サクラ大戦~散らなき鉄の花~   作:斎藤一馬

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この幕間は2終了時点で入れようかと思ったけど前倒し・・・


幕間② 暁の夢の夜 前編

夜の闇をブースター炎の光が漆黒の海を照らしキラキラ光る。

 

現在位置は、アラビア海のイエメン沖1000Km地点で後数十分で一時休憩地点の

 

フェイス所有の隠密航空母艦と到着するそこで給油と機体のチェックと

 

パイロット(アカツキ)の小休憩をとりその後、アデン湾を通り地中海に入り、目的地の仏蘭西

 

に到着する予定である。

 

 

 

そこでふと漆黒の海の地平線を見ると薄っすらと夜が白らむ、その光景が半ば夢の光景に思えた。

 

「そういえば・・・あの時もこんな空だったな・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太正十二年・・・・夏

 

 

 

「最近、大神の様子がおかしい・・・・」

 

俺は・・・食堂で寛ぎながらそんなことを呟く、それに続いてすみれが

 

「そういえば」と続き、

 

「最近、少尉よくわたくしたちの舞台をご覧になっているようですが」

 

そうなのだ元々大神は、舞台にはあまり興味が無いように思っていたがここ一週間は、

 

ほぼ毎日、花組の舞台を見ている。

 

「お前、あまり舞台には興味なかったよな?いったいどうゆう風の吹き回しだ?」

 

「え・・といや、その、特に理由はないんだけどね」

 

そこで、夕食(ゴーヤチャンプル)を食べていたカンナもこの話題に参加、

 

しかしそこですみれが『話の腰を折るな』と苦言をいった事で、恒例の喧嘩が勃発、

 

しかしいつもなら此処で大神が止めに入るのだが、なにやら安堵した息をつく、

 

「・・・・・・・」

 

どうやら今回の話はあまり触れられたくないのだろう・・・しかし・・・

 

ここで、食後のデザートそっちのけで紅蘭とアイリスが空かさず、大神にさっきの話題を続ける。

 

「アイリスもホントいうと気になってたんだよ」

 

「えっ!?そ、そうなのかい・・・・・」

 

「ウチもや。大神はんえらく熱心に鑑賞してたって由里はんがいっとたで?」

 

「由里君か・・・・」

 

帝劇三人娘の一人『榊原 由里』は一言で言えば歩くスピーカー、

 

かなりの噂好きでミーハーな性格、好奇心が強くよくいろんなことに首を突っ込む人である

 

そんな人物に見られているということはほぼ間違いなくこの話は劇場内に広まっている・・・

 

「隊長」

 

どうするべきか悩んでいると、低いハスキーな声・・・マリアが食後のロシアンティーの

 

カップを手にじっとこちら(大神)を見つめていた。

 

「もしかすると隊長は、お芝居に興味が出てきのではありませんか?」

 

グサッ!

 

マリアの言葉が的確に大神の弱点を打ち抜く・・・・

 

「そ、それはーーーーー」

 

大神が百面相しながらどうこたえようと迷っている、マリアの言葉が

 

切っ掛けで今まで大喧嘩していたカンナとすみれも休戦状態で大神に視線を送る、

 

もはや逃げれない状態なのだがそこに、夕飯を終えて姿を消していた、

 

救いの女神(さくら)が掃除支度の恰好で食堂に現れた、

 

どうやら大神は夕食後さくらに頼まれ小道具部屋の掃除の手伝いを約束していたようだ、

 

さくらの登場で、場の空気が変わり、今まさに大神を尋問しようとしていた雰囲気は、

 

今のさくらの恰好があまりにもアレだったのでそれをネタにしたり、なんで休日に

 

掃除なんかを?という疑問に答えたりとなんやかんやとその場は解散となって今日が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

 

「すまない!暁、TRPGのシナリオ集みたいの貸してくれないか?」

 

「は?」

 

翌朝、仕事の準備をしている時に大神が自室にきて行き成りコレである・・・

 

「え・・・・とどうした?GMでもやるのか?」

 

多分、俺は今かなり混乱していたと思う・・・最近芝居に興味が出てきた大神が

 

次の日には『コレ』である・・・取り合えずどうしてこんな

 

『面白い』事になってるのか聞く事にした。

 

