サクラ大戦~散らなき鉄の花~   作:斎藤一馬

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やっと作者のリアル都合が付いて投稿再開~

皆さんすまんなー


第22話 優しい機械と壊す機械(暁)②

暁が作戦司令室に入ると紅蘭、大神以外のメンバーは既に集合しており、

 

暁は、自分の席に座る。そこでアイリスが小声で声をかけてきた。

 

「(アカツキ・・・・どうしたの?)」

 

「(?・・・・何が?)」

 

「(え・・・と今のアカツキ・・・ちょっと怖い)」

 

「(あ・・・・)」

 

そこでふと、先ほどのやり取りで怒気がにじみ出ていたのだと気がつき、

 

ゆっくりにじみ出る怒気を心の中に押し込める。

 

「(ごめんアイリス・・・空気読めないヤツのせいで・・・少しね)」

 

『空気読めない奴=黒之巣会』とアイリスは思ったのかいつもの笑顔で

 

「そうだよね~こんな時間に!!」(`・ω・´)フンスッ!と可愛く怒った表情を取る。

 

(やべ・・・・・可愛い)

 

暁、アイリスに萌えそうになっていると漸く。大神達が現れた。

 

 

「大神一郎少尉、李紅蘭ただ今到着しました!」

 

「・・・・すんません、光武の整備に手間取ってもうて・・・」

 

「これで全員だな、大神、紅蘭、次は遅れるんじゃねぇーぞ」

 

おやっさんが、二人に軽く注意をし、現状の説明に入る。

 

どうやら深夜時間帯もあり、避難が遅れているらしく、速やかに、敵を排除しなければ

 

被害が拡大する恐れがあった。

 

 

「隊長、すぐに出撃命令を!」

 

マリアが大神にそう声を掛け、大神も頷き号令をかけようとした時、紅蘭が割って入る。

 

「あ・・・あの光武の整備がまだ・・・・」

 

「どうした紅蘭?整備班からは、整備は終了していると報告を受けているが?」

 

紅蘭の発言におやっさんも不思議そうに尋ねる。

 

「まだ・・・細かい調整が・・・」

 

「動きさえすればいいわ、今は一刻も争うのよ」

 

マリアが紅蘭をやや強く諭すようにいい、サクラもそれに同調し大神に話を振る。

 

「そうだな・・・光武のためにも頑張らないとな。

 

不調だとしても負けるわけにはいかないからな。」

 

「どんな理由があるにせよ、人々の平和を守るのが帝国華撃団だもんな。」

 

大神の言葉に、頷きながらカンナもそう答える。

 

しかし紅蘭は、

 

「そうゆうことやなくて、みんなにも光武のことも・・・・」

 

紅蘭は、みんなの言葉を聞くもやはり『光武』が心配なようで反論するがその言葉を

 

遮った人物がいた。

 

 

「じゃぁ・・・紅蘭は・・・大勢の人が死ぬのはいいんだ?」

 

 

暁である。

 

 

「っ・・・・暁はん!」

 

「こんな事で時間かけて・・・いったいどうゆうつもり?さっきの概要で、避難が遅れてるんだよ?

 

こんなとこでグダグダして・・・紅蘭は『いったい何人を犠牲にする気?』」

 

「暁!そんな言い方!!」

 

「大神!」

 

「っく・・・・みんなとにかく出撃だ!」

 

暁の鋭く、冷たい言葉に大神は、怒りを露にするが、おやっさんがそれを静止する。

 

暁はいち早く作戦指令室から退室する・・・・その背中を睨むように紅蘭と大神も退室する。

 

 

 

 

 

 

~~雷電コックピット内~~

 

 

イライラする・・・・

 

無力な人が死ぬのが。

 

イライラする・・・・

 

力があるのにそれを使おうとしない奴が。

 

イライラする・・・・

 

モノの優先順位ができていない奴に。

 

イライラする・・・・

 

自分にない光ををもっている人達に嫉妬している自分に

 

 

 

 

「暁・・・聴いてる?」

 

「オタコン・・・ごめんもう一度お願い。」

 

「全く・・・いいかい今回は時間との勝負だ、本来は射撃支援に徹して欲しいんだけど

 

初動で遅れてるから今回は砲撃支援はせずそのまっま近接戦闘で速やかに数を減らすよ。」

 

「装備は?」

 

「雷電用に調整した太刀に、取り廻しのいい腕部20mm砲」

 

「了解」

 

「アカツキ~~」

 

「ん?了子どうしたの?」

 

「どうしたのじゃないわよ・・・あんた精神が『機体』と同調しすぎ

 

もうすこしセーブなさい・・・それに感情パラメーターも少し変よ?

