人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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――けして、破壊されぬモノ――

「『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』――!!!」

 

 

無数の砲門から、数多の宝具がアルテラ目掛け放たれる

 

 

 

「・・・」

 

 

三色意匠の剣がそれらを無造作に弾き飛ばし無力化する

 

 

弾かれた宝具は地面を抉り、大気を切り裂き、天を穿ち、遥か山を抉り辺りの地形を無惨に吹き飛ばしていく

 

 

「破壊する」

 

 

柔軟に振るわれる刀剣がしなり、英雄王に振りかかる

 

「フッ、バカめ!」

 

飛び退く英雄王のいた大地が抉り取られ地割れがごときクレーターとなって凄惨なる有り様を残す

 

 

「ただ、破壊する。貴様も、街も、国も、総て」

 

「ハッ!試してみよ!言っておくが、今の我を砕くことは、星を割るより難行と知れ――!!」

 

 

追加される砲門、300門!総てがアルテラに注がれし死の雨となる

 

 

――アルテラと呼ばれる存在の急所は掴めない。ならば、ただ数で圧倒するのみ!

 

「・・・無駄だ」

 

目にも止まらぬ剣捌き、そして放たれしオーラにて財を無力化していくアルテラ

 

 

「煩わしい。貴様を破壊すれば、この雨も止む」

 

 

剣を振るいながら猛進し、懐に潜り込む

 

 

 

「終わりだ」

 

その剣が、器に迫る

 

「フン――!思い上がったな!!」

 

「――・・・!」

 

『手に取らず』、剣の軌道に設置せしは真紅と黄金の乖離剣

 

 

「これは・・・」

 

「忌々しい事だが、我は白兵戦にて幾度も煮え湯を飲まされてきた!此度のみそれを省み、それなりの備えを設置していたまでよ!」

 

――そうだ。この剣、いや、その分類が生まれる前のこの至宝ならば、如何なる兵器も砕けまい!

 

 

「至宝にて、我が玉体を護る!これがゴージャスたる我の!常勝無敗の戦法と知れ――!!」

 

そのまま乖離剣を手に取り、アルテラの剣と打ち合う――!

 

 

「――!!」

「貴様は確かに破壊の大王であるだろう!節穴めの目論みは確かに的を射ていたろう!貴様の唯一の誤算は――」

 

 

――あのアーサー王の時とは違う!こちらも油断も容赦もない!

 

「この我が!この地に降りたっていた事に尽きるのだ――――!!!」

 

風を放ち、速度を増していくエアにて、セイバーたるアルテラの無双の剣技に追い縋る――!!

 

 

「ッ――!!」

「ふはははは!!さぁ舞うがいい!尖兵の残骸よ!我に追従しきれぬ時が貴様の最期だ!!」

 

 

「英雄王、ギルガメッシュ――!」

 

 

乖離剣と神の鞭の激突は、余波にて大地を粉々に砕き、天を震わせ嘆きを紡ぐ――!!

 

 

 

 

『地形が変わってくぞ!?なんて無茶苦茶な激突だ!乗りに乗った王様はこんなデタラメなのか!』

 

 

『マシュ!リッカ!気をやってはダメよ!見ていなさい!』

 

「オルガ!?」

 

『観戦に甘んじないで!必ず、私達もやれることがある――!!』

 

 

「――はい!先輩!」

 

「――解った!」

 

 

 

 

「――そうか。お前のその財、それは可能性そのものか」

 

エアと打ち合い、アルテラが口を開く

 

 

「ならば、破壊する。総て破壊する。可能性、未来、私は総て」

 

「たわけ!貴様ごときが我の財宝を砕けるものか!」

 

神の鞭と打ち合い、器が謳う

 

「我が財の総数、最早我ですら計りきれぬ!人間どもが産み出せし可能性と財宝、最早何者も止めることは叶わぬわ!!」

 

 

「――何故、お前はソレを護る。英雄王ギルガメッシュ。いずれ消える、ソレを何故」

 

「ますます以て愚問だな、アルテラよ!何故、財を護るかだと!?」

 

アルテラの剣を、押し上げる

 

 

「我に相応しき財を獲得し、守護する!――それが、我の唯一無二の王道だからに決まっていよう――!!」

 

「――!」

 

――そうとも!英雄王が納めし財に、無価値なモノは一つもない!

 

 

絶対たる基準の下価値を定め、それら総てを裁定し、蔵に納めた

 

それらは総て、英雄王が愛する人間の可能性!――けして潰えず、輝き続ける人類が産み出せし宝!

 

 

英雄王は宝を愛し、それらを産み出す人間の可能性を愛し、守護せんと自らを定めた

 

 

彼が納めし王の財宝とは正しく――彼が認めた、人間の価値の証左なのだから!

 

 

王の財宝に底がないとは即ち、人間の可能性に底がないと言うこと!

 

 

――破壊の大王、アルテラ!この王に挑むは――

 

 

「くっ――!」

 

――人間(ヒト)の総てと相対すると思い知れ――!!

 

 

「それでも、私は破壊する!貴様を、貴様の財を、総てを!」

 

「ハッ、それは不可能であろうよ!貴様は我にはけして勝てん!何度挑もうと絶対にだ!」

 

「何――?」

 

「何故なら貴様は――愉悦を知らぬ!!」

 

王の財宝、展開!アルテラの背中、腕に財が突き刺さる!

