サクラ大戦~散らなき鉄の花~   作:斎藤一馬

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暁をデートに誘うその前の晩、薬を処方されたその日の深夜からスタートです




第37話 ~散らなき鉄の花~②

了子女史から風邪薬を処方されたその日の夜、言いようのない寝苦しさに魘され、

 

ボンヤリとした夢のようなもの見る・・・・そこには何かの人影が見える。

 

『あなたは・・・・・・だれ?』

 

どうやら女性の様だしかし様子がおかしいでもどこか見覚えのある姿・・・

 

『うふふふ・・・』

 

謎の女性は聞き覚えのある声で嗤う・・・・

 

『誰?・・・・だれなの?』

 

誰なのか尋ねた瞬間視界が真っ白になり本能的に叫び声をあげる、

 

そして飛び起きると、そこは・・・見慣れた自分の寝室だった。

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・」

 

乱れた息を整えながらぼーん、ぼーんと時計が丑三つ時を知らせる。

 

 

 

 

 

 

【帝国劇場ホール】

 

 

 

暁はいつものジャンパーとシャツとミリタリズボンといった格好で待機していた、

 

「あれ?アカツキ君こんなところでどうしたの?」

 

「あ、おはよう椿」

 

売店の掃除をしていた帝劇三人娘の一人、高村椿が声を掛けてきた、

 

「おはようアカツキ君、誰かと待ち合わせ?もしかしてアイリス?」

 

「いや、なんかテンションが異様に高いあやめ姉さんと」

 

「副支配人と?そういえば副支配人、体調大丈夫なのかしら?」

 

「薬のんだらよくなったって・・・多分疲れが溜まってたんだろうね」

 

「あーお正月から凄くバタバタしていたものね」

 

「うん、今日はなんか米田のおっさんが、気を利かせて休みにしたんだって」

 

「そっか、副支配人もいい息抜きになるといいわね。じゃあ私は仕事に戻るね」

 

「うん仕事頑張ってね」

 

そこで椿は忙しそうに掃除用具をもって帝劇の奥に消えていく、そこで

 

私服姿のあやめが駆け寄ってきた、白いコートにロングスカートに縦セーターといった

 

あたたかそうな恰好だった。

 

「おまたせ暁君まった?」

 

「いや大丈夫、椿と雑談してたし」

 

「・・・・そう、ならイキましょうか?」

 

一瞬、不穏な空気をだしたがそれもすぐに収まり、暁の手を握り、デートを開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【支配人室】

 

 

 

部屋には米田指令ともう一人女性がおり米田は、了子からあがってきた

 

藤枝あやめのカルテと、結果報告を確認していた。

 

「・・・・・・こいつは、くそ・・・・」

 

内容としては、霊力変質症の詳細と原因の仮説、投与処方した薬剤の詳細と

 

経過予測が記載されていた。

 

薬剤を決まった感覚で服用すれば二か月程は、状態を保てるがいつ薬剤の耐性が付き効力が

 

効きにくくなるのは、個人の体質によるので不明、外的要因で症状が悪化する事が予測される

 

といった情報が書かれていた。

 

「以下の通り・・・彼女をここから遠ざけた方がいいと私は考えます」

 

了子とその隣に・・・・あやめと【瓜二つ】の女性が米田にそう伝える

 

「そうか・・・・」

 

「候補としては、仙台辺りかしらあそこは、破邪の血を受け継ぐ真宮寺や今は亡き八神家のある地

 

邪気や妖力といった外的要因も受けにくいし私らの研究所もある

 

上手くすれば効果的な治療もできるかも」

 

「了子女史の案が現実的ですが・・・・・あの人をまさか実験動物にはしませんよね?」

 

謎の女性は厳しい視線を彼女にむけながら棘のある言葉を投げ付ける。

 

「そんなことしないわよ、彼女は彼の・・・・暁の【大切な】人物ですもの」

 

