その男、グリゴリの戦士なり   作:雪原野兎

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※日本語っぽく会話してるが玲士らとアーシアの会話は英語で話してるというていでお願いします。


第9話 邂逅。

玲士たちが駒王町に赴任して翌日、玲士らはフリードと連絡をとっていた。

 

フリード『…と言う事なんですわ、アーシアちゃんを頼めるっすかね…?』

 

玲士「任せてください、もう一人のアルスくんも急ぎませんとね。」

 

フリード『今日の深夜に始めるらしいっすからまずはアーシアちゃんをということで。』

 

メフメラ「その後はアルスくんを助けにいくということで良いんだよね?フリード。」

 

フリード『うっす、ああでもの町にいる無能悪魔共に二人の正体がばれるわけにはいかねぇっすからその時はメフメラの姐さんは拠点にて待機していてくだせぇ。玲士の兄貴なら正体がばれない姿になれるはずっすよね?』

 

玲士「ええ、もちろん。」

 

フリード『では兄貴、姐さん、頼むっすわ。』

 

その言葉と共に通信が切れる。

 

玲士「では、まずはアーシアさんを迎えに行きましょう。」

 

メフメラ「ええ、行きましょう、玲士さん。」

 

会話をした後、アーシアを探しに指定された場所へと向かっていく。

 

 

場所は公園…シスター服ではなくみすぼらしい服を着たアーシアは周囲をうかがう様に歩いていた。

 

アーシア「え、えっと待ち合わせの場所はここで…アルス兄さんは大丈夫でしょうか…。」

 

そう呟きながら近くのベンチに座り、周囲を見渡す。

 

そこに走ってくる二人の人物が現れる。

 

玲士「…ふう、少し遅くなってしまいましたが間に合ったようで何よりです。」

 

アーシア「え、えっとあなた達は…?」

 

メフメラ「私たちはフリードの知り合いよ、アーシアさんで合ってる…よね?」

 

アーシア「は、はい!じゃあお二人がレイジさんとメフメラさんですか?」

 

その言葉に二人は頷く。

 

玲士「ここは危険です、もしかしたら悪魔があなたを狙っている可能性があります。」

 

アーシア「えっ!?あ、悪魔がですか…?」

 

メフメラ「うん…詳しくは拠点でお話するわ、行きましょう。」

 

アーシア「は、はい…。」

 

その言葉と共に立ち上がり、そそくさとその公園を去って行く。

 

その後、その公園に一人の男が走ってくる。

 

慎士「くそっ…どこだ?どこだアーシアちゃん…!タイミングが正しければアーシアちゃんも一緒に逃げ出してるはず…俺があって連れ去られて助けに行く…くそ、俺の完璧な計画が台無しになっちまう…!」

 

しかし探し続けるが見つからず、オカ研部活へと戻っていった。

 

 

 

場所は堕天使拠点、玲士宅、リビングの椅子に座りながら3人は会話をする。

 

玲士「ふう…落ち着きましたか?アーシアさん。」

 

アーシア「…はい、でもレイナーレ様がそんなことを考えていたなんて…。」

 

玲士「…どのような種族であろうと、その様な事を考える方はいるのですよ。」

 

メフメラ「アーシアちゃんはどうして教会から追放を…?」

 

アーシア「…私の、私たちの神器は誰かを治すことができるのです…それが悪魔であっても…。」

 

玲士「悪魔も治せる神器…。」

 

アーシア「私達はただ、信徒として暮らしていました…――」

 

自身ら兄妹に回復の神器が宿り、聖人聖女と祀り上げられ、過ごしていたある日に教会の前で傷ついて倒れる悪魔を見つけ、二人で治したが悪魔を治したことで教会を追放され、レイナーレ達と出会った…。

 

その話を聞き、玲士とメフメラは疑問を抱く。

 

アーシア「そして、私はこの町へアルス兄さんと共に来ました…。」

 

メフメラ「…玲士さん。」

 

玲士「…ええ、アーシアさん。あなた達は本当に聖人聖女なのでしょう…。ですが…それに付け込む悪意も存在します…。」

 

アーシア「えっ…?」

 

玲士「聞いていた見た目からしてその悪魔は貴族悪魔、貴族悪魔であろうとなかろうと教会は危険な場所と知らされているはずです、それに少なくとも一人は悪魔祓いがいるはずです。」

 

