その男、グリゴリの戦士なり   作:雪原野兎

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第2話 英霊たちの肖像。

場所は堕天使本拠地、神の子を見張る者(グリゴリ)

 

その中にあるトレーニングルームで一人の少年と一人の堕天使が特訓をしている。

 

少年「えい!たぁっ!」

 

赤眼の堕天使「甘いわ!足腰に力を入れろ!」

 

様々な武器、防具を出しながら肉薄し打ち込んでいくがその全てを見切り、防いでいく。

 

それを繰り返していく中、部屋にプリン頭の中年が入室してくる。

 

アザゼル「コカビエル、時間だ、それ以上は玲士の体に負担が大きすぎる。」

 

そう呼ばれた赤眼の堕天使は光の槍を消し、アザゼルの方へと向く。

 

コカビエル「ここまでか、やるようになってたがまだまだ甘い所はある…が、この年齢でこれは凄いぞ。10年後の大人になった時の戦闘力が楽しみだ!」

 

玲士と呼ばれた少年は武器を消し、その場へ座り込む。

 

玲士「はふぅ…疲れた~。」

 

アザゼル「おうお疲れさん。シャワーを浴びてゆっくり休め。」

 

玲士「うん!シャワー行ってくるね、アザゼル義父さん!コカビエル師匠もありがとう!」

 

立ち上がり、そう言いながら部屋より走り去っていく。

 

コカビエル「…師匠か、良いものだな。しかしあいつの神器は何だ?神滅具に見えるが。」

 

アザゼル「あー…俺にもわからん、分かるのはあれら全部一つの能力だ。」

 

コカビエル「なに?あれら全部一つの能力なのか?」

 

アザゼル「ああ、あの神器の能力は恐らく過去の名の残る存在の力を纏う能力だ。性能的には神滅具クラスだろうが一つだけだから神器に分類だな。」

 

コカビエル「なるほどな、しかしあの武器は過去の人物の武器と言う事か?」

 

アザゼル「ああ、色んな武器を出してそれの名称を聞いてみたが全部伝承にある武器だった、中にはエクスカリバーもあったしな、姿は違うが。」

 

コカビエル「なっ!エクスカリバーだと!?」

 

その名を聞き、コカビエルは目を見開いて驚く。

 

アザゼル「ああ、全く底が見えない神器だ。」

 

玲士「すっきりしたー!」

 

話している途中、シャワーを浴びてきた玲士が部屋に戻ってくる。

 

アザゼル「おっ、戻ってきたか。」

 

コカビエル「さて…今日の特訓はもう無いから俺は戻るぞ、お前も休めよ、小僧。」

 

そう言いながら部屋を後にする。

 

玲士「うん!あっ、そうだった。アザゼル義父さん、朱乃ちゃんの所に遊びに行ってくるね!」

 

アザゼル「お、そうか行ってこい、遅くなるなよ?」

 

玲士「うん!」

 

元気よく返事をしながら魔方陣を展開し、転移してその場を後にする。

 

 

 

場所は人間界、姫島神社の近くの裏路地に転移し、玲士は姫島神社へと向かっていく。

 

玲士「今日は何して遊ぼうかなー…あれ?」

 

神社の階段を昇っていく途中、何かに気付き足を止める。

 

玲士「…これって人除けの結界だよね?でも今日って朱乃ちゃんの所で何かある予定はなかったはずだし…コカビエル師匠はたしかこういう時は…確かシューゲキだからブソーして急いだほうが良いんだっけ?急がなきゃ!」

 

そう言いながら大きな鉈を片手で持った獣顔の一枚の銅色カードを取り出し、掲げる。

 

すると玲士は鉄の牛の仮面を被り、二振りのハルバードを携える。

 

玲士「とぉーう!」

 

掛け声を上げながら階段を蹴り、跳躍し、境内の中心へと着地する。

 

全員「「「ッ!?」」」

 

その場にいた全員が驚きの顔に染まり、玲士へと視線を向ける。

 

男A「な、なんだこのガキは!?」

 

男B「くそっ!先にこの女を―――ぐべぁ!?」

 

玲士「ドーンッ!」

 

乱入者に驚いた男は急ぎ、刀を振り上げて女性を殺そうとするが、即座に玲士は右足を前に出したまま左足で跳ねて蹴り飛ばす。

 

玲士「朱乃ちゃんと朱璃おばさんをころそーとする人は…みんな逆に死んじゃえ!禁手発動!迷え、彷徨え、そして…死ね!『万古不易の迷宮(ケイオス・ラビュリントス)』!」

 

そう言った瞬間、世界が区切られ、足に光が走り壁がせり上がりその場にいる者達を隔離する。

 

朱璃、朱乃、玲士の3人を除き、全員一人ずつ隔離される。

 