 

 

「愉悦、だと?」

 

「然り!新しきを知る喜び、未知に胸をときめかせる本能!己の魂を彩る娯楽!それが愉悦!!」

 

――新しきを知る喜び、未知に胸をときめかせる本能――魂を彩る、娯楽・・・

 

 

「ソレを知り、初めて生命は生命足りうる!!空虚なる遊星の尖兵よ!そのようなうすら寒い魂で――」

 

 

巻き起こる真紅の風!アルテラを巻き込み吹き飛ばす

 

「この世総ての悦楽を味わい尽くしたこの我に!!比肩することなど未来永劫叶わぬと知るがいい!!」

 

 

乖離剣を構え、全力運転の前兆たる紅き嵐を放つ

 

 

「我は王!!英雄王、ギルガメッシュ!!人類最古にして、最初の逸話である!!」

 

高らかに謳いし、人類最古の英雄王

 

「ッ――」

 

 

「我がいる限り――我の庭たるこの星は!!時の果てまで不滅と知れ――!!!」

 

――決める!!

 

 

「黙れ、黙れ・・・!私は破壊する!ただ、破壊する!これまでも、これからも・・・!」

 

剣を真っ直ぐに構える。凄まじい勢いで刀身が回転し、破壊の大王であるアルテラの真価が発揮される!

 

 

「破壊する――!!『軍神の剣(フォトン・レイ)』――!!」

 

 

 

――速い――!乖離剣の真価には、数瞬間に合わない――!!

 

 

アルテラの破壊の突進が、英雄王の僅かな間隙に迫る

 

 

「――思い上がった、そう言っていよう!」

 

 

――無銘の認識すら上回り、王は泰然と叫ぶ!

 

「此度の我は――蔵の外にすら!財を構えている――!!」

 

――そうか!

 

「何――?」

 

「――宝具!!展開します!!」

 

 

英雄王の前に躍り出る雪花の盾!マシュの仮想宝具疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)が軍神の剣を阻み、王を守護せし礎となる!

 

「――!!」

 

 

「ふははははは!!我に任せよとは言ったが当てにしておらぬとは言ってはいなかったな!よい働きだマシュ!!」

 

「はい――っ!私は!デミ・サーヴァント・・・!でも!英雄王が認めてくださった、サーヴァント、ですから!!」

 

破壊の突進を、勇気を以て受け止める

 

「先輩を、護り!英雄王の、期待に!応える、ために――!!!やぁあぁああぁああぁあ!!!」

 

「消えろ――!!」

 

勢いを増す――刹那

 

 

『シバ、トリスメギストス観測位置固定!!オルガ!!』

 

『固有結界!『人理に寄り添う、希望の華(カルデアス・アニムスフィア)』――!!!』

 

 

カルデアより投射されし固有結界!!暗雲と猛吹雪に覆われし不毛なる大地が、アルテラの『宝具ランク』を含めたステータスを破滅的にダウンさせる

 

「これ、は――!!」

 

『アルテラは弱体化しています!ギル!今のうちに――!!』

 

「どこまでも献身的な女よ!貴様に聖杯をくれてやったのは、間違いでは無かったわ――!!」

 

 

『はいっ!!リッカ!!貴女も!!』

 

 

「うん!令呪を全部、ギルに捧げる!!思いっきりの全力全開で――!!」

 

 

令呪三画をギルの魔力の賄いに使用する、マスター、リッカ!器と魂に、力が満ち足りるのを感じとる

 

 

「――おもいっきりやっちゃぇえ――!!!」

 

 

「良かろう!!貴様の敬意!しかと受け取った――!!」

 

――これで終わりだ!!財を選別!エアを補強し、バックアップを叶う総ての宝具を選別!!

 

――食らえ、破壊の大王!これが自分達の!!

 

 

 

「エアよ!臣下の想いを束ね、破壊の化身に原初の理を示すがいい!!『天地乖離す(エヌマ)』――!!!」

 

 

――人理を救う者達の総てだ――!!!!

 

 

 

「『開闢の星(エリシュ)』――――!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――やがて暗雲と世界は切り払われ、蒼天と一面の銀世界が広がる

 

 

 

「――この、景色は」

 

「フッ、その虚ろな眼でしかと見るがよい。これはとある娘の心の景色」

 

 

太陽と星が、万象を照らす

 

 

「――我が人理を取り戻せし時に。報酬として、我が眼に焼き付ける景観だ」

 

 

――アルテラが、微笑む

 

「そうか・・・あぁ、そうか。世界には・・・美しいものが」

 

 

「・・・」

 

 

「・・・私の剣でも、破壊されないものが、ある、のか――それは、少し・・・」

 

 

――やがて、破壊の大王、アルテラは

 

「――嬉しい、な・・・――」

 

 

役目を終え、消え去っていった――

 

 

「たわけめ。そのようなモノ、この世界には掃いて捨てるほどにある」

 

 

――うん。自分も、そう思う

 

 

例えば、この景色だ。この景色の美しさは――

 

「・・・アルテラよ。ソレを知りたければ、我が楽園に来るのだな」

 

――何者にも、壊せはしないだろう

 

 

「その時には我が余すことなく教授してやろう。この世の悦楽、愉悦というモノをな」

 

 

 

――突き抜ける空が、どこまでも広がり

 

天文台には、――大輪の華が咲き誇る――

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