更新スピードめちゃくちゃです笑
しかし、完成したらすぐに挙げたくなっちゃうんだもの。仕方ないよね?
楽しんで読んでくれたらな、と思います。
むしろそれしか願っていません。
いや、ウソついた。
感想もください笑
お気に入り初めて付きました!ありがとうございます!
ではどうぞ!
「これより練習試合を始める!」
桜の号令により始まった練習試合。
まずは、この道場の師範である桜と、道場内で三番手の剣士、楠政茂(くすのきまさしげ)が試合を行うことになった。
皆の視線は当然熱い。
なんたってトップとナンバースリーの戦い。
どれほどの熱戦になるか・・・とだれもが期待していたのだが。
「んぐふっ・・・!」
胸元を一突きにされ、呻きながら倒れる楠先輩。
誰もが口を開け唖然としていた。
その間、俺は楠先輩の倒れゆく姿を視界に捉えながらもとんでもない驚きに打たれていた。
あまりの衝撃に言葉が浮かんでこない。
ただ、一言、一言だけが頭に浮かんだ。
今の試合を表すその言葉は・・・。
――“圧倒的”。
この一言に尽きる。
日頃、手合わせしていた俺だが、正直ここまで実力に開きがあるとは思いも寄らなかった。
仮にも鹿島道場三番手の男である。
序列で言えばたった二つしか変わらない。
だが、力の差は残酷なまでに歴然。
一方的な試合内容だった。
楠先輩が立ち上がると、両者ともに礼をして、後ろへと下がる。
崩れ落ちるようにして畳の上に倒れ込む楠先輩に対して、当の桜はと言うと。
「ふうー、あっちー。」
などと言いながら面を外している。
腰ほどまである長髪を掻き上げながら手ぬぐいで汗を拭くその様子はいかにも余裕たっぷりである。
正直、軽く引いてしまったことは否めない。
俺以外の道場の皆も引いてしまって口を開けずにいたのだが・・・。
「がっはっは。さすがは桜!素晴らしい剣技だ。」
地鳴りのような笑い声を挙げたのはナンバーツーの如月先輩。
重々しい空気など全く意に介していない様子である。
そんな笑い声に対して桜も嬉しそうに応えた。
「あはは。どうもありがとう!如月さんにそう言って貰えると嬉しい限りだよ。」
「がっはっは。それはよかった良かった。」
二人とも至極楽しそうに笑っている。
その空気感につられ周りも和やかに談笑しはじめていた。
「ところで・・・」
如月さんのその言葉に空気が固まりぴりぴりとした緊張感が走る。
見ると彼の口元にはどう猛な笑みを湛えている。
今まさに襲いかからんとする顔。
俺はその表情を見た瞬間につばを飲み込んだ。
それと同時に如月先輩も言葉の続きをはき出した・・・。
「次は俺と戦ってはくれんか桜殿?」
シンと静まりかえる場。
首の後ろがピリピリとしびれた。
呼吸すら苦しいと感じる沈黙の中で明るい声がこだまする。
「ごめんね、それはできない。」
桜はそう言うと、俺の隣にまですたすたと歩き、俺の肩をポンポンと叩きながら応えた。
「だって、如月さんはこの晋介の獲物だから、ね?」
視線を俺へと向ける桜の口元には笑みが浮かんではいる。
しかし、目だけは俺に逃げるなよ、と伝えているように感じた。
――逃げるかよ・・・。
俺はそう伝える代わりに一つ桜に頷き、キッと如月先輩を見据えて言った。
「如月先輩!そういうことです!逃げないでくださいよ?」
そう言うと同時に俺はピシッと木刀の先端を如月先輩へと向けた。
そんな俺の様子を見ていた如月先輩は笑いを抑えられない、という様子で笑い出す。
「クッ・・・がっはっはっはー。小僧、言うじゃねーか!」
「で、どうなんです?勝負、引き受けてくれるんですか?」
俺が如月先輩を見据えてそう言うと、彼は笑いを収めて鋭い眼光を俺に注いだ。
そして、如月先輩はドスのきいた声でこう言った。
「俺を満足させる自信があるんだろうな?」
ビリビリとこの道場全体が震えたように感じた。
だが、俺はあえて一歩二歩と踏み出て如月先輩の真ん前にまで近づきこう言った。
「もちろんです。」
それを聞いた如月先輩はしばらくその鋭い眼光を俺に注いでいたが、ふいに相貌を崩しこう言った。
「合格だ。」
二カッと笑う彼には先ほどまでの剣幕は見当たらない。
俺も肩から力が抜ける。
知らず知らずのうちに力が入っていたらしい。
試合をした後以上に疲労した感じがする。
まったく、とんでもない先輩だ。
如月先輩は笑顔のまま俺に握手を求めてきた。
なので俺も差し出された手を握る。
「本気で来い。あれからどれだけ成長したか見てやろう。」
それを聞いた俺は少し勝気な笑みを如月先輩に投げかけて言った。
「ええ、お願いします。でも、俺が勝っても文句言わないでくださいね?」
「たわけ。大口叩きよるわ。」
がっはっはー!とまた例によって大笑いを爆発させる如月先輩。
俺はそんな先輩の様子を横目に見ながら剣を正中に構えて言った。
「じゃあ、早速やりましょうよ、如月先輩。」
「そうだな、やるか。」
そう言って如月先輩は俺と二メートルほど離れた位置に剣を大上段に構え向かい合う。
先ほどまで笑みを浮かべていた顔が、今は鋭さのみを浮かべている。
まるで、先輩と剣が一体にでもなってしまったかのようだ。
静寂。
俺たちを包んでいたのはただただ静寂のみだった。
風の音すらも聞こえない。
そんな静寂・・・。
時が止まってしまったような錯覚にすら陥る。
感覚が研ぎ澄まされ、すべてが目の前にいる敵を切り倒すことのみに向かっているのが分かる。
自分の心音とともに高まる集中力。
ぱちっとなにかがはじける音。
集中力が最高潮に達したそのとき・・・。
「始め!!」
戦いのゴングが鳴り響いたのだった・・・。
いかがでしたか?
如月先輩の緊張感や迫力しっかりと伝わりましたかね?
伝わっていたら嬉しいです!
ではまた次話で会いましょう!!