チート能力持ちのありきたりな冒険   作:ぎが

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はい、随分時間があいてしまいました、ぎがです。
少しあったかくなってきました。風邪などひかぬよう。
ではどうぞ。


29話 超絶美少女!サイエンソーサラー・ラン爆誕

「ふむふむ...なるほどね。息を止めると苦しいのはそういうプロセスがあったのね。これ、使えるね...」

 

美少女が一人、机に向かって何やらブツブツと呟いている。

 

「ねぇ、ランは大丈夫なの?この世界の子はみんなあんなんなの?」

 

「あんなんとか言うなよ。多分集中しだしたら止まんなくなるタイプなんだよ。」

 

6人はギルドへ帰り着く前に夜になったため(ルナが泣き出したのと半々)、一旦休憩してから帰ることになった。

 

ルナが取り出した特大テントの中では、スウとアヅサとランしか起きておらず、疲れたようだった他のメンバーはすでに深い眠りについていた。

 

「ねぇねぇスウ?今ここには空気があるじゃない?それがなくなるとどうなっちゃうの?」

 

「あー、よくわかんないけど、多分真空ってやつになるな。圧力が大気よりも低くなるとかなんとか」

 

「真空ね...ふんふん。ねぇねぇスウ?この水素と酸素を混ぜ合わせることってできるの?」

 

「ああ、できるらしいぞ。その二つが合わさると水ができるんだ。」

 

「酸素足す水素は水...ふんふん。」

 

ランはスウに質問はしているが、ノートから目を離してはいない。

 

「ねぇ、やっぱりヤバいんじゃない?視線がノート貫いて机に穴あけそうよ。一回気絶させましょ?こう、顎をね、コツンって...」

 

「猿でももうちょいマシな止め方するわ」

 

「わかったぁぁ!!」

 

「うおっ」「ひっ」

 

急に椅子を吹き飛ばして立ち上がるラン。二人はいきなり大声をあげるランに驚いてしまった。というかアヅサは少し怯えている。

 

「な、なによ...なにがわかったの?」

 

「科学だよ!!つまり、魔法っていうのは科学で起こりうることとかそれすら超えた現象を魔力で再現することだったんだ!!」

 

「そうだ、そうに違いない!なら詠唱なんて必要ない...?いやそうじゃない...科学に魔法を介入させるならその工程で詠唱が必要で...」

 

ランは急に口に手を当てて再び座り込む。椅子はかなり後ろに吹っ飛んだのでその場にあぐらをかいている。

 

「なんなのこの子...この世界の子は病んでるの?怖いんですけど」

 

「僕もこんなに変なランは初めてだ。あとアヅサお前、ちょっとにおうな。」

 

「死ねッ!!」

 

お風呂に入ってないアヅサは獣臭さがあるね的な意味だったのだが、女の子に体臭の話は極めてNGだと、この瞬間マジグーパンされて初めて知った。

 

ガタッ!

 

「ど、どうしたんですか?ランさん。」

 

「外。」

 

「は?」

 

「外にでる。スウ、もう一回あの魔法やって見せて」

 

「え、でももう外真っ暗で...」

 

「もう一回、あの魔法、やって、見せて?」

 

「はい」

 

スウとアヅサはガクブルと震え、目の焦点の定まらないランの後を追い、外へ出る。そして、木を燃やしては可哀想なので開けた場所へと歩いた。

 

「じゃあ、やってみせる。明日への別れを告げよ。スポイト。」

 

無音。なんか恥ずかしくなるなあこれ。厨二っぽくて。

 

「なるほどね...魔力で分子構造を分解して集める...というより留める?水素以外はその空間に存在できないみたいな結界に近いものを魔力で再現してるの...?」

 

「あんた、ものすごいことしてたのね。」

 

「いや僕そんなこと一切考えてない。ただ水素を集めようとしただけ。」

 

「それがキモなんだね...。人の意思によって動く魔力に詠唱で指示を送って、魔力が魔法としてその指示を果たす...使う人によって魔法の特性が変わるのは、その人の魔力そのものの思考にも影響があるからなのかな...」

 

恐ろしい顔をしてメモを取るラン。

 

「いや怖すぎじゃない?夜中に一人で見たら失禁気絶確定なんですけど。ていうかもうテント帰っていい?」

 

「お前城に一人でいたじゃねぇかよ。ていうか僕も帰りたい。」

 

「これなら、詠唱が必要な理由も納得がいく...詠唱が必要ない魔族は、その指示を既に体内の魔力に与えてるからなんだね。もしかして、フォースは魔力量だけじゃなくてその人の魔力の特性とかも測ることができるかもしれない...?いや、それだけじゃないよね...」

 

「だめだ、聞いてない。これ、今静かにテント帰ってもバレなくね?」

 

「ダメでしょこんなとこに女の子一人置いてっちゃ。でも、男が一人いれば安心よね。二人きりになれたからって喜んじゃだめよ。じゃ、おやすみ。また明日ね。」

 

「待てやァ!」

 

むんずっ!とアヅサのセーラー服の肩の四角いとこ(なんていうんだろう)を掴む。

 

「いやああ!!もう嫌!怖い怖すぎる!なんなのあれ!私は今の何を見せられてるの!?あんなのと仲良くなれないなりたくない!!離して!私はテントに帰ってルナの太もも眺めるのぉぉ!!」

 

「お前だけ逃すわけないだろうがぁ!この怖い空間に僕一人置いてってみろ!泣き喚きながらテントに帰ってグズり続けるぞ!」

 

「ああああそういうことだったのかぁぁ!!!!!」

 

「「ひいいぃぃ!!」」

 

ランが出会って以来最大の声を発した。それを聞いた二人は半泣きで抱き合い、恐怖に怯えていた。

 

「幸せ...ぐぅ。」

 

パタリ、と倒れるラン。その顔はとても安らかで、本当に幸せそうに眠っていた。

 

「「???」」

 

二人は抱き合ったままお互いの顔を見合わせ、恐怖だか困惑だかでめちゃくちゃになったお互いの顔を見て数分笑い転げたあと、普通に恥ずかしくなってランを担いでテントに戻り、ちょっと離れて眠りについたのだった。

 

 

 




はい、今回全然進みませんでした。
まあ、病み上がりのウォーミングアップだとおもっていただければ。
最近、ちゃんと寝てるのにクマがすごいのですが、原因と対処法があれば聞きたいです。美顔になりたい。
またどうぞ。

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