朱璃「あ、あなたは…?私をおばさんって事はもしかして、玲士、くん?」

 

玲士「うん!たすけに来たよ!」

 

そう言いながら仮面をずらして素顔を出すと二人は安堵し、朱璃へたり込み、朱乃は抱き着く。

 

朱乃「玲士くん、怖かった…怖かったよぉ…!」

 

玲士「二人とも無事でよかったー…とりあえず…次はどうしよう?」

 

そう言いながら首を傾げながら朱乃をなだめる…。

 

 

 

…迷宮の中、隔離された襲撃者の男達はそれぞれ異形の者達に襲われていた。

 

男A「や、やめ…来るな!来るがぎゃああ!?」

 

男C「なんだよこれは、なんなんだよ!俺らは姫島家を守る為に異形の血を持つ化物を駆除しに来ただけな―――」

 

男D「ハ、ハハハ、アハハハハ!ハハハアギ―――」

 

男B「くそ、クソ…!誰か一人でも脱出せねば…ッ!き、貴様は!」

 

それぞれが殺されて行く中、刀を持った男だけは魔物を倒し、出口を探し歩いてたが…途中に四角い顔の糸目の男に遭遇する。

 

堕天使「…貴様、なにをしにここへ来た、いや…言わなくて良い、その家紋にその刀…我妻朱璃を殺しに来たのかああああ!」

 

男B「くそ!異形の者が図に乗る―――ガハッ…。」

 

堕天使「ッ!?」

 

互いに武器で斬りかかろうとした瞬間、刀を持った男が壁より出現した複数の目を持つ緑色の異形の爪に切り裂かれ、息絶える。

 

堕天使「な、なんだこれは…!?」

 

しかし、魔物は堕天使へは襲い掛からずそのまま壁の中へと消えていく。

 

それと同時に迷宮が消えていき、境内へと戻る。

 

朱璃「っ!あなた!」

 

堕天使「朱璃ぃいいいい!朱乃ぉおおおお!」

 

朱乃「お父さん!怖かったよぉ!」

 

朱璃と朱乃は立ち上がり、堕天使に向かって走り出し、同じく堕天使も二人に向かって走り出し抱きしめあう。

 

玲士「遅いですよーバラキエルおじさん。」

 

バラキエル「本当に、本当にありがとう、少年よ…ん?俺の名前を知っていると言う事は…もしや玲士くんか!?」

 

玲士「うん、近衛玲士だよ!」

 

そう言いながら武装を解いてその素顔を見せる。

 

バラキエル「お、おお!そうだったのか、しかしあの姿は一体…?」

 

玲士「これが僕の神器の能力だよ!確か名前は…『英霊たちの肖像(セイントグラフ)』ってアザゼル義父さんが付けてくれたんだ!」

 

バラキエル「ふむ、ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレードみたいな変な名前じゃなく普通に良い名ではないか。」

 

玲士「うん!っと、義父さんに今回のこと言わなくちゃいけないからそろそろ帰るね!」

 

バラキエル「おおそうか、また遊びに来てくれな、玲士君。」

 

朱乃「あ、ありがとう、玲士くん。」

 

朱璃「ふふ…朱乃と仲良くね。」

 

玲士「うん、またね!みんな!」

 

そう言いながら魔方陣を展開し、その場を後にする。

 

バラキエル「…異形の者か。」

 

朱璃「どうしたのですか?あなた。」

 

バラキエル「なに、あの襲撃者達について考えてな…。」

 

その言葉に、朱璃は顔を俯かせる。

 

バラキエル「…私は、甘かったのだろうなただお前と、朱乃と幸せになれればいいと思っていた…。」

 

朱璃「あなた…。」

 

バラキエル「だが…それでも私はお前を愛している。あの者達の襲撃がこれで終わるとは思えない。私が仕事の時はグリゴリで待っていてほしい、いつか、どこかへ引っ越して静かに暮らしたいものだ。」

 

朱璃「…ええ、そうね。」

 

朱乃「お引越しするの?」

 

バラキエル「ああ、いつかな。さあ家に戻ろうか。」

 

朱乃「うん!」

 

バラキエルは朱乃を抱っこし、朱璃と共に家へと戻っていく…。




ん?ああ、これでこの話は終わりだぜ?

バラキエルのやつが戻ってきちまったせいでシェムハザの奴が代わりに急いで仕事に向かって行ったな。

まあ、朱璃達が無事で良かったな。しかし妻か…俺も見つけねぇとなぁ…。

完全にシングルファザー状態だからな…さて、玲士には後でデザートをやらんとな。

サブタイトルそこまで関係ないだぁ?良いんだよこんなん適当でな。

んじゃ次回、聖剣計画。

あの神器は万能だからな、こんな事も出来るってことだ。

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