その男、グリゴリの戦士なり   作:雪原野兎

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※現在時系列は原作開始の半年前ぐらいです。


第5話 グリゴリのひと時。

メフメラがグリゴリに来てから1週間が経ち、現在玲士ら人間勢は食堂にて朝食をとっていた。

 

フリード「にひひ、メフメラの姐さんは今日も玲士と寝てたんすか?昨夜はお楽しみでしたな。」

 

メフメラ「っ?う、うん。玲士さんの傍にいると安心できて…。」

 

玲士「最初は驚きましたが1週間もすれば慣れるものですね。」

 

その言葉にフリードは呆れた顔になり、顔を抑える。

 

フリード「そう言う意味で言ったわけではないんすけどねぇ…まあ良いっすかね、しかし玲士の兄貴のチームも元教会のメンバーが多くなりやしたな。」

 

トスカ「そうだね、メフメラ姉さんと私は聖剣計画でフリードくんは教会のシグルド機関にいたんだっけ。」

 

フリード「いんや、俺ちゃんはそのクソ機関で作られた『試験管ベビー』なんすわ。」

 

『試験管ベビー』、その言葉にトスカとメフメラの二人は首を傾げる。

 

メフメラ「試験管ベビー…?それは、一体…?」

 

フリード「姐さんは生きたまま細胞を埋め込まれたタイプでしたが俺っちは生まれる前から遺伝子を埋め込まれて書き換えられた所謂人造人間なんすよ。」

 

トスカ「人造、人間…。」

 

フリード「そして生まれたその後は悪魔や悪魔に関わった人間を異端として殺してたんすけどそしたらあいつら急に手のひら返して俺っちを追放したんすよ…まぁ、今思えば命令外でも好き勝手やり過ぎたって分かるんすけどね。」

 

玲士「確か放浪していた時にはぐれ悪魔を狩りに来た私と遭遇して共に来てくれたのでしたね。」

 

フリード「うっす、あの時はやさぐれていたせいで迷惑を掛けやしたが玲士の兄貴にはほんと色々と世話になってるんすわ。それに俺っちの事を人間として見てくれるっすからね。」

 

メフメラ「うん…玲士さんには本当にお世話になってるから頑張って恩返ししないと。」

 

フリード「いや…姐さんはもう存分に返しているっしょ…身の回りの整頓とか俺っちの仕事だったのに完璧にこなしちゃってるのに更に頑張られたら俺っちの立つ瀬が無くなっちまうっすわ…。」

 

メフメラの言葉にフリードは再度顔を抑えて伏せる。

 

メフメラ「え、あ…ご、ごめんフリード。」

 

トスカ「ふふ、姉さんはみんなのお世話をするのが好きだったからね。」

 

玲士「メフメラさんには助かっていますね、本当に良いタイミングで差し入れをしてくれたりと大助かりです。」

 

フリード「しかし玲士の兄貴が男だと知った時の姐さんの反応は面白かったっすなぁ。」

 

にやにやしながらそう言うとメフメラの顔が赤く染まっていく。

 

メフメラ「あ、うう…れ、玲士さんは綺麗だからてっきり女性なのかと思ってしまって…。」

 

トスカ「そういえば姉さんは特訓の後も玲士さんについてシャワールームに行きそうになっちゃいましたからね。」

 

玲士「よく言われますが私ってそんなに女性みたいですか?」

 

3人「「「うん(はい)。」」」

 

その様に聞くと全員が同時にうなづいて答える。

 

フリード「女性的な顔ですし髪も長いっすから女装しなくても初見じゃ女だと思うっすわ。」

 

トスカ「そうだよね、これで更に女装したら男ですって言わない限り絶対に分からないと思うよ。」

 

メフメラ「うん、それに髪型をいつもポニーテールにしてるから…。」

 

玲士「あ、あはは…って、あれはバラキエルさん?最近何やら落ち込んでいるように見えるのですが。」

 

苦笑いしてると視界の先に落ち込んでいるバラキエルの姿が目に映る。

 

トスカ「あれ?玲士さんは聞いていなかったのですか?実は朱乃さんと喧嘩してしまったらしくそのまま家出なされたみたいなんです。」

 

玲士「朱乃さんが、家出…。どうしてそこまでの喧嘩を…。」

 

フリード「あ、実にくだらないっすよ?朱乃さんの分だった希少な高級和菓子をバラキエルが食べてしまっただけっすから。」

 

その言葉に玲士は呆れた顔になり、バラキエルを見る。

 

玲士「それは…確かにしょうもない事ですね…。」

 

シェムハザ「玲士くんはいますか!?」

 

呆れている中、怒りの表情でシェムハザが食堂に来て玲士の元へ駆け寄る。

 

玲士「シェ、シェムハザおじさん!?ど、どうしたのですか。」

 

シェムハザ「アザゼルがまた仕事を抜け出してどこかへ遊びに行ったんです!グリゴリの資金を一部持ち出して!」

 

玲士「と、義父さん…。」

 

フリード「まぁ、あの総督の事っすから大方ニッポンのどこかでゲームでもしてるんじゃないっすかね。」

 

シェムハザ「恐らくそうなのでしょうが見つかるごとに転々と拠点を変えるので分からないのです…玲士くん、申し訳ないですがあのバカ総督を探してきてくれませんか…?」

 

玲士「あ、あはは…分かりました、探してきますね。義父さんは居た拠点から少し離れた場所に大抵新たな拠点を作るはずですから…この地点に魔方陣を展開してっと。」

 

そう言いながら魔方陣を展開し、その上へと乗る。

 

シェムハザ「お願いします、玲士君。」

 

玲士「はい、行ってきますね。」

 

フリード「行ってらっしゃっせー、俺っちはちょっと『教会』の方へ行ってくるっすわ。何やら底辺堕天使がしでかそうとしてるみたいだそうで。」

 

メフメラ「わ、私はトスカさんと一緒に訓練しておくね。帰りを待ってます、玲士さん。」

 

トスカ「神器にも慣れないといけないからね、お役立てるようにがんばります!」

 

その言葉を聞き、玲士は食堂より転移する…。




今回の話はここまでです。

全くあのバカ総督は…私たちが探したいのですが堕天使である為に大きく行動できず。

フリードくんは悪名が広まり過ぎている為に迂闊に探しに行けず。

トスカさんとメフメラさんは神器持ちであることと容姿が良いですから迂闊に歩けば悪魔に誘拐されかねません。

玲士くんには何から何まで頼りっきりですね…。

次回、悪魔の中の悪魔。

…そうですね、玲士くんの人間界の滞在拠点を用意いたしませんと。

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