ロクでなし魔術講師と赤髪の天災魔術師 (リメイク) 作:クッペ
テロ事件の後日、グレンとシスティーナとカインは帝国政府の上層部にテロ事件解決の功労者として、今回のテロ事件の概要とルミアの正体についての話をされた。
カインはルミアの正体を先に知っていたので驚くことは無かったが、システィーナはかなり驚いていた。幼少期から一緒に暮らしていた少女が実は今は無き王女様でした、なんて言われたら誰だって驚く。ただその話を聞いた後も、システィーナのルミアに対する態度に変化が無かったのは幸いだった。
グレンは非常勤講師から普通の講師に格上げされたようだ。なんでか知らないが気が変わったのだろう。そのことをセリカに伝えたらめっちゃ喜んでいた。
カインは現在、帝国宮廷魔導士団の特務分室室長室に来ていた。今回のテロの件の報告と新たな任務の説明があるらしく、呼び出された。
「まずはご苦労様、と言っておくわ。現場にいたのがあなただけとはいえほとんど一人で解決したらしいじゃない?」
「あぁ、まぁ敵も大したことは無かったし、目的がはっきりしていたからな。いつもは何がしたいのかよく分からん任務も多いが、今回はルミア=ティンジェルの救出が最優先事項だったからな。それとイヴ、この件について少し相談があるんだが・・・」
「なにかしら?」
「イヴはもうルミアの正体については報告が来ているだろ?」
「ええ、今は無きアルザーノ帝国の第二王女、エルミアナ=イェル=ケル=アルザーノ、感応増幅の異能の持ち主らしいわね」
「あぁ、それで今後も天の智慧研究会の標的になりかねないだろう。彼女に護衛をつけるべきだと思うんだが、それは俺で構わないよな?」
「あら?なぜかしら?あなたは特務分室の最高戦力なの、それを分かったうえで言ってるの?」
「最高戦力だからこそ、だと思うがな。あいつらが最終的にルミアをどのように利用するかは検討もつかない。でもそれは今は大した問題じゃない。それに俺の固有魔術の副産物、知ってるだろ?それを活用すれば、護衛も十分にこなせると思うんだが。それに今から新しいメンバーを学院に送ることは得策じゃない。学院側にルミアには何らかの秘密があると教えるようなものだからな。その点、俺はもともと学院にいたわけだからかなり都合がいいんじゃないか?増援の要請が来たら、それはその時になって考えても構わないと思うんだが?」
「ならば条件を付けさせてもらう。そんなに警戒しなくても平気、今いる特務分室の戦力でどうしようもないときに入ってきた任務の時は、こっちを優先させてくれればいいわ。それと、この通信用魔導器を私以外の特務分室メンバーに渡しておいて。あなたが一つ持って、もう一つの魔導器で常に連絡をつけられるようにしておいて」
「それくらいなら構わない。じゃあ俺はこれで」
そう言って形だけの敬礼をした後、カインは部屋を後にした。
今日中に二巻のプロローグ上げたいな・・・