弱虫剣術ライフ!!   作:A i

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第一話です。
勇気がテーマのお話を書こうと思います。
しかし、書き始めてそうそう、このテーマからぶれまくりになってしまいビビりました。
なので、少し短めのお話になっています。

楽しんで読んでくれることだけを祈っています。

感想ください!!笑

ではどうぞ!!



はじまりのはじまり
一期一会


――美しい。

 

彼の剣に俺は見惚れていた。

自分の置かれている状況など頭になかった。

それほどに彼の剣はただひたすらに美しかったのだ。

 

どこまでもまっすぐで、それでいて変幻自在。

しなやかでかつ剛毅。

相反する美しさが同居する完全な美を体現する彼に俺があこがれを抱くのは時間の問題だった・・・。

 

彼は神速の一振りで最後の敵を返り討ちにし、颯爽と俺の元へ近づいてくる。

 

「怪我はないかい?」

 

柔和な笑みを浮かべ手をさしのべてくる彼。

そこには戦いでの疲労感など一切感じられず、さわやかさがにじんでいる。

 

腰を抜かして地面に座り込んでいた俺は、彼の手を握る。

 

「・・・・・。」

 

彼の手は侍にしてはあまりにも華奢でなめらかな手だった。

俺は驚きのあまり彼の手をジッと見つめてしまう。

 

「・・・?」

 

当然不思議そうに俺を見つめてくる彼。

俺はなんでもない、と首を横に振り、今度こそ体を起こす。

 

「怪我はないかい?」

 

心配そうに聞いてくる彼に俺は頷き、大丈夫だと伝えた。

すると、彼は安心したように笑顔を見せ、くるりときびすを返す。

 

「そうか、じゃあ、気を付けて。またどこかでお会いしましょう。」

 

そう言って、去って行こうとする彼。

見るからに俺と同年代であろう彼の後ろ姿は、今の俺とは比べものにならないくらいに大人びていてかっこよく見えた。

 

――このまま別れてしまって良いのか?

 

そんな自分自身への問いかけ。

答えが頭に浮かぶより先に俺の体は動いていた。

 

俺に背を向け歩き出そうとしていた彼の肩に手をかけ引っ張る。

当然彼は驚き、目を大きく見開いている。

だが、そんなの関係ない。

息を大きく吸い込み呼吸を整える。

そして、俺は彼の顔に触れそうな距離で自分の思いを叫んだのだった・・・。

 

「・・・・・・俺に剣を教えてくれ!!」

 

目を見開いた彼。

だけど、すぐに包みこむような笑顔に変わりそして・・・。

 

「いいよ。教えてあげる。」

 

と応えた。

俺はその答えを聞くと、知らず知らずのうちに笑っていた。

すると彼も笑い出した。

 

あかね色に染まる殺風景な野原に男達二人の笑い声がこだまする。

 

こうして俺の剣術修行は幕を上げたのだった・・・。

 

 

~しばらく後~

 

「ああ!!なんで勝てないんだよ!」

 

「あはは、やっぱ、俺には敵わないな、晋介?」

 

「くそっ!明日は絶対勝つ!」

 

「ふふふ、まあ、せいぜいがんばってよ~?」

 

ニッと勝気に笑う桜は木刀を肩に担ぎながら修錬場から出て行ってしまった。

 

「ムカツクー・・・。」

 

そうつぶやき俺は畳の上にごろんと横になる。

木組みの天井を見上げながら俺は物思いに沈んだ。

 

桜と出会ってから早一ヶ月が過ぎた。

俺はあれから毎日あいつの道場に稽古をしに来ている。

 

剣術など今までやったことのなかった俺であったが、この一ヶ月、あいつに追いつこうと毎日毎日血のにじむような練習を行ってきた。

この道場には二十人ほどの門下生が在籍しているがその誰よりも努力してきた自信があった。

 

しかし、結果はエブリデイ惨敗。

来る日も来る日も、力量の差をまざまざと見せつけられている。

もちろん、桜の実力が一ヶ月やそこらで身につくモノではないとは分かっている。

だがしかし、桜はおろか他の門下生にも敗北を喫してばかり。

さすがにへこまずにはいられない。

 

「はあ~・・・。」

 

知らず知らずのうちにため息をついていた。

 

「なーにー?へこんでんの、晋介?」

 

いつの間にか着替え終わった桜が横で呆れたように見下ろしている。

着物の紫色が彼の茶髪とよく似合っていた。

 

図星を衝かれた俺はごまかすように大きく反動を付け、立ち上がる。

 

「よっと・・・そんな分けねーだろ?明日は絶対勝つから!覚えとけ!」

 

「はいはい。覚えとくよ・・・。」

 

「絶対信じてねーな!」

 

「あははは。」

 

声を上げて笑う桜。

 

馬鹿にしやがってー・・・。

悔しいがこれ以上なんか文句を言うのもダサいので、足音大きめに俺も修錬場を出る。

 

すると、桜が「あ・・・」と小さく叫び俺の背に声をかけた。

 

「あ・・・晋介、この後あいてる?ちょっといっしょに出かけない?」

 

「まあ暇だが・・・。」

 

「暇なんだね!なら着替え終わったら門の前に来て!待ってるから。」

 

「おい、誰も行くとは・・・。」

 

「わーい!」

 

嬉しそうに走り去っていく桜。

 

「あ、おい!・・・。」

 

彼に大きめの声で呼びかけるが、むなしくも俺の声は届かない。

 

「全く・・・。」

 

俺は呆れた声でそう言った。

 

あまりにも自分勝手な桜にいいたい文句が百個ほど浮かんでくる。

だが、そんな俺の口元には知らず知らずのうちに笑みが浮かんでいたのだった・・・。




いかがでしたか?
楽しんでいただけましたかね?
まだまだお話の全貌は明らかになっていませんがこれからしばらくおつきあいください。
ではまた明日、お目に掛かりましょう。
感想ください!!くれないと・・・泣いちゃう。
ウソですけど、こころ優しい方感想ください。
必ず返事書きます!!笑

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