 

 

数十分程大神の話を聞いて、簡単に言うと『自分も花組の皆の様に誰かに夢を与えてみたい』

 

とのことだった。

 

花組のみんなが芝居を通して色々な人、それこそ老若男女問わず夢を与える姿が眩しくて

 

自分もそれに参加したいと考えたが自分は軍人畑の人間、戦う事しか出来ない

 

人間が人に夢をなんてと・・・しかし日に日にその思いが強くなっていき

 

終ぞ昨晩の夜回りの時にさくらと会話の後・・・・大神は自分が舞台を作る・・・

 

花組の舞台をこの手でつくる・・・それが並大抵な事では無いことは、大神も

 

知っているはずだ・・・それでも彼はめげずに、立ち向かったのだ。

 

 

「・・・お前の気持ちは分かった・・・・ならシナリオ集よりこっちがいいだろ」

 

そう

いいながらCOCのリプレイ集を数冊手渡す、TRPGのリプレイ集とは、文字道理

 

作者、もしくは作者の身内が実際にプレイした時の内容を台本形式にまとめた物で

 

シナリオ集よりその時プレイした参加者のロールもセリフとして書き込まれているので

 

ちょっとした小説や台本の様な物だ

 

「どういった芝居をするのか知らないから王道のCOC、クライムアクションのサタスペ、

 

ファンタジーのソードワールド系・・・まぁ初手はこんなもんか・・・参考になればいいが」

 

「こんなに・・・・助かったよ、後この事はみんなには・・・」

 

「言わねーよ、糠喜びになるかもだし・・・あと由里にしられたら全てパーだしな」

 

「あ、はははは・・・」

 

「あ、後!無理はするな・・・・『俺たち』の役割に影響だすなよ」

 

「・・・・・解っているさ」

 

大神は、リプレイ集を抱え一階に降りていく、恐らく事務局で今までの芝居の台本と

 

企画書を借りに行くのだろう・・・・さてどうなる事やら・・・

 

 

~一日目~

 

大神はふらふらしながらも、いつも道理モギリの仕事をしたり、華撃団の仕事等もこなしているが

 

やはり寝不足なのだろう・・・か?いつもはしないミスをしていたので差し入れ(モンエナ)

 

渡しておく・・・

 

 

 

~二日目~

 

やはり大神はふらふらしている、昨日もあまり寝ていないようだ、差し入れ(モンエナ)

 

ゴミを抱え現れ燃えないゴミに出している姿を発見( ^ω^)・・・まぁガンバレ

 

 

 

~三日目~

 

『シャキっとしやがれこの馬鹿野郎ぅ!!』という米田のおっさんのカミナリが等々落ちたので

 

大神を一度風呂(熱湯)に叩きこみ気付けする、最初はよかったが入浴の余韻が出てきたのか

 

ウトウトしだしたので叩き起こす・・・・だが戦闘ではそんなだらしない所は億尾にも出さず

 

確り指揮する当たり大神らしいと思う・・・

 

 

~四日目~

 

 

「よぉ坊主・・・モギリの(あん)ちゃんいってぇ如何したんだ?」

 

「なんか・・・何時もの元気ねぇじゃあねーか?」

 

帝劇の常連のクマ公さんとハチさんが、大神の様子がおかしくて声を掛けてきた

 

「あーすみません、大神のやつ今『生みの苦しみ』をモロに受けてる最中でして」

 

「ほぉーんあの(あん)ちゃんがねー」

 

「しかしあの『いらっしゃいませ』が聞けねぇのは少々寂しいなぁ」

 

この二人は、前に帝劇には『夢を観に来ている』と語っていた事がある・・・

 

町職人の日当では、毎日の歌劇鑑賞は出来ない、

 

帝劇の三等座席料は3円(現在換算約1万2千円)二等席が5円(2万円)

 

一等席が8円(3万2千円)特等席ではなんと15円(約六万)

 

其処に土産代、交通費、食事代が入れば+1円は、かかる

 

一様帝劇には立見席が40銭(現在換算約432円)だが、二人は『夢を観に来ている』

 

のにそんなみみっちぃことはしたくねえ!と豪語、さすが江戸っ子という奴だ。

 

そうゆう理由ある為、大神の元気な『いらっしゃいませ』を聞くと

 