「・・・・アナタにはドイツでの【前科】がありますから信用できませんが、

 

彼に免じて今は、流しておきます」

 

「はぁーーーオメ等ぁいい加減にしねーかったく・・・でそっちの受け入れはどうなってんだい?」

 

「準備や調整もありますから明日ごろには、移送できます」

 

「その間の副指令は私が・・・・」

 

険悪な空気を米田が一喝して霧散させ、今後の対応を二人から聞き目頭を揉む・・・

 

心の何処かに言いようのない不安をかかえながらため息をつく、

 

「そういえば彼女は?ここに来る前に部屋を訪ねたらいなかったけど」

 

「彼女なら彼とデートよ」

 

「デ、デート!?この緊急時に?なにを考えているの!!」

 

女性が憤慨しながら了子に掴みかかるがそれを了子はひらッと躱す

 

「私に食って掛からないでくれる?許可出したのは支配人よ?」

 

「米田支配人!!!どうゆう事か説明してください」

 

女性の鬼のような形相で米田に詰め寄る

 

「お、落ち着け!!・・・・俺ぁただ休暇を与えただけだデートなんか知らねーよ」

 

「ま・・・・まさかあの人が勝手に!!あの人は自分の体の事は?」

 

「まだ教えてないわよ・・・・変に不安にして周りに気づかれると士気に影響があるし」

 

「・・・・・私は彼女たちを探してきます!」

 

バタン!!!

 

「ったく・・・・・何時もならもっと冷静なんだが」

 

「仕方がないと思うわよ?何せ肉親の命の危機んだから・・・・・」

 

女性が勢いよく出てったドアを見ながら苦笑しながら米田に向き直る

 

「じゃあ受け入れの準備をしておくわね」

 

「頼む・・・・あやめ君を頼む」

 

「はいはい~~」

 

 

 

バタン

 

 

 

「さてと・・・・もしもし?あーナナちゃんお久~先生いる?

 

うん・・・そそ・・・ボン先生の専門だと思うから・・・・背に腹は代えられないのよ

 

だって・・・・今度も救えなかったら彼・・・・【壊れちゃう】かもだから」

 

 

受け入れ先の医師の助手の子に電話をして数分後、医師からカルテと経過報告書、帝都の

 

一月~今日までの天候、気温、湿度、自然霊力数値、自然妖力数値の情報を寄越すよう連絡が入り

 

明日の午後には、助手数名引き連れて空路でこちらに来るそうだ。

 

「さて…・一仕事しますか・・・・」

 

必要なデータを書き込むため書類をだし移送先の病院を記入する『祈手医療研究所』と

 

「本当はここには頼りたくないんだけどねーーー」

 

コーヒーを一口飲み視線を書類作成を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって浅草六区

 

 

ここは多くの活動写真館や芝居小屋なのど娯楽が集まる歓楽地であり、

 

平日にも拘らず多くの人で賑わっている。

 

「さて・・・何見ましょうか・・・・」

 

「うーんホラーとかアクション系は今はお腹いっぱいかな」

 

「もしかしてカンナたちのラジヲドラマの関係?」

 

「あぁ・・・ライターからシナリオの確認とか最近引っ張りだこだったから」

 

「そう・・・あやめ姉さんはサンプルは何本か見たでしょ」

 

「えぇ・・・リリィ少将が原案ときいていたけど…中々独特なお話ね」

 

「好きな人が解れるよね・・・うん」

 

「フフフそうね‥‥暁君はどのサンプルシナリオが好きなの?」

 

「あーーよくゲームでやるから、『悪霊の家』か『ダンウィッチの怪』かな

 

あやめは?何かあったりする?」

 

「私は『奇妙な共闘』と『インスマウスの影』かしら・・・・」

 

えーそのチョイス?・・・・あんた下手するとそのシナリオみたいに変化しちゃうのに・・・

 

あ・・・・まだ知らねーんだった

 