メフメラ「…それも聖人、聖女と呼ばれている貴方達がいるのであれば護衛として多く悪魔祓いがいるはずよ。」

 

玲士「…副総督から聞いた話があるのです、教会の信仰心が深い女性が魔女として堕ちる事件が多発していると、魔女として追放された方たちの行方は分かっておりません。」

 

アーシア「そんな…!」

 

玲士「ですので、もし悪魔の方が助けられたと言って近づいてきても絶対にその手を取ってはいけません、手に取れば恐らく…地獄のような目に遭うと思います。」

 

アーシア「…それは、本当なのですか…。」

 

メフメラ「確証は無いの…けど、悪魔の行動的にそれが目的としか思えないの…。」

 

玲士「…すいません、私は次の準備の為に席を外します。」

 

そう言い、玲士はその場を後にする。

 

アーシア「…メフメラさん、私は、間違ったことをしたのでしょうか…。」

 

メフメラ「…いいえ、あなたは悪いことをしていないわ。悪いのはあなたの善意を利用した悪魔よ…。」

 

アーシア「メフメラさんはどうしてグリゴリに…?」

 

メフメラ「私は教会に実験動物にされてね…失敗作として処分されるときに逃げ出したの…長い間逃げて、あの人、玲士さんに助けられたの…。」

 

アーシア「レイジさんに、ですか…?」

 

メフメラ「ええ、今は幻覚で見えないようにしてあるのだけれど私の耳は人の耳ではなくて獣の耳なの…。」

 

アーシア「そう、なのですか?」

 

メフメラ「ええ。」

 

そう言いながらブレスレットを外すと人間の耳が消え、獣の耳が見え始める。

 

アーシア「それが…。」

 

メフメラ「そうよ、これが私の耳…逃げた後にこの耳のせいで逃げた先の人間から化け物と言われて…悲しい思いをしたわ。でも…玲士さんだけが違った、彼は私の事をヒトと言ってくれたの、とても嬉しかった…私をヒトと認めてくれて…。」

 

アーシア「…メフメラさんはレイジさんの事が好きなのですね。」

 

メフメラ「ええ、大好きなの。…アーシアさん、だからあなたも、聖女としてではなく、人間として、生きてみましょう。」

 

アーシア「私に、出来るでしょうか…?」

 

メフメラ「ふふ、大丈夫よ、みんなが手を貸してくれるわ。もちろん私もよ。」

 

アーシア「…はい!メフメラさん。」

 

暗かったアーシアの顔が明るくなり、笑顔で返事を返す。

 

メフメラ「じゃあグリゴリに送る準備をするわね、こっちに来て、アーシアさん。」

 

アーシア「はい!」

 

そう会話し、二人はリビングを後にし地下へと降りていく。

 

 

 

…場所は教会より離れた場所、時間が経って夕暮れ時、フリードからの連絡を待っていた玲士の元へ連絡が入る。

 

玲士「フリードさん、そろそろ」

 

フリード『兄貴すまねぇ!レイナーレの奴等が儀式を始めやがった!』

 

その言葉に玲士は驚きの表情を浮かべる。

 

玲士「えっ!どうして連絡をしてくれなかったのですか!?フリードさん!」

 

フリード『すまねぇ!連絡をしようとして気を逸らした瞬間に木が投げ込まれて教会の外まで吹っ飛ばされて気絶しちまったんだよ!』

 

玲士「分かりました、急いでそちらへ向かいます!」

 

フリード『ああ!』

 

玲士「急ぎませんと…夢幻召喚!」

 

その言葉を聞くと同時に通信を切り、即座に金色の狂戦士のカードを取り出し、その装備を纏う。

 

漆黒の鎧に身を包み、更にそこに霧を纏い姿を隠し、赤い光だけが見えるようになる。

 

玲士「…行きます!」

 

その一言共に地面を蹴り、教会へと向かっていく。

 

 

 

場所は教会…様子をうかがうフリードの元に黒い騎士が降り立つ。

 

フリード「うひっ!?…って、玲士の兄貴でしたか…。」

 

玲士「大丈夫でしたか?それで中の様子は…。」

 

その言葉を聞くとフリードの顔が暗くなる。

 

フリード「…すまねぇ、俺が起きた時には儀式が終わっていて、今さっきレイナーレが悪魔にぶっ飛ばされたところなんすわ…。それとアルスのやつは…。」

 

顔を背けながらそう言い、玲士は間に合わなかったことを悟る。

 

