ふわふわふわわ   作:蕎麦饂飩

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レバノンの女性は美しい――


ぴかぴかあくせさりぃ

おなごとカラスは昔から光り物が好きだという。

イシュタルも女の子であるから、キラキラしたものが嫌いな訳では無い。

…別に金ピカだからギルガメッシュを好きになった訳ではない事は彼女の名誉の為此処に記しておくが。

 

イシュタルは元女神である。

よってその装飾品にも安物はなく、高級品で揃えられていた。

最近はそんなに派手なものを身に着けているわけではないが、だからと言ってオシャレと無縁になったと言う訳でもない。

人間の街に出かける時にはオシャレをしていく事もある。

その理由は敢えて言うまでもないだろう。

 

ふわわはイシュタルお姉ちゃんが大好きである。

そこまで無理に背伸びはしたりしないし、する必要も無いが、

ちょっとだけ、全く無理のない範囲で背伸びしてみる事も無い訳では無い。

ふわわだって女の子なのだ。

 

いつものワンピースにどんぐりマークのアクセサリーをつけたりする程度のオシャレはする。

尚、ほんもののどんぐりで作られており、食べられるようにもなっている優れものだ。

 

もともと美少女なふわわにオシャレが加わって、無敵に見えるとはイシュタルやシャマシュの談である。

シャマシュとは誰だという話になるが、イシュタルたちのお兄さんで、天と冥府の相反二重属性と少しばかり大地の属性をも持つ、

誰かに似てギルガメッシュが大のお気に入りなチート太陽神である。

 

シャマシュはふわわのふわふわお嬢様な容姿に一目ぼれをしたが、

占いの神でもあるという職業柄行った、占い師が喋る様な難解なプロポーズがふわわには理解できなかった事と、

そもそもふわわの3大欲求が、睡眠欲、次いで食欲に大きく振られている為に効果が無かった。

第一、実の妹が最大の障壁である。守護者ふわわの守護者は強すぎた。

 

結局は、所謂おともだちからということで落ち着いたが、ふわわにとって、おともだちはおともだちであって、

それ以上の何かは無い。敢えて言うなら親友だとかそういうものにしか進化しない。

ふわわはふわわなのである。誰か1 人のふわわになることは無いので安心して欲しい。

 

 

 

ふわわは、珍しくいつもよりだいぶたくさん歩いていた。

とはいえ、本人が知ってか知らずかは何となく知らない方で見当はつくが、

森を守護するフワワの特性を考えればパトロールなどはおかしな話では無い。

 

森の中を歩いていると、ある木の根っこのところにピカピカ光る石があった。

丁度木の根っこの成長の邪魔にもなっていたようだったので、ふわわはその光る鉱石を持っていく事にした。

キラキラが似合うお姉ちゃんに持っていこうと思ったのである。

 

だが、そのピカピカ光る石だったが、イシュタルの所に持っていく前にはその光は弱くなっていた。

恐らく、そのまま放って置けば光は失われてしまうだろう。

 

もしかしたら、この石は元の所に戻りたがっているのかも知れない。

そう思って、ふわわは元の所に返しに行ったのだが、残念ながらその判断はあまり関係なかった。

途中で、光るものに詳しいカラスのお姉さんが教えてくれたのである。

 

その石は、そもそも明るい所に置いておくと、木陰とか夜とかの暗闇で少しの間だけ光る石だから――と。

ついでに、持って帰ってもいいんじゃない? 根っこに引っ掛けられても木も困るだろうし。

そうカラスのお姉さんは言った。

 

もう一度、イシュタルの所に帰った時には普段と比べればだいぶ遅くなっていた。

イシュタルにふわわはプレゼントしようとした石を見せようとしたが、その石の光は完全に失われていた。

ふわわはしゅーんとしたが、イシュタルは大変喜んで、大切にすると言った。

 

2人は遅くなったばんごはんを食べて、一緒にお風呂に入って寝る事にした。

 

 

 

イシュタルの持つ輝く装飾群の中に1つだけ地味な石ころがある。

それはイシュタルの大切な大切なたからものである。

ぴかぴか光って見えるいしよりも、心をぴかぴか光らせてくれるいしの方が、

大切なたからものなのである。




こういう時にルミナ・ストーン(蓄光石)を充光させにいかない間の悪さが、
シャマシュの恋愛が上手くいってない理由なのよ、と妹のイシュタルは語る。

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