初めましての方は初めまして、二回目以降の方は再度ありがとうございます。
ふと、目が覚めるとそこは黒い空間…言葉で表現するならば明かりの無い密室空間だろうか。
俺、『相良祐樹』ともう一人の男、『秋本大輔』はそこで転生の神と呼ばれる男と出会い、死んだことを伝えられる。
部下のミスにより死なせてしまった為に転生することが伝えられ転生する世界を決め、特典を決める為に個人面談をしていき、二人は転生の時を迎える。
神様「全く…お前は強欲な奴だな。そこまで沢山の能力を望むとはな。一つ忠告をしてやろう、もう一人の転生者に気を付ける事だ。」
祐樹「っ?それは一体―――」
喋っている途中に完全に光に包まれ、その場より消えさる。
神様「…さて、記憶を覚えているかは運次第、能力に関してはその世界に沿った概念へと変換される。…だが、二度目の人生を若いまま死なせるつもりなど無いぞ…。すまんが貴様の特典は改ざんさせてもらう、アサシンのエミヤのスキルは切嗣以外を不幸にするものがあるからな…。」
そう言い、本を取り出し書き直し終わると同時に転移し、その場に静寂だけが残される…。
町の名は駒王町…静まり返った夜に一つの家が倒壊し、一人の少年が笑いながらその家を見ている。
少年「く、くくく…は、ははははは!やった、やってやったぞ…!もう一人の転生者を殺してやったぜあはははは!しかもまさか俺に『赤龍帝の籠手』まで宿るとはなぁ!これは俺が主人公になれって言う事だよなぁ!嗚呼…今から女の体が楽しみだ!」
そう言いながら少年は夜の街を走り、その場から去って行く。
…場所は倒壊した家の目の前、一人の老人がその場へと降り立つ。
老人「…遅すぎたか、すまない…相良祐…っ!あれは!?。」
視線の先、そこには隙間より弱々しく伸びる小さな手が見え、即座にその場へと駆け寄り右手を握りしめ、瓦礫をどかし始める。
完全にどかし終えた時に目に移ったのは血塗れでボロボロの姿になった少年…近衛玲士が今にも息絶えそうになりながらも存在した…。
老人「息は…よし、生きているな…だが両親は…すまない。」
そう言いながら抱き上げ、癒しの光をかけて治療していく。
老人「…これで問題は…っ、誰だ。」
危険な状態から脱出したのを確認して安堵し、それと同時に感じた気配の方へ向き直る。
プリン頭「おっと、待て待て俺は敵のつもりはねぇぜ。」
老人「…堕天使総督のアザゼルか、何の用だ。」
アザゼル「ほう、俺の事を知っているのか?てめぇ、なにもんだ、人間でも俺ら三大勢力の奴でもねぇ…。こんなところで何をしてる?」
老人「…この少年を救出しに来ただけだ、だが…ふむ、ちょうど良い、頼みがある。」
アザゼル「おいおい、質問に答えてくれよ…。」
呆れ、頭を掻きながら目を細めて見据える。
老人「すまんな、俺が誰なのかを言う意味が無くてな。」
アザゼル「…何か訳アリって事か、まあいいさ、何を頼みたいんだ?その子を預かってくれってか?それなら大歓迎だがよ、神器持ちみたいだしな。」
老人「あぁ、その通りだ。」
アザゼル「ん?てっきり否定してくると思ったがその通りだったか、良いのか?貴重な神器持ちなんだぜ?」
老人「俺はもうそろそろこの世界より消える事になる、なら安心できる奴に預けるのが一番だからな、俺の知るお前は人間であろうと、それも神器持ちであろうと無かろうと敵対しなければ無碍にしない奴だからな。」
そう言いながらアザゼルへと近づき、少年を手渡す。
アザゼル「…良く知ってるな、正体が気になるがまあいいだろう。こいつの事は任せておけ。」
老人「ああ、頼むぞ…さて、後は…これだな。」
そう言いながらポラロイドカメラを何処かより取り出し、瓦礫へと向ける。
老人「こいつはこの惨劇を引き起こした犯人へと繋がる手がかりだ、成長したそいつにわた―――」
喋りながらシャッターを押した瞬間、カメラが光りを放つと同時に老人の姿が消え去り、そこにはカメラが残される。
アザゼル「んなっ!?消えただと!…チッ、分からない事が多すぎるな…。しかし、犯人か…神器持ちを探しに来てみればおかしなことに巻き込まれちまったな…。」
独り言をつぶやきながら落ちたカメラへと向かい、出てきた写真を手に取り、懐へしまいながら魔方陣を展開しその場を後にする…。
これにてこの話は終わり…。
これは正史の物語にあらず、異物が混ざり込んだ世界の運命は狂い、歪む。
それは果たして悲劇となるか、喜劇となるか…己が欲望を叶えようとする男には罰を。
静かなる生活を望んだ男には幸せを…。
次回、英霊たちの肖像
一つの家族は異物により助けられ、己たちの問題を悟る。