものにしているのだ。そして、最前線に立つグランドマスター、リッカはと言うと・・・

 

「そこで私は言ってやった訳ですよ!一人で子を産むとかアメーバかーい!って!と言うか最初から一人で子供産めたんかーい!って!イザナミ困っちゃった~!テヘペロ!なーんて!」

 

「よっ!高度極まる単生殖への突っ込みお見事お見事ー!」

 

イザナミ様の酌やってました。イザナミ様、ヒルコ名乗ってた頃のテンションは割とかなり素であった。冥界の女神のイメージを払拭したいと作ったキャラが性格とベストマッチし、そして自身のやらかしで躁鬱となったものを憂いが消えてテンションが大阪のおばちゃん化。しかし彼女の前でおばちゃんと言ってはいけない。お婆様と呼んであげよう。リッカと共に、日本フルーツジュース各種を飲み干している。酔っぱらってるようなテンションは場酔いである。多分。

 

「はぁー、愉快愉快!アマノも妾も無事に収まり何より何より!本当にありがとうね、リッカちゃん!妾もー、負けちゃったらどうしようかと!」

 

「負けないよ。私も勿論、楽園の皆は絶対負けない!だって私達は、グランドマスターだもん!」

 

「かっこいー!可愛い、たのもしー!カグツチも救ってくれて本当に本当に、ありがとうございますー!はいっ!イザナミ立候補!立候補します!リッカちゃんのお婆ちゃんとして!お婆ちゃんポジションは一人か二人しかいまーい!んふふふふ~!」

 

「やっぱり、このテンションが素だったんだね。あまこー?」

 

『ワフッ』

 

なんか悪酔いめいてない?鼻を鳴らすあまこー。もふもふされ過ぎて毛並みがちょっと荒れてる。イザナミ神、テンションの上がりがいと激しき。

 

「──いえ、本当に。本当によくやってくださいました。財の皆様も、カルデアの皆様も。犠牲を良しとせず、そして妥協せず。一生懸命に、がむしゃらに。自身の最善を追い求め・・・駆け抜けた。我等の未来に、あなた方が産まれてくださった事。それが何よりも嬉しく、誇らしい」

 

「ワフ・・・」

 

急にシリアスになったなこのお婆ちゃん・・・。そんな事が書いてある神妙な顔のあまこーをなんとか宥め、リッカが言葉に深く聞き入る。

 

「その旅路こそ、その在り方こそ我等の願いし民の繁栄が生み出した至宝そのもの。原初の柱として、心から祝福を。──ありがとう、芦原の龍よ。あなたが産まれてくださり、本当に良かった」

 

「──えへへ・・・祝福、いっぱいもらいすぎて破裂しちゃうかも・・・」

 

「・・・そんな祝儀の証として。どうかこちらを受け取ってはくださいませんか?イザナギより賜りし頃から、二人で決めていた事なのです」

 

そして、リッカに託されるは・・・豪奢と風靡極まる紋様の『矛』。それはまさしく、イザナギとイザナミが振るいし矛──

 

「え───えぇえぇええぇえ!!?」

 

「ワフ?(まだ酔っぱらってらっしゃる?)」

 

「痛い!?頭突き痛い!?アマや、アマやなんだか辛辣!?聞いて!?理由を聞いてたも!?」

 

紛れもなき国造の槍をリッカに託す理由、それはこれより続く此度の様な歴史との戦いに、変わらぬ世界の在り方を感じてほしいが故だと告げる。

 

「果てなき旅でありましょう。異なる数多の地へと赴きましょう。ともすれば、二度と故郷の土を踏むことなき遥かな果てへ参られましょう。──そんな時、この矛は産み出します。風を、水を、稲を、豊穣を。変わらぬ世界の在り方を。その事実が告げましょう。『あなたの傍に、高天ヶ原はありましょう』と」

 

「イザナミ様・・・」

 

「寂しくなんてありません。この矛があればいつでも何処でも其処が我等の場所なのです。だから、どうか旅のお伴にこの矛を。あ、水や食べ物も産み出せますから非常用にとっても便利ですよ!どうぞ、受け取っていただけたなら──」

 

来るところまで来た・・・。リッカの最初の反応はそれだった。訓練用の槍から始まり、泥で産み出した混沌武槍、そして最終段階が乖離剣と肩を並べる神造兵装、国産の槍。最早これ以上の槍はあり得まいと確信しながら、リッカはその想いを受け取った。どれだけ遠く離れようと、例え星から飛び出そうとも・・・

 

「──はい。大切にします!イザナミ様と、イザナギ様の矛!」

 

「はいっ!あぁ良かった、渡すつもりでここまで頑張って来たのですから!イザナギよ、あなたの子供に確かに託しましたよ!私の想いと一緒に!」

 

世界を救った最高の報酬、そしてイザナミの抱擁を受け取り、リッカは嬉しく、照れ臭そうに笑うのであった。傍らに在る、太陽の神と共に。

 

「ワフ!」

 

「・・・後で使い方教えてね、あまこー!」

 

「ワフン・・・」

 

ビミョーに戦闘用ではないのですよね・・・。なんか記念牌的に託された創造の槍を、困惑げに見つめるあまこーでありましたとさ。




そして、宴は続く・・・

モモ「待ってください!なんですこの催し!?」

『桃太郎にやっつけられる栄誉を!桃太郎妖怪百人切り!!』

イヌヌワン『主の知名度はまさに電気ネズミ並。一度でいいから斬られたいと妖怪が殺到しておりましてな。実にイヌヌワッ』

フワイサム『GIが導きだした心理学検証によれば、皆暴れん坊将軍に斬られる下っぱの心理。主は押しも押されぬ大英雄にして・・・』

アンク『あの鬼神を倒した英雄!人気になるのは当たり前よね♪ほーら、頑張れ頑張れー!』

モモ「なんという事でしょう・・・!リッちゃんや温羅と温泉に入るつもりですのに!」

妖怪「「「「「「断ち切ってくれー!!」」」」」」

「是非もなし、峰打ちで参ります!いざ!!」

~男湯

タケル「平の君。誠に助かった。礼を言おう」

平将門『受け取ろう。そして、困りし時は互い様也』

タケル「うむ。・・・母の迷いも晴れた。万事、天下泰平と言うのだろうな」

平将門『滅するではなく、背負い、担う。戦いの清涼、段違い也』

タケル「白鳥の様に羽ばたく自由な旅路であることを願い・・・」

『うむ』

「『乾杯』」



妖怪「うわっ!あぶねぇなもう、こんな場所で寝転がってんじゃ」

イザナミ「うへへへ・・・あんねい、あんねい・・・」

妖怪「うぉおおぉお俺原初の女神またぐところだったあぁあ!?」

騒がしい宴は、場所も変わり続いていく──

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