 

魔力も少し淀んでるし・・・・」

 

「・・・・なんでもないよ・・・」

 

「とにかく戦闘終わったら医務室に来なさいいいわね?」

 

「・・・・・」

 

返事は?

 

「了解・・・・」

 

そこで通信が切れる。

 

 

 

 

~~格納庫・了子デスク~~

 

 

 

「う~~~~ん」

 

「どうしたの了子ちゃん?」

 

「あ、オタコン・・・・ちょっとね」

 

デスクトップ型の蒸気演算器には、暁の月毎のデータが表示されていた。

 

「暁の魔力データだね・・・これが何か?」

 

「ねぇオタコン・・・・暁がイライラしだしたのって深川から帰って来てからだったわよね?」

 

「うんそうだね、僕はてっきり大神君とウマが合わないからかなって。」

 

「まあ彼、・・・・暁にはちょっと眩しくみえるとこあるかもねでも・・・・

 

『今まで』他人にあそこまでイライラしたことあった?」

 

 

 

 

暁は、敵んは基本容赦がない・・・無表情で敵の頭に風穴を開けることができてしまう

 

しかし基本は、どんな人でも話はするし、苦手な相手でもそれなりには対応できる。

 

実際、大神とは士官学校の時に何度か顔を合わせよく弄り倒していた。

 

なので『急に大神にイライラするのが不自然なのだ』

 

 

 

 

「暁って・・・特殊な血筋なのよね?」

 

「あぁ・・・実際輸血する。時は前もって自分の血を抜いて輸血用の血液を確保するほどだよ」

 

「特殊な血・・・確か『オロチの血』だったわね。」

 

「僕も詳しくはしらないけど確か大昔に存在していた魔人なんだっけオロチって」

 

「魔人というか・・・・荒神かしら・・・

たしか敵は、帝都に魔術をかけようとしているのよね?」

 

「詳しくは、まだ解らないけどそれが濃厚かな」

 

「その魔術って帝都に・・・・『封じられているナニカを解き放つモノ』って考えられない?」

 

「封じられているものを解き放つ・・・解呪術式か・・・」

 

「そう・・・おそらく敵が深川の封印を解除したきっかけで封じてるモノが漏れ始めたとしたら?」

 

「それが暁のイライラの原因?」

 

「かもね・・・暁の血が封印されていたヨクナイモノと共振していたとしたら・・・・」

 

「!これ以上封印が解けたら暁は・・・・」

 

「最悪・・・・血が暴走し理性無き獣になるかもね」

 

「っ・・・・リリィに報告してくる」

 

オタコンは、あわてて自分のデスクに戻りリリィに通信を繋げ始めた。

 

「・・・・・・・・・」

 

了子は、一人無言で現在の暁の機体情報を見守り続けた。

 

 

 

 

~~上野公園~~

 

深夜帯にも関わらず公園内にはまばらに人がおり、

 

屋台で酒をのんでいた人もおり、酔っ払いも顔を青くしながら

 

逃げ惑っている。

 

屋台を無残に破壊し、人々を襲う脇侍の集団は、無差別に攻撃をしていた。

 

 

 

 

 

「隊長このままでは被害が増える一方です!」

 

「そうだな住民のひなんもまだだし早く片付けないとな」

 

マリア、カンナが大神にそう声をかける中、紅蘭は、心の中で、

 

(機械が・・・・悪者やないのに・・・

 

せやけど・・・脇侍を救うには、壊すしかないんや・・・。)

 

紅蘭は、心の中で悲痛の叫びをこぼす、

 

「紅蘭?どうしたの・・・もう戦いは始まっているのよ?」

 

呆然としていた紅蘭にサクラは、声をかけ心配する。

 

「アイリス・・・・眠い早くやっつけて帰ろうよ」

 

「全くアイリスは、いつまでたっても子供なんですから、

 

少尉チャッチャと片付けてしまいましょう。」

 

「そうだなみんな脇侍を撃破するぞ」

 

『了解!!』

 

 

大神達は、各自散開し脇侍たちを撃破していく、しかし相変わらず紅蘭の動きが悪く、

 

敵の撃破に手間取っていた。

 

 

「・・・・っく」

 

思うように光武が動かない、少しずつ光武が傷ついていく、

 

それに心を更に痛め、やっとの思い出脇侍を撃破するも物言わぬ残骸になった脇侍をみてまだ心が痛む。

 

「ほんま・・・堪忍な」

 

 

撃破に戸惑っていた紅蘭とは、打って変わって、暁は次々と敵を壊していく。

 

ある脇侍は胴を真っ二つに、またある脇侍は、20mm砲で蜂の巣に、

 

撃ち、斬り、殴り、踏み潰し、刺し、抉る。

 

 

「・・・・・・・」

 

アイリスはその光景に眠気が飛ぶ。

 

確かに暁は、ほかの皆より強い・・・でもあそこまで暴力的だったか?