「そ・・・・そうまぁそのシナリオも有名だからね」

 

「あ!ならあれにしましょう!!」

 

あやめが指さしたのはどうやら恋愛系の活動写真の様だ、並んでいるのも女性が圧倒的に多い

 

「ふーんたしかにあんま見たことないジャンルだけどなんか新鮮かも」

 

「じゃあアレにしましょうか」

 

数十分待つと列が動き無事に中に入り売り子が売っていた、ポン菓子とラムネをあやめの分を買い

 

席について数分後にあたりは暗くなり共産の帝都ニュースが流れる、内容はやはり

 

最近の降魔の事と帝撃の事にかんしてのニュースだ、

 

観客もそのニュースに食い入るように見ている。5分程のニュースの後に本編が始まる。

 

 

 

 

ストーリーとしては、身分違いの少女が自分が使仕える幼馴染の財閥の男の子に恋をするも

 

許嫁の女性らに苛めを受けながらも愛する男の子を諦めきれず・・・・

 

許嫁どもを次々と謀殺、虐殺し許嫁どもの家を没落させ、

 

ヒロインの事を疑っていた先輩女給を火頂責めで口封じして

 

最終的には燃え盛る屋敷の寝室で男の子を押し倒したヒロインが

 

屋敷ごと爆死する悲恋作品である

 

 

 

 

 

 

これ悲恋か?

 

ただのヤンデレ逆〇じゃね?

 

むしろ火頂責めとか・・・先輩どんだけ恨まれてんの!!

 

この女ただのサイコパスやんけ!!

 

暁が戦慄していると…周りからスンスンと女性たちの咽び泣く声が聞こえる・・・・

 

感動するとこあった?ねぇあった???

 

 

「・・・グス・・・いい作品だったね暁くん」

 

「・・・・・・・セヤナー」

 

もはや声をしぼりだしながらの相づちしか打てなかった・・・・

 

女ってよくわからん・・・・・

 

 

 

 

 

その後、浅草を散策し大道芸人の芸に足を止めたり、雑貨の屋台で互いに装飾品を買い

 

交換しあったり、隅田公園のベンチに座り他愛もない会話を楽しんで楽しい時間は過ぎていく

 

「・・・ねぇ暁くん・・・・最後に銀座でディナーなんてどう?」

 

「もうそんな時間か、でも遅くなって皆心配しない?」

 

「支配人にはさっき電話で遅くなることは言ってるわ」

 

「・・・・手際良いね」

 

この分だと既にお店も予約してそうだ・・・

 

「でも俺ドレスコードなんてしてないよ?」

 

「そこまで畏まった所ではないわ、私たちが演劇の打ち合わせとかでよく使うお店なの」

 

「へぇーどんなお店なの?」

 

「個室制の洋食店よ」

 

「ウフフフ暁くんが好きなオムライスもあるわよ?」

 

「おい・・・・子ども扱いか?」

 

「フフフ‥‥ごめんなさいさぁ・・・・イキマショウ」

 

「?あぁ・・・」

 

やはり何処おかしい事に訝しぐも、あやめの予約したお店に移動する

 

空は、すっかり暗くなり『紅い月』がランランと輝き二人を照らす

 

「そうだ暁・・・・」

 

「ん?な・・・・・・に?」

 

あやめに呼ばれて振り返るとドスっという肉を貫く音と自分の腹から

 

紅い鮮血が地面を染め・・・目の前の藤枝あやめの目は氷の様に冷たかった、

 

そこれ俺の記憶だ途切れたのだった。

 

 

 




祈手医療研究所・・・・ボンちゃん・・・ナナ・・

うんもうあそこしかないですよね・・・・

こんな悲恋ドラマは嫌だ選手権暫定10位圏内確実な作品だと思う

ヒロインのイメージは日暮のR・Rちゃんです

てか火頂責めをうける先輩って・・・・いったい何したらあんな惨い事になるねん


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