人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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寺子屋

ラマッス仮面『少し、休憩にしましょうか。大丈夫、何処にもワタシ達は逃げませんよ』

天逆毎「解っている。・・・そうか、それが気遣いというものなのだな」

『ふふっ。悩みと煩悶、祓う手助けにはなれたでしょうか』

「あぁ。──一つ聞かせてほしい」

『なんなりと』

「あなた方は何故、こうまで相手の世話を焼く?何故、敵にまで歩み寄ろうとするのだ?」

『それは簡単な事です。あなた方は『世界を託す相手』となる大切な来賓でもあります。ですのでこうして、礼を尽くすは当然なのです』

「・・・どういう事か?」

『この戦いに善も悪もなく、あるのはただ願いのみ。どちらかが勝てば、次なる明日を紡ぐは勝利した者。──言うなれば敵ではなく、明日を担う歴史の担い手なのです。ワタシ達は、共に』

「・・・・・・」

『だからこそ、可能ならば敵意と拒絶ではなく、尊重と尊敬を胸にした対立で在りたい。互いに譲れぬ世界を背負い、明日を託す相手として。敬意を払う事を忘れたくは無いのです。だって本当は、総ての歴史に『間違い』など無いのですから』

「──それを定めたのが世界、大いなる意志であるとしたら・・・理だとすれば、あなたは誰と戦うのだ?」

『勿論、世界の理そのものと。──誰も変えられない、犠牲を払い切り捨てるが運命だと言うならば。ワタシは理に挑みます。誰かを過ちと断じる事は、ただ一人を除いて誰にも出来ない』

「──私達の歴史も、間違いではないと言うのか?」

『はい。だって貴女は、かけがえの無い宝物を既に、王に捧げてくださったではないですか』

「───。・・・・・・あぁ」

──・・・そうか。私は既に、運命に抗い命を手掛けていたのだった──


降臨!四霊召喚!!

「皆様、大変お疲れ様でした。確かに、禍肚を汚染していた霊脈・・・並びに財宝三つを取り戻した事を確認致しました。これならば叶います。四方向の守護者であり、総ての厄災を振り払う至高の者たち──四霊の召喚を!」

 

力強く宣言し、集いし三種の宝器を束ねしヒルコの言葉が力強く宣言する。今こそ時は満ちた。所持せし矛を掲げ、高天ヶ原を巨大な召喚陣として四霊を召喚する言葉に、大いに沸き立つ楽園と神々の一同。

 

『ケツァル・コアトル!準備万端デース♪』

 

『ワフッ!』

 

『щ(゜▽゜щ)』

 

『ルーお爺様の代行として、ルーンを振るいます!どうぞお任せください!御存分に!』

 

主神の力を有する存在、そして攻略に対応したマスター四人を配置しその中央にヒルコとタケルが陣取る。タケルはこの時の為に──神聖なる神楽を奉納する女装を行っている。万が一にも失敗せぬよう、用意された巫女としての役割を果たすのだ。

 

「誰!?この美人!?」

 

「龍華。人は化粧で変わるものだ」

 

威風堂々たる存在のタケルは其処にはなく、歌舞伎や芸能の女形の極致の存在たる美貌を魅せるタケル。その所作は武神としてではない、麗しき巫女としての魅力を存分に示していた。──そして、いよいよその刻が訪れる。

 

「それでは、参りますよタケル。──高天ヶ原を依代とし、神々の祝福を一手に集め祝辞とせん!」

 

槍を高々に掲げ、タケルが龍の面を被り扇子を取り出し舞い踊る。ヒルコの言葉に、タケルの舞が楽園の奮闘を確かな成果として顕現させる。

 