 

確かに今は、急がなくちゃいけない時でも・・・今の暁は、まるで

 

「悪魔・・・・・」

 

あの、自分は助けてくれた優しい彼がどこかに消えてしまったんじゃにかと錯覚するほどの変異

 

「こんな暁・・・・やだよ」

 

ポツリとそう言葉が漏れた。

 

 

 

 

~~暁(戦闘)視点~~

 

今日は、やけにスムーズに機体が動く・・・こんなに簡単に敵が壊れる。

 

気分がいい・・・・

 

近接型と射撃型が同時に仕掛けてきた・・・・

 

接近型の攻撃を躱し、その瞬間に、相手の相応を掴み、射撃型に投げつける。

 

飛んできた近接型を受けてしまった射撃型がバランスを崩したところに、

 

腕部20mm砲で仕留める。

 

なんだろう・・・・今日はなんだろう・・・さっきまでイライラしてたのに

 

今は

 

トッテモキブンガイイ

 

 

 

~~暁(戦闘)視点~~終了。

 

 

「てぁあああ!!」

 

大神が最後の一機を斬り伏せ戦闘が終了し公園内には、紫電を散らした、

 

脇侍の残骸を横たわっていた。

 

それを紅蘭は、ひとり悲痛の眼差しで見下ろしていた。

 

各自は、撤収準備をしている中、紅蘭はズっとこわれた脇侍をみていた、

 

それに気がついたカンナが、『壊れた脇侍なんて使いもんにならねぇだろ』と

 

「・・・・・・」

 

紅蘭はその言葉を聞き流した時。

 

 

 

ブオン

 

 

 

壊れた脇侍のカメラアイに赤い光が灯り、立ち上がり、紅蘭に襲いかかってきた。

 

 

「紅蘭!!!」

 

大神は、咄嗟に紅蘭を庇うも、敵の攻撃をモロに受けてしまった。

 

「ぐあ!!」

 

大神の光武もいまの攻撃で火花を散らしマトモに動けそうになく、しかし

 

それは相手の脇侍も同じく、所々爆発を起こしているもののその凶刃を大神に向ける。

 

「隊長!!早くトドメを!!!」

 

マリアが必死に叫ぶ、しかし紅蘭は。

 

「あかん・・・いま光武に無理させたら壊れてまう・・・」

 

「・・・・しかし・・・」

 

 

 

 

その時、その場に声が響いたい・・・冷たく・・・重く

 

 

 

 

「そんなに・・・・死なせたいんだ・・・でもヤラセナイ」

 

 

 

 

一筋の剣閃が脇士を一刀両断し、両腕の20mm砲を弾切れになるまで叩き込む。

 

過剰な、攻撃をうけた脇侍は、爆散する。

 

「あ・・・あかつきはん・・・・アンタ!」

 

「ねぇ・・・なんであの時やめてっていったの」

 

紅蘭の怒りの声を遮り淡々と声をかける。

 

「そ・・それは・・・もうあの脇侍は動けへんかった・・それに

 

・・・・無理に動かしたら光武が壊れてしまいそうやったし」

 

「何を言ってますの!暁さんがトドメをs「すみれすこし黙てて」っ」

 

すみれが紅蘭に反論しようとした所を暁が止める。

 

「そう・・・なら紅蘭は、大神が死んでもいいんだ・・・・

 

ただの機械より・・・ね」

 

「ただの機械って!暁はんは、何とも思わんのか?暁はんかて、

その雷電は相棒やっていうとったやないか!!」

 

紅蘭は、暁に叫ぶと暁自信めんどくさそうに言い放つ。

 

「相棒だよ?・・・・俺の『復讐』を遂げるための力なんだから

 

そのためにコイツが壊れようとまた直しておれは戦う・・・復讐を遂げるまで」

 

 

花組達はいきを飲む、彼が復讐のためにたたかっていた事をしって、

 

ただマリアとアイリスは、そのことを薄々と感じていた。

 

過去の自分を見ているようでいや・・・

 

過去の自分が変わらなかったらキット・・・ああなっていたのだとマリアは思い。

 

アイリスは、日に日にかれの笑顔に陰りが見え、ひとりの時は、黙々と体を酷使する。

 

そんな彼を、彼女は心配でそして悲しかった・・・かれの必死な形相がまるで

 

『泣き顔』ようで・・・・

 

 

 

 

花組メンバーに暗い影を落としつつ帝劇に帰還し、

 

格納庫でプツリと糸が切れた人形のように倒れる暁、そして

 

自分の光武から一向に降りてこない紅蘭。

 

その光景が広がるのだった。

 




暁君の様子が徐々に変化・・・・

大丈夫!拗らせてるだけだから!!

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