チート能力持ちのありきたりな冒険   作:ぎが

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はい、更新めっちゃ遅れましたぎがです。
仕事忙しいです。ゴールデンウィーク地獄です。
鋼の連勤術師フルメタルアルケミストです。


30話 魔法とは、化学とは

この日スウたちは町の図書館でラン主催の勉強会を開いていた。

 

 

図書館は町随一の蔵書数を誇り、数百万という本に囲まれた空間の中にぽつんと置いてある丸いテーブルに顔を並べていた。

 

 

「この本を読みながら勉強するのか?気が滅入るな...」

 

スウは元々本というより活字が苦手で、げんなりといった顔で言う。

 

「いや、別に座れればどこでもよかったけどね。ていうかここの本なんて全部頭に入ってるし」

 

規格外という言葉がぴったりのセリフを吐くラン。

 

「全部って...全部ですか?読むだけでおばあちゃんになっちゃいそうですけど...」

 

割と脳筋のルナもそう言葉をこぼす。

 

「飛ばし読みだけどね。内容なんてほとんど大したこと書いてないし。じゃなくて、今回の本題は...」

 

「スウ!今回みんなを呼んだ理由は話したよね?」

 

ランはバッ!とスウの方を振り向くとそう声を荒げる。

 

「うおっ、びっくりした。ラン、お前ちょっと怖ぇ。」

 

恐怖の抜け切らないスウは冷や汗をかきながら説明をはじめる。

 

「まあ、今回みんなを呼んだのはだな、ランがなんか言いたいことがあるかららしい。なんでも化学と魔法の複合?だったか」

 

「そう!わたしの研究成果ちゃんたちのお披露目会ってわけよ!」

 

すごいえらそうなラン。ご機嫌だ。

 

「いい?魔法っていうのはね、魔力を使って化学に干渉する技術のことなの。多分。口じゃ説明しにくいからやってみせるよ。」

 

そういうとランはおもむろに立ち上がり、詠唱を始める。

 

「コンロ、木炭、バーナー...あと油!」

 

詠唱とは...?とラン以外のみんなは目を丸くしている。

 

そんなみんなが次の瞬間には丸くなった目を点にしていた。

 

ランの手に小さな火がともっていたからである。

 

「なっ...!?なんで!?あんなめちゃくちゃな詠唱で魔法が発動するわけない...!」

 

パールがすごく驚いている。スウとアヅサは魔法の知識が浅い分驚きはそうでもない。

 

「つまりこういうことなの。火を連想させるワードを口にする事で、世界の物理に干渉して、魔力で過程をぶっ飛ばして結果を生み出す。これが魔法。」

 

「す、すごいです!長ったらしい詠唱を飛ばせるんですね!出力は変えられるんですか!?」

 

「長ったらしいとか思ってたのかルナ....」

 

「もちろんもっと火力のあるイメージを持つワードを挙げれば出力は無限に上がるよ。ただ、魔力は必要だしここは図書館だからやめとくけどね。」

 

そりゃそうだ。ここで爆発的な火をだしてしまえば、本なんていう最高の燃料は一瞬で燃え尽きるだろう。

 

「...まって、これってもしかして...」

 

パールが神妙な顔でつぶやく

 

「さすが魔族だね。そう、このやり方なら魔力適正が必要ないの。自分のなかでイメージさえできてしまえばどんな現象も起こせる。しかも、魔力を自分のイメージだけで変換できるから無駄もない。」

 

「なるほどな...その魔法の出力に引っ張られない分自由に出力をかえられるわけか。」

 

「って、納得してるけど、これってすごいことよ!火を起こす魔法を知らなくても魔力さえあれば発動できる...!知らない魔法が使えるどころか自分が思いつく現象はなんだって魔法にできる...!魔法を好きなだけ作れちゃう!」

 

大興奮のパール。よかったね。

 

「そう。どんなに難しい魔法があっても、その現象のイメージさえできていれば発動可能。私はこの技術に名前をつけようと思う。」

 

「して、その名前とは?」

 

アヅサがめんどくさそうに言う。

 

「その名も、リフォース。純粋な魔力を発する技術フォースの応用ってことで。」

 

「リフォース..かあ。僕にもできるかな」

 

スウはなにかやってみようと手を構える。

 

「そうだ。えーっと、詠唱は...ルナ、四次元ポケット、剣、盾...」

 

「!?待ってください!!それってまさか...」

 

「パンドラ。」

 

スウの右手の上に小さな黒い穴が開く。そこから骨の手が伸び、ゴソゴソと動いた後、スッと戻っていった。

 

「ああ、そっか。パンドラは貯蔵庫だからなにもいれてないとなにも出ないか。」

 

「ぱ、パンドラ!発動するんですか!?魔力さえあれば本当にどんな現象でもって話、立証されちゃいましたね...!」

 

ルナは驚きで目をパチクリさせている。アヅサはもう寝てしまっている。

 

「ていうか私の存在意義が...」

 

がっくりとうなだれるルナ。それをみてスウは慌ててフォローに入る。

 

「いや、ルナ。ルナのパンドラには今までに溜めたものが全部入ってるけど、僕のはすっからかんだし、僕が使っても意味はないと思うぞ」

 

それを聞くとルナはすこしほっとした顔をした。

 

「能力さえも発動可能...となると、これを広めるわけにはいかないね。悪用されたら大戦争になりかねないし」

 

「ってまさか、こうなることを予想して人気の少ないここを選んだのか?」

 

「そりゃもちろん。私...」

 

ランはそこで一呼吸溜めてからこう言い放った。

 

「わたし、天才だもん。」

 

ラン以外のみんなは、それを聞いても苦笑を浮かべるしかなかった。

 

 




はい、今回はリフォース説明回でした。最近戦ってないですね。
次回は戦います。
さて今回の辻褄合わせですが、 スウがパンドラを発動できたのはコレクトにより一度ルナの魔力を受け取っているため、能力のカケラが魔力としてスウに残っていたからです。
スウの魔力でもパンドラの連続使用は厳しいので、結局パンドラはルナだけのものということになりますね。
以上、ありがとうございました。

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