その男、グリゴリの戦士なり   作:雪原野兎

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あけましたおめでとうございます。

前話からさらに一気に飛んで聖剣編突入です。

そして主人公が登場しないという。


第11話 聖剣の戦士。

場所はオカルト研究部…現在教会より来訪した戦士2名とグレモリーチームが会話をしていたのだが、戦士2名の行動により険悪な雰囲気となっていた。

 

グレモリー「ふざけないでくれるかしら…?彼を魔人やらなんだいうのは別にかまわないわ、けれど…断罪だけは絶対に許さないわ、アルスは私の眷属よ。」

 

アルス「部長さん…。」

 

そう、アルスに気付いた2名が魔人だ、信仰の匂いを感じるだと言い勝手に殺そうとしたからである。

 

栗髪「…それもそうね、ゼノヴィア、剣を下げましょう。」

 

そう言いながらゼノヴィアと呼ばれた青髪の戦士の腕に手を置き、下げるように力を入れる。

 

ゼノヴィア「…しかしだなイリナ。」

 

イリナ「魔人はもうグレモリーの眷属よ、魔王の妹の眷属を勝手に殺したりすれば天界や教会に迷惑が掛かるわ。」

 

反論しようとしたゼノヴィアに有無を言わせず理由を告げ、下げさせる。

 

ゼノヴィア「…分かった。」

 

グレモリー「…話は終わったかしら?」

 

イリナ「ええ…それで、さっきから彼は何か用があるの?私達を憤怒の形相で睨んでいるのだけれど。」

 

そう言いながら視線を向けると、それに続いて1名を除きその者へと視線を向ける。

 

金髪「…そうだね、僕は聖剣計画の生き残り…君たちの先輩さ。」

 

イリナ「生き残り…?当時の犠牲者である子供たちはみんな行方不明になったと聞いたけれどみんな悪魔が連れて行っていたのね。」

 

その言葉に金髪の青年は困惑の表情を浮かべる。

 

金髪「…待て、それはどういうことだい?」

 

ゼノヴィア「…ん?一緒に悪魔に連れていかれて眷属になったのではないのか?」

 

グレモリー「違うわ、私は施設の近くだったらしい場所で倒れていた彼を見つけて眷属に誘っただけよ?」

 

互いの知る事の齟齬に話していた4名は違和感を感じる。

 

イリナ「…どういうこと?てっきり悪魔が聖剣計画の施設を襲撃したものだと思ったのだけれど。」

 

金髪「いや、僕は廃棄処分されかけた時にみんなが逃がしてくれたお陰で今こうして生きててみんなが行方不明だなんて知らないんだ。」

 

ゼノヴィア「悪魔でもない誰かが連れて行ったのか…?だが今回の聖剣奪取したのは堕天使の幹部であるコカビエルを名乗る男だが…。」

 

グレモリー「堕天使幹部コカビエル…!聖書にも載る堕天使が奪取していったの…!?」

 

イリナ「…もしかして堕天使が…?いや、でもそれにしては敵の人数が少ないような…。」

 

ゼノヴィア「イリナ、話自体は終わっているのだから一度戻ろう。」

 

イリナ「そうね、私たちは失礼するわ。」

 

そう言い、扉へ向かおうとした時、金髪の青年が止める。

 

金髪「待ってくれ、最後に聞かせてほしい。みんなの遺体は無かったのかい?」

 

イリナ「ええ、そこにあった焼死体は全員大人で子供の遺体は無かったらしいわ、燃え尽きたと考えられもするけれどね。」

 

金髪「そうか…その聖剣は仕事が終わるまで見逃すよ、仕事が終わったら壊させてもらう…!」

 

イリナ「そう、簡単に壊させはしないわ、それだけは覚えておきなさい。」

 

そう言い、ゼノヴィアを連れてイリナは部屋を後にする。

 

グレモリー「裕斗…。」

 

裕斗「…すみません、敵に聖剣がいると分かった以上は僕の好きに行動させてもらいます。」

 

そう言い、祐斗と呼ばれた青年は部屋を後にする。

 

朱乃「…止めなくて良かったのですの?」

 

グレモリー「彼は聖剣に恨みを持っている、止めれると思ってるの…?教会の戦士と戦闘しなかっただけましよ…。」

 

小猫「…裕斗先輩、大丈夫でしょうか。」

 

アルス「心配ですね…。慎士さん心配ではないんですか…?」

 

慎士「えっ?!あぁ、心配だよ、勝手な行動をしてさ、コカビエルが相手なのに死にに行くようなものだろ?」

【ちっ、勝手なことしやがって、お前は決闘の場を用意すればよかったのに決闘無しかよ。】

 