『あぁ・・・俺たちは劇場にまたこれたんだなぁ』と思えるんだと照れながら話していた、

 

大神は気が付いていないようだが、大神もまた既に『人に夢を与える』事に一役かっている、

 

無論、売店や事務で忙しなく動いてる帝劇三姉妹や大道具スタッフ陣・・・細かく言えば

 

キリが無いが、帝劇にいる全ての人間が『人に夢を与える』事に一役かっている・・・・

 

「それに・・・何時きがつくか・・・」

 

おれはボソッと呟きクマ公さんとハチさんと別れ、覇気の無い大神の尻に蹴りを見舞う

 

 

~五日目・六日目~

 

進展なし、台本出来る前に目元にクマをこさえるだけだった

 

 

~七日目の朝~

 

『駄目だぁぁ!俺には書けないぃぃぃ!!!』

 

 

等々そんな事を叫びながら発狂した・・・。

 

それに見かねて、普通にしていれば頼りになる帝劇のお姉ちゃん『藤枝 あやめ』が動いた

 

俺は、ため息を付きながら風呂の設定温度を上げに行く・・・・

 

 

 

 

 

 

~その日の夜~

 

夕食後のひと時をサロンで寛いでいる花組の面々と残業終りの帝劇三人娘も合流している中

 

ボロボロふらふらの死人(大神)が原稿紙の束を抱え現れる。

 

花組の面々はその姿に驚愕しているなか、「さ、さくらくん・・・出来たよ」と最後の言葉を

 

残し力尽きる。

 

『きゅ・・・救急車ぁぁぁぁ!!!』

 

椿、由里が絶叫し、かすみが蒸気電話で医者に連絡をしようと一階に降りる

 

(この時慌てて病院ではなく警察に連絡したのは内緒である)

 

マリアはそっと大神を観察しているまる、殺人事件に出くわした探偵か何かのような

 

雰囲気を出しながら・・・・。

 

「・・・・心配いらないわ、ただの過労よ」

 

ズコッ!

 

ノリのいい面子がマリアのボケに見えないボケにズッコケる

 

「この頃、元気なかったもんね~」

 

「あぁ・・・メシも碌に食ってなかったしな」

 

カンナとアイリスが今までの大神を思いだしながら心配そうにしていると、

 

紅蘭が床にぶちまけられた、原稿用紙を拾い上げながら「なんやこれ??」と言い

 

すみれも落ちてる原稿用紙をみて驚きながら、

 

「これは、お芝居の台本ですわ!!」

 

確かにこれは、台本の一部だ何度も書き直した跡やインク擦れ見える・・・まさに入魂の作品

 

「そうなんです!」

 

ここでさくらが今までの経緯を話す、大神が芝居を作ろうと思い立った切っ掛けや心内を

 

それに伴って、台本や企画書を執筆していた事を・・・・

 

「そうだったの・・・」

 

そうつぶやくマリアの横でカンナとすみれが、

 

「そういえば前に少尉が、よくお芝居をよくご覧になっていましたわねぇ」

 

「なるほどなぁ~そうゆうことだったのか」

 

それに続きアイリス、紅蘭もしみじみと・・・、

 

「お兄ちゃん頑張ったんだね・・・・」

 

「しかし大神はんも『誰かに夢を与えてみたい』なんてけっこうロマンチストなんやね」

 

そこで精魂尽き果てた大神の高いびきが聞こえてくる。

 

この様子なら心配いらないようだ・・・とりあえず全然上がってこないかすみを

 

止めに行こうとした所、さくらが原稿用紙の中からナニカを探している。

 

「どうしたのさくら?」

 

「いえ・・・大神さんの考えたお芝居のタイトルが気になって」

 

その言葉で他のメンバーも気になっていたのか、皆で探し始めついに見つける。

 

『真夏の夢の夜』

 

これが大神の夢の形・・・

 

その夢を形にした本人(大神)は、疲れ果ててただひたすら眠り続けている・・・・

 

 

 




この話を書いている時に無性に真夏の夜の〇夢がでてきてしょうがなかった・・・

この話(真夏の夢の夜)はすごくいい話なんですよ!!なのに・・・

ネットミームのせいでぐぬぬぬ・・・

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