アルテラを下し、聖杯を拾い上げる
「フン。毎度の所感だが、このような酒器によくぞ群がるものよ。そら」
事も無げに、マスターに聖杯を投げて寄越す
「目当ての宝だ、取っておけ。これで、ローマ漫遊の旅は終わりであるな」
「わわっ、とと。――うん、そうだね」
――特異点の支柱であった聖杯は回収した。後は速やかに、この間違った歴史の修正と是正が始まるだろう
――短いようで、熱く、濃密な旅だった。華やかな町、皇帝の偉大さ、熱き、男達の生き様
この帝国で行われた、数々の出来事も、また。――永劫に忘れることはないだろう。この魂あるかぎり
「む!?そなたたち、脚の先から透けているぞ!?」
『歴史の修正が終わったからね。ボク達は、元ある場所へと帰還するんです、陛下』
「――消えるのだな。そなたたちも、ブーディカたちも」
「・・・はい」
――それが決まりだ。自分達は、人理を旅する流れ者
一ヶ所に留まり続ける事は叶わない。そこが、どれほど居心地が良かったとしても
・・・名残惜しくないと言えば、嘘になる。絢爛なりしローマのありかたは、とても眩しく輝かしかった
・・・だからこそ、行かねばならない。その世界を、ローマを。永遠にするために
「正直に言えば、残念だ。無念だ・・・余は、そなたたちになんの報酬も与えてはいないというのに・・・」
「ネロ・・・」
うつむくネロの、背中を叩く
「あいた!?何をする!?」
「たわけ。別れに翳りを見せるな。そも別れとは必定だ。どのような存在にも終わりは来る。それは避けられぬ」
――そうだ。だから
「その別れを、笑顔にする!でしょ?ギル!」
「然り!背筋を正せ!朗らかに笑え!第五皇帝ネロ・クラウディウス!」
「ぬ、む?」
――この瞬間を、永遠に
「客将を呼び戻せ!――心せよ!」
黄金の波紋より、カメラの原典を取り出す
「記念撮影の時間である!!」
「慌てて呼び戻されたと思ったら、なに?撮影?・・・皆で?」
「そういう事らしい!この集いを永遠のモノにする秘術を行うらしいのだ!ブーディカもちこうよれ!」
「・・・あー、うん。この際だから、あれこれ無粋な真似はやめとこっか!私も入らせてくれる?」
「無事に還る事が出来るとは。泡沫の夢も悪くない。――今はただ。酒と、華を。涙は今は、無用なようだ」
「⬛⬛⬛⬛(我が巨駆、壮観なり。容易く収まること能わず)」
「貴様は下がれ肉達磨!遠近法が狂う!」
『あぁ!ズルいぞ余!両脇に美女を侍らせるなど!ハレムは余の特権であるぞ~!』
「問題あるまい!余、なのだから!」
「時限式に撮影を設定し・・・ふはは!よいぞ!そこ退け有象無象!我が!不動のセンターである!!」
「英雄王――!!?くっ、やはりこやつは余の大敵!あまりに格好よくあまりに偉そうでうざい!!」
「ふははははは!当然であろう!ゴージャスたる我は!この世の何より輝いているのだからな!何の事はない、この世で最も価値のある宝は我なのだという話よ!皇帝など取るに足りぬ!我が!!王だ!!!ふははははははははははは!!!」
「騒がしい!喧しい!だが――悔しいが頼もしかった!!えぇい!余は負けぬ!絶対負けぬぞ!金ぴかゴージャスなどに絶対負けないっ!!」
「や、ネロ公。この人に勝てたらもう打ち止めだから・・・」
「マシュ、笑顔にはなれた?にーだよ、にー!」
「はい!にー!ですね!」
「ふふ、傍若無人、か。この名は貴方にこそ相応しいな」
「⬛⬛⬛⬛⬛!(英雄王、その威光、相手にとって不足なし!)」
「む、そろそろか!総員心せよ!生涯最高の
「マシュ、もっともっとお姉ちゃんに寄ってもいいよ?」
「あ、こらブーディカ!マシュは余の盾なるぞ!そなたにもやらぬ!」
「固いこと言わないの。ね、マシュ。えらいねぇ、よく頑張ったねぇ。よしよし」
「あ、ぁ・・・はい・・・」
「いいなーマシュ。じゃあ私ギルに甘えるー!ギルー!なでなでしてー!」
「ははは、こやつめ。後で飴をやろう」
「わーい!!」
『秒読み、始まってるわよ。全員、カメラに向かって――はい、チーズ!』