高天原に神留かむづまり坐ます。神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)(みこと)(もち)て、皇親神伊邪那岐乃大神(すめみおやかむいざなぎのおおかみ)筑紫(つくし)日向(ひむか)(たちばな)小門(おど)阿波岐原(あはぎはら)に、禊祓(みそぎはらひ)(たまふ)時に生坐(あれま)せる。祓戸(はらえど)大神等(おほかみたち)諸々(もろもろ)禍事罪穢(まがことつみけがれ)を (はらへ)(たま)ひ (きよ)(たま)ふと(もう)(こと)(よし)を、天津神(あまつかみ)地津神(くにつかみ)八百万神等共(やおよろずのかみたちとも)に、()()せと (かしこ)(かしこ)(もう)す──」

 

心に吹き抜けるような風がごとき言霊が、咲き誇る華の様な舞が、その荘厳にして美しき召喚を彩る。それに応じ、召喚の補佐をソロモンたるロマンが補佐を行う。──前線にて戦う戦士だけではできない戦いを、ロマンら楽園スタッフは全霊で行っているのだ。

 

『霊脈接続、召喚魔方陣安定、十の指輪、矛に同調・・・!高天ヶ原、神霊召喚術式に置換!──絶大な魔力反応感知!来るぞ!──神霊クラスの召喚だ!!』

 

『総員、衝撃に備えなさい!来るわ、日本最強の神獣達が!』

 

オルガマリーのその言葉と共に──空が、一瞬で暗転した。そして、高天ヶ原に圧倒的な『神威』が来たる。四方の隅より、四つの天柱が立ち上った。

 

「き、き、来たぁあぁあ!?」

 

「おぉ、こいつらが・・・・・・!」

 

その召喚が成功した事を──総ての生物は、根源的な畏怖による戦慄にて痛感し理解する事となる。それぞれ、絶対的な神威と共に。召喚に応えた神霊が姿を顕した。

 

『切なる願い、聞き届けたり。いざ、共に豊芦原の穢れを祓わん』

 

東より轟く威厳に溢れた咆哮と共に『天空総て』に神体を座す蒼き龍が現れる。白き身体に蒼の鱗。白き二本角に暗雲を纏う強大な龍。『応龍』が厳かに、強き言葉にて下界総てに語りかける。天空をうねる身体の全長は、空の果てから果てにあると錯覚せんとする程に長大であった。

 

『頑張り屋さんには力を貸す。朱雀なんて性悪を選ばず私を選んでくれたのはいい判断ね。さ、忘れられない一時にしましょ♪』

 

麗しき小鳥の囀りのような、雄々しき鳥の羽ばたきの様な多重の声音と共に、高天ヶ原に虹がかかり、虹色の光が降り注ぐ。紅き身体に七色の羽根と尾。美の具現とすら言える美麗な神鳥が羽ばたく。神聖なる羽『鳳凰』が大いなる神体を願いに応え開帳する。

 

『こんな老い耄れをさぁ・・・崇めて奉り、頼ってくれてる子達がいるならよぉ・・・無駄飯喰らいのジジイではぁ、いられねぇよなぁ・・・ありがとうよ・・・あれ、どこだい?おぉーい?』

 

地響きと共に、巨大極まる『霊亀』が顕現する。その神体は四つの脚が大地を踏み鳴らす度に地響きを起こし、もたげた首は天空の雲に届く。甲羅の上には木々が成り、樹海が根付く程。──その全長は、神威は大陸に通ずるほどの巨体だった。だがちょっぴり耄碌しているのか、その体躯をもぞもぞしながら護るべき者達を探している。マルドゥークが特注の眼鏡をそっとかけてあげた。

 

『こういうの、なんていうか知ってる?青天の霹靂!つまりどゆことか解る?すっごく凄い!よろしくね!』

 

一度駆ければ、瞬く間に千里を走る脚力の『麒麟』が、自身の方角からあっという間に駆け抜け中央へとやって来てしまった。凄いでしょ?頼れるでしょ?誉めて!と嘶き人懐こく皆にすり寄る白銀と黄金の毛並みの霊獣は、朗らかに楽園に力を貸す心を示す。

 

「凄い!すごーい!これが日本の最強の霊獣!四霊なんだぁー!」

 