玲士「…そうでしたか。」

 

そう言った後、沈黙がその場を包み…数分後に玲士が口を開く。

 

玲士「…良い事を思いつきました。アルスくんを悪魔に転生させます。」

 

フリード「んなっ!?しょ、正気っすか!?」

 

玲士「ええ、正気です。こちらの自称管理者は眷属には甘い方らしいです。アルスくんの神器は悪魔も回復出来る有能な神器ですから私の目論見通り転生させて生き返らせてくれるはずです。」

 

フリード「なるほど…アザゼルの旦那も和平を目指してるっすからそれが成った時にアーシアちゃんと再開ってことですな?」

 

玲士「そういうことです、では…始めましょうか。」

 

フリード「ういっす。」

 

そう言うと同時に立ち上がり、近くの窓を破壊する。

 

教会内部、その場にいた全員は驚き、そちらへ顔を向ける。

 

グレモリー「誰!?」

 

フリード「げひゃひゃ!おんやぁ…これはやばい状況みたいっすねぇ?」

 

金髪「フリード・セルゼン…!」

 

白髪「…それと黒い、騎士…?」

 

慎士「な、あ、あいつは…!」

【ラ、ランスロットだと!?】

 

レイナーレ「フリード!援軍を連れてきてくれたのね!?今すぐこいつらを倒してちょうだい!」

 

玲士「…俺の質問に答えたら助けてやる。…この町で何人人間を殺した?」

 

レイナーレ「…ふ、二人、二人よ!そこの化け物と私に神器を渡す為だけに生きていたその人間だけよ!答えたわ、早く、早く助けて!?」

 

グレモリー「させない―――っ!?」

 

レイナーレ「ゴバッ…えっ?」

 

レイナーレが手を伸ばした瞬間、玲士は持っていた鉄パイプを投げつけ、左胸へと鉄パイプが突き刺さる。

 

グレモリーチーム「「「っ!?」」」

 

その行動にグレモリーらは驚き、玲士へと視線を向ける。

 

玲士「…アザゼルは人間が好きなんだよ、人間を犠牲にしてまで至高の堕天使とやらになったとしても、アザゼルは貴様を見捨てるだろうな、それとアザゼルからの指示でな、既に事に及んでいた場合は処分しても構わんそうだ。だから…死ね。しっかり生から助けてやっただろう?」

 

レイナーレ「そん、な…アザゼ、ル、様あぁあああああ!」

 

悲鳴を上げながら、羽だけを残して消えていく。

 

グレモリー「あなた…仲間を!?」

 

フリード「はぁっ!?てめぇはバカっすか?その目ん玉はビー玉っすかぁ!?俺らは一切その女を仲間だと思ってなかったんすよ!むしろその馬鹿たちを倒してくれたおかげで楽出来て感謝ですわギャハハハ!」

 

玲士「…アルスだったか、すまんな助けられなくて…お前の妹は助けたぞ。…神器の回収は不可能か。希少な回復系神器だから回収したかったのだがな。」

 

金髪「待て!」

 

玲士「待てと言われて素直に待つ奴などおらんわ、ではな。行くぞフリード。」

 

フリード「ういっす!兄貴。」

 

そう言いながらその場を後にする。

 

グレモリー「早い…!逃げられた様ね…。」

 

慎士「部長!今すぐあいつらを追いましょう!」

【糞がッ!アーシアはあっちに行っただと!?急いで追わねぇと。】

 

グレモリー「待ちなさい慎士、ふふ…あの黒騎士、良い情報を残してくれたわね。貴重な回復系神器なら…生き返らせてあげるわ、私の為に働いてちょうだい?」

 

そう言いながら僧侶の駒を取り出し、アルスへと近づいて行く。

 

慎士【なっ!?くそ、くそ!くそくそくそ!アーシアじゃないだと!?それにわざとらしすぎるだろ!ちくしょうが!】

 

アルスが仲間に加わった事を喜ぶ中、一人だけ内心で文句を言いまくっていた…。




今回はこれで終わりです…。

兄さんは悪魔になったらしいですね…少々寂しいですが生きているのなら良かったです。

…私が助けた悪魔の方はいつか私をさらいに来るのでしょうか…。

グリゴリの皆さんは優しく、元教会の方がいて話しやすくて良いですね。

次回、『新たな波紋、意外な再会』。

そういえばコカビエルさんが何か怒っておりました…何があったのでしょう。

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