しかし、心配する眷属と主を置いてたった一人、内心自分勝手な事を考えていた…。

 

 

 

…教会の剣士来訪から数日後、雨が降る夜道を木場裕斗は歩いていた。

 

日常での優しい目ではなく、復讐にかられた目をしながら歩いている時、前方より男がよろけながら歩いてくる。

 

男「た、たすけて…が、はぁ…。」

 

裕斗を見つけるや否や助けを求めるがその瞬間倒れ、事切れる。

 

裕斗「神父…?」

 

???「やぁやぁひゃっほーぅおっひさっだねぇ~?誰かと思ったらクソ悪魔のクソ色男くんではあぁりませんか~?」

 

剣を振りながら現れた白髪の剣士の姿を見てその名前を言う。

 

裕斗「ッ!フリード・セルゼン…!まだこの町に潜伏していたのか…!」

 

フリード「いんやぁ?一度戻りましたよぉ?しかし…すんばらしい再会劇に、私は涙ちょちょ切れそうっすよんっふっふ~!」

 

裕斗「…あいにく、今日の僕は機嫌が悪くてね。」

 

そう言いながら魔方陣を展開し、剣を創造し構える。

 

フリード「ぎゃははは!それはまた都合が良いねぇ~!ちょうど俺も教会勢力狩りに飽きてきたのさぁ~。」

 

笑いながら剣を揺らし、揺らされた剣からは聖なる光が放たれ始める。

 

裕斗「…その剣の輝き、オーラ…まさか!?」

 

フリード「バッチコーイ!ナァイスターイミィン…以前の気絶させられて妨害された恨みにぃ…試させてくんねぇかなぁ?お前のクッソ魔剣とこの聖剣!エクスカァリバーとさぁ!」

 

言い終わると同時に木場裕斗へと斬りかかる。

 

裕斗「早い…!」

 

対し裕斗は剣で受け、鍔迫り合いとなる。

 

フリード「ほぉらほらほらぁ!行くっすよぉ~!」

 

そう言うと、鍔迫り合いをやめて後ろへ跳び、着地すると同時にあらゆる方向へと跳ね始める。

 

フリード「七つに分かれた聖剣の一つ!天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)!悪魔の騎士の速度にすら簡単に対応できるこの速さ!どうっすかどうっすかどうっすかぁあああああ!」

 

裕斗「くっ…はああああああ!」

 

前後左右上方あらゆる方向からの剣撃に対し裕斗は防戦一方で反撃に移れない。

 

フリード「さぁ、トドメっすわぁ!」

 

一瞬の隙を縫い、背後に回り込んで剣を振り下ろそうと構え、振り下ろす。

 

裕斗「行方不明になったみんなのためにも聖剣に負けるわけには…!」

 

フリード「ッ!?」

 

その言葉に驚き、顔に当たるスレスレで剣を止め、後ろへと跳ねて耳に手を当てる。

 

フリード「ちょいちょいちょい?なになになんすかぁ?良いタイミングで撤退命令?」

 

裕斗「逃がすか…!」

 

その行動に対し、近づいて横薙ぎするが跳躍で回避される。

 

フリード「えぇっ…まぁ良いっすわ、了解っすよ。」

 

耳から手を離し、飽きれるように一息吐いて裕斗を見据え。

 

フリード「まぁ、そういうわけっすから帰らせてもらうっすわ、ばぁいびぃ~。」

 

そう言いながら背後へ跳ね、一つの筒を落とし、指差しながら闇の中へと消えていく。

 

裕斗「…逃がした、いや…見逃された…?これを指差していたけれど…。」

 

そう言いながら筒の所まで歩き、筒を持ち上げて中身を確認する。

 

裕斗「紙…?これは、住所?この町の…ここに、何かあるのか…?」

 

雨に濡れながら、その紙の内容を思案する。

 

裕斗「…後戻りは許されない、行くしかないか…。」

 

そう言い、記された住所へと歩き始める。




いんやぁ…我ながら下手な演技っすなぁ…明らかに盗聴されていますもん俺っちの行動。

グレモリー眷属の今までの行動で聖剣に恨みを持っているとは思えないっすからねぇ。

恐らくあのイケメンくんがトスカちゃん達が探してた彼っすかねぇ?

まぁ俺が今できる行動は果たしたっすから後は兄貴に任せるとしましょ。

では次回『聖剣計画の生き残り。』

あのクソ鴉め、演技とは言え兄貴の悪口言わせたことは絶対に許さねぇからな…。

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