「たーまげたぁ・・・!──アタシの魂にビンビン来やがる・・・こいつらの前じゃぁ、邪悪は瞬く間に滅びちまうな!なぁばらきー!」

 

「一目散に逃げてってしもたよ」

 

「ばらきー!?」

 

「四霊の守護者達よ!禍肚、都に巣食いし四つの禍に四人の勇者が挑まんとしております。どうか、その力と加護を形にし!魂と心、未来を護る力を授けん事を請い願う!イザナギと・・・」

 

「ヒルコ・・・」

 

「──イザナミの作りし世界に生きる子々孫々!どうか黄泉の邪神の呪詛より護りたもう!!」

 

『『『『承知せり。我等四霊、汝らと共に在らん!』』』』

 

その言葉と共に、カドック、アルトリア、アイリスフィール、ぐっちゃんにそれぞれ神威が与えられる。それは、リッカの鎧に通ずるほどの強度と力を秘めた『神造礼装』・・・四霊の神威を纏う事の出来る、唯一無二にして至高の逸品であった。

 

「これが・・・四霊の力・・・」

 

カドックが対応せし『麒麟』。それは総てを照らす吉兆の『白き軽鎧』である。無駄な装飾無き麒麟の皮で編まれたソレは、身体から重さを排し万里を駆け抜ける脚を少年に授ける

 

「・・・まさか、精霊が神霊の慈悲を預かるなんてね」

 

『応龍』の『妃服』衣装を纏ったぐっちゃんは、見るものを平伏させる程の気品と風格を手にする。それは無敵の武を誇る項羽の隣に在るに相応しい様にと気を利かせた応龍が賜した『結婚衣装』でもあった。

 

「これが・・・ガメラの衣装・・・!?」

 

『美人に着せる服は自信が無いのぅ』と笑いながら霊亀が用意したそれは、アイリスフィールを優しく包み込み魔力を産み出す『巫女服』。聖杯の器として、神に仕える巫女として同一視した霊亀が捧げる、神官にして万象に寄り添わんと授けたものである。

 

『あなたお洒落になるわ。私がプロデュースしちゃうの。当然よね?性能とか二の次二の次!』そんな自由な鳳凰が授けたのは七色に輝く『外套』と『冠』。そして最低限の胸当てや腰鎧。風雅で優美でありながら女性を際立たせる七色の煌めきを纏うアルトリアは、かの騎士王の再来を思わせる。

 

「ありがとうございます、鳳凰さん。これなら・・・やれそうな気がします!」

 

「み、皆がカッコよくなったぁ!これ、これ行けるよヒルコ様!タケちゃん!」

 

「はい!最早リッカ様の足手まといなど此処にはおらず!皆様の力は最早四凶恐れるに足らず!さぁ、最後の仕上げに参りましょう!」

 

溢れんばかりの力と共に、一同は禍肚へと向かう。

 

──京に巣食う邪神、今こそ潰える刻──




カドック「リッカ、まずはありがとう。君が頑張ってくれたから、これを纏う事が出来た」

アルトリア「四凶をやっつけて来ます。どうかゆっくりとお休みください」

リッカ「皆・・・!立派になって・・・っ!もう私だけが頑張ればいい段階なんて過ぎ去ったんだね・・・!」

アイリスフィール「あなたを越えた、なんて傲るつもりはないわ。私達は、あなたを支えるためにいるのだもの」

ぐっちゃん「少しは楽出来るようになった、そう思いなさい。──見てなさい。先輩は後輩を支えるものでしょ?」

リッカ「うんっ!皆・・・頑張ってね!──・・・ぐすっ・・・」

はくのん「ますます磐石になった。負ける気がしない。御風呂に一緒に入ろうリッカ」

リッカ「うん!シャンパン開けようっ!」


温羅「──・・・ババァ、今何処で何してるんだろうな」

酒呑「気になるん?」

「・・・実際の所、今のあいつがどう動くは読めん。どっかで善意を学べたらいいんだが・・・」

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