チート能力持ちのありきたりな冒険   作:ぎが

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やっとこさチート能力渡せます。文才はないですが気持ちがあるので大丈夫です。多分。
どうぞごゆるりと。


2話 コレクト

「そういや君、名前は?」

 

「名前?」

 

そうだ。自分は名前を聞いておいてこちらは名乗っていなかった。これは失礼なことをしてしまった。

 

「僕の名前は...名前は......」

 

「?」

 

ゼウスはきょとんとした顔で小首を傾げる。可愛い。

 

「名前...思い出せない...」

 

なんか三文字くらいの名前だった様な...

 

「名前ねぇ...ねぇ君、好きな食べ物とかある?」「茎わかめ」

 

即答。我ながらいい反応であった。

 

「く...茎わかめね、わかったわ。じゃああなたの名前は茎わかめね!」

 

なにを言い出すのだこの神は。

 

「なにが悲しくて茎わかめにならなきゃあかんのですか。」

 

「いいじゃない。茎わかめ。健康そうで。」

 

なんともいい加減である。神としては正しい在り方なのだろうか?

 

「せめて名前っぽくしてくださいよ。茎わかめじゃ僕振り向きたくないです。」

 

当たり前である。ボンゴレとかならカッコいいかもしれないが茎わかめは無い。茎わかめ作ってる人ごめんなさい。

 

「注文多いわねぇもっと敬いなさいよ。神を。」

 

「ならいい名前つけてください。」

 

仕方がない、と言った顔でゼウスは悩み出す。どんな仕草も絵になるのは何故なのだろうか。

 

「そうだ!」

 

ゼウスはパァっと明るい顔になり、手を打つ。

 

「スウなんてどうかしら!私からちょっともじってみたんだけど!どう?悪くないんじゃない?」

 

「スウ...。いいですね。それにします。」

 

実際いい名前だと思った。あと、茎わかめのくだりはなんだったのかとも。

 

「じゃあスウ、君には異世界に行ってもらうわけだけど、軽く説明はしておくわね。」

 

おもむろに本題に入るゼウス。神威、というのだろうか?凄みが具現化して体をかすめて行くような感覚に襲われる。

 

「あなたの行く世界は、様々な種族が存在する世界。魔法や魔道具、そんなもので世界が構成されているわ。あなたはその世界で最も弱く、脆く、地位の低い身分である人間族として転生するわ。」

 

「人間ってそんなに弱いですかね...」

 

つい苦笑いになってしまう。

 

「そりゃもう弱いのなんの。筋力はドワーフに遠く及ばないし、魔力適正はエルフの半分もないわね。ただ...」

 

「ただ?」

 

もったいぶるようなゼウスの態度に、聞き返してしまう。

 

「君は違う。純粋な筋力は多少物足りないかもしれないけど、圧倒的な魔力量で補える範囲内よ。魔力適正に至っては君は規格外。魔王クラスかしら。その気になれば街一つを一晩で更地に出来るでしょうね。」

 

「そんなチート能力くれるんですか。ヌルすぎませんかね。」

 

さすがに世界とは言わないが、一国の王くらいならすぐになれそうなレベルである。チート万歳。

 

「何言ってんのよ。これ、私があげた能力とかじゃないわよ?」

 

何言ってんのよ、はこっちである。ではなぜそんな力があるのか。

 

「だから、元々の君の才能よ。魔力適正なんて、君の世界では感じる機会もなかったでしょうけどね。」

 

「ええ...?」

 

がっくりしてしまう。そんな適正がありながら、自分はあんなに普通の生活を送っていたのか。まあわからないものはないのと同じなわけだが。

 

「しかもこれから私が能力を渡すわ。これであなたは百人力、一神力ね!」

 

まあ、くれるものは病気でないならもらっておこう。そう思った。

 

「じゃあ、神様はどんな能力をくれるんですか?」

 

これ以上なにをもらってもという感じではあるが、気にはなるので聞いてみる。

 

「魔法が使えるようになる能力は必要ないわね。向こうでエルフにでも教えてもらいなさいな。私があなたにあげる能力は...」

 

少し間を置いてゼウスは言う。

 

能力を集める能力(コレクト)、よ。」

 

「それ...強いんですか?」

 

純粋に力を集めるだけなんじゃあ...そう思った。

 

「ま、今はそう思うかもね。この能力には、少し癖があってね、この能力で集める能力の強さは、その能力をもった相手との親密度が密に関係しているわ。」

 

「つまり?」

 

回りくどい言い方をするので、聞いてみる。

 

「つまりね、仲良くなればなるほど強い力を貸してもらえるの。それも長い間ね。逆もできるわ。あなたが誰かに力を貸すことだってできる。言ってみれば、力の銀行ね。」

 

「ああ、しっくりきました。」

 

力の銀行。預かり、取り出す。それは、能力という括りであればなんでも、である。

 

「じゃあ、御託はこの辺にして、そろそろ行ってもらいましょうかね。準備はいい?」

 

少し緊張してきたのか、ドキドキしてしまう。当たり前と言えばそうだ。僕は生まれ変わるのだから。

 

「神様、また会えますか?」

 

最後の最後にこんなことを聞いてしまう僕はまだまだ子供なのだろう。

 

「ええ、ずっと見ていますよ。君に神のご加護があらんことを。なんてね。」

 

ゼウスは皮肉っぽく言うと、出会って見たどんな表情よりも美しい顔で微笑んだ。

 

僕はその顔を、きっと、ずっと忘れないだろう。

 

「ではまた...」

 

ゼウスがそう言うと、僕の立っていたはずの花畑は僕の足元だけ黒く沈み、飲み込まれる。

 

落ちている、という感覚だけが僕を包み込み、段々と思考が白濁していく。

 

そして、僕は、意識を手放したのだった。




やはり文才がないのでしょう。なにを書いたのかをすぐ忘れてしまいます。でもいいとこまで行きました。まだ頑張ります。おやすみ。

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