――シャッターが降り、フラッシュが焚かれる
「む!?なんだ今のは!?ピカッとした!ピカッとしたぞ!」
「オルガー!不意打ちはズルいよー!」
『え・・・だ、ダメだったかしら?』
『いやいや、いいんじゃない?自然体でさ。難しいんだよ?ありのままって』
「ふははははははははははははははははは!!見よ、鳩か!?鳩かこの顔は!愉快だ!愉快極まる!見ろこのネロめの間抜け面を!よし、これをローマに流してやろう!第五皇帝の阿呆面を後世にまで残さねば!」
「なぁっ――!?赦さぬ!赦さぬぞ金ぴか!もう一度!もう一度だ!今度こそ余の華やかな姿を見せてくれる!もうすごいぞ!」
――こうなるのは予測済みだ。二度取るように設定してある
「ほざいたな?ならば次だ!総員!もっといい笑顔で写るがよい!あの反逆者のようにな!」
「フォウ!(ならばボクはここしかない!)」
「む?こやついつのまに余の胸に・・・まぁよい!美しいから許す!」
「フォウ・・・(あぁ、美しきものが美しきものに包まれる。これが、人理・・・)」
「ほらほら、始まるよ!・・・掛け声、決めた方がいいんじゃない?ネロ公」
「うむ!!はい、ローマ!これであろう!」
「――まぁいいか。特別の特別だからね」
「よいぞ、あわせてやろう!ゴージャスたる我は空気も読める!60億分の一の確率で引ける
『それ引かせる気ないよね!?』
「そら、また来るぞ」
「よーし!いくよ皆!はい!」
「「「「「「ローマ!!!!」」」」」」
「⬛⬛⬛⬛⬛⬛――!(万事解決、大団円なり!)」
ー切り取られる、奇跡の一瞬。
華やかな想い出は、この二枚の中に
「よし!気分がいい!肉達磨、暗殺者!武器をもて!」
「?」
「⬛⬛⬛⬛⬛?(意図、読めず)」
「たわけめ!貴様らは反骨の徒、王に刃向かう存在であろう!そんな貴様らに、唯一の王たる我の首を狙う機会をくれてやろうというのだ!」
『ちょっ!?』
「――成る程。最期の最後に、大一番を残していたか」
「⬛⬛⬛⬛⬛!!(意図を察す!度胸、優良なり!!)」
「貴様らは根無し草、退去するも手にかかるも同じであろう?ならばその意義を果たせ!凡英霊たる貴様らに出来ればの話だがな!」
――今回は、このまま〆じゃない、か
『ちょっと!?今いい感じだったよね!?エキシビションマッチにしては物騒すぎる!』
「私のゴージャスは最強なんだ!!」
「先輩!?」
「む!最強決定戦か!?ならばもちろん余もやるぞ!!最強は余だ――――!!!」
『余ーもーやーりーたーいー!!』
『落ち着いて陛下!これから祝勝会だから!』
「もう、馬鹿しかいないんだから・・・止める?」
「いえ・・・無粋な真似は、やめておきます」
「そっか!・・・またね、マシュ。必ずどこかで!風邪引かないでね?」
「はい!」
「⬛⬛⬛⬛⬛!!(我が武勇、真価を見せるとき!!)」
「始皇帝を遥かに越えるやもしれぬ難物・・・刺しがいがある!」
「開幕だ!死に物狂いで励め、客将!『
――財を選別。刀剣諸々
「余のローマは、これからだ――!!!」
『怪我はしないでね――!?』
――やがて、総ては在るべき場所へと・・・――
「めでたしめでたし。お、来たみたいだ」
「受け取れ」
『
「!?――!?」
『カルデアマッスル
「なんだいこれ――!?違う!なんか違う!違うよこれ私が注文したヤツじゃ――」
「印を出せ」
「・・・はい・・・・・・」
「オマエに委託の依頼があったからね。良かれと思ってさ。優しいだろ?ボク。あぁ、スイーツおいし(フォウフォウ)!」
「そして、お疲れさま。ローマ本編はおしまいだ。暖かく見守ってくれた、美しき読者たちに祝福を。注文してくれたものは、ビースト通販でキアラとティアマトが玄関先に届けに行くから、楽しみにしていてね(フォウ!)」
「それじゃあ、また。君達一人一人が、旅を支える仲間たちであることを、どうか忘れないでほしいな――(フォーウ!)」
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